「テッセン」と「クレマチス」の違い!園芸店で迷わない知識

初夏から秋にかけてフェンスやアーチを美しく彩るつる性植物、「テッセン」と「クレマチス」の違いを正確に説明できますか?

実はこれら、片方が大きな植物のグループ名であり、もう片方はその中に含まれる「特定の原種」の名前なのです。

この記事を読めば、園芸店で迷いがちな名前の謎から、日本の伝統的な品種との関係性まで完全にマスターできます。

それでは、最もわかりやすい決定的な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「テッセン」と「クレマチス」の最も重要な違い

【要点】

「クレマチス」はキンポウゲ科センニンソウ属(クレマチス属)のつる性植物の総称です。対して「テッセン」は、そのクレマチス属の中に含まれる中国原産の特定の原種(クレマチス・フロリダ)を指します。

まずは、一番気になっている結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

項目クレマチス(Clematis)テッセン(鉄線)
指し示す範囲大きなグループ名(属名・総称)特定の品種名(原種名)
植物学上の位置づけキンポウゲ科センニンソウ属全般クレマチス属の中の「フロリダ種」
原産地北半球を中心に世界中(約300種)中国(日本には室町時代に渡来)
花の特徴品種により色・形・咲き方は多種多様乳白色の6枚の萼片(がくへん)に紫の雄しべ

一番大切なポイントは、「テッセンはクレマチスの一種であるが、すべてのクレマチスがテッセンというわけではない」という事実です。

「犬」という大きなグループの中に「柴犬」がいるのと同じような関係性だとイメージするとわかりやすいでしょう。

なぜ違う?言葉の語源からイメージを掴む

【要点】

「クレマチス」はギリシャ語の「つる」を意味する言葉が語源であり、植物の性質そのものを表しています。一方、「テッセン」は茎が鉄の線のように細くて硬いことに由来し、見た目の特徴を捉えた和名です。

なぜこのような名前の違いが生まれたのか、語源を紐解くとそれぞれの植物の姿がくっきりと浮かび上がりますよ。

名前の由来には、昔の人がその植物のどこに注目したかが色濃く反映されています。

「クレマチス」の語源:ギリシャ語で「つる」を意味する言葉

「クレマチス(Clematis)」という言葉は、ギリシャ語で「つる(蔓)」や「巻き上げること」を意味する「clema(クレマ)」が語源となっています。

その名の通り、他の植物やフェンスに細いつるを絡ませながら成長していく性質を見事に表していますよね。

西洋では古くから「つる性植物の女王」と呼ばれ、庭の立体的な装飾に欠かせない植物として愛されてきました。

「テッセン」の語源:鉄の線のように細くて硬いつる

一方の「テッセン」は、漢字で書くと「鉄線」となります。

これは、つるが針金のように細く、それでいて鉄のように硬く丈夫であることから名付けられました。

中国から室町時代の日本に渡来した際、その強靭な茎の性質と、白く気品のある花の美しさが人々の心を捉えたのでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常の園芸会話では、数ある品種全般を指す時は「クレマチス」、中国原産の特定の原種(またはそれに似た交配種)を指す時は「テッセン」と使い分けるのが正確です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番の近道ですよね。

植物を愛でるシーンでの使い分けと、間違えやすいNG例を見ていきましょう。

日常会話・園芸シーンでの使い分け

対象がグループ全体なのか、特定の品種なのかを意識すると簡単ですよ。

  • 庭のアーチに、色鮮やかな数種類のクレマチスを這わせる。
  • ガーデニングショップで、最新のクレマチスの交配種を購入した。
  • 白い6枚の花びらと紫の中心が美しい、原種のテッセンを大切に育てる。
  • お茶席に飾られた一輪のテッセンが、初夏の涼やかさを演出している。

「クレマチス」は植物のジャンルとして、「テッセン」は固有の花の姿を描写する言葉として使い分けるとスマートです。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、植物学的には少し不自然に聞こえてしまう使い方です。

  • 【NG】このピンクのベル型に咲く花は、珍しいテッセンの仲間ですね。
  • 【OK】このピンクのベル型に咲く花は、珍しいクレマチスの仲間ですね。

テッセンはあくまで特定の原種(フロリダ系)を指すため、ベル型の花(ヴィオルナ系など)や全く異なる見た目の品種を総称して「テッセン」と呼ぶのは誤りとなります。

【応用編】似ている言葉「カザグルマ(風車)」との違いは?

