「still」と「yet」の違い!まだ終わらない?もう終わった?

「still」と「yet」、どちらも日本語に訳すと「まだ」となることが多く、使い分けに迷った経験はありませんか?

実はこの2つの単語、動作が「継続している」のか、完了が「期待されている」のかという視点で使い分けるのが基本です。

この記事を読めば、それぞれの単語が持つコアイメージから文脈に応じた正しい使い分け、さらには「already」との違いまでスッキリと理解でき、もう英語のメールや会話で迷うことはありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「still」と「yet」の最も重要な違い

【要点】

基本的には状態が続いているなら「still」、完了を待っているなら「yet」と覚えるのが簡単です。「still」は「静止・継続」のニュアンス、「yet」は「未完了・期待」のニュアンスを持ちます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目stillyet
中心的な意味(以前から)まだ~している(現時点では)まだ~ない、もう~したか
イメージ継続・静止(変化していない)未完了・期待(変化が予想される)
主な使用場面肯定文、疑問文、否定文否定文、疑問文
ニュアンス驚き、不満、変わらないことへの強調単なる事実の確認、完了することへの期待
文中の位置主に文の中央(動詞の前、be動詞の後)主に文末

一番大切なポイントは、「still」は「変化がないこと」に焦点を当て、「yet」は「変化が起こること(完了)」を前提としているということですね。

なぜ違う?単語の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「still」は語源的に「動かない」「静かな」という意味を持ち、状態が変わらず続いていることを表します。一方、「yet」は「今までのところ」という意味合いが強く、完了へ向かう時間の流れの中での「未達」を意識させます。

なぜこの二つの単語にニュアンスの違いが生まれるのか、語源やコアイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「still」のイメージ:「静止」したまま続いている

「still」は、形容詞で「静かな」「じっとした」という意味がある通り、「動きがなく、その状態が固定されている」というイメージが根底にあります。

「Stand still.(じっとしていなさい)」というフレーズを聞いたことがあるかもしれません。

そこから副詞として、「過去から現在に至るまで、状態が変わらずに続いている」=「まだ~している」という意味で使われるようになりました。

「まだ雨が降っている(止む気配がない)」「まだ怒っている(機嫌が直らない)」のように、変化が起きていないことを強調したい時に使います。

「yet」のイメージ:「今」という地点での「未完了」

一方、「yet」は、「今までのところ」「現時点では」という意味合いを含んでいます。

これは、「ある事柄が起こることを期待しているが、今の時点ではまだ起きていない(あるいは起きたか確認する)」というニュアンスです。

否定文での「not ~ yet」は「(起こるはずのことが)まだ起きていない」、疑問文での「~ yet?」は「(起こるはずのことが)もう起きたか?」となります。

つまり、「yet」を使う時は、話し手の中に「その動作はいずれ完了する」という前提や期待があるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「まだ仕事をしている」と継続を強調するなら「still」、「まだ仕事が終わっていない」と完了していない事実を伝えるなら「yet」を使います。疑問文でのニュアンスの違いにも注意が必要です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

進捗確認などの場面で、ニュアンスを正しく伝えることが大切ですよ。

【OK例文:still】

  • I am still working on the report.
    (私はまだそのレポートに取り組んでいます。=作業が継続中)
  • We are still waiting for their reply.
    (私たちはまだ彼らからの返事を待っています。=待つ状態が続いている)
  • Do you still have the document?
    まだその書類を持っていますか?=手元にある状態が続いているか)

【OK例文:yet】

  • I haven’t finished the report yet.
    (私はまだレポートを終えていません。=完了していない事実)
  • Have you received the invoice yet?
    もう請求書を受け取りましたか?=完了したかどうかの確認)
  • We haven’t decided on the date yet.
    まだ日程を決めていません。=決定に至っていない)

日常会話での使い分け

日常会話でも、感情の込め方によって使い分けます。

【OK例文:still】

  • Are you still sleeping?
    まだ寝てるの?=起きているはずの時間なのに継続している驚きや呆れ)
  • I still love her.
    今でも彼女を愛している。=感情が継続している)

【OK例文:yet】

  • Are you ready yet?
    もう準備できた?=準備完了を期待して聞く)
  • Not yet.
    まだだよ。=準備完了していない)

これはNG!間違えやすい使い方

文法的には通じることもありますが、ニュアンスが異なってしまう例を見てみましょう。

  • 【NG】(「もう準備できた?」と聞かれて)I’m still not ready.
    まだ準備できてないんだよ!※強い否定や焦り)
  • 【OK】(「もう準備できた?」と聞かれて)I’m not ready yet.
    まだ準備できていません。※単なる事実)

「I’m still not ready.」と言うと、「準備できていない状態が(予想以上に長く)続いている」というニュアンスになり、「まだ全然できてないんだよ(急かさないで)」といった感情的な響きや、「どうしてまだできていないんだ」という強い否定に聞こえることがあります。

単に「まだです」と答えるなら「Not yet.」や「I’m not ready yet.」が自然ですね。

【応用編】似ている言葉「already」との違いは?

