英語で「しかし」「~だけれども」と言いたいとき、「though」と「however」、どちらを使うか迷うことはありませんか?
どちらも逆接の意味合いで使われますが、文法的な役割やニュアンス、文中での位置が異なりますよね。
この二つの単語は、文と文を繋ぐ接続詞なのか、文を修飾する副詞なのかという根本的な違いで使い分けられます。さらに、文脈によってフォーマルさの度合いも変わってきます。
この記事を読めば、「though」と「however」の核心的な違いから、文法的な使い方、適切なニュアンス、さらには文頭・文中・文末での使い分けまで、もう迷うことなく完全に理解できます。
それでは、最も重要なポイントから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「though」と「however」の最も重要な違い
基本的には、文と文を繋いで「~だけれども」と言うなら「though」、文頭や文中で「しかし、」「けれども、」と対比を強調するなら「however」と覚えるのが簡単です。「though」はより口語的で柔軟な接続、「however」はよりフォーマルで明確な対比を示します。
まず、結論からお伝えしますね。
「though」と「however」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | though | however |
|---|---|---|
| 品詞 | 接続詞、副詞 | 接続副詞 |
| 中心的な意味 | ~だけれども、~にもかかわらず、(文末で)でもね | しかしながら、けれども |
| 文法的な役割 | 接続詞として2つの文(節)を繋ぐ。 副詞として文末や文中に挿入される。 |
接続副詞として、前の文脈を受けて後の文を導く。(文と文を直接繋ぐ力はない) |
| 文中の位置 | 文頭、文中、文末(柔軟性が高い) | 文頭、文中(文末は不可) |
| ニュアンス | やや口語的。軽い逆接、譲歩。「~だけどね」という感じ。 | ややフォーマル。明確な対比、強い逆接。「しかしながら、」という感じ。 |
| 接続詞として使う際の注意 | 1つの文の中で2つの節を繋ぐ。(例:Though it rained, we went out.) | 文と文を直接繋げない。セミコロン(;)やピリオド(.)で文を区切る必要がある。(例:It rained; however, we went out. / It rained. However, we went out.) |
一番大切なポイントは、文と文を繋ぐ力が「though」にはあり、「however」にはないということです。
「however」を接続詞のようにカンマだけで繋いでしまうと文法的な誤り(カンマ・スプライス)になるので注意が必要ですね。
なぜ違う?「though」と「however」の文法的な役割とニュアンス
「though」は接続詞として文(節)を繋ぐ働きと、副詞として文を修飾する働きの両方を持ちます。そのため文頭・文中・文末と柔軟に配置でき、口語的なニュアンスが強まります。一方、「however」は接続副詞であり、前の文の内容を受けて、後の文が対照的であることを示します。文と文を直接繋ぐことはできず、フォーマルな響きを持ちます。
この二つの言葉の使い分けの鍵は、それぞれの品詞、つまり文法上の役割の違いを理解することにありますよ。
「though」は接続詞・副詞で柔軟な接続
「though」は主に接続詞として使われます。「~だけれども」「~にもかかわらず」という意味で、2つの文(正確には節)を1つの文の中で繋ぎます。
接続詞なので、文頭にも文中にも置くことができます。
- 文頭: Though he is young, he is very responsible. (彼は若いが、とても責任感がある。)
- 文中: He is very responsible, though he is young. (彼は若いが、とても責任感がある。)
さらに、「though」は副詞としても使われ、特に文末に置かれると「でもね」「だけどね」といった感じで、前の内容に軽い対比や補足を加える口語的なニュアンスが出ます。
- 文末: He said he would come. He didn’t, though. (彼は来ると言った。でも来なかったけどね。)
このように、「though」は接続詞と副詞の両方の顔を持つため、文の中での配置が非常に柔軟で、会話でよく使われるのも特徴ですね。
「however」は接続副詞で文と文を対比
一方、「however」は接続副詞に分類されます。「しかしながら」「けれども」という意味で、前の文(または文脈全体)の内容を受けて、それとは対照的な内容の文を導きます。
ここで重要なのは、「however」は副詞の一種であり、接続詞のように文と文を直接繋ぐ力はないということです。
そのため、「however」を使うときは、通常、前の文と後の文をピリオド (.) やセミコロン (;) で区切る必要があります。文中に挿入する場合は、カンマ (,) で囲みます。
- 文頭: He is young. However, he is very responsible. (彼は若い。しかしながら、とても責任感がある。)
- 文頭(セミコロン): He is young; however, he is very responsible. (彼は若いが、しかしながらとても責任感がある。)
- 文中: He is young. He is, however, very responsible. (彼は若い。しかしながら、とても責任感がある。)
「however」は「though」に比べて明確な対比を示し、ややフォーマルな響きを持つため、ビジネス文書や論文などでよく使われます。 punctuation(句読点)の使い方が異なる点も、大きな違いですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスメールで反対意見を述べる際、「However, I have a different opinion.」のように文頭で使うと明確な対比を示せます。一方、譲歩しつつ意見を言う場合は「Though I understand your point, I disagree.」のように「though」が使えます。日常会話では、「It’s raining, though.」のように文末の「though」で「雨だけどね」と軽く付け加えることができます。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
フォーマルさと文の繋ぎ方を意識すると、使い分けが見えてきます。
【OK例文:though】
- Though the initial cost is high, it will save money in the long run. (初期費用は高いですが、長期的にはコスト削減になります。)
