点と線で理解する「マイルストーン」と「ガントチャート」の違い

「マイルストーン」と「ガントチャート」の違い、正確に説明できますか?

実はこの2つの言葉、「点(節目)」を表すか、「線(期間)」を表すかという明確な違いがあるのです。

マイルストーンがプロジェクトの重要な到達点を示すのに対し、ガントチャートは全体のスケジュールを視覚化した表を指します。

この記事を読めば、プロジェクト管理に必須の2つの言葉を自信を持って使い分けられるようになるでしょう。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「マイルストーン」と「ガントチャート」の最も重要な違い

【要点】

マイルストーンはプロジェクトにおける「重要な節目(点)」を指し、ガントチャートは「全体のスケジュールや進捗(線・期間)」を視覚化した表を指します。

まずは、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の核心的な違いを、以下の表にまとめました。

項目マイルストーンガントチャート
中心的な意味プロジェクトの中間目標や重要な節目プロジェクトの工程やスケジュールを視覚化した表
性質(イメージ)点(特定のタイミングや日付)線(作業の開始から終了までの期間)
主な目的重要なチェックポイントの共有と進捗確認タスクごとの期間と全体の流れの把握
使い方の例マイルストーンを設定するガントチャートを作成する

このように、同じプロジェクト管理で使われる言葉でも、役割が全く異なります。

マイルストーンは「いつまでに何を達成するか」というピンポイントの目標です。

対してガントチャートは、その目標に向けて「誰がいつからいつまで、どの作業を行うか」を可視化するためのツールそのものを指します。

「点」と「線」というイメージを持つと、頭の中でスッキリと整理できるはずです。

なぜ違う?言葉の由来(語源)からイメージを掴む

【要点】

マイルストーンは「道路の道標(里程標)」に由来し、到達点を示します。一方、ガントチャートは考案者である「ヘンリー・ガント」の名前に由来する工程管理表です。

言葉の由来を知ることで、より深くニュアンスを理解することができます。

それぞれの語源を紐解いてみましょう。

マイルストーンの語源

マイルストーン(milestone)は、直訳すると「マイル(距離)の石」となります。

もともとは、道路の脇に1マイルごとに置かれた「里程標(道標)」のことですね。

そこから転じて、ビジネスやプロジェクトにおいて「重要な節目」や「到達点」を意味するようになりました。

「ここまで進んできた」「次はあそこを目指す」という、進捗の目安となる道しるべの役割を果たします。

ガントチャートの語源

一方のガントチャート(Gantt chart)は、人の名前に由来しています。

1910年代にアメリカの機械工学者であり経営コンサルタントであった、ヘンリー・ガント(Henry Gantt)によって考案されました。

縦軸にタスクや担当者、横軸に時間をとり、作業の開始から完了までを帯状のグラフ(バー)で表したものです。

一目で全体のスケジュールが把握できる画期的な手法として、100年以上経った今でも世界中で使われています。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

マイルストーンは「設定する」「到達する」といった動詞と組み合わせて使われます。ガントチャートは「作成する」「引く」といった使い方をするのが一般的です。

ここでは、ビジネスシーンにおける具体的な使い方を見ていきましょう。

実際の現場をイメージしながら読んでみてくださいね。

マイルストーンの正しい例文

・今月末のベータ版リリースを、今回のプロジェクトの最初のマイルストーンとして設定しよう。

・いくつかの大きなマイルストーンを無事に通過し、チームの士気も高まっている。

・次のマイルストーンまでに、クライアントからデザインの最終承認をもらう必要がある。

このように、到達すべき「地点」として扱うのが正解です。

ガントチャートの正しい例文

・新規サービスの立ち上げに向けて、まずは関係者全員で共有できるガントチャートを作成してほしい。

ガントチャートを確認したところ、開発フェーズが予定より3日遅れているようだ。

・タスクの依存関係が複雑なので、ガントチャートツールを使ってスケジュールを可視化しよう。

こちらは、表やツールそのものを指す言葉として使います。

よくあるNGな使い方

・(NG)明日の会議までに、タスクの進捗をマイルストーンにまとめて提出してください。

・(NG)このプロジェクトの最終的なガントチャートは、製品の一般公開日です。

最初の例文は、表にまとめるという意味で使ってしまっているので、「ガントチャート」が適切です。

二つ目の例文は、到達点の話をしているため、「マイルストーン」を使うべきですよね。

「マイルストーン」と「ガントチャート」の違いを学術的に解説

【要点】

プロジェクトマネジメントの国際標準(PMBOK等)において、マイルストーンは「所要期間がゼロの特別なタスク」として定義されます。ガントチャートは、それらのタスク群を時間軸上に配置した表現技法の一つです。

