「総合評価落札方式」と「プロポーザル」、どちらも役所や企業が仕事を発注する際の選び方ですが、いざ自分が提案する側になると「どっちで攻めるべき?」と迷ったことはありませんか?
結論から言うと、この二つの違いは「価格と品質の総合点で決める入札(総合評価)」と「最も優れた提案者を特定する選定(プロポーザル)」という、価格競争の有無と契約プロセスの違い。
総合評価はあくまで「入札」の一種ですが、プロポーザルは「随意契約」への入り口であることが多いのです。
この記事を読めば、それぞれの勝ちパターンや評価のポイントがスッキリと理解でき、案件に応じた最適な戦略を立てられるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「総合評価落札方式」と「プロポーザル」の最も重要な違い
基本的には、価格と技術点の合計スコアで落札者を決めるのが「総合評価落札方式」、価格競争はせず、提案内容の優秀さで契約相手を選ぶのが「プロポーザル方式」です。前者は工事や物品調達、後者は設計やコンサル業務によく使われます。
まず、結論からお伝えしますね。
「総合評価落札方式」と「プロポーザル」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、入札公告を見た瞬間に戦い方が見えてくるでしょう。
| 項目 | 総合評価落札方式 | プロポーザル方式 |
|---|---|---|
| 決定の基準 | 価格点 + 技術点 の総合スコア | 提案内容(技術力)を最優先 |
| 価格の扱い | 安いほど有利(競争入札) | 予算内ならOK(価格競争ではない) |
| 契約形態 | 一般競争入札(または指名競争入札) | 随意契約 |
| 主な対象 | 公共工事、物品購入、清掃業務 | 設計、コンサルティング、システム開発 |
| ゴール | 「落札者」の決定 | 「優先交渉権者」の特定 |
一番大切なポイントは、「総合評価は『価格』も勝負の大きな要素だが、プロポーザルは『中身』でほぼ決まる」ということです。
プロポーザルで安さをアピールしても、提案内容が劣っていれば勝てません。
なぜ違う?言葉の定義と契約の仕組みから正体を掴む
「総合評価落札方式」は価格のみで決める従来入札の進化版で、品質確保とダンピング防止が目的です。「プロポーザル(Proposal)」は“提案”を意味し、仕様が固まっていない知的業務において、最適なパートナーを選ぶための手法です。
なぜ二つの方式が存在するのか、言葉の定義と導入の背景から紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「総合評価落札方式」の定義:コスパ重視の入札
かつて公共工事の入札は、一番安い金額を書いた業者が勝つ「価格競争入札」が基本でした。
しかし、安かろう悪かろうの工事が増えたり、ダンピング(不当廉売)が横行したりしたため、「価格だけでなく、品質(技術力や施工計画)も点数化して、総合的に最も優れた業者を選ぶ」方式が導入されました。
これが総合評価落札方式です。
基本は「入札」なので、価格の安さも重要な評価ポイントになります。
「プロポーザル方式」の定義:ベストパートナー探し
一方、建物の設計やイベントの企画、複雑なシステム開発などは、事前に仕様(スペック)を完全に決めることが難しいですよね。
また、価格だけで選ぶと、斬新なアイデアや高度なノウハウが得られない可能性があります。
そこで、「金額ではなく、提案書(プロポーザル)やプレゼンテーションの中身を審査して、最も適任と思われる業者を特定する」方式が採用されます。
選ばれた業者は「優先交渉権者」となり、その後に見積もり合わせや価格交渉を行って契約を結びます。
具体的な利用シーンで使い分けをマスターする
仕様書通りに作れるかどうかが重要な工事や物品調達は「総合評価」、ゼロからアイデアや計画を作り上げる必要がある設計や調査業務は「プロポーザル」と使い分けるのが基本です。
言葉の違いは、具体的な発注案件で確認するのが一番ですよね。
官公庁や自治体の案件を例に、使い分けを見ていきましょう。
「総合評価落札方式」が使われるケース
手順や完成形が決まっていて、価格と品質のバランスを取りたい場合に使います。
【採用例】
- 道路や橋梁の建設工事(施工能力と価格のバランス)
- 庁舎の清掃業務委託(清掃品質とコスト削減の両立)
- 公用車の購入やリース(燃費性能やアフターサービスも評価)
- 大規模なシステムのハードウェア調達
「プロポーザル方式」が使われるケース
高度な専門性や創造性が求められ、価格での比較が馴染まない場合に使います。
【採用例】
- 新庁舎や図書館の基本設計業務(デザインや機能性の提案)
- 観光振興プランの策定業務(企画力や独自のアイデア)
- 地域活性化イベントの運営業務(演出や集客プラン)
- AIを活用した新規事業の実証実験(技術力とノウハウ)
【応用編】似ている言葉「コンペ(設計競技)」との違いは?
