「umm」と「hmm」、どちらも英語の会話でよく耳にする相槌ですよね。
でも、この二つ、似ているようで実はニュアンスが全く違うことをご存知でしたか?
使い方を間違えると、相手に失礼な印象を与えたり、意図せず会話を止めてしまったりすることもあるんです。
この記事を読めば、「umm」と「hmm」の決定的な違いからネイティブの使い分けまでスッキリ理解でき、自信を持って使いこなせるようになります。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「umm」と「hmm」の最も重要な違い
基本的には、「umm」は「えーっと」というためらいや、「うんうん」という肯定の相槌を示します。一方、「hmm」は「うーん」「ふーむ」と考え込んでいる、あるいは感心や疑問を持っている状態を表します。口の形(開くか閉じるか)がニュアンスの違いに直結しています。
まず、結論からお伝えしますね。
「umm」と「hmm」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | umm(アム / アーン) | hmm(フーム / ンー) |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | ① ためらい・言葉に詰まる (Ummm) ② 肯定の相槌 (Uh-huh / Umm) | ① 思考・熟考 (Hmmmm) ② 感心・疑問・皮肉 (Hmm!) |
| 口の形・発音 | 口を少し開けて「ア(U)」の音から始まる | 口を閉じて「ン(HMM)」とうなる音 |
| ニュアンス | ① 次に続く言葉を探している ② あなたの話を聞いています(肯定) | ① 相手の言った内容を吟味・評価している ② 納得、感心、または軽い不満 |
| 日本語訳 | ①「えーっと」「あのー」 ②「うんうん」「はいはい」 | ①「うーん」「ふーむ」「なるほど」 ②「へえー」「ふーん」 |
一番のポイントは、「umm」は言葉を探している(または単に聞いている)のに対し、「hmm」は相手の言った内容を「吟味・評価」しているという点です。
特にビジネスシーンでは、この「評価」のニュアンスが誤解を生むことがあるので注意が必要ですね。
なぜ違う?発音とニュアンスからイメージを掴む
「umm」は口を少し開けて「ア(U)」の音から始まり、言葉を探して外に発しようとする「ためらい」のイメージです。一方、「hmm」は口を閉じて「ン(HMM)」とうなる音で、情報を内面で処理している「熟考・評価」のイメージと関連しています。
なぜこの二つの言葉に違いが生まれるのか、その核心は「発音時の口の形」にあります。
「umm」(アム/アーン) – ためらいと肯定の響き
「umm」には、大きく分けて2つの使い方があります。
① 「Ummm…」と伸ばす場合(ためらい)
これは日本語の「えーっと」「あのー」に非常に近いです。次に何を言うか考えている時や、言いにくいことをためらっている時に使われます。
発音する時、口が少し開き、「ア…」という音から入りますよね。これは、言葉が喉まで出かかっているけれど、まだまとまっていない、そんな「ためらい」のイメージです。
② 「Umm-hmm」(uh-huh)と発音する場合(肯定の相槌)
これは「うんうん」「はいはい」という完全な肯定の相槌です。「uh-huh(アッハン)」とほぼ同じ意味で、相手の話を遮らずに「聞いていますよ」というサインを送る時に使われます。
「hmm」(フーム/ンー) – 思考と評価の響き
一方、「hmm」は発音する瞬間、必ず口を閉じます。「ンー」というハミング(humming)に近い音です。
これは、言葉を外に出す「ためらい」とは異なり、情報を一度自分の中に取り込んで、内面的に処理しているイメージです。
① 「Hmm…」と伸ばす場合(思考・熟考)
日本語の「うーん」「ふーむ」「なるほど」に近いです。相手の言ったことを受けて、それについて熟考している、または評価しているニュアンスです。「umm」が「次に何を言うか(自分の言葉)」を考えているのに対し、「hmm」は「相手が言ったこと(相手の言葉)」について考えている、という違いがあります。
② 「Hmm!」と短く言う場合(感心・疑問・皮肉)
これは感情が乗ることが多く、「へえー!」「ほほう」という感心や、「ふーん(本当かな?)」という軽い疑問や皮肉、あるいは「Hmmph(フン!)」に近い形で不満を示す場合もあります。
具体的な例文で使い方をマスターする
言葉に詰まった時は「Umm, I forgot his name.(えーっと、彼の名前忘れちゃった)」、相手の意見を吟味する時は「Hmm, that’s a difficult question.(うーん、それは難しい質問ですね)」と使い分けます。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違えやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスシーンでは、「hmm」の「評価」するニュアンスに特に注意が必要です。
【OK例文:umm(ためらい)】
- “The reason for the delay is… umm… a technical issue we didn’t expect.”
