「right」と「correct」の違い!「正しい」の使い分け

「right」と「correct」の違いを一言で言うなら、「人の心や状況」として正しいか、「事実や基準」として正しいかという点に尽きます。

どちらも「正しい」と訳されますが、友人の意見に共感して「その通り!」と言う時に「That’s correct!」と言うと、まるで学校の先生が採点しているような、冷たく堅苦しい印象を与えてしまうことがあります。

この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ「道徳・感覚」と「事実・規格」のイメージの違いから、ネイティブが自然に使い分けている感覚までスッキリと理解でき、場面に応じた適切な「正しさ」を表現できるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「right」と「correct」の最も重要な違い

【要点】

基本的には「(心情的・道徳的に)正しい」なら「right」、「(事実・ルール的に)間違いがない」なら「correct」と覚えるのが簡単です。「right」は主観的、「correct」は客観的です。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目rightcorrect
中心的な意味道徳的・感覚的な「正しい」事実的・規格的な「正しい」
ニュアンスふさわしい、適切な、もっともな
(主観・感情)
誤りがない、正確な、合致している
(客観・データ)
対義語wrong(悪い、間違った)incorrect(不正確な)
よく使う場面日常会話、意見への同意、道徳判断試験の正解、データの照合、公的な場

一番大切なポイントは、「right」には「正義」や「権利」といった人間的な温かみや意志が含まれ、「correct」には「訂正」や「正解」といった機械的な厳密さが含まれるということです。

例えば、「君のしたことは正しい(人として)」なら「What you did was right.」ですが、「君の答えは正しい(計算として)」なら「Your answer is correct.」となります。

なぜ違う?単語の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「right」は「真っ直ぐ・権利」が語源で、歪んでいない正しさ(正義)を表します。「correct」は「共に真っ直ぐにする(修正する)」が語源で、間違いを直して基準に合わせるイメージです。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「right」のイメージ:曲がっていない正義

「right」はもともと「真っ直ぐな」という意味を持っています。

そこから「右(right)」という意味や、「権利(human rights)」という意味にも派生しました。

コアイメージは、「道徳的・社会的に曲がっていない状態」です。

「〜するのが筋だ」「〜するのがふさわしい」という、人の判断や価値観に基づいた正しさを表すため、日常会話での同意(That’s right!)によく使われるのです。

「correct」のイメージ:基準に合わせて直す

一方、「correct」はラテン語の「com(完全に)」+「regere(真っ直ぐにする)」から来ています。

つまり、「間違いを正して、あるべき基準(正解)に完全に合わせる」というイメージです。

ここには個人の感情や道徳は関係ありません。

「ルールや事実に合致しているかどうか」という、○か×かの明確な判定基準がある場合に使われる言葉です。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常会話での同意や道徳的な話には「right」、テストの答えや機械の操作手順には「correct」を使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

日常会話での使い分け(right)

感情や意見が絡む場面では「right」が活躍します。

【OK例文:right】

  • You are right. I agree with you.(君は正しいよ。賛成だ。)
  • It is not right to tell a lie.(嘘をつくのは(道徳的に)正しくない。)
  • Is this the right way to the station?(駅へ行く道はこれで合っていますか? ※目的地に行くのに「ふさわしい」道か)

駅への道を聞く場合、「correct way」と言うと「地図上の正規ルート」という響きになりますが、「right way」なら「(行きたい場所に行ける)適切な道」というニュアンスになります。

ビジネス・公的な場面での使い分け(correct)

正確さが求められる場面では「correct」が適切です。

【OK例文:correct】

  • Your password is correct.(パスワードは正しいです。)
  • Please check if the information is correct.(情報が正しいか確認してください。)
  • Grammatically correct sentence.(文法的に正しい文。)

パスワードやデータに「道徳的な正しさ」は関係ないので、ここでは「correct」一択ですね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、ネイティブが違和感を覚える使い方を見てみましょう。

  • 【NG】 (上司の意見に対して) Your opinion is correct.
  • 【OK】 (上司の意見に対して) You are right. / I agree.

意見に対して「Correct」を使うと、「はい、あなたの発言に誤りはありません(採点完了)」というような、上から目線の評価に聞こえることがあります。

相手の考えを肯定する場合は「right」を使うのが自然です。

【応用編】似ている言葉「accurate」「true」との違いは?