【要点】

「カザグルマ(風車)」は日本に自生するクレマチスの原種です。テッセンが中国原産で花びら(萼片)が6枚であるのに対し、カザグルマは花びらが8枚で、花がより大ぶりであるという明確な違いがあります。

「クレマチス」「テッセン」と並んでよく耳にするのが「カザグルマ(風車)」という言葉です。

これもクレマチス属に含まれる原種のひとつですが、テッセンが中国原産であるのに対し、カザグルマは日本の固有種です。

見分けるポイントは非常にシンプルで、花びら(正確には萼片)の枚数を数えるだけ。

テッセンは6枚ですが、カザグルマは8枚の大きな萼片を広げて咲くため、まさに風車のような優雅な姿をしています。

初夏の野山で自生するカザグルマを見つけたら、それは日本の自然が育んだ美しい原種なのです。

「テッセン」と「クレマチス」の違いを植物学と園芸の歴史から解説

【要点】

日本のカザグルマや中国のテッセンが江戸時代にヨーロッパへ渡り、品種改良の親となったことで大輪のクレマチスが誕生しました。日本ではこの大輪系クレマチス全般を、古くから馴染みのある「テッセン」と呼ぶ慣習が残っています。

ここで少し、専門家も注目する園芸の歴史から二つの言葉を深掘りしてみましょう。

本来、ヨーロッパに自生していたクレマチスの原種は、花が小さく控えめなものがほとんどでした。

しかし江戸時代、ドイツ人の医師シーボルトたちが日本のカザグルマや中国のテッセンをヨーロッパへ持ち帰ったことで、歴史が大きく動きます。

これらの東洋の美しい原種が交配親となり、ヨーロッパで華やかな大輪系の「クレマチス」が次々と誕生したのです。

そして明治以降、西洋で華やかに改良されたクレマチスが日本へ逆輸入された際、日本では古くから馴染みのあった「テッセン」の名で一括りに呼ぶ慣習が広まりました。

つまり、年配の方や古い園芸書でクレマチス全般を「テッセン」と呼んでいるのは間違いではなく、この歴史的な背景による日本の文化的な呼称とも言えるでしょう。

僕が「テッセン」と「クレマチス」で戸惑った母の日の体験談

僕自身、この「テッセン」と「クレマチス」の呼び方の違いにハッとさせられた出来事があります。

数年前の母の日、庭いじりが大好きな母へ花の苗を贈ろうと思い、地元の大きな園芸店へ出かけた時のこと。

母が「庭に綺麗なテッセンを植えたい」と言っていたのを思い出し、大輪の紫色の花が咲く見事な鉢植えを見つけて、店員さんに声をかけました。

「すみません、この立派なテッセンを母の日のギフトに包んでください」

すると、土まみれのエプロンをしたベテラン風の店員さんは、少し申し訳なさそうに微笑んでこう言いました。

「お客さん、それは『テッセン』じゃなくて、大輪系の交配種の『クレマチス』なんですよ。本当のテッセンは原種で、もう少し花が小ぶりで白い6枚の花びらなんです」

単につるに大きな花が咲くものは全部「テッセン」だと思い込んでいた僕は、自分の知識の浅さに顔が熱くなりました。

店員さんは続けて、「でもね、お母様たちの世代は、大輪のクレマチスを総称して『テッセン』って呼ぶことが多いから、きっとこれで大喜びしてくれますよ」と優しくフォローしてくれました。

植物の名前には、ただの分類だけでなく、世代を超えて受け継がれる文化や歴史が詰まっている。

この体験を通して、図鑑の知識だけではわからない、生きた言葉の奥深さを学んだような気がします。

「テッセン」と「クレマチス」に関するよくある質問

園芸店で「テッセン」として売られている花はすべて本物ですか?

必ずしも本物の原種(クレマチス・フロリダ)とは限りません。日本では大輪系のクレマチス全般を「テッセン」と呼ぶ慣習があるため、ラベルに「テッセン」と書かれていても、実際は別の交配種であるケースがよくあります。

テッセンとカザグルマは花びらの枚数で違いがわかると本当ですか?

はい、本当です。テッセンは6枚、日本原産のカザグルマは8枚の萼片(花びらに見える部分)を持っています。この枚数の違いを知っていれば、原種を見分けるひとつの目安になります。

クレマチスは日本にも自生しているのですか?

はい、自生しています。代表的なものに、春から初夏に大輪を咲かせる「カザグルマ」や、夏から秋に白い小花を無数に咲かせる「センニンソウ」などがあり、これらも立派なクレマチス属の仲間です。

「テッセン」と「クレマチス」の違いのまとめ

「テッセン」と「クレマチス」の違いについて、頭の中はスッキリと整理されたでしょうか。

最後に、この記事の重要なポイントをまとめておきますね。

  • 「クレマチス」は、キンポウゲ科のつる性植物の大きなグループ名(総称)。
  • 「テッセン」は、そのクレマチス属に含まれる中国原産の特定の品種(原種)。
  • 歴史的背景:日本では大輪系クレマチス全般を親しみを込めて「テッセン」と呼ぶ慣習がある。
  • カザグルマとの違い:日本固有種の原種で、テッセン(6枚)とは異なり8枚の花びらを持つ。

言葉の成り立ちや歴史を知ると、ただ庭に咲く花を眺める時間も、一段と豊かで知的なひとときに変わります。

次に園芸店を訪れたり、見事なつる性の花を見かけたりした時は、それがクレマチス属のどの仲間なのか、葉や花の形をじっくり観察してみてください。

生き物や植物に関する奥深い言葉の使い分けについては、こちらの生き物・自然に関する言葉の違い(テッセンとクレマチス等)もぜひ参考にして、大人の語彙力をさらに高めていきましょう。

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