英語で「得る」「手に入れる」を表すとき、”obtain” と “get” のどちらを使えばいいか迷うことはありませんか?
どちらも似た意味を持つ基本的な動詞ですが、実は使う場面やニュアンスに違いがあるんです。
特にビジネスシーンやフォーマルな文書では、この使い分けが重要になることも。「get」ばかり使っていると、少し幼稚な印象を与えてしまう可能性も…。実は、「努力や手続きを経て手に入れる」のか、それとも「広く一般的に手に入れる」のかという点で使い分けるのがポイントなんです。
この記事を読めば、「obtain」と「get」の核心的なイメージの違いから、具体的な使い分け、似ている単語との比較までスッキリ理解でき、状況に応じて適切な単語を選べるようになりますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「obtain」と「get」の最も重要な違い
基本的には、「obtain」は努力や手続きを伴って「得る」場合や、フォーマルな場面で使い、「get」は日常会話などで広く一般的に「得る」場合に使うと覚えるのが簡単です。「get」の方がはるかに使用範囲が広いです。
まず、結論からお伝えしますね。
「obtain」と「get」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けは大丈夫でしょう。
| 項目 | obtain | get |
|---|---|---|
| 核心イメージ | 努力や手続きを経て得る | (広く一般的に)得る、手に入れる |
| ニュアンス | 骨折って入手する、獲得する | もらう、買う、(場所に)着く、理解する、病気になる など多数 |
| フォーマル度 | 高い(フォーマル) | 低い(インフォーマル、日常的) |
| 得るものの種類 | 許可、情報、資格、知識、データなど(努力が必要なもの) | 物、情報、状態、場所への到着など(非常に広範囲) |
| 能動性 | 得るための積極的な行動を伴うことが多い | 受動的な場合も能動的な場合もある |
一番のポイントは、「obtain」の方が「get」よりも堅い(フォーマルな)言葉であり、手に入れるために何らかの努力やプロセスが必要だったというニュアンスを含む点ですね。
一方、「get」は非常に意味が広く、日常会話のあらゆる場面で「手に入れる」系の意味で使われる便利な単語です。
例えば、難しい試験に合格して資格を「得た」なら “obtain a qualification” が自然ですが、友達からプレゼントを「もらった(得た)」なら “get a present” が普通ですよね。
なぜ違う?核心的な意味とニュアンスから違いを掴む
「obtain」は、ラテン語の「しっかり掴む」が語源で、目標に向かって努力し、それを達成して手に入れるイメージです。「get」は古英語由来で、単に「手に入れる」という基本的な動作を表し、努力の有無に関わらず幅広く使われます。
なぜこの二つの言葉にフォーマル度やニュアンスの違いが生まれるのでしょうか?それぞれの単語が持つ核心的なイメージを探ってみましょう。
「obtain」の核心イメージ:努力や手続きを経て「得る」
“obtain” の語源は、ラテン語の “obtinere” に遡ります。これは「ob(〜に向かって)」と「tenere(持つ、掴む)」が組み合わさった言葉で、「しっかりと掴む」「保持する」といった意味合いを持っていました。
この語源からも分かるように、「obtain」には、目標となるものを意識し、それに向かって努力したり、必要な手続きを踏んだりして、最終的に自分のものにするというニュアンスが含まれています。
単に偶然手に入ったというよりは、目的意識を持った行動の結果として「獲得する」というイメージです。だからこそ、ビジネス文書や学術論文など、フォーマルな場面で好んで使われるわけですね。
【「obtain」のイメージ】
- 許可を得るために申請する → 手続き
- 情報を得るために調査する → 努力
- 資格を得るために勉強する → 努力
- データを得るために実験する → プロセス
「get」の核心イメージ:広く一般的に「得る」
一方、「get」は非常に古くから英語にある基本的な動詞で、ゲルマン語派の言葉に由来します。もともと「手に入れる」「到達する」といった広い意味を持っていました。
現代英語でもその意味の広さは健在で、「obtain」のような特定のニュアンス(努力、手続き)に限定されず、あらゆる種類の「得る」「手に入れる」状況で使える万能選手です。
プレゼントをもらう、店で物を買う、風邪をひく(病気を得る)、駅に着く(場所を得る)、冗談を理解する(意味を得る)など、文脈によって様々な意味合いで使われます。
努力して手に入れる場合にも使えますが(例: I got a promotion.)、特に努力のニュアンスを強調したいわけではない、日常的な場面で気軽に使われるのが特徴です。
【「get」のイメージ】
- プレゼントをもらう → 受動的に得る
- パンを買う → 対価を払って得る
- メールを受け取る → 情報・物を得る
