「今季」と「今期」、どちらも「こんき」と読みますが、パソコンで変換するときに迷ったことはありませんか？
結論から言うと、この二つは「季節・シーズン」なのか「区切られた期間」なのかで使い分けるのが基本です。
この記事を読めば、それぞれの漢字が持つ本来の意味と、ビジネス（決算）や趣味（ドラマ・スポーツ）の場面で迷わずに使い分けるための明確なルールがスッキリと分かります。
それでは、まず最も重要な違いの全体像から見ていきましょう。
結論：一覧表でわかる「今季」と「今期」の最も重要な違い
「今季」は春夏秋冬などの季節や、スポーツ・ファッションのシーズンに使います。「今期」は会計年度、学期、放送クールなど、あらかじめ決められた期間の区切りに使います。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | 今季（こんき） | 今期（こんき） |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 今の季節 今のシーズン | 今の期間 今の区切り |
| 対象 | 気候、スポーツ、ファッション | 決算、会計、学期、任期 |
| ニュアンス | 季節感、旬、シーズン中 | 事務的な区切り、枠組み |
| 代表的な例 | 今季一番の寒さ、今季の新作 | 今期の売上、今期のドラマ |
一番大切なポイントは、「春夏秋冬」を感じるなら「今季」、「スタートとゴールが決まっている期間」なら「今期」というイメージを持つことです。
例えば、野球のシーズンは春から秋にかけての季節的なものなので「今季」、会社の決算は1年間の区切りなので「今期」となります。
なぜ違う？漢字の成り立ち（語源）からイメージを掴む
「季」は穀物の実りを表し、そこから「季節」「シーズン」を意味します。「期」は月が満ち欠けして一周することを表し、そこから「決められた期間」「期限」を意味します。
なぜ二つの表記が存在するのか、漢字の成り立ちからイメージを膨らませてみましょう。
「季」のイメージ：実りの季節・シーズン
「季」という漢字は、「禾（イネ）」と「子」から出来ています。
これは、穀物が実る時期や、若い稲が育つ時期を表しており、そこから「季節」「シーズン」という意味が生まれました。
「四季（しき）」や「雨季（うき）」という言葉があるように、自然の移ろいや、ある特定の事柄が行われる時期（スポーツや漁など）を指すのに適しています。
「期」のイメージ：決められたタイムリミット
一方、「期」という漢字は、「其（それ）」と「月」から構成されています。
月が満ち欠けして元の状態に戻るまでの「一巡り」を表し、そこから「決められた期間」「期限」という意味になりました。
「期間（きかん）」や「期限（きげん）」、「学期（がっき）」のように、人為的に区切った時間の枠組みを指す言葉として使われます。
具体的な例文で使い方をマスターする
「今季一番の寒さ」「今季絶望（スポーツ）」など自然や競技は「今季」。「今期の業績」「今期のアニメ」など制度やスケジュールの枠組みは「今期」です。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
シーン別に正しい使い方を見ていきましょう。
季節やシーズンを表す「今季」の例文
気候、スポーツ、ファッションなど、季節感やシーズンを伴うものは「今季」です。
【OK例文：今季】
- 今季一番の冷え込みにより、路面が凍結している。（気候）
- プロ野球の今季開幕戦は3月に行われる。（スポーツのシーズン）
- 今季のトレンドカラーは「ペールブルー」だ。（ファッションのシーズン）
- インフルエンザの流行は今季も続いている。（流行の季節）
期間や区切りを表す「今期」の例文
ビジネス、学校、放送など、制度として区切られた期間は「今期」です。
【OK例文：今期】
- わが社の今期の経常利益は過去最高を記録した。（会計期間）
- 今期の生徒会役員を選出する。（任期）
- 今期（第1四半期）の目標達成率は95%だ。（区切られた期間）
- 今期のアニメは豊作だ。（放送クール）
これはNG！間違えやすい使い方
意味は通じそうですが、慣習的な使い分けとして不自然とされる使い方です。
- 【NG】今期一番の寒波が到来した。
- 【OK】今季一番の寒波が到来した。
寒さや雪などは「季節（シーズン）」の現象なので、「今季」を使うのが適切です。「今期」と書くと、まるで「会計年度における寒波」のような事務的な響きになってしまいます。
- 【NG】今季の決算報告書を作成する。
- 【OK】今期の決算報告書を作成する。
決算は会社が定めた「期間（期）」ごとの集計なので、「今期」が正解です。
【応用編】似ている言葉「当期」との違いは？
「当期（とうき）」は「今期」とほぼ同じ意味ですが、より形式的・専門的なビジネス用語です。決算書や会計報告では「当期純利益」のように「当期」が好んで使われます。
ビジネスシーンでは「今期」のほかに「当期」という言葉もよく聞きますね。
「当期」は「この期間」「当該期間」という意味で、「今期」の改まった言い方です。
日常会話や社内メールでは「今期」で問題ありませんが、決算書（PL/BS）などの正式な財務諸表では「当期」を使うのがルールです。
