「たぶんそうだと思う」と英語で伝えたいとき、あなたは「presume」と「assume」のどちらを使いますか?
実はこの2つの言葉、その推測に「根拠」があるかどうかで使い分けるのが基本です。
この記事を読めば、ビジネスシーンでの微妙なニュアンスの違いを正確に理解でき、自信を持って英語で意見を言えるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「presume」と「assume」の最も重要な違い
基本的には根拠がある自信なら「presume」、根拠がない思い込みなら「assume」と覚えるのが簡単です。
ただし、日常会話では厳密に区別されないこともありますが、ビジネスや議論の場ではこの「根拠の有無」が信頼性を左右します。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | presume | assume |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | (根拠があって)推定する | (根拠なしに)仮定する、思い込む |
| 確信度 | 高い(おそらくそうだろう) | 低い(とりあえずそうしよう) |
| 根拠の有無 | あり(経験、証拠、確率) | なし(主観、一時的な設定) |
| 日本語のイメージ | 「〜と推察いたします」 | 「〜だと決めつける」 |
表を見るとわかるように、「presume」は「証拠」や「確率」を背景に持っています。
一方で、「assume」は「とりあえずの前提」や「思い込み」というニュアンスが強くなります。
「presume」を使うときは、「これだけの材料があるから、こう考えるのが妥当だ」という自信が見え隠れするのです。
なぜ違う?語源(PreとAd)からイメージを掴む
語源を知るとイメージが定着します。
「presume」は「前もって(pre)取る(sume)」、つまり事前の証拠から結論を取るイメージです。
「assume」は「〜の方へ(ad)取る(sume)」、つまり自分の考えの方へ勝手に引き寄せるイメージです。
英語の語源を紐解くと、この2つの違いがより鮮明に見えてきます。
どちらも「sume(取る)」という語根を持っていますが、接頭辞が決定的に異なります。
presume:前もってつかみ取る
「presume」は、「pre(前もって)」+「sume(取る)」から成り立っています。
これは、「結果が出る前に、手元にある情報から結論を先取りする」という感覚です。
「証拠Aと証拠Bがあるから、結論Cになるだろう」と、論理的に先読みする姿勢がうかがえますよね。
assume:自分の方へ引き寄せる
「assume」は、「ad(〜の方へ)」+「sume(取る)」が語源です。
「ad」は方向を表し、対象を自分の方へグイッと引き寄せるイメージを持ちます。
つまり、客観的な証拠がなくても、「自分の都合や考えに合わせて、事実をこうだと決めつける(取り込む)」というニュアンスになるのです。
「証拠はないけど、とりあえずこう考えよう」という姿勢の違いが、ここから来ています。
具体的な例文で使い方をマスターする
文脈による使い分けが重要です。
丁寧な確認や法的文脈では「presume」、議論の前提設定や誤解の指摘には「assume」が適しています。
理屈がわかったところで、実際のシーンでどう使われるかを見ていきましょう。
ニュアンスの違いを感じ取ってください。
ビジネスシーンでの「presume」
「presume」は、礼儀正しさや論理性を伴うため、ビジネスメールや会議で重宝します。
OK例:
- “I presume you have received the report.”
(報告書は受領されたものと推察します。)
※「送ったのだから届いているはずだ」という根拠がある場合。 - “Based on the data, we can presume the market will grow.”
(データに基づき、市場は成長すると推定できます。)
日常・議論での「assume」
「assume」は、仮定の話や、思い込みによる失敗を語るときによく使われます。
OK例:
- “Let’s assume this is true for a moment.”
(とりあえず、これが正しいと仮定してみましょう。)
※議論を進めるための仮の設定。 - “I assumed you knew about the meeting.”
(君は会議について知っていると思い込んでいたよ。)
※確認不足だったことを認めるニュアンス。
よくあるNG例
ここで注意したいのが、相手の行動を勝手に決めつけるような「assume」の使い方です。
NG例:
- “I assumed you were busy, so I didn’t call.”
(忙しいだろうと思い込んで、電話しなかったんだ。)
これ言われると、「勝手に決めつけないでよ!」と相手をイラッとさせることがありますよね。
確信がないなら、単に「thought」を使うか、確認すべきでした。
【応用編】似ている言葉「suppose」との違いは?