少し専門的な視点からも、この2つの関係性を覗いてみましょう。

プロジェクトマネジメントの知識体系(PMBOKなど)では、マイルストーンは明確に定義されています。

それは、「所要時間がゼロのタスク」という概念です。

作業そのものに時間がかかるわけではなく、「承認完了」「納品完了」といったイベントが発生した瞬間を指すからです。

一方、ガントチャートは、数日や数週間といった「所要時間を持つタスク」を横の棒グラフで表現します。

そして、そのガントチャート上に「◆(ひし形)」などの記号でマイルストーンを配置するのが、最も効果的なスケジュール管理のセオリーとされています。

つまり、これらは対立する概念ではなく、互いに補完し合う関係だと言えるでしょう。

近年では、国のシステム開発等においても適切なプロジェクト管理が求められており、デジタル庁をはじめとした行政機関でもこれらの手法が重視されています。

スケジュール管理で冷や汗をかいた僕の体験談

実は僕も新人時代、このプロジェクト管理の「点」と「線」の概念を理解しておらず、痛い目を見たことがあります。

あるWEBサイト制作の進行管理を任されたときのことです。

僕は張り切って、タスクを細かく洗い出し、綺麗な「ガントチャート」を作成しました。

「誰がいつ何をするか」が完璧に見える化された表を見て、僕はすっかり安心しきっていたのです。

しかし、プロジェクトの中盤でトラブルが発生しました。

デザインの進行は予定通り(線)だったのですが、クライアントからの「デザイン確定(点)」という承認をもらわないまま、エンジニアがコーディングを始めてしまったのです。

結果として、後からデザインの修正が入り、手戻りで大幅な遅れが生じてしまいました。

僕の作ったガントチャートには、作業の期間は書かれていても、「ここで絶対に承認を得る」というマイルストーンが設定されていなかったのです。

上司からは「作業の羅列だけでは管理とは言えない。どこが戻れない節目(マイルストーン)なのかを明確にしなさい」と指導を受けました。

そのとき僕は、冷や汗が背中を伝うのを感じると同時に、ガントチャートという「線」の上に、マイルストーンという「点」を打つことの重要性を痛感しました。

それ以来、スケジュールを引くときは、必ず最初に「絶対に死守すべき節目」を置くようにしています。

「マイルストーン」と「ガントチャート」に関するよくある質問

ここでは、読者の皆様からよくいただく疑問にお答えします。

Q.マイルストーンと締め切り(納期)は同じ意味ですか?

A.似ていますが、少しニュアンスが異なります。締め切りは「最終的な提出期限」を指すことが多いですが、マイルストーンは最終地点に至るまでの「中間チェックポイント」という意味合いが強くなります。一つのプロジェクトに複数のマイルストーンが存在するのが一般的です。

Q.ガントチャート以外にもスケジュール管理の手法はありますか?

A.はい、あります。タスクの状態(未着手・進行中・完了など)をカードで移動させて視覚的に管理する「カンバン方式」や、タスクの順序や依存関係をネットワーク図で表す「PERT図」などがあります。プロジェクトの性質に合わせて使い分けるのが効果的です。

Q.エクセルでガントチャートを作るのは古いですか?

A.古いとは言い切れませんが、近年は専用のプロジェクト管理ツール(SaaS)を使う企業が増えています。複数人でのリアルタイムな共同編集や、タスクの期日変更に伴う自動調整などが容易なため、業務効率化の観点から専用ツールの導入をおすすめします。

「マイルストーン」と「ガントチャート」の違いのまとめ

最後に、今回解説した内容をおさらいしましょう。

マイルストーン:プロジェクトの「重要な節目(点)」のこと。
ガントチャート:全体の「スケジュールや進捗(線)」を視覚化した表のこと。

このように、役割が全く違うことがお分かりいただけたと思います。

ビジネスの現場では、ガントチャートという表の中にマイルストーンを組み込んで、プロジェクトを成功に導くのが基本です。

言葉の意味を正確に理解することで、チーム内のコミュニケーションもぐっと円滑になりますよ。

さらにビジネス力を高めたい方は、ぜひマーケティング用語の違いや使い分けに関する他の記事もチェックしてみてくださいね。

言葉の解像度を上げて、説得力のあるコミュニケーションを目指しましょう。

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