「stop to」と「stop ing」の違いとは?意味が真逆になる使い分けを解説

「stop to」と「stop ing」の違いを一言で言うなら、「これからする」ために止まるのか、「今している」ことをやめるのかという点に尽きます。

どちらも中学英語で習う基本表現ですが、使い間違えると「禁煙した」と言いたいのに「タバコを吸うために立ち止まった」と伝わってしまうなど、意味が真逆になってしまうので注意が必要です。

この記事を読めば、それぞれの形が持つ「未来」と「現実」のイメージの違いから、ネイティブが自然に使い分けている感覚までスッキリと理解でき、もう二度と迷うことはありません。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「stop to」と「stop ing」の最も重要な違い

【要点】

基本的には「〜するために立ち止まる」なら「to」、「〜するのをやめる」なら「ing」と覚えるのが簡単です。「to」は目的(未来)、「ing」は行為そのもの(現在・過去)を指します。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの表現の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目stop to dostop doing
中心的な意味〜するために(立ち)止まる〜するのをやめる
動作の順序止まる → その後「〜する」
(未来志向)
「〜している」 → それをやめる
(現実志向)
stopの品詞自動詞(立ち止まる)他動詞(〜を中断させる)
目的語なし(to以下は副詞的用法)あり(ing以下が目的語)

一番大切なポイントは、「to」はこれから向かう矢印のイメージ、「ing」はすでに回っている動画のイメージということです。

例えば、「He stopped to smoke.」は「彼は(歩くのをやめて)タバコを吸った」ですが、「He stopped smoking.」は「彼は(習慣としての)タバコをやめた=禁煙した」となります。

なぜ違う?「to」と「ing」のコアイメージから掴む

【要点】

「to(不定詞)」は「→(矢印)」で未来や目的を表し、「ing(動名詞)」は「躍動感・継続」で実際に行われている動作を表します。このイメージを持つと、stop以外の動詞でも応用が効きます。

なぜこの二つの形に意味の違いが生まれるのか、それぞれのコアイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「to(不定詞)」のイメージ:未来への矢印

「to」の基本イメージは「矢印(→)」です。

どこかへ向かっている、これから到達するというニュアンスがあります。

「stop to do」の場合、「stop(止まって)」→「to do(〜することに向かう)」という流れになります。

つまり、「止まった目的は、これから〜するためだ」という意味になるのです。

「ing(動名詞)」のイメージ:リアルな動画

一方、「ing」の基本イメージは「動画」や「最中」です。

実際にその行為が行われている、あるいは習慣として存在しているというリアリティがあります。

「stop doing」の場合、「doing(実際にしていること)」を「stop(止める)」という構造になります。

つまり、「今やっている(または習慣にしている)その行為自体を終了する」という意味になるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

中断して別のことを始める場合は「stop to」、その行為自体を終了する場合は「stop ing」を使います。ビジネスでは会議の中断やプロジェクトの中止などで使い分ける場面が多いです。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

日常会話での使い分け

状況をイメージしながら読むと分かりやすいですよ。

【OK例文:stop to(〜するために止まる)】

  • I stopped to buy some coffee.(コーヒーを買うために立ち止まった。)
  • Let’s stop to take a break.(休憩するために手を止めよう。)

【OK例文:stop ing(〜をやめる)】

  • Please stop talking.(おしゃべりをやめてください。)
  • I stopped eating snacks at night.(夜にお菓子を食べるのをやめた。)

ビジネスシーンでの使い分け

仕事の進行状況を伝える際にも重要です。

【OK例文:stop to】

  • We stopped to discuss the new issue.(新たな問題を議論するために、(今の作業を)中断した。)

【OK例文:stop ing】

  • We stopped working on the project.(私たちはそのプロジェクトの作業を中止した。)

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じないどころか、誤解を招く使い方を見てみましょう。

  • 【NG】 I want to stop to worry about the future.
  • 【OK】 I want to stop worrying about the future.

「将来の心配をするのをやめたい」と言いたい場合、「stop to worry」だと「心配するために立ち止まりたい」という、かなりネガティブで不自然な意味になってしまいます。

「心配する」という行為自体をやめたいので、「ing」を使うのが正解ですね。

【応用編】似ている言葉「remember」「forget」との違いは?

