「賞品」と「景品」の違いとは?正しい意味と使い分けを解説

「賞品」と「景品」、どちらも何かもらえるイメージですが、その違い、正しく説明できますか?

ビジネスのキャンペーン企画や、日常のちょっとしたイベントでも、意外と迷うこの二つの言葉。

実は、その物が「何に対して贈られるか」という目的に大きな違いがあるんです。この記事を読めば、「賞品」と「景品」の核心的な意味の違いから、法律上の注意点、さらには具体的な使い分けまで、もう迷うことなく理解できますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「賞品」と「景品」の最も重要な違い

【要点】

「賞品」はコンテストや競争での成績優秀者への褒美、「景品」は購入や来店を促すための販売促進の付加価値(おまけ)として贈られるものです。与えられる目的が根本的に異なります。

まずは結論から。二つの言葉の最も重要な違いを表にまとめました。

項目賞品景品
中心的な意味優れた成績や功績に対する褒美・ほうび商品購入やサービス利用を促進するための付加価値・おまけ
与えられる目的努力や才能、成績をたたえるため販売促進、顧客誘引のため
対象者コンテスト、競争、抽選などの入賞者・当選者商品購入者、サービス利用者、来店者など(条件を満たした人)
具体例マラソン大会の優勝賞品、作文コンクールの最優秀賞品、懸賞の当選賞品購入者全員プレゼント、来店者への粗品、くじ引きの景品
関連法規特になし景品表示法による規制あり

一番のポイントは、「賞品」が努力や結果に対する「褒美」であるのに対し、「景品」は購買行動などを促すための「おまけ」という点ですね。この目的の違いを意識すれば、使い分けは難しくありません。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「賞」は“ほめる、価値を認める”、「景」は“景色、状況、おもむき”という意味を持ちます。「賞品」は価値あるものへの賛辞、「景品」はその場の状況を盛り上げる添え物、と捉えると理解しやすいでしょう。

なぜこのような意味の違いが生まれるのか、それぞれの漢字が持つ元々の意味を探ると、より深くイメージを掴むことができますよ。

「賞品」の成り立ち:「賞」が表す“功績や努力をたたえる”イメージ

「賞」という漢字は、「ほめる」「価値を認める」「ほうびを与える」といった意味を持っていますね。

功績をたたえて与える金銭を「賞金」、優れた作品に与えられる称号を「受賞」と言うことからも、そのニュアンスが分かります。

つまり、「賞品」とは、何らかの競争や評価において、優れた結果を出した人や、努力した人を「たたえる」ために贈られる品物、という核心的なイメージを持っているわけです。まさに「褒美の品」ですね。

「景品」の成り立ち:「景」が表す“引き立てるための添え物”イメージ

一方、「景」という漢字は、「景色」「日の光」「おもむき」「状況」といった意味があります。

何かの主役を引き立てたり、その場の雰囲気を良くしたりする「添え物」のようなニュアンスが含まれていますね。

例えば、経済の状況を「景気」、美しい景色を「景観」と言います。

このことから、「景品」とは、商品やサービスといった主役の販売を促進したり、イベントの状況を盛り上げたりするために「添えられる品物」、というイメージで捉えると分かりやすいでしょう。「おまけの品」という感覚に近いかもしれません。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

クイズ大会の勝者には「賞品」、スーパーの購入者向け抽選会で当たるのは「景品」です。努力や成績の結果なら「賞品」、購入や来店の付加価値なら「景品」と判断しましょう。

言葉の意味や成り立ちを理解したところで、実際の使い方を例文で見ていきましょう。ビジネスシーンと日常会話、そして間違いやすいNG例を紹介します。

ビジネスシーンでの使い分け

ビジネスの場では、特に景品表示法との関連で使い分けが重要になることもありますね。

【OK例文:賞品】

  • 営業成績トップの社員には、豪華海外旅行を賞品として贈呈します。
  • 創立記念懸賞の1等賞品は、最新型ノートパソコンです。
  • 社内アイデアコンテストの入賞者には、副賞品としてギフト券が授与されました。

【OK例文:景品】

  • 商品をご購入いただいたお客様全員に、オリジナルグッズを景品としてプレゼントいたします。
  • 1万円以上お買い上げの方を対象に、抽選で豪華景品が当たるキャンペーンを実施中です。
  • 展示会へのご来場者様には、もれなく粗品(景品)をご用意しております。

このように、何かに対する「対価」や「結果」としてもらうのが「賞品」、購入や来場といった「行為」に付随してもらうのが「景品」という違いが見えてきますね。

日常会話での使い分け

日常会話でも、基本的な考え方は同じです。

【OK例文:賞品】

  • 町内会の運動会、玉入れ競争の賞品はお米だったよ。
  • クイズ大会で優勝して、素敵な賞品をもらったんだ!
  • くじ引きで一等の賞品が当たった!

【OK例文:景品】

  • スーパーの抽選会で、残念ながら末等の景品(ポケットティッシュ)だった。
  • このお菓子、可愛いキャラクターの景品(シール)が付いているんだよ。
  • ゲームセンターのクレーンゲームで大きなぬいぐるみの景品をゲットした!

