「収益」と「利益」の違い!黒字倒産を防ぐための基礎知識

「収益」と「利益」、ビジネスの現場でこの二つの違いを即座に説明できますか?

実は、「収益」は会社に入ってくるお金の総額を指し、「利益」はその収益から経費を差し引いて手元に残るお金のこと

この二つを混同していると、いくら売っても儲からないという事態に陥りかねません。

この記事を読めば、それぞれの正しい定義や計算式、ビジネスシーンでの使い分けが明確になり、決算書も自信を持って読めるようになります。

それでは、まず二つの決定的な違いを比較表で見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「収益」と「利益」の最も重要な違い

【要点】

収益は「入ってくるお金の合計」であり、コストを引く前の数字です。対して利益は「手元に残る儲け」であり、収益から費用を引いた結果です。経営の健全性を見るには利益が重要になります。

まずは、この二つの言葉の最も重要な違いを以下の表にまとめました。これさえ頭に入っていれば、基本的な理解はバッチリです。

項目収益 (Revenue)利益 (Profit)
中心的な意味企業に入ってくるお金の総額経費を差し引いた儲け
計算式売上高 + 営業外収益など収益 - 費用(経費)
マイナス基本的にあり得ない赤字(損失)としてあり得る
注視する点事業の規模や成長性事業の効率性や存続能力
イメージ入金(プラスのフロー)残金(成果のストック)

一言で言えば、「いくら売ったか」が収益で、「いくら儲かったか」が利益です。

どんなに収益が大きくても、それ以上に費用がかかっていれば、利益はマイナス(赤字)になってしまいますよね。

逆に、収益がそれほど大きくなくても、費用を最小限に抑えれば、しっかりとした利益を残すことができます。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「収」は取り入れること、「利」は鋭い刃物で刈り取った成果を意味します。「益」はどちらも増えることを表しますが、前者は「集めて増やす」、後者は「役に立つ成果」というニュアンスの違いがあります。

漢字の成り立ちを知ると、言葉の持つ本来のイメージがより鮮明になります。

「収益」の語源的イメージ

「収」という字は、農作物をとり入れることを意味します。「益」は水が溢れるように増えること。

つまり、「外から自分の方へ取り込んで、資産が増えること」という、入ってくる流れそのものに焦点を当てた言葉です。

「利益」の語源的イメージ

「利」という字は、もともと「稲」と「刃物」を組み合わせた字で、鋭い刃物で穀物を刈り取ることを意味し、転じて「役に立つ」「儲け」という意味になりました。

「刈り取って手にした成果」というニュアンスが強く、苦労(コスト)を払って得られた最終的な実りを指しています。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

収益は「上がる」「計上する」といった表現で規模を示す際に使い、利益は「出る」「確保する」といった表現で成果を示す際に使います。文脈に合わせて主語を意識することが大切です。

意味が分かったところで、次は実際のビジネスシーンでどう使い分けるかを見ていきましょう。

ビジネスシーンでの「収益」の例文

OK例
「新規事業が好調で、今期の収益は昨対比120%を達成しました。」
(売上などの入金額が増えたことを強調する場合)

OK例
「動画広告からの収益化を図るために、プラットフォームを整備する。」
(お金を生み出す仕組みそのものを指す場合)

ビジネスシーンでの「利益」の例文

OK例
「売上は伸びたが、広告費がかさんだため利益は横ばいだ。」
(コストを引いた結果の儲けについて話す場合)

OK例
「薄利多売のモデルから脱却し、高い利益率を確保できる商品開発が必要だ。」
(効率性や手残りの質を議論する場合)

やってしまいがちなNG例

NG例
「経費削減を徹底して、収益を改善しよう。」
(経費を減らして改善するのは「利益」です。収益(売上)は経費削減では直接増えません。)

【応用編】似ている言葉「売上」との違いは?

【要点】

「売上」は本業の商品やサービスを売って得たお金のこと。「収益」は売上に加えて、不動産収入や利息など本業以外からの収入も含んだ、より広い概念です。

「収益」とほぼ同じ意味で使われる言葉に「売上(売上高)」があります。この違いも整理しておきましょう。

  • 売上(Sales):本業の営業活動によって得られた対価。
    (例:自動車メーカーなら車の販売代金)
  • 収益(Revenue):売上 + 本業以外の収入。
    (例:車の販売代金 + 保有ビルの家賃収入 + 銀行預金の利息など)

つまり、「収益」という大きな枠組みの中に「売上」が含まれているという関係性ですね。

日常会話レベルでは「収益=売上」としても通じることが多いですが、会計や決算の話をする際は、この区別が非常に重要になります。

「収益」と「利益」の違いを学術的に解説

【要点】

会計学上、収益は「資産の増加または負債の減少」をもたらす要因であり、利益は「収益と費用の差額」として定義されます。損益計算書(P/L)では、これらが段階的に計算され、企業の成績が表示されます。