「コンペ(設計競技)」は主に建築やデザイン分野で使われ、具体的な「作品(成果物案)」そのものを評価して選びます。一方、「プロポーザル」は「実施方針」や「体制(人)」を評価して、一緒に仕事をするパートナーを選ぶという違いがあります。
「プロポーザル」と混同しやすいのが「コンペ(コンペティション)」です。
この二つの最大の違いは、「成果物で選ぶか(コンペ)」と「人で選ぶか(プロポーザル)」にあります。
コンペ(設計競技)は、具体的なデザイン案や図面を提出させ、その「作品の良し悪し」で勝者を決めます。
建築デザインやロゴマークの公募などがこれに当たります。
一方、プロポーザルは、まだ具体的な案ができる前の段階で、「どういう考え方で進めるか」「どんな実績のあるチームか」という「プロセスや体制」を評価します。
「この人たちなら良いものを作ってくれそうだ」という信頼を買うのがプロポーザルなんですね。
「総合評価落札方式」と「プロポーザル」の違いを法律・評価基準の視点から解説
総合評価落札方式は会計法や地方自治法に基づく「競争入札」の一形態で、数値的な評価値で自動的に落札者が決まります。プロポーザル方式は「随意契約」を行うための選定手続きであり、審査委員による合議や投票といった主観的な評価が含まれるのが特徴です。
ここでは少し専門的に、法律や審査の仕組みから深掘りしてみましょう。
公共調達の原則は「競争入札」であり、最も有利な条件(通常は最低価格)を出した者と契約することになっています。
総合評価落札方式は、この競争入札の枠組みの中で、「価格以外の要素」も評価値に換算する計算式(除算方式や加算方式)を使って、客観的な数値で勝者を決定します。
そのため、評価基準は事前にガチガチに決められています。
一方、プロポーザル方式は、性質上、競争入札になじまない場合に認められる「随意契約」の相手方を選ぶための手続きです(公募型プロポーザルなど)。
審査委員会が設置され、プレゼンやヒアリングを通じて、審査員の専門的知見や定性的な判断で順位付けを行います。
詳しくは国土交通省の総合評価落札方式ページや、各自治体の契約規則などで詳細を確認してみるのも勉強になりますよ。
僕がプロポーザル案件で「最安値」を出して落選し、赤っ恥をかいた体験談
僕も自治体営業を始めたばかりの頃、この二つの違いを甘く見ていて、痛い目を見たことがあります。
ある市役所が「観光Webサイト構築業務」の公募型プロポーザルを募集していました。僕は「よっしゃ、入札だ! とにかく安く出せば勝てるだろう」と勘違いし、仕様書ギリギリの最低限の機能で、圧倒的な安値を提示したんです。
企画書の作成もそこそこに、見積書の金額欄に「これなら他社は追随できないだろう」という数字を書き込み、自信満々で提出しました。
しかし、結果は一次審査(書類審査)で落選。
後日、開示された審査結果を見て愕然としました。
評価項目に「見積金額」の配点はわずか10点(100点満点中)しかなく、残りの90点は「企画提案力」「実施体制」「類似業務実績」だったのです。
勝ったのは、僕の見積もりの倍近い金額を提示していた大手制作会社でした。
彼らは金額こそ高かったものの、圧倒的に魅力的なコンテンツ企画と、万全の運用体制を提案しており、審査員から満場一致の評価を得ていました。
担当者の方にこっそり聞くと、「今回は『良いものを作ること』が目的のプロポーザルだったので、金額よりも提案の中身を重視しました。安すぎる提案は逆に『本当にできるのか?』と不安視されましたよ」と言われました。
この経験から、「プロポーザルは『価格競争』ではなく『価値競争』である」ということを骨身に沁みて学びました。
それ以来、プロポーザル案件では、予算上限いっぱいを使ってでも「最高の提案」を作ることに全力を注ぐようにしています。
「総合評価落札方式」と「プロポーザル」に関するよくある質問
プロポーザルでも金額は評価されますか?
はい、されます。ただし、総合評価落札方式のように「安ければ安いほど点数が跳ね上がる」という仕組みではないことが一般的です。「見積点が全体の1〜2割程度」であったり、「予算内であれば一律満点」とするケースもあります。あくまで「予算内で最高の提案を選ぶ」のが基本です。
総合評価落札方式の「標準型」と「簡易型」の違いは?
技術提案の難易度や工事規模によって使い分けられます。「標準型」は高度な技術提案を求める大規模工事向け、「簡易型」は施工計画などの簡易な提案を求める中小規模工事向けです。
プロポーザルで選ばれた後に価格交渉はできますか?
はい、可能です。プロポーザルでの選定はあくまで「優先交渉権者」の決定であり、契約金額の決定ではありません。選定後に詳細な仕様を詰め、見積もり合わせを行って最終的な契約金額を決定します(ただし、提案時の見積もり上限を超えることは通常できません)。
「総合評価落札方式」と「プロポーザル」の違いのまとめ
「総合評価落札方式」と「プロポーザル」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は基準の違い:価格と品質のバランス(総合評価)、提案内容の優劣(プロポーザル)。
- 契約の違い:競争入札による落札、随意契約のための特定。
- 対象の違い:工事や物品は総合評価、設計やソフト事業はプロポーザル。
- 戦略の違い:コストパフォーマンスを磨くか、企画力・技術力を磨くか。
言葉の意味だけでなく、発注者が「何を求めているか」という意図まで理解しておけば、勝率の高い提案ができるようになります。
これからは自信を持って、案件の性質に合わせた最適なアプローチをしていってくださいね。
もし、他にもビジネス用語や行政用語で迷うことがあれば、業界用語の違いまとめなども参考にしてみてください。
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