【要点】

「remember/forget」も「stop」と同様に、後ろに「to」が来るか「ing」が来るかで意味が変わります。「to」は「(未来に)〜することを」、「ing」は「(過去に)〜したことを」という意味になります。

「stop」と同じように、「to」と「ing」で意味が変わる動詞は他にもあります。

これらもセットで覚えておくと、英語の感覚がより鋭くなりますよ。

remember to / ing

  • remember to do:忘れずに〜する(未来のタスク)
    例:Please remember to lock the door.(忘れずにドアに鍵をかけてね。)
  • remember doing:〜したことを覚えている(過去の記憶)
    例:I remember locking the door.(ドアに鍵をかけたことを覚えている。)

forget to / ing

  • forget to do:〜するのを忘れる(未完了)
    例:I forgot to buy milk.(牛乳を買うのを忘れた。)
  • forget doing:〜したことを忘れる(完了・経験)
    例:I will never forget meeting you.(あなたに会ったことは決して忘れません。)

ここでも、「to=未来・未完了」「ing=過去・事実」というコアイメージが共通していますね。

「stop to」と「stop ing」の違いを文法的な視点から解説

【要点】

「stop to do」の「stop」は自動詞で、「to do」は目的を表す副詞的用法です。一方、「stop doing」の「stop」は他動詞で、「doing」は目的語となる名詞的用法(動名詞)です。

感覚だけでなく、文法的な構造を知っておくと、迷った時の強力な判断材料になります。

専門的な視点から、決定的な違いを解説します。

1. 自動詞か他動詞か

「stop to do」の「stop」は、単に「止まる」「立ち止まる」という意味の自動詞です。

後ろに続く「to do」は不定詞の副詞的用法で、「〜するために」と動詞を修飾しています。

文の要素としては、「S(主語)+V(動詞)」で文が成立しており、「to do」は修飾語(M)です。

2. 目的語を取るか

一方、「stop doing」の「stop」は、「〜を終える」「〜を中止する」という意味の他動詞です。

他動詞は必ず目的語(O)を必要とします。

この場合、「doing(〜すること)」という動名詞が目的語になっています。

文の要素としては、「S(主語)+V(動詞)+O(目的語)」の第3文型を作ります。

僕が「stop to smoke」と言って爆笑された体験談

僕も留学したての頃、この「to」と「ing」の違いで恥ずかしい思いをしたことがあります。

ホームステイ先のホストファーザーと健康について話していた時のことです。

当時、僕は禁煙に挑戦中だったので、自信満々にこう宣言しました。

「I decided to stop to smoke!」

すると、ホストファーザーは目を丸くして、「えっ? 今から吸いに行くのかい? 健康の話をしていたのに?」と大笑いしました。

僕は「禁煙する」と言ったつもりでしたが、実際には「(何かをやめて)タバコを吸うために立ち止まることに決めた」という意味になってしまっていたのです。

「禁煙する」と言いたいなら、「stop smoking」と言わなければならなかったんですね。

顔から火が出るほど恥ずかしかったですが、この失敗のおかげで、「to」は「これから向かう未来」、「ing」は「していること」というイメージが強烈に頭に焼き付きました。

文法用語で覚えるよりも、こうした失敗や具体的なイメージの方が、実践では役に立つものですね。

「stop to」と「stop ing」に関するよくある質問

「stop to ing」という形はありますか?

いいえ、ありません。「stop」の後ろには「to不定詞」か「動名詞(ing)」のどちらかが来ますが、「to」の後ろに「ing」が来ることは、この表現に関しては基本的にはありません。

「try to」と「try ing」も同じような違いですか?

はい、似ています。「try to do」は「〜しようと努力する(未来への挑戦)」、「try doing」は「試しに〜してみる(実際の行為)」という違いがあります。やはり「to=未来」「ing=実際」のイメージが当てはまります。

「quit」は「to」と「ing」どちらを使いますか?

「quit」は「やめる」という意味で、「stop doing」と同じく動名詞(ing)のみを目的語に取ります。「quit to do」とは言いません。「quit smoking(タバコをやめる)」のように使います。

「stop to」と「stop ing」の違いのまとめ

「stop to」と「stop ing」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は矢印か動画か:「to」は未来への目的(〜するために)、「ing」は継続中の行為(〜することを)。
  2. 意味の逆転に注意:「stop to」は新しい動作の開始、「stop ing」は動作の終了。
  3. 文法構造:「stop to」は自動詞+副詞、「stop ing」は他動詞+目的語。

言葉の背景にある「未来」と「現実」のイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

英語学習についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

文部科学省の外国語教育に関する資料なども参考にしながら、これからは自信を持って、的確な表現を選んでいきましょう。

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