- 家に帰る(着く)→ 場所に到達する
- 疲れる → 状態になる(状態を得る)
この核心イメージの違い、「obtain = 努力して獲得」「get = 幅広く手に入れる」を掴めば、使い分けに迷うことは少なくなるでしょう。
具体的な例文で使い方をマスターする
フォーマルな場面や、許可・情報・資格など努力や手続きが必要なものを得るときは「obtain」を使います。日常会話や、プレゼントをもらう、物を買う、状態になるなど、一般的な「得る」場面では「get」を使います。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
どのような場面で「obtain」が適切で、どのような場面で「get」が自然なのか、見ていきましょう。
「obtain」が適切な場面(フォーマル、努力・手続きを伴う)
ビジネス文書、公的な手続き、学術的な文脈などでよく使われます。
- We need to obtain permission from the city council. (市議会の許可を得る必要があります。)→ 手続きが必要
- She worked hard to obtain the necessary qualifications for the job. (彼女はその仕事に必要な資格を得るために一生懸命努力した。)→ 努力が必要
- Researchers are trying to obtain more data about the phenomenon. (研究者たちはその現象に関するより多くのデータを得ようとしている。)→ 調査・実験などプロセスが必要
- Further information can be obtained from our website. (さらなる情報は私たちのウェブサイトから得られます。)→ フォーマルな案内
- He finally obtained his goal after years of struggle. (長年の苦闘の末、彼はついに目標を達成した。)→ 努力の結果
これらの例では、「get」を使うことも文法的には可能ですが、「obtain」を使うことで、よりフォーマルで、かつ獲得に至るまでの過程(努力や手続き)を匂わせる表現になります。
「get」が適切な場面(インフォーマル、日常的な獲得)
日常会話やカジュアルな文脈で、最も一般的に使われる「得る」です。
- I got a new phone yesterday. (昨日、新しい電話を手に入れた[買った]。)→ 日常的な購入
- Did you get my email? (私のメール、受け取りましたか?)→ 受け取る
- He got a cold last week. (彼は先週風邪をひいた。)→ 病気になる
- What time did you get home? (何時に家に着きましたか?)→ 到着する
- Can you get me a glass of water? (水を一杯取ってきてくれる?)→ 取る、持ってくる
- I don’t get the joke. (その冗談が分からない。)→ 理解する
- She gets angry easily. (彼女はすぐに怒る。)→ ある状態になる
これらの場面で「obtain」を使うと、非常に堅苦しく、不自然に聞こえてしまいます。「I obtained a new phone yesterday.」なんて言う人はまずいませんよね。
これはNG!間違えやすい使い方
フォーマルさとニュアンスを混同すると、不自然な英語になってしまいます。
- 【NG】 I obtained a coffee at the cafe. (カフェでコーヒーを得るのに特別な努力は不要)
- 【OK】 I got a coffee at the cafe.
- 【NG】 To enter the building, you need to get special permission. (許可を得るのは通常フォーマルな手続き)
- 【OK】 To enter the building, you need to obtain special permission.
- 【NG】 He obtained tired after work. (状態になる場合は get を使うのが一般的)
- 【OK】 He got tired after work.
特に、日常的な物や状態の獲得に “obtain” を使うと、過度に大げさに聞こえる可能性があるので注意が必要ですね。
【応用編】似ている言葉「acquire」「gain」との違いは?
「acquire」は、知識・スキル・評判などを長期間かけて習得・獲得するイメージが強いです。「gain」は、経験・知識・体重・速度などを徐々に得る、増加させるイメージです。「obtain」は努力して得る、「get」は広く得る、という基本イメージと比較しましょう。
「得る」「手に入れる」という意味を持つ単語は他にもあります。”acquire” と “gain” もよく使われますが、「obtain」や「get」とどう違うのでしょうか?