【要点】

「already」は「すでに」という意味で、予想よりも早く完了したことや、肯定文での完了を表します。「yet」は未完了や完了への疑問、「still」は継続を表すのに対し、「already」は「完了済み」を強調します。

「still」「yet」とセットで覚えたいのが「already(すでに)」です。これも押さえておくと、完了表現の理解が完璧になりますよ。

「already」は、「予想よりも早く」何かが完了している場合や、単に「すでに終わっている」という肯定の事実を伝えるにに使いま。

  • I have already finished my homework.
    (私はすでに宿題を終えました。)
  • Has he arrived already?
    (彼はもう着いたの?=早すぎる!という驚き)

疑問文で「yet」を使うと「もう着いた?(着く頃だよね)」というフラットな確認ですが、「already」を使うと「もう着いたの?(まだだと思っていたのに)」という驚きのニュアンスが含まれます。

「still(まだ続いている)」「yet(まだ終わっていない/もう終わった?)」「already(すでに終わった)」という時間軸の違いをイメージしましょう。

「still」と「yet」の違いを学術的に解説

【要点】

言語学的には、「still」は「非変化」を前提とし、肯定文で頻繁に用いられます。対して「yet」は「変化」の可能性を前提とし、否定対極表現(NPI)としての性質を持ち、否定文や疑問文と強く結びつきます。

少し専門的な視点から、この二つの単語の文法的な性質を見てみましょう。

言語学において、「still」は「アスペクト(相)」の観点から「継続相(durative aspect)」に関連付けられます。

ある事象が基準となる時点(現在など)において、過去から変わらずに存在し続けていることをマークする機能を持っています。そのため、状態動詞や進行形と非常に相性が良いのです。

一方、「yet」は「否定対極表現(Negative Polarity Item: NPI)」としての性質が強く、否定のコンテキスト(文脈)で出現することが基本とされています。

「yet」は「事象の完了」を予期している状況下で、その完了が「非実現」であることを示すマーカーとして機能します。

国立国語研究所などのコーパス研究を見ても、学習者がこの「継続(still)」と「未完了(not yet)」の使い分けに苦労する傾向があり、母語の「まだ」という単語の多義性に引きずられやすいことが指摘されています。

詳しくは国立国語研究所などの言語学リソースで、副詞の習得研究などを参照するとさらに深い理解が得られるでしょう。

「still」と「yet」に関する体験談

僕も海外とのメールのやり取りで、「still」と「yet」のニュアンスの違いで冷や汗をかいた経験があります。

入社2年目の頃、海外のクライアントにプロジェクトの進捗を確認するメールを送りました。納期が近づいていたので、「もう終わりましたか?」と丁寧に聞くつもりでした。

しかし、僕は焦りもあって、なんとなく「継続」のイメージで「Are you still working on it?(まだ作業中ですか?)」と送ってしまったんです。

相手からは「Yes, we are working hard. Is there a problem?(はい、懸命にやっていますよ。何か問題でも?)」と、少し防衛的な返信が来ました。

後で先輩に聞くと、「still」を使うと「(終わっているはずなのに)まだやっているのか?」という、「遅い」ことを非難するようなニュアンスが含まれてしまうことがあると教わりました。

単に完了したかを確認したいなら、「Have you finished it yet?」と聞くのが正解だったのです。

「still」には「驚き」や「不満」の感情が乗る場合がある。このことを身をもって学んだ出来事でした。それ以来、進捗確認では「yet」を使うように徹底しています。

「still」と「yet」に関するよくある質問

肯定文で「yet」を使うことはありますか?

はい、あります。「have yet to ~(まだ~していない)」という形で、これから~しなければならない、という意味で使われます。例えば「We have yet to decide.(まだ決定していません)」のように、少し硬い表現としてビジネスなどで用いられます。

「still」を否定文で使うとどうなりますか?

「still not」の順序で使われ、「いまだに~ない」という強い否定や、状況が変わらないことへの不満・驚きを表します。「I still haven’t received it.(まだ受け取っていないんです!)」のように、待ちくたびれた感情がこもることが多いです。

「not yet」と「not anymore」の違いは?

「not yet」は「まだ~ない(これから起こる)」という未完了を表します。「not anymore」は「もはや~ない(これ以上続かない)」という終了を表します。「I don’t smoke anymore.(もうタバコは吸いません)」のように使います。

「still」と「yet」の違いのまとめ

「still」と「yet」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は「継続」か「未完了」か:「ずっと続いている」なら「still」、「まだ終わっていない(完了を期待)」なら「yet」。
  2. 文中の位置:「still」は文の中央、「yet」は文末に置くことが多い。
  3. 感情のニュアンス:「still」は驚きや不満を含むことがある。「yet」はフラットな確認や事実。
  4. 迷ったら「変化」を意識:変化していないなら「still」、変化(完了)を待っているなら「yet」。

言葉の背景にある「静止」と「期待」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、的確な英単語を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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