「曾孫」と「ひ孫」、どちらも孫の子供を指す言葉ですが、この二つの表記の違いや使い分けについて迷ったことはありませんか?
結論から言うと、「曾孫」と「ひ孫」は意味は全く同じですが、「曾孫」は漢字表記で公的な文書や改まった場面に使われ、「ひ孫」は読みやすさを重視した一般的な表記という違いがあります。また、「曾孫」は「ひまご」だけでなく「そうそん」とも読める点が特徴です。
この記事を読めば、年賀状や公的な書類での正しい書き方、さらにはその先の「玄孫(やしゃご)」などの続柄までスッキリと理解でき、世代を超えた家族の会話がより弾むようになります。
それでは、まず二つの言葉の核心的な違いを比較表で見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「曾孫」と「ひ孫」の最も重要な違い
意味は同じ「孫の子」。違いは表記と読み方です。「曾孫」は漢字で「そうそん」または「ひまご」と読み、格式高い印象。「ひ孫」はひらがな交じりで「ひまご」と読み、親しみやすい印象を与えます。
まずは、結論からお伝えしますね。
この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | 曾孫(そうそん/ひまご) | ひ孫(ひまご) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 孫の子供(自分から見て3代下)。 | 孫の子供(自分から見て3代下)。 |
| 表記 | 漢字(「曽孫」とも書く)。 | 混ぜ書き(ひらがな+漢字)。 |
| 読み方 | 「ひまご」または「そうそん」。 | 「ひまご」。 |
| ニュアンス | 硬い、正式、学術的、古風。 | 柔らかい、一般的、親しみやすい。 |
一番大切なポイントは、意味上の違いはないため、相手や場面の「堅苦しさ」に合わせて表記を選ぶだけで良いということです。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「曾(そう)」は「重なる」という意味を持ち、世代が重なることを表します。「ひ」は「へ(重)」が変化した和語で、これも繰り返しを意味します。
なぜ漢字とひらがなで使い分けられるのか、その背景にある言葉の成り立ちを紐解くと、より深く理解できますよ。
「曾孫」の成り立ち:「曾」は世代の重なり
「曾(そう)」という漢字は、「かつて」という意味のほかに、「重なる」という意味を持っています。
「祖父」の前の世代を「曾祖父(そうそふ)」と呼ぶように、「孫」からさらに一世代重なった存在であることを「曾」の字で表しています。
ちなみに「曾」は旧字体で、新字体(常用漢字)では「曽」と書きますが、意味は全く同じです。「曽孫」と書いても間違いではありません。
「ひ孫」の成り立ち:「ひ」は繰り返しの和語
一方、「ひ孫」の「ひ」は、大和言葉(和語)です。
この「ひ」は、「一(ひ)、二(ふ)、三(み)」の「ひ」ではなく、「へ(重)」が変化したものだと言われています。「一重(ひとえ)、二重(ふたえ)」のように、世代が重なっていく様子を表しています。
「ひ孫」とひらがなで書くことで、この日本古来の柔らかい響きが強調され、現代の日常会話ではこちらの表記が主流になっています。
具体的な例文で使い方をマスターする
公的な書類や家系図では「曾孫」、LINEや日常会話では「ひ孫」を使うのが一般的です。「そうそん」と音読みする場合は必ず漢字を使います。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
シーン別の使い分けを見ていきましょう。
フォーマル・書類での使い分け
【OK例文:曾孫(曽孫)】
- 被相続人の曾孫にあたる人物が相続人となった。(法律・公的書類)
- 徳川家康の曾孫である家綱。(歴史的な記述)
- 家系図には「曾孫」と記載されている。
「そうそん」と読む場合や、歴史的・法的な文脈では漢字表記が好まれます。
日常・SNSでの使い分け
【OK例文:ひ孫】
- おばあちゃんに初めてひ孫の顔を見せに行く。(日常会話)
- 「ひ孫が可愛くて仕方ない」と祖父が言っている。(SNSやメール)
- ひ孫世代まで受け継がれる時計。(一般的な表現)
親しみを込める場合や、パッと見て読みやすいようにする場合は「ひ孫」が圧倒的に便利です。
【応用編】似ている言葉「玄孫(やしゃご)」との違いは?