【acquire】
“acquire” は、知識、スキル、言語、評判、あるいは会社や資産などを、時間をかけて、あるいは努力して習得・獲得するというニュアンスが強い言葉です。”obtain” よりも、やや長期的なプロセスを伴う獲得を指すことが多いです。
- She acquired proficiency in Japanese after living in Tokyo for three years. (彼女は東京に3年間住んで日本語の能力を習得した。)
- The company plans to acquire its competitor. (その会社は競合他社を買収する計画だ。)
- He quickly acquired a reputation for being reliable. (彼はすぐに信頼できるという評判を得た。)
【gain】
“gain” は、経験、知識、支持、あるいは体重、速度、高さなどを徐々に得る、増加させるという意味合いで使われます。努力の結果として得られる場合もあれば、自然に増えていく場合もあります。「利益を得る」という意味でもよく使われます。
- He gained valuable experience working abroad. (彼は海外で働くことで貴重な経験を得た。)
- The movement is gaining support across the country. (その運動は国中で支持を得つつある。)
- I’ve gained weight recently. (最近太った[体重を得た]。)
- The car slowly gained speed. (車はゆっくりと速度を上げた[速度を得た]。)
簡単にまとめると、以下のようなイメージでしょうか。
- get: (広く一般的に)手に入れる
- obtain: (努力・手続きを経て)手に入れる【フォーマル】
- acquire: (時間をかけて習得・獲得)する
- gain: (徐々に・増加させて)得る
どの単語を使うかで、どのように「得た」のか、そのニュアンスを微妙に伝えることができるんですね。
「obtain」と「get」の違いを英語学習の視点から解説
英語学習では、まず使用頻度が高く意味も広い「get」を確実にマスターすることが重要です。その上で、フォーマルな場面や努力・手続きを強調したい場合に「obtain」を使えるように語彙を増やす、という段階的な学習が効果的です。「get」の多義性も理解する必要があります。
英語を学ぶ上で、「obtain」と「get」の使い分けは、語彙の豊かさ、特にフォーマルさ(Register)のレベルを意識できるようになるための良い練習になります。
多くの学習者は、まず非常に便利で応用範囲の広い「get」を多用する傾向にあります。これは自然なことであり、日常会話レベルでは「get」でほとんどの「得る」状況をカバーできてしまいます。英語学習の初期段階では、まず「get」の様々な使い方(もらう、買う、着く、なる、理解する等)に慣れることが重要です。
しかし、より洗練された英語を目指す、あるいはビジネスやアカデミックな場面で適切な表現を使いたいとなると、「get」だけでは不十分になってきます。ここで「obtain」のような、よりフォーマルで特定のニュアンスを持つ単語の出番となるわけです。
英語教育の観点からは、以下のような段階的なアプローチが推奨されます。
- 「get」の基本をマスター:まず、日常会話で頻出する「get」の基本的な意味と使い方(得る、買う、もらう、着く、なる等)を、具体的な例文を通して徹底的に練習します。
- 「obtain」の導入:「get」に慣れてきたら、「obtain」が「get」よりもフォーマルであり、「努力や手続きを経て得る」というニュアンスを持つことを学びます。特に、許可、情報、資格など、文脈が限定される例を中心に覚えます。
- 使い分けの練習:同じような状況で、「get」を使う場合と「obtain」を使う場合で、どのようなニュアンスの違いが出るかを比較検討します。例えば、「I got the information.」と「I obtained the information.」では、後者の方が情報入手に何らかの手間がかかったことを示唆する、といった具合です。
- 類義語(acquire, gainなど)への拡張:さらに語彙を増やす段階で、「acquire」や「gain」といった類義語との違いを学び、表現の幅を広げていきます。
重要なのは、単に単語の意味を覚えるだけでなく、どのような「場面」で、どのような「ニュアンス」を伝えたいかを意識して単語を選ぶ訓練をすることです。「get」の便利さに頼りすぎず、状況に応じて「obtain」などのより的確な単語を選べるようになることが、英語表現力を一段階引き上げる鍵となりますね。
僕がビジネスメールで「get」を使ってしまった新人時代の体験談
僕も社会人になりたての頃、この「obtain」と「get」の使い分けで、ちょっとした失敗をしたことがあります。
配属された部署で、海外の取引先に資料を送付してもらうよう依頼するメールを作成することになりました。英語のメールなんて学生時代以来で、かなり緊張しながら書いたのを覚えています。
資料を送ってほしい、つまり「資料を得たい」ということを伝えたかった僕は、習いたてのビジネスメールの定型表現に、自分なりに考えた一文を加えました。
“Could you please send us the document? We need to get it by the end of this week.”