(遅延の理由は…えーっと…予期せぬ技術的な問題です) - “I think the best person for this project is, umm, probably Tanaka-san.”
(このプロジェクトに最適なのは、あのー、おそらく田中さんだと思います)
【OK例文:hmm(思考・評価)】
- “Hmm, I see your point, but I need to check the data.”
(なるほど、あなたの言いたいことはわかりますが、データを確認する必要があります) - “Your proposal is interesting. Hmm… let me think about it.”
(あなたの提案は興味深いですね。うーん…少し考えさせてください)
【NG例:ニュアンスが不適切】
- 【NG】(上司からの指示に対して)”Hmm, okay.”
(ふーん、わかりました)これは非常に危険です。「hmm」は「評価」のニュアンスを含むため、目上の人の指示に使うと「(その指示を私が評価したうえで)まあ、いいでしょう」という尊大な印象を与えかねません。「Yes, sir.」や「Okay, I understand.」が適切です。 - 【NG】(プレゼン中に言葉に詰まって)”Hmm… I forgot the next slide.”
(うーん…次のスライドを忘れました)言葉に詰まった「ためらい」の場合は「Umm…」が自然です。「Hmm」を使うと、まるで自分が今話している内容について「ふーむ」と熟考しているかのように聞こえてしまいます。
日常会話での使い分け
日常会話では、両方の意味が頻繁に使われます。
【OK例文:umm(ためらい)】
- “What do you want for dinner?” “— Umm, maybe pizza?”
(夕食何がいい?「えーっと、ピザかな?」)
【OK例文:umm(uh-huh)(肯定の相槌)】
- “So I went to the park, and…” “Umm-hmm.” “…then I saw a dog.” “Umm-hmm.”
(それで公園に行って…」「うんうん」「そしたら犬がいてね」「うんうん」)
【OK例文:hmm(思考・感心)】
- “Did you know he’s moving to Osaka?” “Hmm, really? I didn’t know that.”
(彼、大阪に引っ越すの知ってた?」「へえー、そうなんだ。知らなかったよ」) - “I’m not sure which movie to watch.” “Hmm… let’s check the reviews.”
(どの映画を見るか迷うな。「うーん、レビューを見てみようか」)
【応用編】似ている言葉「uh-huh」との違いは?
「uh-huh」は「うんうん」「はい」という肯定的な相槌にほぼ特化しています。「umm」も同じ意味で使われることがありますが、「umm」には「えーっと」という「ためらい」の意味も含まれる点が大きな違いです。「hmm」はこれらとは異なり、「思考・疑問」を示します。
「umm」と「hmm」を調べていると、必ず「uh-huh」という言葉も出てきますよね。この3つはネイティブが多用する相槌トップ3と言っても過言ではありません。
違いは以下の通りです。
| 言葉 | 発音(イメージ) | 中核イメージ | 使い方 |
|---|---|---|---|
| uh-huh | アッハン / アハン | 肯定・同意 | 相手の話を聞いていることを示す「うんうん」「はい」。最も一般的な相槌。 |
| umm | アム / アーン / アンハン | ためらい・肯定 | ①「えーっと」と言葉に詰まる。 ②「uh-huh」とほぼ同じ「うんうん」という相槌。 |
| hmm | フーム / ンー | 思考・評価 | 「うーん」「なるほど」と相手の言葉を受けて考えている。 |
つまり、「umm」は「uh-huh」の代わり(肯定の相槌)にもなるし、「えーっと(ためらい)」という固有の意味も持つ、少し使い勝手の良い言葉だと言えますね。
「umm」と「hmm」の違いを言語学的に解説
言語学において、「umm」と「hmm」は「間投詞(Interjection)」または「フィラー(Filler)」に分類されます。「umm」は口を開く音で、思考プロセスが外部に向かっている(言葉を探す)ことを示唆します。対照的に「hmm」は口を閉じる音であり、思考が内面に向かっている(熟考・評価)ことを示唆します。
少し専門的な視点から見てみましょう。
言語学の世界では、「umm」や「hmm」のような言葉は「間投詞(Interjection)」や、会話の「穴埋め」を意味する「フィラー(Filler)」と呼ばれます。
「umm」や「uh」(アー)は、発話の遅延(hesitation)を示す典型的なフィラーです。話者が次に続く適切な単語やフレーズを探している間、会話の「場」をつなぎとめる役割を果たします。これは日本語の「えーっと」「あのー」と全く同じ機能ですね。