「玄孫(やしゃご)」は「ひ孫」のさらに子供、つまり孫の孫(4代下)を指します。「てご」とも読みますが、現代では「やしゃご」が一般的です。
「曾孫(ひ孫)」のさらに次の世代を指す言葉に「玄孫(やしゃご)」があります。
自分から見て、以下の順番になります。
- 子(こ)
- 孫(まご)
- 曾孫・ひ孫(ひまご)
- 玄孫(やしゃご)
- 来孫(らいそん)
「玄」には「奥深い」「遠い」という意味があり、自分から見てかなり遠い血縁であることを示しています。現代の長寿社会では、玄孫に会える方も稀にいらっしゃいますね。
「曾孫」と「ひ孫」の違いを文字・表記の視点から解説
「曾」は人名用漢字、「曽」は常用漢字です。公用文や新聞などでは「曽孫」と書くか、平仮名で「ひ孫」と書くことが推奨される傾向にあります。
少し専門的な視点から、この表記の背景を深掘りしてみましょう。
漢字の「曾」は旧字体であり、現在は常用漢字表には含まれていません(人名用漢字には含まれます)。その代わりとして新字体の「曽」が常用漢字として使われます。
そのため、新聞や公用文の基準では、「曽孫」と書くか、読みやすさを配慮して「ひ孫」と書く(混ぜ書きにする)ことが一般的です。
「曾孫」という表記は、戸籍や古い文献、あるいは個人のこだわり(名前に「曾」が使われている場合など)で使われることが多く、少し格式高い、あるいはクラシックな印象を与える表記と言えます。
僕が祖父の手紙で「曾孫」と書かれて読めなかった話
僕がまだ学生だった頃、実家の祖父から達筆な手紙が届きました。そこにはこう書かれていました。
「早く曾孫の顔が見たいものだ」
当時の僕は、この「曾孫」という漢字が読めませんでした。「そう…そん? なんだこれ?」と首をかしげ、辞書を引いて初めて「ひまご」と読むことを知りました。
祖父は昔気質の人で、手紙にはいつも難しい漢字を使っていました。その文字からは、単に「孫の子供」というだけでなく、代々続いていく家系への誇りや、命のつながりに対する厳粛な思いが伝わってくるようでした。
もしこれが「ひ孫」と書かれていたら、もっと軽く「はいはい、いつかね」と流していたかもしれません。
この経験から、「曾孫」という漢字表記には、長い時間を積み重ねてきた重みと、世代を繋ぐ祈りのようなものが込められていると感じるようになりました。
「曾孫」と「ひ孫」に関するよくある質問
「曾孫」と「曽孫」、どっちが正しいですか?
どちらも正しいです。「曾」は旧字体、「曽」は新字体(常用漢字)です。意味や読み方は全く同じですが、現代の一般的な文章では「曽孫」や「ひ孫」が使われることが多いです。
「ひこ」と読むのは間違いですか?
間違いではありません。「曾孫」は古語で「ひこ」とも読みます。しかし、現代日本語としては「ひまご」と読むのが一般的で、「ひこ」と言っても通じない可能性が高いです。
ひ孫の子供は何と言いますか?
ひ孫の子供(自分から見て4代下)は「玄孫(やしゃご)」と言います。さらにその子供(5代下)は「来孫(らいそん)」、その次は「昆孫(こんそん)」と続きます。
「曾孫」と「ひ孫」の違いのまとめ
「曾孫」と「ひ孫」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本の違い:意味は同じ。「曾孫」は漢字(硬い)、「ひ孫」は混ぜ書き(柔らかい)。
- 読み方の幅:「曾孫」は「ひまご」とも「そうそん」とも読める。
- 使い分け:公的・儀礼的な場は「曾孫(曽孫)」、日常・親しみは「ひ孫」。
言葉の選び方一つで、その子に対する敬意や愛情のニュアンスが変わってきますね。
これからは相手やシチュエーションに合わせて、最適な表記を選んでみてください。さらに詳しい家族や親族の呼び方については、社会・関係の言葉の違いまとめもぜひご覧ください。
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