(その資料を送っていただけますか? 今週末までにそれを得る必要があります。)
自分としては、「手に入れる必要がある」という意味で “get” を使ったつもりでした。しかし、下書きをチェックしてくれた先輩から、赤ペンでこう修正が入りました。
“We need to obtain it by the end of this week.”
そして先輩は、「ビジネスメール、特に相手に依頼するような場面では、’get’ は少しカジュアルすぎるかな。『obtain』を使うと、より丁寧で、『(手続きを踏んで)入手する必要がある』というニュアンスが伝わるよ」と教えてくれました。
確かに、友達に「週末までにアレ、ゲットしといて!」と言うのとは違いますよね。取引先に対して「get する必要がある」と言うのは、今思えば少し失礼というか、幼稚な響きがあったかもしれません。
相手や状況に合わせて言葉の「フォーマル度」を調整することの重要性を学んだ出来事でした。特にビジネス英語では、こうした細かなニュアンスの違いが、相手に与える印象を大きく左右するのだと実感しました。
それ以来、フォーマルな文書やメールでは、「get」でいいかな?と思った時も、「obtain や acquire の方が適切ではないか?」と一度立ち止まって考えるようにしています。
「obtain」と「get」に関するよくある質問
Q1: “obtain” と “get” は完全に置き換え可能ですか?
A1: いいえ、完全には置き換えられません。”obtain” が使える場面の多くで “get” を使うことは可能ですが(ただし、フォーマルさは失われます)、”get” が使える全ての場面で “obtain” が使えるわけではありません。特に、「〜になる」(get tired)、「〜に着く」(get home)、「理解する」(get it)などの意味では “obtain” は使えません。
Q2: 「情報を得る」と言いたいとき、どちらを使うべきですか?
A2: 状況によります。日常会話で単に「ニュースを聞いた」程度なら “I got the news.” で十分です。しかし、調査や問い合わせなど、何らかの能動的なアクションによって情報を入手した場合や、ビジネスなどのフォーマルな文脈では “We obtained the necessary information.” のように “obtain” を使う方が適切です。
Q3: プレゼントをもらった時 “I obtained a present.” と言えますか?
A3: 文法的には間違いではありませんが、非常に不自然に聞こえます。プレゼントは通常、努力や手続きなしに受け取るものなので、“I got a present.” や “I received a present.” と言うのが一般的です。”obtain” を使うと、まるでプレゼントを手に入れるために大変な苦労をしたかのような大げさな響きになります。
「obtain」と「get」の違いのまとめ
「obtain」と「get」、二つの「得る」を表す動詞の違い、クリアになったでしょうか?
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 核心イメージの違い:「obtain」は努力や手続きを経て得るイメージ、「get」は広く一般的に手に入れるイメージ。
- フォーマル度の違い:「obtain」はフォーマル、「get」はインフォーマル・日常的。
- 使い分けの基本:努力や手続きが必要な場面、フォーマルな場面では「obtain」。日常会話や広範囲な「得る」には「get」。
- 類義語との比較:「acquire」は長期的な習得・獲得、「gain」は徐々に得る・増加させるニュアンス。
英語学習においては、まず使用範囲の広い「get」をしっかり使いこなせるようになることが大切です。その上で、文脈や伝えたいニュアンスに応じて「obtain」や他の類義語を使い分けられるようになると、表現の幅がぐっと広がります。
言葉のニュアンスを理解することは、コミュニケーションをより豊かにしますよね。ぜひ、実際の会話や文章の中で意識して使ってみてください。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。