一方、「hmm」は、単なる発話の遅延ではなく、認知的な処理(cognitive processing)が行われていることを示すシグナルです。相手から提供された情報を評価したり、疑問を抱いたり、あるいは新しいアイデアを形成したりしている状態を示します。
この違いは、発声方法からも明らかです。
- umm (open-mouth): 口を開けて発声するため、音は外に向かいます。これは、思考が「言葉を見つける」という外部のアウトプットに向かっていることを示唆します。
- hmm (closed-mouth): 口を閉じて発声するため、音は内側にこもります。これは、思考が「情報を処理する」という内部のプロセスに向かっていることを示唆します。
日本語でも、「えーっと」は口が開きますが、「うーん」は口が閉じ気味ですよね。このように、会話の「間」を埋めるフィラーの使い方は、言語を超えて共通する部分があるのは非常に興味深いです。
(参考:国立国語研究所などの研究でも、日本語の「えー」や「あのー」といったフィラーが会話において重要な役割を果たしていることが示されています)
僕が「Hmm?」で誤解されたビジネス体験談
実は僕も新人時代、この「hmm」で冷や汗をかいた苦い経験があるんです。
アメリカのクライアントとの電話会議でのことでした。相手から次回のスケジュールについて、「来週の火曜日はどうだ?」と提案されたんです。
僕はとっさに手元のカレンダーを確認しようとしました。日本語の「えーっと、火曜ですね…」という感覚で、無意識に「Hmm…」と返事をしてしまったんです。
すると、電話の向こうで一瞬の間があり、クライアントが少し不機嫌そうな声でこう言いました。
“Is there a problem with Tuesday?(火曜日に何か問題でも?)”
僕は慌てて「No, no! Just checking my schedule.(いえいえ!今スケジュールを確認しているだけです!)」と弁解しました。
後でわかったことですが、僕の「Hmm…」は、相手には「(提案された火曜日を)ふーむ…」と吟味・評価している、あるいは「火曜かよ…」と少し不満げに聞こえてしまった可能性があったんです。
単に言葉を探したり、スケジュールを確認したりする「ためらい」の場面では、「Umm…」や「Uh… just a moment.」と言うべきでした。
この体験から、口を閉じる「Hmm」は「思考・評価」のサインであり、使う場面を間違えると相手にプレッシャーを与えかねないのだと痛感しましたね。
「umm」と「hmm」に関するよくある質問
「umm」と「hmm」は書き言葉(チャット)でも使いますか?
はい、非常にカジュアルなチャットやSNS(メッセンジャーやLINEなど)では頻繁に使われます。「Umm, I’m not sure.(えーっと、よくわからない)」や「Hmm, interesting.(へえ、面白いね)」のように、実際の会話と同じニュアンスで使われます。ただし、ビジネスメールなどフォーマルな文章で使うことはありません。
「hmm」が不満を表すのはどんな時ですか?
「Hmmph(フン!)」という発音(表記)に近い場合や、声のトーンが低い時、あるいは文脈から明らかに納得していない時です。例えば、「Hmm. I don’t think so.(ふーん。私はそうは思わないけどね)」のように、否定的な文脈で使われると不満や皮肉のニュアンスが強くなります。
目上の人に使っても失礼になりませんか?
「Umm…」(えーっと)は、言葉に詰まった生理現象のようなものなので、それ自体が失礼にあたることはありません。ただし、多用すると準備不足や自信のなさそうな印象を与える可能性はあります。
「Hmm…」(うーん)は、前述の通り、相手の意見を「評価」するニュアンスを含むため、目上の人の指示や意見に対して使うのは避けた方が無難です。「I see.(なるほど)」「Let me think about that.(少し考えさせてください)」など、より丁寧な表現を使うのが良いでしょう。
「umm」と「hmm」の違いのまとめ
「umm」と「hmm」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 「umm」は「ためらい」か「肯定」:口を開けて「えーっと」とためらうか、「うんうん」と相槌を打つ時に使う。
- 「hmm」は「思考」か「評価」:口を閉じて「うーん」「ふーむ」と相手の言ったことを考える時に使う。感心や不満を表すこともある。
- 使い分けの鍵は「口の形」:口を開けて言葉を探すのが「umm」、口を閉じて内部で考えるのが「hmm」。
- 「uh-huh」との違い:「uh-huh」は「肯定の相槌」専門。「umm」は「ためらい」と「肯定」の両方で使える。
たかが相槌、されど相槌です。特に「hmm」は、目上の人に使うと評価しているように聞こえかねないため、ビジネスシーンでは「umm」以上に注意して使い分ける必要があります。
この微妙なニュアンスを意識するだけで、あなたの英語コミュニケーションはよりスムーズになるはずですよ。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、スラング・俗語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。