「remember doing」と「remember to do」の違い!過去と未来で決まる

「あれ?これって『忘れずにやる』だっけ?それとも『やったことを覚えている』だっけ?」

英語を勉強していると、必ずと言っていいほどこの「remember doing」と「remember to do」の使い分けで混乱しますよね。

この記事を読めば、二つの決定的な違いを「イメージ」で直感的に理解できるようになり、ビジネスやテストの場面で自信を持って使い分けられるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「remember doing」と「remember to do」の最も重要な違い

【要点】
「doing」は過去の記憶、「to do」は未来のタスクと覚えましょう。「ing」はすでに起きた出来事を指し、「to」はこれから向かう未来を指します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの表現の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目remember doingremember to do
中心的な意味~したことを覚えている忘れずに~する
(~することを覚えている)
時間の感覚過去(すでに行ったこと)未来(これから行うこと)
イメージ頭の中にある映像・写真
(完了した行為)
これから向かう矢印(→)
(未完了の行為)
典型的な訳「あの時~したのを覚えている」「忘れずに~しなさい」
「~するのを忘れない」

表で見ると一目瞭然ですね。「doing」は振り返る過去、「to do」は向かう未来という対照的な性質を持っています。

なぜ違う?「to」と「ing」のイメージ(語源)から掴む

【要点】
「to」は「矢印(→)」で未来へ向かう意識、「ing」は「動いている最中・完了した事実」というリアリティのある感覚を表します。この「未来への方向」か「事実としての映像」かの違いが、そのまま意味の違いになっています。

なぜ同じ「remember」なのに、後ろに来る言葉が変わるだけで時間が逆転してしまうのでしょうか。

それは、「to不定詞」と「動名詞(ing)」が持つ本来のイメージが全く異なるからです。

まず、「to」のイメージは「矢印(→)」です。

「I go to school.(学校へ行く)」のように、「to」は目的地に向かって指を差す感覚を持っています。そこから派生して、「これから~する」「未来に向かって~する」という未来志向の意味合いが生まれました。「remember to do」が「(これから)忘れずに~する」となるのは、意識が未来の行動に向いているからです。

一方、「ing」のイメージは「写真・映像」です。

「playing」と言えば、実際に遊んでいるシーンが頭に浮かびますよね。そこから、すでに現実に起きていること、あるいはすでに起きた事実(過去)というニュアンスを持ちます。「remember doing」が「~したことを覚えている」となるのは、過去に行った行為の映像を頭の中で再生しているからなのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】
日常会話では「鍵の施錠」や「薬の服用」、ビジネスでは「メール送信」や「会議の予約」などのシーンで頻繁に使われます。「やったっけ?(doing)」なのか「やらなきゃ(to do)」なのかで判断しましょう。

理屈がわかったところで、具体的なシーン別の例文で感覚を掴んでいきましょう。

日常会話での使い分け

まずは、日常生活でよくある「鍵をかける」というシチュエーションです。

  • Remember to lock the door.
    (ドアの鍵を忘れずにかけなさい。)
    ※出かける前の家族への注意喚起(未来の行動)。
  • I remember locking the door.
    (ドアの鍵をかけたことを覚えている。)
    ※「あれ?鍵かけたっけ?」と不安になった時に、かけた時の記憶を思い出している(過去の事実)。

次に、人に会った時の挨拶での違いです。

  • Remember to say hello to him.
    (彼に忘れずに挨拶してね。)
    ※これから会う場合の指示。
  • I remember seeing him somewhere.
    (どこかで彼に会ったことを覚えている。)
    ※過去の記憶。

ビジネスシーンでの使い分け

ビジネスでは、タスク管理や確認の場面で重要になります。

  • Please remember to email the client.
    (クライアントに忘れずにメールしてください。)
    ※業務指示(これからのタスク)。
  • I remember emailing the client last week.
    (先週クライアントにメールしたことを覚えています。)
    ※業務報告(完了した業務の確認)。

この違いを間違えると、「メールしろ」という指示に対して「メールした記憶があります」とトンチンカンな返答をしてしまうことになりかねません。

【応用編】似ている言葉「forget」との違いは?