ここでは少し専門的に、会計学の視点から解説します。

企業会計において、企業の成績表とも言える「損益計算書(P/L: Profit and Loss Statement)」は、その名の通り「収益(Profitの源泉)」と「費用(Loss)」を対比させて計算します。

日本の企業会計原則では、収益は「実現主義」に基づいて認識されることが一般的です。これは、商品を引き渡したりサービスを提供したりして、対価(現金や売掛金)を受け取る権利が確定した時点で計上するというルールです。

一方、利益には以下の5つの段階があります。

  1. 売上総利益(粗利):売上高 - 売上原価
  2. 営業利益:売上総利益 - 販管費(本業の儲け)
  3. 経常利益:営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用(会社全体の恒常的な儲け)
  4. 税引前当期純利益:経常利益 + 特別利益 - 特別損失
  5. 当期純利益:税金などを引いた最終的な手残り

このように、「収益」は入り口の総称であり、「利益」はプロセスを経て残った出口の名称として、厳密に体系化されているのです。

より詳しい会計のルールについては、金融庁の企業会計審議会が公表している情報なども参考になります。

売上は上がったのに手元にお金がない?僕が陥った「利益」の罠

これは僕がまだ、Webマーケティングの個人事業主として独立したばかりの頃の話です。

ある月、大型の広告運用案件を受注し、月の「収益(売上)」が初めて100万円を超えました。「やった!これで年収1000万ペースだ!」と、僕は有頂天になりました。

友人にも「今月、収益100万いったわ~」なんて自慢気に話していたのを覚えています。

しかし、翌月の通帳を見て愕然としました。残高がほとんど増えていないどころか、むしろ減りそうだったからです。

理由は単純でした。その案件は、広告費を僕が一度立て替えて支払う契約だったのです。さらに、制作のために外部のデザイナーやライターに外注費を支払っていました。

収益(売上)は100万円でも、広告費と外注費という「費用」が90万円近くかかっており、僕の手元に残る「利益」はわずか10万円程度だったのです。そこから自分の生活費や社会保険料を払えば、赤字ギリギリ。

「収益」の大きさだけに目を奪われ、「利益率」や「キャッシュフロー」を全く管理できていなかったのです。

「稼いでいるはずのにお金がない」という恐怖。この経験から、僕は「規模(収益)を追うのではなく、実質(利益)を追う」ことの重要性を痛感しました。

それ以来、案件を受ける際は必ず「利益率」を計算し、見かけの数字に踊らされないよう徹底しています。みなさんも、収益という華やかな数字の裏にある、利益という現実を直視することを忘れないでくださいね。

「収益」と「利益」に関するよくある質問

ここでは、収益と利益に関してよく検索される疑問に、Q&A形式で端的に答えていきます。

Q. 決算書を見るとき、株主は収益と利益のどちらを重視しますか?

A. 一般的には「利益(特に当期純利益)」を重視します。配当金の原資となるのが最終的な利益だからです。ただし、Amazonのような成長企業の場合は、将来のシェア拡大を期待して、利益より「収益(売上)」の成長率が重視されることもあります。

Q. 「収益性」という言葉はどちらの意味ですか?

A. 「収益性」と言う場合は、実は「利益」を出す力を指すことが多いです。「収益性が高い」=「利益率が高い(効率よく儲けている)」という意味で使われます。言葉のあやでややこしいですよね。

Q. NPO法人などの非営利団体でも利益を出していいのですか?

A. はい、出して大丈夫です。非営利とは「利益を分配しない(株主などに配当しない)」という意味であり、活動継続のために収益を上げ、利益(余剰金)を出すことは問題ありませんし、むしろ健全な運営には必要です。

「収益」と「利益」の違いのまとめ

いかがでしたか?今回は「収益」と「利益」の違いについて解説しました。

最後に、もう一度要点をまとめておきましょう。

  • 収益:企業に入ってくるお金の総額(売上など)。規模を表す。
  • 利益:収益から費用を引いた残り。企業の存続能力や効率性を表す。
  • 関係性:収益 - 費用 = 利益

ビジネスの会話やニュースでこれらの言葉が出てきたら、「入ってくるお金の話か」「残るお金の話か」を意識して聞いてみてください。それだけで、企業の経営状態がより深く理解できるようになるはずです。

言葉の正しい定義を知ることは、ビジネスの解像度を上げることそのものです。

もし、他にもビジネス用語やマーケティング用語で迷うことがあれば、ぜひ以下のまとめ記事も参考にしてみてくださいね。正しい言葉の武器を手に入れて、明日からの仕事に活かしていきましょう!

マーケティング用語の使い分けをもっと知りたい方はこちら
マーケティング用語の使い分けまとめ

スポンサーリンク