「suppose」は「presume」と「assume」の中間に位置します。
「たぶん〜だと思う」という主観的な推測で、根拠は薄くても、assumeほどの「決めつけ感」はありません。
ここでもう一つ、似た単語「suppose」についても触れておきましょう。
「I suppose so.(たぶんそう思うよ)」のように使われますが、位置づけはどうなるのでしょうか。
- Presume:根拠あり・確信度高(客観的)
- Suppose:根拠薄い・確信度中(主観的・提案)
- Assume:根拠なし・確信度低(仮定・思い込み)
「Suppose we go to the cinema?(映画に行きませんか?)」のように、提案のニュアンスで使われるのも「suppose」の特徴ですね。
「assume」ほど独断的ではなく、「presume」ほど堅苦しくない、柔らかい表現と言えます。
「presume」と「assume」の違いを学術的に解説
学術・法的な文脈では、この違いは決定的です。
「presume」は反証がない限り真実とみなされる「法的推定」に使われ、「assume」は理論構築のための「公理・仮定」に使われます。
専門家の視点から見ると、この2語の違いは単なるニュアンスを超え、論理構造の根幹に関わります。
法学における「Presumption」
法律の世界では、「Presumption of Innocence(推定無罪)」という言葉があります。
これは「有罪であるという確固たる証拠が出るまでは、無罪として扱う」というルールです。
ここで「Assumption」が使われないのはなぜでしょうか。
それは、「現時点での状況から、論理的に導き出される最も確からしい状態」を維持するという強い法的効力があるからです。
「とりあえず無罪ってことにしておこう」という軽い仮定(Assumption)ではないのです。
科学・論理学における「Assumption」
一方で、科学論文や経済モデルでは「Assumption」が多用されます。
「摩擦がないと仮定する(Assume no friction)」のように、現実とは異なるかもしれないが、理論を構築するために「意図的に置いた前提」を指します。
ここでは、その仮定が真実であるかどうかよりも、議論の出発点として設定することに意味があるのです。
僕が「assume」を使って赤っ恥をかいた会議の話
僕がまだ外資系企業の新人だった頃、この言葉の使い分けで痛い目を見たことがあります。
あるプロジェクトの進捗会議でのことでした。
海外の上司から「来週のリリースに間に合うか?」と聞かれ、僕は開発チームのスケジュール表をパッと見て、「大丈夫だろう」と直感的に思いました。
そこで自信満々にこう答えたのです。
「I assume we can make it.(間に合うと思います)」
すると上司は眉をひそめ、厳しい口調で返してきました。
「”Assume” ? So you have no proof?(思い込みか? つまり根拠はないんだな?)」
僕は凍りつきました。
僕は「推測します」と言いたかっただけなのですが、ネイティブの上司には「根拠はないけど、なんとなくイケると思ってます」という、非常に無責任な発言に聞こえてしまったのです。
もしあの時、「スケジュール表の進捗率に基づけば」というニュアンスで「I presume…」を使っていれば、あるいは単に「I think… based on the schedule」と言っていれば、反応は全く違っていたでしょう。
言葉一つで「デキる新人」から「適当な新人」へと評価が転落した、苦い経験です。
この経験から、ビジネスで安易に「assume」を使うのは、自分の発言の信頼性を下げるリスクがあると学びました。
「presume」と「assume」に関するよくある質問
Q. 有名なフレーズ「Dr. Livingstone, I presume?」はなぜpresume?
A. アフリカの奥地で探検家リビングストンを発見したスタンリーの言葉ですね。「この場所に白人がいること」自体が強い証拠となり、「状況から見てあなた以外にありえない」という確信があったため、礼儀正しく「presume」が使われました。
Q. 「Let’s assume…」と「Let’s presume…」はどう違う?
A. 「Let’s assume」は「あくまで議論のために、仮にこう設定しよう」というニュアンス。「Let’s presume」は「これまでの流れからして、こう考えるのが自然だろう」と、同意を求めるニュアンスが強くなります。
Q. メールで「お忙しいことと存じます」と言いたいときは?
A. 「I presume you are busy.」と言うと、少し堅苦しいですが「状況からして当然お忙しいでしょう」という敬意を含んだ表現になります。「assume」を使うと「忙しいと決めつけて」という失礼な響きになりかねないので注意が必要です。
「presume」と「assume」の違いのまとめ
いかがでしたか?
「presume」と「assume」は、どちらも「推測する」と訳されますが、その背後にある「自信」と「根拠」の量が全く異なります。
最後に、もう一度要点を振り返ってみましょう。
- presume:証拠や経験則といった根拠に基づく自信のある推測。
- assume:証拠がなく、主観や便宜的な前提に基づく思い込み。
- 使い分け:ビジネスで信頼を示したいなら「presume」、議論の仮定を置くなら「assume」。
言葉の選び方は、そのままあなたの思考の深さを相手に伝えます。
根拠があるときは胸を張って「I presume」、あくまで仮定の話なら「I assume」。
この使い分けを意識するだけで、あなたの英語の説得力はグッと増すはずですよ。
さらに詳しい英語由来語の使い分けについては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
参考リンク:文化庁 国語施策情報
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