「mather」と「mother」の違いとは?スペルミスと人名の真実

「mather」と「mother」、どちらも「マザー」と読めそうで、ついついスペルを混同してしまいませんか?

実は、母親を意味するのは「mother」だけで、「mather」は人名(名字)やスペルミスであることがほとんどです。

この記事を読めば、「mather」と「mother」の決定的な違いから、なぜ日本人がこのスペルミスをしやすいのか、さらにはネイティブが使う「お母さん」の呼び方までスッキリと理解でき、もう英語を書くときに迷うことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「mather」と「mother」の最も重要な違い

【要点】

「mother」は「母親」を意味する一般的な英単語ですが、「mather」は通常「人名(姓)」として使われる固有名詞であり、母親という意味はありません。多くの場合は「mother」のスペルミスです。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。

項目mothermather
意味母親、母(主に)人名・名字
品詞名詞、動詞(母として世話する)固有名詞(稀に古語で植物などを指す)
発音(米)/ˈmʌðər/(マァザー)/ˈmæðər/(メァザー)
使われる場面日常会話、家族の話歴史的な人物、特定の人名

一番大切なポイントは、「お母さん」と言いたいときは、絶対に「o」を使った「mother」が正解だということです。

「mather」は、アメリカの歴史的人物「コットン・マザー(Cotton Mather)」や、ラッパーのエミネムの本名「マーシャル・マザーズ(Marshall Mathers)」などのように、人の名前(名字)として登場することがほとんどです。

もし「My mather is…」と書いてしまうと、ネイティブには「私のマザーさん(という名字の人)は…」と伝わるか、単純なスペルミスだと思われてしまいます。

なぜ違う?英単語の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「mother」は古英語の「modor」に由来し、家族関係を表す言葉として発展しました。「mather」は「草を刈る人(mower)」を意味する古英語に由来する職業姓であり、全く異なるルーツを持っています。

なぜこの二つの言葉が混同されやすいのか、そして本来はどう違うのか、語源を紐解くとその理由がよくわかりますよ。

「mother」の語源:古くから続く「母」の呼び名

「mother」は、古英語の「modor」に由来しています。

これは、ラテン語の「mater」やギリシャ語の「meter」とも関連があり、世界中の多くの言語で「m」の音から始まる言葉が「母親」を意味していることと共通しています。

赤ちゃんが最初に発する音の一つが「ma(マ)」であることから、自然と「母」を指す言葉として定着したと言われています。

「mather」の語源:実は「草刈り」の仕事?

一方、「mather」は人名(姓)として使われますが、そのルーツは全く異なります。

実は、古英語で「草を刈る人」や「収穫する人」を意味する「mǣthere」に由来する職業姓(職業にちなんだ名字)なのです。

つまり、「Matherさん」という名字の先祖は、干し草を作ったり草刈りをしたりする仕事をしていた可能性が高いんですね。

「母」とは全く関係のない言葉だということがわかります。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「mother」は「母」として日常的に使いますが、「mather」は特定の人物を指す固有名詞として使います。スペルミスを防ぐためにも、文脈による使い分けを確認しましょう。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常と特定の文脈、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

「mother」の正しい使い方

家族の話をするときは、迷わず「mother」を使います。

【OK例文】

  • My mother is a teacher.
    (私のは教師です。)
  • I bought a gift for Mother‘s Day.
    の日のプレゼントを買いました。)
  • Necessity is the mother of invention.
    (必要は発明の。)

「mather」が使われる場面

「mather」が登場するのは、特定の人物について話すときだけです。

【特定の文脈での例文】

  • Cotton Mather was a famous minister.
    (コットン・マザーは有名な牧師でした。)
  • Marshall Mathers is Eminem’s real name.
    (マーシャル・マザーズはエミネムの本名です。)

これはNG!間違えやすい使い方

日本人がやってしまいがちなスペルミスを見てみましょう。

  • 【NG】 I love my mather.
    (私はマザーさん(名字)を愛しています??)
  • 【OK】 I love my mother.
    (私はを愛しています。)

なぜ「a」と書いてしまうのかというと、父親である「father」のスペルに「a」が含まれているため、それにつられて「mather」と書いてしまうパターンが多いようです。

「お父さんはA(father)、お母さんはO(mother)」と覚えておくと良いですね。

【応用編】似ている言葉「mom」と「mum」との違いは?

