「of」と「from」の違いとは?分離できない関係と離れる起点を使い分ける

「of」は「(分離しがたい)所属・属性・一部分」を表し、「from」は「(離れていく)起点・出発点・原因」を表すのが決定的な違いです。

なぜなら、「of」は「A of B」で「Bの一部としてのA」という強い結びつきを示すのに対し、「from」は「A from B」で「Bから離れてAへ向かう」という距離感や移動の矢印を示す言葉だから。

この記事を読めば、「木で作られた机(Made of)」と「ブドウで作られたワイン(Made from)」の違いが直感的に理解できるようになり、前置詞の選択で迷わなくなります。

それでは、まず二つの違いを整理した一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「of」と「from」の最も重要な違い

【要点】

「of」は「〜の一部」「〜に属する」という「切っても切れない関係(リンク)」を表します。「from」は「〜から」という「起点からの移動(分離)」を表します。元の形が残っているなら「of」、完全に変わって離れているなら「from」です。

まずは、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けの感覚はバッチリです。

項目offrom
中心的な意味〜の、〜に属する、〜の一部〜から、〜出身の、〜が原因で
コアイメージリンク(密接なつながり・構成)起点と分離(離れていく矢印)
距離感くっついている(内部にある)離れている(距離がある)
材料の変化材質が見てわかる(物理的変化)原型をとどめない(化学的変化)

一番大切なポイントは、「of」はその場に留まっているイメージ、「from」はそこから離れていくイメージという点ですね。

例えば、「東京の出身です」と言うとき、「I am from Tokyo.」を使います。

これは、東京という「起点」から離れて、今ここにいる自分を指しているからです。

もし「I am of Tokyo.」と言うと、「私は東京の一部です(東京という組織や属性に属している)」という、少し古風で特殊なニュアンスになってしまいます。

なぜ違う?コアイメージから「of」と「from」を掴む

【要点】

「of」のコアイメージは「全体から一部を取り出す」ことで、両者は見えない糸で繋がっています。「from」のコアイメージは「出発点」で、そこから矢印が出て対象物が移動・分離していく様子を表します。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、そのコアイメージを紐解くと、理由がよくわかりますよ。

「of」のイメージ:全体の一部

「of」は、もともと「off(離れる)」と同じ語源を持っていますが、現代英語では「全体と部分の関係」を強く表します。

「The leg of the table(テーブルの脚)」を想像してください。

脚はテーブルの一部であり、切り離すことはできません(切り離したらテーブルとして機能しません)。

このように、所有、所属、属性など、「切っても切れない強い結びつき」があるのが「of」です。

「from」のイメージ:起点からの出発

一方、「from」は「起点」を表します。

「Start from here(ここから始める)」のように、ある地点から矢印が伸びて、ターゲットが離れていくイメージです。

「手紙が届く(letter from…)」のも、差出人の元を離れて移動してきたからですよね。

「分離」や「区別」のニュアンスもここから生まれます。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「of」は所有や所属(member of)、同格(city of Tokyo)に使います。「from」は移動の起点(fly from)、出身(come from)、原因(suffer from)に使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

「of」を使う場面(所属・構成・同格)

【OK例文】

  • He is a member of the team.
    (彼はそのチームの一員です。※チームの一部)
  • The City of London.
    (ロンドンという市。※同格のof)
  • A cup of coffee.
    (一杯のコーヒー。※コーヒーという全体から一杯分を取り出す)

「from」を使う場面(起点・移動・原因)

【OK例文】

  • I came from the station.
    (駅から来ました。※駅という地点からの移動)
  • Where are you from?
    (出身はどこですか?※どこを起点にして来たか)
  • He is suffering from a cold.
    (彼は風邪で苦しんでいる。※風邪という原因から苦しみが来ている)

これはNG!間違えやすい使い方

日本人がよく迷う、「〜から」の表現です。

  • 【NG】I heard of him about the news.
    (彼からそのニュースを聞いた??)
  • 【OK】I heard from him about the news.
    (彼から(連絡があって)そのニュースを聞いた。)

「hear of」は「〜の噂を聞く(存在を知っている)」という意味になります。「人から便りや連絡が来る」という起点を表すなら「hear from」です。

【応用編】「Made of」と「Made from」の決定的な違い

【要点】

「be made of」は「見て材料がわかる(物理的変化)」場合に使います。「be made from」は「見て材料がわからない(化学的変化)」場合に使います。ofは素材の性質が残っており、fromは素材から離れて別物になっているからです。