【使い分けのイメージ】
- 今期：口頭、メール、社内会議（「今期の売り上げはどう？」）
- 当期：決算短信、財務諸表、公式発表（「当期純利益は〇〇円」）
「前期（前の期間）」や「次期（次の期間）」と対比させる場合も、「当期」を使うと収まりが良いですね。
「今季」と「今期」の違いを学術的に解説
「季」は四半期（3ヶ月）ごとの季節区分を指す言葉でもあり、英語の “Season” に相当します。「期」は時間の区切り全般を指し、英語の “Term” や “Period” に相当します。放送業界の「クール（3ヶ月）」は期間の概念が強いため「今期」が一般的ですが、季節性を強調する場合は「今季」も許容されます。
もう少し専門的な視点から、この使い分けを見てみましょう。
辞書的な定義に基づくと、両者の違いは「自然な区切り」か「人為的な区切り」かという点にあります。
- 今季（Season）：
自然のサイクルや、それに連動した活動の時期。
農業、漁業、スポーツ、ファッションなど、気候や季節の移り変わりと密接に関係しているものに使われます。
- 今期（Term / Period）：
組織や制度によって人為的に定められた期間。
会計年度（Fiscal Year）、学期（Semester）、任期（Term）など、カレンダーやルールに基づいて明確に開始日と終了日が設定されているものに使われます。
迷いやすいのが、テレビドラマやアニメの「コンキ」です。
これらは1年を4つに分けた「クール（1月～3月、4月～6月…）」という期間で放送されるため、放送業界やファンの間では「今期アニメ」「来期ドラマ」のように「期」を使うのが一般的です。
ただし、「冬ドラマ」「春アニメ」のように季節の名称を冠することも多いため、ニュース記事などでは「今季の注目ドラマ（この季節のドラマ）」として「季」が使われることもあります。
言葉の定義についてより深く知りたい方は、文化庁の「常用漢字表」などで漢字本来の意味を確認してみるのも良いでしょう。
決算資料で「今季」と書いて赤面した新人の頃の体験談
僕も新入社員の頃、この使い分けで恥ずかしい思いをしたことがあります。
営業部に配属されて初めての月末、部内の売上報告資料を作成することになりました。張り切って作った資料のタイトルに、大きな文字でこう書きました。
「今季の売上目標達成状況」
自分としては、「今は夏のシーズンだし、野球とかでも『今季』って言うから、これで合ってるだろう」となんとなく変換していたんです。
しかし、資料を確認した先輩から、苦笑いしながら指摘されました。
「〇〇くん、うちは八百屋さんでもアパレルショップでもないからね。会社のお金の話をするときは『季節（季）』じゃなくて『期間（期）』で管理してるんだよ」
顔から火が出るかと思いました。
「会社＝期間（期）で動いている」というビジネスの常識を理解していなかったことが、漢字一つでバレてしまったんです。
「季節感を出したいならいいけど、数字の話なら『今期』が鉄則だよ」
そう教わって以来、僕は「数字とセットなら『期』、温度や風を感じるなら『季』」と心に刻んでいます。
たった一文字の違いですが、ビジネスパーソンとしての基礎力が問われるポイントなんですよね。
「今季」と「今期」に関するよくある質問
ドラマやアニメは「今季」と「今期」どっちですか？
一般的には「今期」が使われます。テレビ番組は「1クール（3ヶ月）」という期間で区切られているためです（例：今期のアニメ一覧）。ただし、「今季の月9ドラマ」のように、季節性を強調する文脈では「今季」も間違いではありません。迷ったら「今期」としておけば無難です。
「こんき」のボーナスはどっち？
「今期のボーナス」と書くのが一般的です。ボーナス（賞与）は、会社の会計期間（上期・下期など）の業績に基づいて支給されるものだからです。ただし、「夏のボーナス」「冬のボーナス」という季節の風物詩としての側面を強調するエッセイなどでは「今季」が使われることもあります。
「今季限りで引退」はなぜ「季」なのですか？
スポーツ選手の場合、活動期間が「シーズン（季節）」と連動しているためです。プロ野球やサッカーなどは、1年単位の「シーズン」を戦います。そのシーズンの終わりを指すため、「今期」ではなく「今季」が定着しています。
「今季」と「今期」の違いのまとめ
「今季」と「今期」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本の使い分け：季節・シーズンなら「今季」、期間・区切りなら「今期」。
- ビジネスの鉄則：決算や業績の話は「今期」（または当期）。
- 覚え方：肌で感じる季節は「季」、カレンダーの枠組みは「期」。
「これは季節の話かな？ それともスケジュールの話かな？」
一瞬そう考えるだけで、適切な漢字が自然と浮かんでくるはずです。
正しい言葉選びは、あなたの仕事の正確さを相手に伝える、小さなけれど確かな信頼の証になりますよ。
漢字の使い分けについてさらに詳しく知りたい方は、漢字の使い分けの違いまとめのページもぜひチェックしてみてください。
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