「ロゴ」と「マーク」、どちらも企業やブランドの顔としてよく使われる言葉ですよね。
でも、いざデザイナーさんに「ロゴを作りたいんです!」と伝えたら、「それはマークですね」なんて言われた経験はありませんか?似ているようでいて、実はこの二つの言葉には指し示す範囲に違いがあるんです。文字を図案化したものが「ロゴ」、図形や記号で表したものが「マーク」というのが基本的な考え方です。
この記事を読めば、「ロゴ」と「マーク」の核心的な意味の違いから、デザインを発注する際や日常会話での具体的な使い分け、さらには「シンボル」との違いまでスッキリ理解できます。もう迷うことなく、的確な言葉でイメージを伝えられるようになりますよ。
それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「ロゴ」と「マーク」の最も重要な違い
基本的には、文字のデザインなら「ロゴ(ロゴタイプ)」、図形や記号のデザインなら「マーク(シンボルマーク)」と覚えるのが簡単です。「ロゴマーク」のように組み合わせて使われることも多いですね。
まず、結論からお伝えしますね。
「ロゴ」と「マーク」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | ロゴ(ロゴタイプ) | マーク(シンボルマーク) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 社名やブランド名などの文字を図案化したもの。 | 組織やブランドなどを象徴する図形や記号。しるし。 |
| 構成要素 | 文字(アルファベット、ひらがな、カタカナ、漢字など) | 図形、記号、イラストなど(文字を含まないことが多い) |
| 役割 | 文字によって名称を直接伝える。識別しやすくする。 | 図形によって理念や特徴を象徴的に伝える。視覚的な印象を与える。 |
| 具体例 | Google、Coca-Cola、Sonyなどの文字のデザイン部分。 | Appleのリンゴ、Nikeのスウッシュ、Twitter(X)の鳥の図形部分。 |
| 関連語 | ロゴタイプ(Logotype) | シンボルマーク(Symbol Mark)、アイコン |
| 組み合わせ | 文字(ロゴ)と図形(マーク)を組み合わせたものをロゴマークと呼ぶ。 | |
簡単に言うと、会社名や商品名をかっこよくデザインした「文字」が「ロゴ(ロゴタイプ)」、その会社や商品を象徴する「絵や図形」が「マーク(シンボルマーク)」というイメージですね。
実際には、この二つが組み合わさった「ロゴマーク」として使われることが非常に多いです。例えば、Amazonのロゴは、「amazon」という文字(ロゴ)の下に、AからZへの矢印(マーク)が組み合わさっていますよね。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「ロゴ」はギリシャ語の「言葉(logos)」が語源で、文字を図案化したものを指します。「マーク」は「印(mark)」が語源で、識別するための図形や記号全般を意味します。語源を知ると、文字ベースか図形ベースかの違いが分かりやすくなりますね。
なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、それぞれの言葉の成り立ちを紐解くと、その理由がよりクリアになりますよ。
「ロゴ」の成り立ち:「言葉」を図案化したもの
「ロゴ」は、元々「ロゴタイプ(Logotype)」という言葉の略です。
この「ロゴタイプ」は、ギリシャ語の「ロゴス(logos)=言葉」と、「タイプ(type)=活字」が組み合わさってできた言葉です。
つまり、「ロゴ」の根源には「言葉(文字)を活字としてデザインしたもの」という意味合いがあるんですね。企業名やブランド名といった、文字情報を視覚的に印象付けるためのデザイン、それが「ロゴ」の本質と言えるでしょう。
「ロゴス」という言葉自体が、論理や理性を意味することからも、単なる装飾ではなく、意味やメッセージを伝える意図が込められていることがうかがえますね。
「マーク」の成り立ち:「しるし」全般を表す
一方、「マーク(Mark)」は、英語で「印」「記号」「標章」などを意味する言葉です。
何かを識別したり、区別したり、注意を促したりするための「しるし」全般を指します。非常に広い意味を持つ言葉ですね。