ゲームセンターのクレーンゲームの「景品」は、厳密には「プライズ」と呼ばれることが多いですが、一般的には「景品」として認識されていますね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味が逆になってしまうと、少し恥ずかしいかもしれません。よくある間違いを確認しておきましょう。

  • 【NG】マラソン大会完走者への記念景品
  • 【OK】マラソン大会完走者への記念賞品(または参加賞)。

完走という努力・結果に対するものなので「賞品」が適切です。「参加賞」という言い方もできますね。

  • 【NG】新車購入特典としてカーナビを賞品としてプレゼント。
  • 【OK】新車購入特典としてカーナビを景品としてプレゼント。

これは車の購入という取引に付随するものなので、「景品」が適切です。

「賞品」と「景品」の違いを法律(景品表示法)の観点から解説

【要点】

「景品表示法」は、主に「景品」に対して適用される法律です。過大な景品の提供を防ぎ、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ることを目的としています。「賞品」はこの法律の直接的な規制対象外ですが、企画内容によっては景品とみなされる可能性もあります。

ビジネスシーン、特に販売促進に関わる場面では、「景品表示法(景表法)」という法律が「景品」の提供に関して重要な意味を持ちます。

この法律は、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを厳しく規制し、また、過大な景品付き販売によって消費者が惑わされることを防ぐ目的があります。

景品表示法における「景品類」とは、

  1. 顧客を誘引するための手段として
  2. 事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
  3. 物品、金銭その他の経済上の利益

のことを指します。簡単に言えば、商品やサービスを買ってもらったり、利用してもらったりするために付いてくる「おまけ」のことですね。

この法律では、提供できる景品類の最高額や総額に制限が設けられています。これは、あまりにも豪華な景品で消費者の判断を歪め、質の悪い商品やサービスを買わせてしまうことを防ぐためです。

一方、「賞品」は、一般的にコンテストや懸賞などで優れた成績を収めた人に対して贈られるものであり、商品やサービスの取引に直接「付随」するものとは考えにくいため、原則として景品表示法の「景品類」には当たらないと解釈されています。

ただし、注意が必要です。例えば、商品購入者を対象とした懸賞企画の当選者に贈られるものは、名目上「賞品」であっても、実質的には商品購入に付随して提供される経済上の利益とみなされ、景品表示法の規制対象となる場合があります。

このように、特に企業が企画するキャンペーンなどでは、「賞品」と「景品」の区別と、景品表示法のルールを正しく理解しておくことが非常に重要になりますね。詳しくは消費者庁のウェブサイトなどで確認することをおすすめします。

僕がイベント企画で「景品」選びに頭を悩ませた話

以前、地域活性化のイベント企画に携わった時の話です。

目玉企画として、会場内のスタンプラリーを企画しました。いくつかのブースを回ってスタンプを集めると、最後にくじ引きに挑戦できるというものです。

問題は、そのくじ引きの「アタリ」を何にするかでした。

当初、僕は「スタンプラリー達成者への賞品」と考えて、地元の特産品詰め合わせ(結構豪華なやつです!)を用意しようとしていました。

しかし、企画会議で先輩から指摘が入りました。「待て待て、それは『賞品』じゃなくて『景品』扱いになるぞ。スタンプラリーは、ブースへの来場を促すためのものだろう?そうなると景品表示法の規制対象になるから、そんなに高額なものは出せない可能性がある」と。

正直、僕は「賞品も景品も、もらえる物には変わりないじゃないか」と軽く考えていました。しかし、先輩は景品表示法のガイドラインを見せながら、今回のケースが「一般懸賞」にあたり、提供できる景品の上限額が決まっていることを丁寧に説明してくれました。

もし、あの時「賞品」だと思い込んだまま進めていたら、法律違反になってイベント自体が大失敗に終わっていたかもしれません。冷や汗をかきましたね…

結局、景品表示法の範囲内で、地元の商店街で使える商品券や、協賛企業から提供いただいたグッズなどを「景品」として用意し、無事にイベントを終えることができました。

この経験を通して、言葉の意味の違いだけでなく、その言葉が使われる背景にあるルールや法律まで理解することの重要性を痛感しました。特にビジネスの場では、言葉一つで大きな問題に発展しかねない、ということを肝に銘じた出来事でしたね。

「賞品」と「景品」に関するよくある質問

Q1. 商品の購入者特典は「賞品」「景品」どちらですか?

商品の購入に付随して提供されるものは、原則として「景品」に該当します。例えば、「もれなくプレゼント」や「抽選で当たる」といったキャンペーンの提供品は景品と考えられます。

Q2. 社内コンテストの記念品はどちらになりますか?

従業員の成績や功績をたたえて贈られるものは「賞品」と考えるのが一般的です。これは通常の事業活動における取引とは異なるため、景品表示法の対象外となることが多いです。

Q3. 迷ったらどちらを使えば良いですか?

文脈によりますが、迷った場合はその物が「何に対して」贈られるのかを考えてみてください。競争やコンテストの結果に対する「褒美」であれば「賞品」、商品購入や来店促進などの「おまけ」であれば「景品」と判断するのが基本です。ただし、ビジネス上の企画では景品表示法の観点も重要になるため、注意が必要です。

「賞品」と「景品」の違いのまとめ

「賞品」と「景品」の違い、しっかり区別できるようになったでしょうか。

最後に、この記事の重要なポイントを3つにまとめますね。

  1. 目的で区別:「賞品」は功績や努力をたたえる褒美、「景品」は販売促進のためのおまけ
  2. 漢字のイメージ:「賞」は“ほめる”、「景」は“添え物”のニュアンス。
  3. 法律(景品表示法):「景品」には提供できる金額などに制限がある場合がある。

特にビジネスシーンでは、景品表示法が関わってくることもあるので注意が必要でしたね。この違いを理解しておけば、企画書作成やキャンペーン告知の際にも、自信を持って適切な言葉を選ぶことができるでしょう。

言葉の意味を正しく理解し、使いこなすことは、円滑なコミュニケーションの第一歩です。他の言葉の違いについても興味があれば、ぜひビジネス関連の言葉の使い分け解説記事もご覧になってみてくださいね。

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