【要点】

「accurate」は細部まで精密に合っていること、「true」は事実であり嘘ではないこと(真実)を表します。「right/correct」よりもさらに限定的な意味を持ちます。

「正しい」を意味する単語は他にもあります。

これらも整理しておくと、表現の幅がグッと広がります。

accurate(正確な・精密な)

「correct」よりもさらに踏み込んで、「細部までズレがなく、精密である」ことを強調します。

測定値や時計、データ分析などに使われます。

  • This watch is very accurate.(この時計はとても正確だ。)

true(真実の・本当の)

「嘘ではない」「事実に基づいている」という意味での正しさです。

対義語は「false(偽の)」です。

  • Is that story true?(その話は本当なの?)

「right」と「correct」の違いを文法的な視点から解説

【要点】

「correct」は動詞(訂正する)としても使えますが、「right」は動詞としては稀です(right a wrongなど)。一方、「right」は副詞(右に、ちょうど)としても広く使われます。

感覚的な違いだけでなく、文法的な機能の違いを知っておくと、迷った時の判断基準になります。

専門的な視点から、決定的な違いを解説します。

1. 動詞としての「correct」

「correct」は動詞として「訂正する」「添削する」という意味で頻繁に使われます。

  • Please correct my mistakes.(私の間違いを直してください。)

この機能は「right」にはほとんどありません(「right a wrong(不正を正す)」などの慣用句を除く)。

2. 副詞としての「right」

「right」は副詞として、文の強調などに使われます。

  • Do it right now!(今すぐやれ!)
  • It’s right here.(ちょうどここにある。)

「correct」にはこのような使い方はありません。

僕が「You are correct」と言ってロボット扱いされた体験談

僕も留学したての頃、この使い分けで恥ずかしい思いをしたことがあります。

シェアハウスで友人と映画の感想を言い合っていた時のことです。

友人が「あのシーンの主人公の行動、ちょっと理解できなかったな」と言いました。

僕はその意見に深く共感したので、自信満々にこう言いました。

You are correct.

すると友人は一瞬キョトンとして、その後笑いながらこう言ったのです。

「ありがとう、先生。採点してくれて(笑)。君の話し方はたまにAIみたいだね」

顔から火が出るほど恥ずかしかったですね。

日常会話の、しかも感情を共有する場面で「Correct(正解、誤りなし)」を使うと、人間味のない、冷たく機械的な響きになってしまうのです。

そこは「You’re right.(だよね、その通りだね)」と言うべきでした。

この経験から、事実確認以外の会話では意識して「right」を使うようにしました。

すると、会話の距離がグッと縮まり、自然なコミュニケーションが取れるようになったのを感じました。

「right」と「correct」に関するよくある質問

「That’s right」と「That’s correct」は入れ替え可能ですか?

クイズの正解発表など、事実を確認する場面では入れ替え可能です。しかし、日常会話での相槌として使う場合、「That’s correct」は堅苦しすぎます。「That’s right」の方が圧倒的に自然で、親しみやすい表現です。

「All right」は「All correct」とは言いませんか?

言いません。「All right」は「大丈夫だ」「了解した」という意味の決まり文句です。ここでは「correct」は使えません。ちなみに「All correct」を省略したのが「OK」の語源という説もあります。

ビジネスメールではどちらを使うべきですか?

状況によります。データの確認や契約内容の不備がないかを伝えるなら「correct」が好まれます(The attached file is correct.)。相手の提案や意見に同意を示すなら「right」や、よりビジネスライクな「I agree with you」などが適しています。

「right」と「correct」の違いのまとめ

「right」と「correct」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本イメージ:「right」は主観的・道徳的、「correct」は客観的・事実的。
  2. 使い分け:会話や同意なら「right」、テストやデータなら「correct」。
  3. 注意点:感情的な同意に「correct」を使うと、冷たく上から目線に聞こえる。

言葉の背景にある「人としての温かみ」と「機械的な正確さ」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

英語学習についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

文部科学省の外国語教育に関する資料なども参考にしながら、これからは自信を持って、的確な表現を選んでいきましょう。

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