「講義」と「講議」の違いをスッキリ解消!教えと議論の境界線

「講義」と「講議」、どちらも「こうぎ」と読みますが、実はこの二つ、片方は存在しない言葉(誤記)であることをご存知でしょうか?

正解は「講義」です。大学の授業などで使われるのはこちらで、「講議」という熟語は辞書には載っていません。

しかし、なぜ「講議」と書いてしまう人が多いのでしょうか? それには「会議」や「協議」といった「議」を使う言葉のイメージが影響しているのかもしれません。

この記事を読めば、なぜ「講義」が正しいのか、その漢字の持つ意味から「講演」との違い、さらには恥をかかないための正しい使い方がスッキリと理解でき、もう二度と迷うことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「講義」と「講議」の最も重要な違い

【要点】

「講義」が唯一の正解です。「講議」は誤字であり、日本語として存在しません。「講義」は書物や学説の意味を説き聞かせることを指します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの表記の決定的な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、もう迷うことはありません。

項目講義(こうぎ)講議(こうぎ?)
正誤正しい日本語誤用・誤記(存在しない)
意味学問や書籍の意味を説くこと(「会議」などとの混同による誤字)
漢字の意味義=意味、わけ、教え議=話し合い、相談
よくある表現大学の講義、特別講義なし(誤変換に注意)

一番大切なポイントは、「講義」一択で、「講議」は間違いだということです。

「議論」の「議」を使いたくなる気持ちは分かりますが、ここは「意義」や「正義」の「義」を使うのが正解です。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「講義」の「義」は物事の正しい意味や道理を表します。「講」は説き聞かせること。つまり「正しい意味を説く」のが講義であり、「話し合う(議)」わけではないのです。

なぜ「義」という字を使うのか、その漢字の成り立ちを知ると、もう「議」と間違えることはなくなりますよ。

「講義」の成り立ち:意味を説き明かす

「講義」という熟語は、「講(こう)」と「義(ぎ)」から成ります。

「講」は、書物を読み解く、説明するという意味を持っています。

一方、「義」は、「意味」「わけ」「正しい道」を表します。「意義」や「定義」という言葉にも使われていますね。

つまり、「講義」とは、書物や学説の「意味(義)」を「説き聞かせる(講)」行為を指しているのです。

先生が学生に対して、学問の深い意味を解説する場面をイメージすると分かりやすいでしょう。

なぜ「講議」と間違えるのか?

では、なぜ存在しない「講議」という漢字を書いてしまうのでしょうか。

それはおそらく、以下の言葉との連想が原因でしょう。

  • 会議(かいぎ):集まって話し合うこと。
  • 協議(きょうぎ):相談すること。
  • 議論(ぎろん):意見を戦わせること。

大学のゼミなどでは「議論」をすることもありますが、「講義」という形式自体は、基本的には講師が知識を伝達するものです。

「話し合い(議)」ではなく「教え(義)」を授ける場だから、「講義」なんですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

大学の授業やカルチャースクールなど、講師が教えを説く場面ではすべて「講義」を使います。「講議」はどんな場面でも使いません。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

正しい「講義」の使い方と、避けるべき誤記のパターンを見ていきましょう。

「講義」を使うシーン:大学、セミナー

知識や学説を教える場面全般で使われます。

【OK例文】

  • 大学で経済学の講義を受ける。
  • 著名な教授による特別講義が開催された。
  • オンライン講義の動画を視聴する。

これはNG!間違えやすい使い方

特にパソコンの変換ミスや、手書きの履歴書などで注意が必要です。

  • 【NG】必修科目の講議に出席する。(※漢字の間違い)
  • 【NG】講議室に集まる。(※正しくは講義室)

「講議」という熟語は辞書に存在しないため、これらはすべて誤字となります。特に「義」と「議」は形も似ているため、見直しを怠ると見逃してしまうことがあります。

【応用編】似ている言葉「講演」との違いは?