デザインの文脈で使われる「マーク」は、特に「シンボルマーク(Symbol Mark)」を指すことが多いです。これは、企業やブランドの理念、特徴、歴史などを象徴的(シンボリック)な図形や記号で表現したものです。
文字情報に頼らず、視覚的なイメージによって、直感的にブランドを認識させる役割を持っています。Appleのリンゴマークなどは、文字がなくても多くの人がApple社を想起しますよね。これがマークの力です。
このように言葉の成り立ちを見ると、「ロゴ」が文字ベースのデザインであるのに対し、「マーク」はより広い意味での図形的な「しるし」であることが分かりますね。
具体的な例文で使い方をマスターする
デザイン依頼時には「社名の文字デザイン(ロゴ)をお願いします」「会社の理念を表す図形(マーク)も必要ですか?」のように使い分けます。日常会話では、「あのカフェのコーヒーカップの絵(マーク)が可愛い」「新しいブランドの文字(ロゴ)がおしゃれ」のように使います。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
デザイン・ビジネスシーンと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
デザイン・ビジネスシーンでの使い分け
文字のデザインなのか、図形のデザインなのかを意識すると、スムーズに使い分けられますよ。
【OK例文:ロゴ(ロゴタイプ)】
- 新しい会社のロゴデザインをコンペで募集します。(社名などの文字デザイン)
- Webサイトのヘッダーに配置するロゴのサイズを調整してください。
- 名刺に入れるロゴタイプは、横組みのデザインを使用します。
- ブランドイメージ刷新に伴い、ロゴを一新することになった。
【OK例文:マーク(シンボルマーク)】
- 弊社の理念を象徴するシンボルマークを新たに作成したい。
- 製品パッケージには、この鳥のマークを目立つように配置してください。
- Webサイトのファビコンには、企業のマークを使用しています。
- イベントTシャツの背中に、大会の公式マークをプリントする。
【OK例文:ロゴマーク】
- 会社の正式なロゴマークは、シンボルマークとロゴタイプを組み合わせたものです。
- パンフレットの表紙には、必ず指定のロゴマークを使用してください。
デザイナーさんとのやり取りなど、専門的な場面では「ロゴタイプ」「シンボルマーク」と正確に言う方が誤解が少ないかもしれませんね。ただ、一般的には「ロゴ」「マーク」でも十分通じます。
日常会話での使い分け
日常会話でも、文字か図形かを意識すれば大丈夫です。
【OK例文:ロゴ】
- あのスポーツブランドのロゴが入ったTシャツが欲しいな。(文字のデザイン部分)
- このお菓子のパッケージのロゴ、レトロで可愛いよね。
- パソコンを起動すると、メーカーのロゴが表示される。
【OK例文:マーク】
- 道路標識の止まれのマークは八角形だ。
- 地図アプリのピンのマークが目的地を示している。
- この服についている洗濯表示のマークの意味が分からない。
- 彼はいつも、トレードマークの帽子をかぶっている。(象徴的な目印)
日常会話では、「マーク」はデザインに限らず、もっと広い意味での「しるし」として使われることも多いですね。
これはNG!間違えやすい使い方
意味は通じることが多いですが、厳密には正しくない使い方や、誤解を招きやすい使い方を見てみましょう。
- 【NG】Apple社のロゴはリンゴだ。
- 【OK】Apple社のマーク(シンボルマーク)はリンゴだ。
- 【OK】Apple社のロゴタイプは「Apple」という文字のデザインだ。
Apple社のリンゴは図形なので「マーク」です。「ロゴ」は文字のデザインを指すため、この使い方は厳密には誤りですね。多くの人が混同しやすいポイントです。
- 【△/曖昧】会社の新しいロゴを作りたい。(※意図が不明確)
- 【OK】会社の新しいロゴタイプ(社名の文字デザイン)を作りたい。
- 【OK】会社の新しいシンボルマーク(社章のような図形)を作りたい。
- 【OK】会社の新しいロゴマーク(文字と図形の組み合わせ)を作りたい。
単に「ロゴを作りたい」と言うと、文字だけのデザインなのか、図形も含むのか、デザイナーさんは判断に迷う可能性があります。何をデザインしてほしいのか具体的に伝えることが大切ですね。
【応用編】似ている言葉「シンボル」との違いは?
