「make」と「create」の違い!ゼロから生み出すのはどっち?

「make」と「create」、どちらも「作る」と訳されますが、ネイティブが感じるニュアンスには天と地ほどの差があることをご存じですか?

実は、材料があるかないか、そして「独創性」が含まれるかどうかで、この2つの言葉は明確に使い分けられています。

この記事を読めば、日常会話でのちょっとした違和感を解消し、ビジネスシーンでも自信を持って適切な表現を選べるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの核心から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「make」と「create」の最も重要な違い

【要点】

makeは「既存の材料から何かを作ること」で、日常的な行為や結果に焦点を当てます。
対してcreateは「無から有を生み出すこと」で、独創性や創造性が求められる場面で使われます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の決定的な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ頭に入れておけば、迷う瞬間は激減するはずです。

項目makecreate
中心的な意味こしらえる、製作する創造する、創り出す
材料の有無あり(材料を加工・組み立て)なし(無から有を生む)
独創性あまり問われない(一般的)強く求められる(オリジナル)
使われる場面料理、友人作り、間違い、決定芸術、新システム、雇用、宇宙
主語のイメージ一般人、誰でも芸術家、発明家、神

一言で言えば、「make」は現実的な作業、「create」は想像的な創造ですね。

「make」は、キッチンにある食材で夕食を作ったり、既存のルールに従って書類を作ったりするときに使います。

一方、「create」は、全く新しいレシピを考案したり、世の中にないサービスを立ち上げたりするときに使われる言葉です。

このイメージの違いを、さらに深く理解するために、言葉のルーツを探ってみましょう。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

makeの語源は「こねる・合わせる」で、手を動かして形作るイメージです。
createの語源は「生み出す・成長させる」で、神が万物を創造するような神聖で大きなイメージを持ちます。

言葉の語源を知ると、その言葉が持つ本来の「匂い」のようなものが分かってきます。

make:手を動かして形を作る

「make」は古英語の「macian」に由来し、これは「こねる」「合わせる」「組み立てる」といった意味を持っていました。

粘土をこねて形を作ったり、木材を組み合わせて小屋を建てたりするような、物理的に手を動かすプロセスが根底にあります。

そこにあるのは「魔法」ではなく「労働」や「作業」のニュアンスです。

create:無から生命を生み出す

一方、「create」はラテン語の「creare」に由来し、これは「生み出す」「成長させる」という意味でした。

同じ語源を持つ言葉に「crescent(三日月=満ちていく月)」があることからも分かるように、何もないところから新しい何かが現れ出るという神秘的なイメージが含まれます。

キリスト教的な世界観では、神が天地を創造した行為こそが「Creation」なんですよね。

ですから、人間が「create」を使うときは、神のように「新しい価値を生み出した」という自負や強調が含まれることが多いのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常会話ではmake(料理、予約、間違いなど)が圧倒的に多用されます。
ビジネスや芸術の文脈で、新しい価値やシステムを生む場合にcreateを使います。

では、実際にどう使い分ければいいのか、シーン別の例文で見ていきましょう。

このニュアンスの違いがわかると、英語の聞こえ方が変わってきますよ。

日常会話での使い分け

  • I will make dinner tonight.
    (今夜、夕食を作るよ)
    ※冷蔵庫の食材を使って、物理的に料理する行為。
  • Let’s make a plan for the trip.
    (旅行の計画を立てよう)
    ※日程や行き先など、要素を組み合わせて計画を作る。
  • Don’t make a noise.
    (音を立てるな)
    ※動作の結果として音を発生させる。

日常のほとんどの場面では「make」が使われます。

「友達を作る(make friends)」や「予約する(make a reservation)」も、ゼロからの創造というよりは、関係性や枠組みを「整える」感覚に近いですね。

ビジネス・クリエイティブな場面での使い分け

  • Our goal is to create a new market.
    (我々の目標は、新しい市場を創出することだ)
    ※今までになかった市場をゼロから生み出す。
  • The artist created a masterpiece.
    (その芸術家は傑作を創り上げた)
    ※独創的な感性で作品を生み出す。
  • This software creates PDF files easily.
    (このソフトは簡単にPDFファイルを作成します)
    ※データという新しい実体を生成する(デジタルの世界ではcreateもよく使われます)。

ビジネスで「create」を使うと、「ただの作業ではありません、付加価値を生んでいます」という強い意志を感じさせることができます。

【NG例】違和感のある使い方

  • × I created a curry yesterday.
    (昨日カレーを創造した)
    ※よほど独創的な、誰も見たことのないカレーを発明したなら別ですが、普通の料理には大げさすぎます。
  • × Can you create tea for me?
    (お茶を創造してくれる?)
    ※「お茶を淹れる」はmake teaです。createを使うと、茶葉から栽培するのかと思われてしまいます。

【応用編】似ている言葉「produce」との違いは?