【要点】

「mother」のカジュアルな呼び方として、アメリカ英語では「mom」、イギリス英語では「mum」が使われます。地域によってスペルが異なるため、相手に合わせて使い分けるとスマートです。

「mother」に関連して、もっと親しみ込めた呼び方についても押さえておきましょう。

英語圏では、会話の中で「Mother」と呼ぶことは少し堅苦しく、子供や親しい間柄では別の呼び方が一般的です。

アメリカ英語:Mom(マム)

アメリカやカナダでは、「o」を使った「mom」が一般的です。

発音は「マム」と「マァム」の中間のような音になります。

イギリス英語:Mum(マム)

イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでは、「u」を使った「mum」が使われます。

発音は「マム」に近いです。

ちなみに、アイルランドやイギリス北部では「mam」と言うこともあります。

メールやSNSで「Thanks, Mom!」と書くか「Thanks, Mum!」と書くかで、相手の出身地や好む英語のスタイルが見えてくるのも面白いですね。

「mather」と「mother」の違いを学術的に解説

【要点】

発音記号で見ると「mother」は /ʌ/(ア)、「mather」は /æ/(エとアの中間)の母音を持ちます。音声学的にも異なる音であり、スペルと発音の関係性を理解することが混同を防ぐ鍵となります。

少し専門的な視点から、この二つの言葉の違いを深掘りしてみましょう。

音声学的に見ると、「mother」の母音は /ʌ/(ストラット母音)と呼ばれ、口をあまり大きく開けずに短く「ア」と発音します。

一方、「mather」と読む場合(人名など)、その母音は通常 /æ/(トラップ母音)となり、「ア」と「エ」の中間のような、より明るく平たい音になります。

つまり、ネイティブスピーカーにとってこの二つは、単にスペルが違うだけでなく、耳で聞いたときの音も明らかに異なる言葉なのです。

また、「father」の母音は /ɑː/(パーム母音)で、口を大きく開けて喉の奥から出す長い「アー」という音です。

「father」は「a」を使いますが、「mother」は「o」を使って /ʌ/ の音を表すという、英語特有のスペルと発音の不規則性が、学習者を混乱させる一因となっています。

「mother」の「o」は、「son(息子)」や「love(愛)」の「o」と同じ仲間だと考えると、少し納得がいきませんか?

僕が「mather」と書いて赤っ恥をかいた体験談

僕がまだ英語を習い始めたばかりの中学生の頃、母の日に英語でメッセージカードを書こうと思い立ったんです。

カッコつけて筆記体で、「To my dear mather」と書いて、プレゼントに添えて母に渡しました。

母は喜んでくれましたが、後日、英語が得意な姉がそのカードを見て吹き出しました。

「ねえ、これ『マザーさんへ』って書いてあるよ? 誰それ? お母さんの新しいあだ名?」

僕は顔から火が出るほど恥ずかしかったです。

頭の中では「ファーザー(father)」のスペルが浮かんでいて、「お父さんが『a』なら、お母さんも『a』だろう」と勝手に思い込んでいたんですね。

姉に「お母さんは『O(オー)』母さんだから『mother』だよ」と教えられ、その語呂合わせのおかげで二度と間違えなくなりました。

たった一文字の違いですが、家族への愛を伝えるはずが、見知らぬ「マザーさん」への手紙になってしまうという、苦いけれど笑える思い出です。

皆さんも、感動的なメッセージを送るときほど、スペルチェックは念入りにしてくださいね。

「mather」と「mother」に関するよくある質問

Q. エミネムの曲で「Mather」って出てきませんか?

A. エミネムの本名は「Marshall Mathers(マーシャル・マザーズ)」です。彼の歌詞や曲名に出てくるのは、この「Mathers(自分の名字)」か、あるいは母親を指す「mother」です。文脈によってどちらを指しているか判断する必要があります。

Q. なぜ「father」は「a」で「mother」は「o」なのですか?

A. 英語のスペルは歴史的な変遷や発音の変化によって決まっており、必ずしも規則的ではありません。「father」の「a」は古英語の「fæder」から変化したもので、「mother」の「o」は「modor」に由来します。長い歴史の中でそれぞれの発音とスペルが定着しました。

Q. 「Grandmather」という書き方も間違いですか?

A. はい、間違いです。正しくは「Grandmother(祖母)」です。「Mother」が含まれる単語(stepmother, godmotherなど)はすべて「o」を使います。

「mather」と「mother」の違いのまとめ

「mather」と「mother」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 「mother」が正解:母親を意味するのは「o」を使った「mother」のみ。
  2. 「mather」は人名:名字や固有名詞として使われる言葉で、母親という意味はない。
  3. 覚え方のコツ:「お父さんはfather(a)、お母さんはmother(o)」とセットで覚える。

言葉の背景にある語源や発音の違いを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、正しい「mother」という言葉を選んでいきましょう。

さらに日常会話で使われる英語のニュアンスについて知りたい方は、日常会話の外来語の違いまとめもぜひチェックしてみてください。

スポンサーリンク