- We decided to proceed with the plan, though there were some concerns. (いくつか懸念点はありましたが、私たちは計画を進めることに決めました。)
- The presentation went well. Some parts were a bit difficult, though. (プレゼンはうまくいきました。少し難しい部分もありましたけどね。)
【OK例文:however】
- The report is well-written. However, it lacks specific data. (そのレポートはよく書けている。しかしながら、具体的なデータが不足している。)
- We understand your situation; however, we cannot accept your request at this time. (あなたの状況は理解します。しかしながら、現時点ではあなたの要求を受け入れることはできません。)
- The market share increased last quarter. The profit margin, however, slightly decreased. (市場シェアは前四半期に増加した。しかしながら、利益率はわずかに減少した。)
やはり「however」の方が、よりはっきりと対比を示し、改まった印象を与えますね。特に反論や、期待と異なる結果を述べる際に効果的です。
日常会話での使い分け
日常会話では「though」の方が頻繁に使われる傾向があります。
【OK例文:though】
- Though I was tired, I finished my homework. (疲れていたけど、宿題を終わらせたよ。)
- It’s a nice car, though it’s a bit expensive. (いい車だね、ちょっと高いけど。)
- “Do you want to go out?” “It’s raining, though.” (「出かける?」「雨だけどね。」)
【OK例文:however】
- I wanted to buy the dress. However, it was sold out. (そのドレスを買いたかった。でも、売り切れだった。)
- He said he studied hard; however, he failed the exam. (彼は一生懸命勉強したと言っていた。でも、試験に落ちた。)
- She is usually very punctual. Today, however, she was late. (彼女は普段とても時間に正確だ。しかしながら、今日は遅刻した。)
日常会話でも「however」は使われますが、「though」の方がより気軽に使える印象です。特に文末の「though」は非常に便利ですね。
これはNG!間違えやすい使い方
特に「however」を接続詞のように使ってしまう間違いが多いので注意しましょう。
- 【NG】 It was raining, however we went for a walk. (カンマだけで繋いでいる)
- 【OK】 It was raining; however, we went for a walk. (セミコロンで繋ぐ)
- 【OK】 It was raining. However, we went for a walk. (ピリオドで文を分ける)
- 【OK】 Though it was raining, we went for a walk. (though を使う)
- 【OK】 We went for a walk, though it was raining. (though を使う)
「however」は文と文を直接繋ぐ力がないので、カンマ (,) だけで繋ぐことはできません。必ずセミコロン (;) かピリオド (.) で文を区切るか、「though」のような接続詞を使う必要があります。これはライティングで非常に重要なルールですよ!
- 【NG】 He is rich, he is not happy, however. (文末の however)
- 【OK】 He is rich. However, he is not happy.
- 【OK】 He is rich. He is not happy, though. (文末は though)
「however」は副詞ですが、通常、文末には置かれません。文末で「でもね」と言いたい場合は「though」を使います。
「though」と「however」の違いを英語学的に解説
英語学的に見ると、「though」は従属接続詞(subordinating conjunction)または副詞(adverb)として機能します。従属接続詞は主節と従属節を結びつけ、文構造に柔軟性をもたらします。一方、「however」は接続副詞(conjunctive adverb)であり、独立した2つの文(主節)の意味的な対比関係を示しますが、文法的に直接結びつける力はありません。そのため、接続にはセミコロンやピリオドが必要となります。
少し専門的になりますが、「though」と「however」の違いを英語学的な観点から見ると、その使い分けがより深く理解できます。
言語学において、文と文、あるいは節と節を繋ぐ言葉(接続表現)は、その文法的機能によって分類されます。「though」と「however」は、まさにこの機能が異なる代表例です。
「though」の主な機能:従属接続詞 (Subordinating Conjunction)
「though」が文頭や文中で使われる場合、多くは従属接続詞として機能します。従属接続詞は、主節(文の主要な部分)と従属節(主節を補足する部分)を結びつけ、1つの複文(complex sentence)を作ります。
例:[Though it was difficult] (従属節), [we completed the task] (主節).
この構造により、「though」は文の中での配置が比較的自由になります。また、「though」が導く従属節は譲歩(concession)の意味合いを持ち、「主節の状況にもかかわらず、従属節の事実がある」ことを示唆します。
「however」の機能:接続副詞 (Conjunctive Adverb)
一方、「however」は接続副詞として分類されます。接続副詞は、意味的には2つの独立した文(主節)を繋ぎ、それらの間の論理的な関係(この場合は対比・逆接)を示しますが、文法的にそれらを1つの文に結合する力はありません。
そのため、「however」の前には通常、ピリオド (.) またはセミコロン (;) が置かれ、2つの独立した文が保たれます。
例:[It was difficult] (主節). However, [we completed the task] (主節).