【要点】

「講義」は学術的な内容を教育的に教えることで、「講演」は大勢の前であるテーマについて演説・話をすることです。継続的な授業は「講義」、単発のイベントは「講演」と呼ばれる傾向があります。

「講義」と似た言葉に「講演(こうえん)」があります。この二つの使い分けも整理しておきましょう。

「講義」= Education / Lecture
教科書やテキストに基づき、体系的に知識を教えること。
大学の授業や、資格スクールのカリキュラムなど、学習者が理解することを目的としています。

「講演」= Speech / Talk
特定のテーマについて、大勢の人に向かって意見や話をすること。
講師の体験談や考えを語ることが多く、聴衆に感銘を与えたり啓発したりすることを目的としています。

使い分けの例:

  • 大学教授が学生に物理の法則を教えるのは「講義」
  • ノーベル賞受賞者が一般市民に向けて研究人生を語るのは「講演」

「教える(講義)」か「語る(講演)」か、というニュアンスの違いですね。

「講義」と「講議」の違いを学術的に解説

【要点】

「講義」は明治時代以前から存在する言葉で、漢籍や仏典の意味を解き明かすことを指していました。「議」は「はかる」「論じ合う」という意味であり、一方的に知識を伝達する「講義」の性質とは異なります。

少し専門的な視点から、漢字の意味を深掘りしてみましょう。

「義」の持つ意味

「義」という字は、儒教における「五常(仁・義・礼・智・信)」の一つとしても知られ、「人として守るべき正しい道」や「物事の根本的な意味」を指します。

学問において「講義」とは、テキスト(経書など)に書かれた「義(正しい意味・道理)」を口頭で説明し、学生に理解させる行為でした。

「議」の持つ意味

一方、「議」は「言」に「義」を加えた形をしていますが、意味は「はかる」「相談する」です。

「会議」「協議」「審議」など、複数の人間が意見を出し合って物事を決めるプロセスを指します。

したがって、教授者が知識を授ける場であるLectureに「議」の字を当てるのは、文字の意味からしても不適切なのです。

教育用語としての詳細は、文部科学省のウェブサイトなどで大学教育の定義を確認することができます。

「講義」と「講議」の使い分けにまつわる体験談

僕が大学生になったばかりの頃、この「講義」と「講議」で恥ずかしい思いをしたことがあります。

初めてのレポート提出で、張り切って表紙を作りました。タイトルは「経済学入門・前期講議のまとめ」。

自分では完璧だと思って提出したのですが、返却されたレポートの表紙には、教授からの赤ペンで大きく「×」がついていました。

「君、大学に何をしに来ているんだね? 会議をしに来ているのか? 学問の『義(意味)』を学ぶのが『講義』だよ」

顔から火が出るほど恥ずかしかったですね。

「会議室」のイメージが強すぎて、なんとなく「アカデミックな場所=議」だと思い込んでいたんです。

『義』は学びの意味、『議』は話し合い

この失敗から、僕は「意義ある講義」とセットで覚えるようにしました。それ以来、二度と間違えることはありません。

「講義」と「講議」に関するよくある質問

Q. 「講義」を「授業」と言い換えてもいいですか?

A. はい、基本的には問題ありません。ただし、一般的に「授業」は小学校から高校までの教育を指すことが多く、大学以上では「講義」と呼ばれる傾向があります。「講義」の方がより専門的で、講師が一方的に話す形式(レクチャー形式)のニュアンスが強くなります。

Q. 履歴書に「講議」と書いてしまいました。どうすればいいですか?

A. 誤字ですので、修正することをお勧めします。修正テープは使わず、新しい用紙に書き直すのがベストです。どうしても書き直せない場合は、二重線と訂正印で修正しますが、見栄えが悪くなるため、やはり書き直しが安全です。「講義」と正しく書くことで、基礎的な教養があることを示せます。

Q. 「休講」の「講」はどの意味ですか?

A. 「休講(きゅうこう)」の「講」は、「講義」の略です。「講義を休む」という意味ですね。ここでも「義」の意味(学問を説くこと)が含まれているため、「休議(会議を休む)」とは書きません。

「講義」と「講議」の違いのまとめ

「講義」と「講議」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 正解は「講義」:学問を説くことは「講義」。「講議」は誤記。
  2. 漢字のイメージ:「義」は意味・教え。「議」は話し合い。
  3. 覚え方:「意義ある講義」とセットで覚える。
  4. 注意点:履歴書やレポートでの誤変換に気をつける。

漢字の使い分けは、単なる表記の問題ではなく、その言葉が持つ本来の意味(ここでは「教えを説く」こと)を理解しているかどうかの試金石でもあります。

これからは自信を持って、正しい漢字を選んでいってくださいね。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、漢字の使い分けの違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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