【要点】

produceは「生産する」という意味合いが強く、農産物や工業製品など「結果として出てくるもの」に焦点を当てます。
makeやcreateよりも、プロセスより「産出」という事実に重きを置く言葉です。

「作る」という意味では「produce」もよく聞きますよね。

「produce」は、語源的に「前へ(pro)引く(duce)」、つまり「(成果を)引き出す」という意味合いがあります。

そのため、農産物(produce)や工業製品、あるいは映画や音楽のプロデュースのように、ある過程を経て結果として何かを産出するというニュアンスが強くなります。

  • The factory produces 1,000 cars a day.
    (その工場は1日に1000台の車を生産する)
  • This region produces fine wine.
    (この地域は良質のワインを産出する)

「make」が「作る行為そのもの」、「create」が「独創的な創造」なら、「produce」は「生産・産出という結果」にフォーカスした言葉だと言えるでしょう。

「make」と「create」の違いを学術的に解説

【要点】

makeは「機能動詞」として、名詞とセットで意味を成す(コロケーション)働きが強いのが特徴です。
createは意味的重みが大きく、主語の意志や能力を強調する「意味的自立性」が高い動詞です。

少し専門的な視点から、この2つの動詞の性質を見てみましょう。

言語学において、「make」はしばしば「機能動詞(Light Verb)」のような働きをします。

機能動詞とは、動詞自体にはあまり強い意味がなく、後ろに来る名詞とセットになって初めて具体的な意味を持つ動詞のことです。

例えば、「make a decision(決定する)」において、意味の重心は「make」ではなく「decision」にありますよね。

「make a promise(約束する)」「make a phone call(電話する)」も同様です。

このように、「make」は名詞を動詞化するための「接着剤」のように機能することが多く、これを「脱意味化(delexicalization)」と呼んだりします。

一方で、「create」は常に「意味的自立性」が高い動詞です。

「He created a system.」と言えば、「彼」の創造性や能力が強く示唆されます。

「make」が日常の潤滑油なら、「create」はエンジンのようなパワーを持つ言葉。

この性質の違いが、日常会話での使用頻度の差(makeの方が圧倒的に多い)につながっているのです。

僕が「create dinner」と言って笑われたホームステイの夜

これは僕が学生時代、アメリカにホームステイしていた時の恥ずかしい失敗談です。

ある日、ホストファミリーへの感謝を込めて、僕が得意な肉じゃがを振る舞うことにしました。

気合を入れて準備をし、帰宅したホストマザーに自信満々でこう言ったんです。

「Tonight, I will create dinner for you!」

すると、マザーは目を丸くした後、大爆笑しました。

「Oh, really? Are you God?(あら本当? あなたは神様なの?)」

当時の僕は、ただ「make」よりもカッコいい言葉を使いたくて「create」を選んだだけでした。

しかし、彼女にとってその言葉は、まるで僕が「無から食材を出現させて、奇跡の晩餐を生み出す」と宣言したように聞こえたそうです。

「そこにあるジャガイモとお肉を使うなら、ただの『make』で十分よ」

涙が出るほど笑いながら教えてくれたマザーの顔を見て、「言葉の重み」を履き違えることの滑稽さを痛感しました。

それ以来、僕は背伸びをせず、等身大の行為には素直に「make」を使うようにしています。

「make」と「create」に関するよくある質問

ここでは、疑問に思われがちなポイントをQ&A形式で解消していきます。

Q. 「make a webpage」と「create a webpage」、どっちが正解?

A. どちらも使えますが、ニュアンスが異なります。単にページを構築・コーディングする作業なら「make」、デザインやコンテンツを含めて新しいサイトを立ち上げるなら「create」が好まれます。最近はデジタルの作成物には「create」を使う傾向が強いですね。

Q. 料理やお菓子作りで「create」を使うことは絶対にないの?

A. 絶対にないわけではありません。例えば、プロのシェフが今までにない革新的なメニューを考案した場合、「The chef created a new signature dish.」のように表現することはあります。ただの調理ではなく「創作」の域に達している場合ですね。

Q. 「make」の過去形はmade、「create」の過去形は?

A. 「created」です。規則動詞なので、最後に「d」をつけるだけです。「The universe was created by Big Bang.(宇宙はビッグバンによって生み出された)」のように受動態でもよく使われます。

「make」と「create」の違いのまとめ

いかがでしたか?

今回は「make」と「create」の違いについて解説しました。

最後にもう一度、要点を振り返ってみましょう。

  • make:既存の材料から作る、日常的、作業プロセス重視
  • create:無から有を生む、独創的、神・芸術家・発明家のイメージ
  • produce:生産・産出する、結果重視

日常会話では、難しく考えずに基本的には「make」を使っておけば間違いありません。

そして、ここぞというクリエイティブな場面や、新しい価値を生み出したときに、自信を持って「create」を使ってみてください。

その使い分けができるだけで、あなたの英語は「通じる英語」から「伝わる英語」へと進化するはずです。

もし、他の英語由来の言葉の違いについても気になったら、ぜひ以下の記事も参考にしてみてくださいね。

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