例:[It was difficult] (主節); however, [we completed the task] (主節).
この文法的な制約が、「however」をカンマだけで文を繋ぐ(いわゆる「カンマ・スプライス」)誤用につながりやすい理由です。接続副詞は、あくまで副詞として文全体を修飾し、意味的な繋がりを示す役割に留まるわけですね。より詳しい分類や用法については、学術的な文法書や信頼できる言語リソース(例えば文化庁の国語施策ページで参照されるような言語研究機関の情報など)を参照すると、さらに理解が深まるでしょう。
僕が英文メールで大失敗!「however」のつもりが「though」に…
僕も昔、この「though」と「however」の使い分けで、冷や汗をかいた経験があります。
社会人になりたての頃、海外の取引先とメールでやり取りする機会がありました。相手からの提案に対して、基本的には賛成だけれども、一点だけ懸念事項を伝えたい、という内容の返信を書くことになったんです。
丁寧さを意識して、「Your proposal is excellent. However, I have one concern regarding the schedule.」(あなたの提案は素晴らしいです。しかしながら、スケジュールに関して一点懸念があります。)という構成で書こうとしました。
ところが、当時はまだ文法的な違いをよく理解しておらず、頭の中で「however」と「though」がごっちゃになっていたんですね。そして、なぜか勢いでこう書いてしまったんです。
“Your proposal is excellent, though I have one concern regarding the schedule.”
接続詞「though」を使い、カンマだけで繋いでしまった…。これだと、「素晴らしい提案だけど、(まあ)懸念も一点あるけどね」くらいの、少し軽い、譲歩的なニュアンスに聞こえてしまいます。僕が伝えたかったのは、もっとはっきりと「しかしながら、懸念点があります」というフォーマルな対比の意図でした。
送信した後、しばらくして上司(英語が堪能な方でした)にメール内容を確認してもらったところ、「うーん、悪くはないけど、懸念点をしっかり伝えたいなら、ここはピリオドで区切って However を使うか、セミコロンを使った方が、ビジネスメールとしてはより明確で丁寧だよ。Though だと少しカジュアルに聞こえるかもしれないね。」と指摘されました。
「しまった!」と思いました。相手に失礼な印象を与えてしまったかもしれない…。幸い、大きな問題にはなりませんでしたが、文脈や相手との関係性、伝えたいニュアンスによって、適切な接続表現を選ぶことの重要性を痛感しました。特にビジネスシーンでは、たった一つの単語選びが、相手に与える印象を大きく左右するのだと学びましたね。それ以来、接続詞や接続副詞を使うときは、その文法的機能とニュアンスをしっかり確認するようになりました。
「though」と「however」に関するよくある質問
Q. 「although」や「even though」との違いは何ですか?
A. 「although」も「though」と同じく「~だけれども」という意味の接続詞ですが、「though」よりもややフォーマルな響きがあります。文頭で使われることが多いです。「even though」は「though」や「although」を強調した形で、「~であるにもかかわらず」「~だというのに」といった、より強い逆接や驚きを表します。
Q. 文頭で使う場合、「Though」と「However」どちらが普通ですか?
A. どちらも文頭で使えますが、ニュアンスが異なります。「Though」で文を始める場合、その文全体が「~だけれども」という譲歩の従属節となり、主節が後に続く形になります(例:Though it was late, he kept working.)。一方、「However」で文を始める場合は、前の文脈を受けて「しかしながら」と対比を示す独立した文になります(例:It was late. However, he kept working.)。
Q. 会話で「でもさー」みたいに軽く言いたいときはどっち?
A. 会話で文末に軽く「~だけどね」と付け加えたい場合は、「though」を使うのが最も自然です(例:It looks good, though.)。「however」は文末には使えず、文頭や文中で使う場合も「though」よりは少しかしこまった響きになります。
「though」と「however」の違いのまとめ
「though」と「however」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめておきますね。
- 品詞の違いが基本:「though」は接続詞・副詞、「however」は接続副詞。
- 文を繋ぐ力の違い:「though」は文(節)を繋げるが、「however」は直接繋げない(ピリオドやセミコロンが必要)。
- 位置の柔軟性:「though」は文頭・文中・文末に置けるが、「however」は文頭・文中のみ。
- ニュアンスの違い:「though」はやや口語的で軽い逆接・譲歩、「however」はややフォーマルで明確な対比。
- カンマの使い方:「however」をカンマだけで文を繋ぐのは誤り。
文法的な役割と、伝えたいニュアンス(カジュアルかフォーマルか、軽い逆接か強い対比か)を意識することで、自信を持って使い分けられるようになります。
これらの違いをマスターして、より正確で自然な英語表現を目指しましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。