「シンボル」は「象徴」を意味し、「マーク(シンボルマーク)」とほぼ同義で使われます。ただし、「シンボル」はデザインに限らず、鳩が平和のシンボルのように、より広範な概念や物事を代表する「象徴」全般を指すことができます。
「マーク」と非常によく似た言葉に「シンボル(Symbol)」があります。特にデザインの世界では「シンボルマーク」という形で頻繁に使われますね。この違いも押さえておきましょう。
「シンボル」は、ある抽象的な概念や意味内容を、具体的な形(図形、記号、物など)で表現したもの、つまり「象徴」を意味します。
デザインにおける「マーク(シンボルマーク)」は、まさに企業やブランドの理念などを象徴する図形なので、「シンボル」の一種と言えます。実際、「シンボルマーク」と「マーク」は、デザインの文脈ではほぼ同じ意味で使われることが多いです。
ただし、「シンボル」はデザインに限らず、もっと広い意味で使われます。
- 鳩は平和のシンボルだ。
- 国旗はその国のシンボルである。
- この塔は街のシンボルとして親しまれている。
このように、「シンボル」は特定の図形デザインだけでなく、ある物事が別の意味を代表・象徴している場合全般に使うことができます。「マーク」よりも意味合いが広く、抽象的な概念との結びつきが強い言葉と言えるでしょう。
デザインの話をしているときは「マーク」でも「シンボルマーク」でも通じますが、より広い意味での「象徴」について話すときは「シンボル」を使うのが適切ですね。
「ロゴ」と「マーク」の違いをデザイン視点から解説
デザインの世界では、「ロゴタイプ(文字)」と「シンボルマーク(図形)」を区別し、それらを組み合わせたものを「ロゴマーク」と呼びます。効果的なブランド構築のためには、それぞれの役割(直接的な名称伝達 vs 象徴的なイメージ伝達)を理解し、目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせることが重要です。
デザイン、特にブランディングの観点から見ると、「ロゴ」と「マーク」はそれぞれ異なる役割を担っており、その違いを理解することは非常に重要です。
デザイナーやブランディングの専門家は、通常、以下のように言葉を使い分けています。
- ロゴタイプ (Logotype):企業名、ブランド名、商品名などの文字情報を、独自のデザインで図案化したもの。文字そのものが持つ読みやすさや意味内容を活かしつつ、視覚的な個性や世界観を表現します。名称を直接的に伝え、覚えてもらう役割が大きいです。
- シンボルマーク (Symbol Mark):企業やブランドの理念、ビジョン、特徴などを、抽象的または具象的な図形・記号・イラストで象徴的に表現したもの。言葉を超えた視覚的なイメージによって、感情的な繋がりや記憶への定着を促します。
- ロゴマーク (Logomark):上記のロゴタイプとシンボルマークを組み合わせて一体的にデザインしたもの。文字による情報伝達と、図形によるイメージ伝達の両方の利点を併せ持ちます。多くの企業で採用されている形式ですね。
例えば、先ほども触れたAmazonの例では、「amazon」という文字部分がロゴタイプ、その下の矢印(スマイルにも見える)がシンボルマーク、そしてそれらを組み合わせた全体がロゴマークとなります。
どちらか一方だけを使う場合もあります。例えば、GoogleやSONYは主にロゴタイプのみを使用していますし、AppleやNikeは強力なシンボルマークを持っているため、マーク単体で使われることも多いですよね。
デザイン戦略を考える上では、「何を伝えたいか」「どのように覚えてほしいか」「どのような媒体で使われるか」といった目的や用途に応じて、ロゴタイプとシンボルマークのどちらに重点を置くか、あるいはどのように組み合わせるかを検討することが、効果的なブランドアイデンティティを構築する鍵となります。
デザインを発注する際には、こうした専門用語の区別を意識して伝えると、デザイナーとのコミュニケーションがよりスムーズに進むでしょう。「社名の文字デザインをお願いしたいのですが」であればロゴタイプ、「会社のシンボルとなる図形デザインも必要ですか?」であればシンボルマーク、「文字と図形を組み合わせたデザインでお願いします」であればロゴマーク、という具合ですね。
僕が「ロゴ」と「マーク」を勘違いしてデザイナーさんに赤面した話
忘れもしません、あれは僕が初めて自分のブログを立ち上げた時のことです。ブログのデザインにもこだわりたくて、思い切ってプロのデザイナーさんにオリジナルのヘッダー画像作成を依頼することにしました。
意気揚々とデザイナーさんと打ち合わせ。「ブログタイトルを図案化した、おしゃれなロゴを作りたいんです!」と熱く語りました。自分の中では、ブログタイトルをかっこよくデザインしてもらうイメージ、つまり「ロゴタイプ」のことを指していたつもりでした。