【要点】
「forget」も「remember」と全く同じルールが適用されます。「forget to do」は「~し忘れる(未来)」、「forget doing」は「~したことを忘れる(過去)」です。

実は、「remember」の対義語である「forget(忘れる)」も、全く同じ使い分けのルールが適用されます。

セットで覚えてしまうのが一番効率的ですよ。

  • Don’t forget to buy milk.
    (牛乳を買うのを忘れないで。)
    ※未来のタスク(未完了)。
  • I’ll never forget meeting you.
    (あなたに会ったことは決して忘れません。)
    ※過去の思い出(完了・事実)。

「to」はこれからすること、「ing」はすでにしたこと。この原則さえ覚えておけば、動詞が変わっても怖くありません。

「remember doing」と「remember to do」の違いを学術的に解説

【要点】
言語学的には「事実性(Factivity)」の違いとして説明されます。動名詞は「事実行為」を含意し、不定詞は「潜在的行為」を示唆するという特性があります。

ここからは少し専門的な視点で、この違いを深掘りしてみましょう。

言語学や認知文法では、この違いを「事実性(Factivity)」という概念で説明することがあります。

動名詞(doing)は、その行為が実際に発生したこと、つまり「事実(Fact)」であることを前提とする性質(Factive)を強く持ちます。そのため、「remember doing」と言った時点で、話し手の頭の中ではその行為は「確定した過去の事実」として存在しています。

一方、不定詞(to do)は、まだ実現していない、あるいはこれから実現を目指す「非事実(Non-factive)」または「潜在的可能性」を表す性質があります。「remember to do」における「to do」は、まだ現実化していない「これからの義務」や「予定」としての性格を帯びるのです。

ケンブリッジ大学の文法解説などでも、不定詞は「未来志向(recalling that there is something we need to do)」、動名詞は「過去の記憶(recalling a memory of something in the past)」と明確に区別されています。

僕が「remember to」を勘違いして冷や汗をかいた体験談

実は僕も、留学中にこの「remember」の使い分けで恥ずかしい失敗をしたことがあります。

現地のシェアハウスに住んでいた時のこと。ルームメイトのジョンが旅行に出かける際、僕にこう言いました。

「Hey, remember to water the plants while I’m away.」

当時の僕は、文脈も考えず「remember = 覚えている」と直結して考えていました。だから、ジョンの言葉を「(僕が以前)植物に水をやったことを覚えていてね(感謝してね)」という意味だと勘違いしてしまったのです。

僕は笑顔で「Of course! I remember!(もちろん!覚えてるよ!)」と答えました。「前に水やりした時のことを褒めてくれているのかな?」とすら思っていたんです。

しかし、数日後。帰宅したジョンが見たのは、カラカラに枯れかけた植物たちでした。

「You said you remembered!(覚えてるって言ったじゃないか!)」と怒るジョン。
僕は「え?前のことは覚えてるけど、今回やるなんて言ってないよ?」とポカンとしていました。

そう、彼は「(これから留守中に)忘れずに水をやっておいてくれ」と頼んでいたのです。僕は「to water(これから水やりする)」という未来への矢印を、「watering(水やりしたこと)」という過去の映像と完全に取り違えていました。

この経験から、「to」が聞こえたら「これからのタスク」、「ing」なら「思い出話」という感覚が痛いほど身につきました。言葉の形一つで、植物の命運すら左右してしまうんですね。

「remember doing」と「remember to do」に関するよくある質問

最後に、学習者がよく抱く疑問についてQ&A形式で解説します。

Q. 「Remember doing」を「Remember to do」の意味で使うことは絶対にないの?

はい、基本的にはありません。ネイティブスピーカーにとって、この二つは「過去」と「未来」という全く別の時間軸を指す言葉です。「鍵かけたのを覚えておいて(未来の指示)」と言いたい時に「Remember locking」と言うと、相手は「(過去に)鍵をかけた記憶を思い出して」と言われていると解釈し、混乱してしまいます。

Q. 「Don’t remember to do」という表現は使う?

あまり使いません。「~するのを覚えていない(忘れた)」と言いたい場合は、「I didn’t remember to do…」や、より自然には「I forgot to do…」を使います。「Don’t remember」は通常、「I don’t remember doing…(~した覚えがない)」のように、過去の記憶がないことを伝える時によく使われます。

Q. 「remember」以外にも同じルールの動詞はある?

はい、「forget(忘れる)」「regret(後悔する)」なども同様です。「regret to say(残念ながら~申し上げる=これから言う)」と「regret saying(~言ったことを後悔する=過去に言った)」の違いも、この「to=未来」「ing=過去」のルールで説明できます。

「remember doing」と「remember to do」の違いのまとめ

いかがでしたか。「remember doing」と「remember to do」の違いは、単なる文法ルールの暗記ではなく、「過去の映像」か「未来への矢印」かというイメージで捉えると、もう迷わなくなります。

  • remember doing過去のこと。「~したのを覚えている」。イメージは「写真・映像」。
  • remember to do未来のこと。「忘れずに~する」。イメージは「矢印(→)」。

「あれ、どっちだっけ?」と思った時は、この記事で紹介した「鍵の施錠」や「植物の水やり」のエピソードを思い出してみてくださいね。

もっと詳しく英語の言葉の使い分けを知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

英語由来語の違い

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