学校で習ったけれど忘れがちなこの二つ。コアイメージで考えれば一発で覚えられます。

Made of(物理的変化)

素材の質感がそのまま残っている場合です。

  • This desk is made of wood.
    (この机は木でできている。)

机を見ても「木」であることは一目瞭然ですよね。木という素材の性質がそのまま「of(リンク)」しているからです。

Made from(化学的変化)

素材が加工されて、原型をとどめていない場合です。

  • Wine is made from grapes.
    (ワインはブドウから作られる。)
  • Paper is made from wood.
    (紙は木から作られる。)

ワインを見てもブドウの形はありませんし、紙を見ても木目は残っていません。

原料という起点から遠く離れて(from)、全く別の性質に変化してしまったからです。

「of」と「from」の違いを認知言語学的に解説

【要点】

認知言語学の視点では、「of」は「スキーマ(図式)」として「全体と部分」あるいは「不可分の関係」を認識させます。「from」は「ソース(源泉)・パス(経路)・ゴール」という移動のスキーマを起動させ、「距離」を認識させます。

少し専門的な視点から、この違いを深掘りしてみましょう。

認知言語学では、言葉を「空間的な位置関係」で捉えます。

「of」は、AとBが「同じ領域内にある」と認識しています。

「The king of rock(ロックの王様)」と言うとき、ロックという領域の中に王様が君臨しているイメージです。

一方、「from」は、AとBの間に「距離(ディスタンス)」を認識しています。

「Protect A from B(BからAを守る)」と言うとき、AをBから引き離して距離を取らせることで安全を確保する、という空間的なイメージが働いています。

「つながっているof」と「引き離すfrom」。

この感覚が、抽象的な表現にも応用されているのです。

「I am of Japan」と言って貴族扱いされた僕の体験談

僕が海外で自己紹介をした時の失敗談です。

「私は日本出身です」と言いたくて、ついカッコつけてこう言いました。

「I am of Japan.」

すると相手は、「Oh, are you representing Japan? Or are you royalty?(おお、日本を代表しているのか?それとも王族か何か?)」と冗談交じりに驚かれました。

「be of + 地名」という表現は、古い英語や文学的な表現で「〜の家系の者」「〜に属する者」というような、重々しい所属や属性を表すことがあります(例:Anne of Green Gables=赤毛のアン、原題は『グリーン・ゲイブルズのアン』)。

単に出身地を言いたいだけなら、「起点」を表す「from」を使って「I am from Japan.」と言うのが現代では自然です。

「Of」を使うと、まるで「日本という国の一部そのもの」になったような、壮大な響きが出てしまったんですね。

皆さんは、素直に「from」を使ってくださいね。

「of」と「from」に関するよくある質問

「died of」と「died from」の違いは?

「died of」は病気や老衰など「内的な直接原因」によく使われます(died of cancer)。原因と死が密接にリンク(of)しているからです。「died from」は怪我や事故、疲労など「外的な間接原因」によく使われます(died from wounds)。原因から死までのプロセスに少し距離(from)があるイメージです。

「hear of」と「hear from」の違いは?

「hear of」は「〜のことを(噂などで)聞く、存在を知っている」という意味です。「hear from」は「〜から(手紙や電話で)便りがある、連絡をもらう」という意味です。「I haven’t heard from him.(彼から連絡がない)」と使います。

「independent of」と「independent from」の違いは?

「independent of」は「〜に関係なく、〜に依存せず(支配されていない)」という「状態」を指します。「independent from」は「〜から独立する(分離する)」という「プロセスやアクション」を指します。植民地が独立した場合は「became independent from」がよく使われます。

「of」と「from」の違いのまとめ

「of」と「from」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本イメージ:「of」は所属・属性(リンク)。「from」は起点・分離(矢印)。
  2. 材料の変化:見てわかるなら「Made of」。原型がないなら「Made from」。
  3. 出身:「I am from…」が正解。「of」は特殊な所属を表す。
  4. 原因:内的な直接原因は「of」、外的な間接原因は「from」。

「くっついているならOf、離れていくならFrom」。

この映像を頭に浮かべるだけで、前置詞の選択ミスは劇的に減ります。

これからは自信を持って、関係性を正しく表現していきましょう。

言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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