デザイナーさんはにこやかに話を聞いてくれ、「承知しました。では、ブログのコンセプトを象徴するようなマークも合わせてデザインしましょうか?」と提案してくれました。
「マーク?」僕は一瞬戸惑いました。「いえ、マークは特に考えていなくて…とにかくタイトル文字のロゴをお願いします!」と、少し語気を強めて(今思えば恥ずかしい…)答えてしまったのです。
デザイナーさんは少し困ったような、でも優しい笑顔で言いました。
「なるほど、承知しました。ブログタイトルという『文字』をデザインする、いわゆる『ロゴタイプ』をご希望ということですね。デザインの世界では、文字のデザインを『ロゴ(ロゴタイプ)』、図形や記号のデザインを『マーク(シンボルマーク)』と呼び分けることが多いんですよ。もちろん、両方合わせて『ロゴマーク』と呼ぶこともあります」
…ガーン!頭の中で鐘が鳴りました。「ロゴ」=文字のデザイン、「マーク」=図形のデザイン。そんな基本的な使い分けすら知らずに、「ロゴ!ロゴ!」と連呼していた自分が猛烈に恥ずかしくなりました。顔がカッと熱くなるのを感じましたね。
デザイナーさんは続けて、「もしよろしければ、ロゴタイプの横に、ブログの内容をイメージさせるような簡単なマークを添えるのはいかがでしょう? アイコンとしても使いやすいですし、より印象に残りやすくなるかもしれませんよ」と、プロならではの提案をしてくれました。
僕は赤面しながらも、「ぜひ、お願いします…!」と答えました。結果的に、素敵なロゴタイプとシンボルマークを組み合わせた、最高の「ロゴマーク」を作っていただき、大満足の仕上がりに。でも、あの時の恥ずかしさは今でも忘れられません。
この経験から、専門家と話すときは、基本的な用語の意味を正しく理解しておくことの大切さを痛感しました。そして、知ったかぶりせず、分からないことは素直に聞く姿勢が大事だという教訓も得ましたね。
「ロゴ」と「マーク」に関するよくある質問
Q. 会社の顔として使うのは「ロゴ」「マーク」どっち?
A. どちらか一方、あるいは両方を組み合わせた「ロゴマーク」として使うことが多いですね。どちらをメインにするかは、会社の戦略や伝えたいイメージによります。例えば、社名をしっかり覚えてほしい場合は「ロゴ(ロゴタイプ)」を強調します。一方で、理念や特徴を視覚的に印象付けたい場合は「マーク(シンボルマーク)」が効果的です。多くの企業は、両方を組み合わせて使うことで、名称の認知とイメージの浸透を両立させていますよ。
Q. ロゴマークという言葉があるけど、結局同じもの?
A. 「ロゴマーク」は、「ロゴ(ロゴタイプ=文字デザイン)」と「マーク(シンボルマーク=図形デザイン)」を組み合わせたものを指すのが一般的です。ただし、日常会話では、「ロゴ」という言葉が「ロゴマーク」全体を指して使われたり、「マーク」という言葉が「ロゴマーク」全体を指して使われたりすることも多く、厳密に区別されていない場面も多いですね。デザインの専門家と話す場合などを除けば、文脈で判断することが多いかもしれません。
Q. アイコンは「マーク」の一種ですか?
A. そうですね、「アイコン(Icon)」は「マーク」の一種と考えることができます。「アイコン」は、特定の機能や対象物を、簡略化された図形や記号で視覚的に表現したものです。例えば、スマートフォンのアプリのアイコンや、Webサイトで使われるメニューのアイコンなどがありますね。これらは、情報を素早く認識させるための「しるし」という点で「マーク」の役割を果たしています。企業の「シンボルマーク」が、そのままアプリの「アイコン」として使われることもよくあります。
「ロゴ」と「マーク」の違いのまとめ
「ロゴ」と「マーク」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は構成要素で使い分け:文字のデザインは「ロゴ(ロゴタイプ)」、図形や記号のデザインは「マーク(シンボルマーク)」。
- 両方合わせたものは「ロゴマーク」:文字と図形を組み合わせたデザイン。
- 語源イメージが鍵:「ロゴ」は “logos”(言葉)、文字が主体。「マーク」は “mark”(しるし)、図形や記号が主体。
- 「シンボル」との違い:「シンボル」は「象徴」を意味し、「マーク」と近いが、デザイン以外にも広く使われる。
- デザイン依頼時は具体的に:単に「ロゴ」と言うのではなく、「文字のデザイン」「図形のデザイン」「組み合わせ」のどれかを明確に伝えるとスムーズ。
言葉の成り立ちやデザインの世界での使われ方を知ると、それぞれの言葉が持つニュアンスがより深く理解できますね。これからは、デザインについて話すときも、自信を持って的確な言葉を選ぶことができるはずです。
言葉の使い分けについてさらに知識を深めたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひチェックしてみてください。