「現在分詞」と「動名詞」の違いとは?ing形の役割で見分ける英文法

「現在分詞」は動詞の性質を持ちながら形容詞として働く言葉で、「動名詞」は動詞の性質を持ちながら名詞として働く言葉です。

どちらも動詞に「-ing」をつけた形(V-ing)をしているため見た目は全く同じですが、文の中で「飾り(修飾語)」として機能しているか、「主役や脇役(主語・目的語)」として機能しているかによって、その正体は明確に異なります。

この記事を読めば、英文法の中でも特にややこしい「ing形の識別」がスッキリと分かり、リーディングやスピーキングで迷わず正確に意味を捉えられるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「現在分詞」と「動名詞」の最も重要な違い

【要点】

基本的には形容詞の働きなら「現在分詞」、名詞の働きなら「動名詞」と覚えるのが簡単です。現在分詞は「〜している」という進行・状態を表し、動名詞は「〜すること」という事象を表します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの文法用語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目現在分詞 (Present Participle)動名詞 (Gerund)
品詞の役割形容詞(名詞を修飾する)名詞(主語・目的語になる)
日本語訳〜している、〜させるような〜すること
主な用法進行形、補語、名詞修飾主語、目的語、前置詞の目的語
イメージ動作の最中、ライブ感(動画)動作の事実化、パッケージ化(静止画)

一番大切なポイントは、「現在分詞」は名詞を詳しく説明するアクセサリーであり、「動名詞」は文の骨組みになれるパーツであるということですね。

例えば、「I am running.(私は走っている)」のrunningは説明(現在分詞)ですが、「I like running.(私は走ることが好きだ)」のrunningは対象そのもの(動名詞)です。

なぜ違う?言葉の成り立ち(文法用語)からイメージを掴む

【要点】

「Participle(分詞)」は“共有する・分かち合う”を意味し、動詞と形容詞の性質をシェアしていることを表します。一方、「Gerund(動名詞)」はラテン語で“なされるべきこと”を意味する言葉に由来し、動作を名詞として扱う機能を表します。

なぜこの二つの言葉に役割の違いが生まれるのか、文法用語の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「現在分詞」の成り立ち:「Participle」が表す“性質の共有”

現在分詞は英語で「Present Participle」と言います。

「Participle」の語源は、ラテン語の「particeps(共有する、参加する)」です。

これは、「動詞」の性質と「形容詞」の性質の両方を共有している(分かち合っている)という意味なんです。

日本語で「分詞」と訳されたのも、「性質を分かち持つ言葉」だからです。

動詞としての「動き」を持ちつつ、形容詞として「名詞を飾る」機能も果たす、ハイブリッドな存在と言えます。

その場の動きや状態をライブで伝えているイメージですね。

「動名詞」の成り立ち:「Gerund」が表す“動作の名詞化”

一方、動名詞は英語で「Gerund」と言います。

この言葉はラテン語の文法用語「gerundium」に由来し、動作を行うこと、実行することを意味していました。

動名詞の役割は非常にシンプルで、動詞を「名詞」に変身させることです。

「走る(run)」という動作を、「走ること(running)」という「コト(事象)」としてパッケージ化し、箱詰めにして扱うイメージです。

そのため、文の中では「主語(~は)」や「目的語(~を)」といった、名詞が入るべき場所にすっぽりと収まることができます。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

進行形や補語として状態を説明しているなら「現在分詞」、主語や目的語として「~すること」と置き換えられるなら「動名詞」です。文の中でのポジション(S, V, O, C)を見極めるのがコツです。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

文の中での役割に注目して、使い分けを見ていきましょう。

現在分詞(形容詞的な働き)の例文

名詞を修飾したり、主語の状態を説明したりします。

【進行形を作る】

  • He is playing tennis.
    (彼はテニスをしている。→「彼」がどういう状態かを説明)

【名詞を修飾する】

  • Look at the sleeping baby.
    (あの眠っている赤ちゃんを見て。→「赤ちゃん」の状態を説明)
  • The girl running in the park is my sister.
    (公園を走っている少女は私の妹です。→「少女」を後ろから説明)

【補語になる(叙述用法)】

  • The movie was boring.
    (その映画は退屈だった(退屈させるようなものだった)。→映画の性質を説明)

動名詞(名詞的な働き)の例文

主語や目的語など、名詞の定位置に収まります。

【主語になる】

  • Swimming is good for your health.
    泳ぐことは健康に良い。)

【動詞の目的語になる】

  • I enjoy reading books.
    (私は本を読むことを楽しむ。)

【前置詞の目的語になる】

  • Thank you for coming.
    来てくれたことに感謝します。)

【補語になる(名詞として)】

  • My hobby is fishing.
    (私の趣味は釣り(をすること)です。→趣味=釣り、という等価関係)

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じても、文法的な解釈を間違えやすい例を見てみましょう。

  • 【解説】His job is washing cars.
    (彼の仕事は車を洗うことです。)

この文の「washing」は、「彼の仕事=洗うこと」というイコール関係が成り立つので「動名詞」です。

一方、「He is washing cars.(彼は車を洗っている)」の場合は、彼の動作を説明しているので「現在分詞」になります。

be動詞の後ろにあるing形が、主語とイコールになるなら「動名詞」、主語の状態説明なら「現在分詞」と見分けましょう。

【応用編】「a sleeping baby」と「a sleeping bag」の違いは?

【要点】

名詞の前にing形が置かれる場合、「〜している名詞(動作主)」なら現在分詞、「〜するための名詞(用途)」なら動名詞です。sleeping babyは「眠っている赤ちゃん」、sleeping bagは「眠るための袋(寝袋)」という違いがあります。

この二つのフレーズは、現在分詞と動名詞の違いを理解する上で最も有名な例です。

これさえ押さえておけば、名詞にかかるing形の正体を瞬時に見抜けますよ。

現在分詞の例:a sleeping baby

ここでの「sleeping」は、後ろの「baby」が実際にその動作を行っていることを表します。

「A baby is sleeping(赤ちゃんが眠っている)」と言い換えられる関係ですね。

これは「形容詞」としての働きなので「現在分詞」です。

  • a running boy(走っている少年)
  • a flying bird(飛んでいる鳥)

動名詞の例:a sleeping bag

ここでの「sleeping」は、後ろの「bag」が眠っているわけではありません。

「A bag for sleeping(眠るための袋)」という意味で、用途や目的を表しています。

これは名詞と名詞が結びついた複合名詞の一種であり、「動名詞」です。

  • a smoking room(喫煙室=喫煙するための部屋)
  • a swimming pool(水泳プール=泳ぐためのプール)

「bagが寝ているわけではない」と気付ければ、動名詞だと判断できますね。

「現在分詞」と「動名詞」の違いを言語学的に解説

【要点】

歴史的には、現在分詞(-ende/-inde)と動名詞(-ing)は全く別の語尾を持っていました。しかし、中英語期に発音が融合してどちらも「-ing」という形になりました。現代言語学の一部では、機能的に重複する部分も多いため、これらを区別せず「gerund-participle」として一括りに扱う考え方もあります。

実は、この二つが同じ「ing形」をしているのは、英語の歴史における「偶然の事故」のようなものです。

古英語の時代、現在分詞の語尾は「-ende」や「-inde」であり、動名詞(動詞由来の名詞)の語尾は「-ing」や「-ung」でした。

形が全く違っていたので、当時は誰も混同しなかったのです。

ところが、数百年かけて言葉が変化する中で、語尾の発音が弱まり、どちらも「-ing」という形に統合されてしまいました。

その結果、形は同じなのに、機能(形容詞か名詞か)だけが異なるという現代のややこしい状況が生まれたのです。

現代の言語学、特に生成文法などの分野では、文脈なしに形だけで両者を完全に区別することには限界があるとして、「ing形(The -ing form)」として統一的に扱うアプローチも主流になっています。

しかし、日本の学校英語や従来の学習文法においては、文の構造を理解するために「形容詞的機能(現在分詞)」と「名詞的機能(動名詞)」を区別することは、依然として非常に有効な分析ツールです。

より深く学びたい方は、国立国語研究所などの言語学資料や、英語史に関する文献を参照すると、言葉の変遷が分かって面白いですよ。

僕が「ing形」の訳し方で赤っ恥をかいた留学中の体験談

僕も留学したての頃、この「現在分詞」と「動名詞」の区別がつかず、恥ずかしい思いをしたことがあるんです。

シェアハウスでルームメイトたちと雑談していたときのこと。

リビングのテーブルの上に置いてあった、あるアイテムを指差して僕は言いました。

「Is this your walking stick?」

僕はそれを「歩いている棒(杖が勝手に歩いているファンタジーな状況)」のようなニュアンスで捉えてしまい、頭の中で変な想像をしてニヤニヤしていました。

すると、ルームメイトが怪訝な顔で答えました。

「Yes, I use it for hiking. Why are you laughing?」

そこでハッとしました。

「walking stick」は「歩いている棒(現在分詞)」ではなく、「歩くための棒(動名詞)」つまり「ステッキ・杖」のことだったのです。

「sleeping bag(寝袋)」と同じ構造ですね。

僕は「棒が歩いている姿」を想像して笑ってしまったことを拙い英語で説明しましたが、みんなからは「君の頭の中はファンタジーだな」と苦笑いされました。

この経験から、名詞の前のing形を見たときは、すぐに「〜している」と訳すのではなく、「〜するための(用途)」という意味ではないかと疑うクセがつきました。

文法の知識は、単なるルールではなく、誤解なく世界を理解するためのレンズなんですね。

「現在分詞」と「動名詞」に関するよくある質問

分詞構文のingはどっちですか?

分詞構文のingは「現在分詞」です。分詞構文は、接続詞と主語を省略して、動詞を現在分詞(-ing)に変えることで、主節の動詞や文全体を修飾する(副詞的な働きをする)用法です。「Walking down the street, I met him.(通りを歩いている時、彼に会った)」のように使います。

「exciting」と「excited」の違いは?

「exciting」は現在分詞、「excited」は過去分詞から派生した形容詞です。現在分詞は「(感情を)与える側」に使います(The game was exciting.=試合は興奮させるものだった)。過去分詞は「(感情を)受け取る側」に使います(I was excited.=私は興奮させられた=興奮した)。

動名詞しか目的語にとれない動詞の覚え方は?

「MEGAFEPS(メガフェップス)」という語呂合わせが有名です。Mind(気にする)、Enjoy(楽しむ)、Give up(あきらめる)、Avoid(避ける)、Finish(終える)、Escape(逃れる)、Postpone/Practice(延期する/練習する)、Stop/Suggest(やめる/提案する)など、これらは後ろに動名詞(-ing)のみを取り、不定詞(to do)は取りません。

「現在分詞」と「動名詞」の違いのまとめ

「現在分詞」と「動名詞」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  • 基本の違い:現在分詞は「形容詞」、動名詞は「名詞」の働きをする。
  • 意味の違い:現在分詞は「~している(進行)」、動名詞は「~すること(名詞化)」。
  • 名詞との関係:sleeping baby(赤ちゃんが寝ている=分詞)、sleeping bag(寝るための袋=動名詞)。
  • 見分け方:be動詞の後ろで、主語とイコールになるなら動名詞、動作説明なら進行形(現在分詞)。

言葉の背景にある「役割」を意識すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、英文法を読み解いていきましょう。

さらに英語の理解を深めたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

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