「what」と「which」の違い!先行詞が含まれるかどうかが鍵

関係代名詞の「what」と「which」の違いを一言で言うなら、直前に「先行詞(説明される名詞)」があるかないかという点に尽きます。

どちらも文をつなぐ役割をしますが、使い間違えると「これは私が買った本です」と言いたいのに「これは私が買った本のことです」のように、不自然でまどろっこしい表現になってしまいます。

この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ「名詞の塊」と「説明書き」のイメージの違いから、ネイティブが自然に使い分けている感覚までスッキリと理解でき、洗練された英文を作れるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「what」と「which」の最も重要な違い

【要点】

基本的には直前に名詞がないなら「what」、名詞があるなら「which」と覚えるのが簡単です。「what」はそれ自体が名詞の役割をし、「which」は前の名詞を詳しく説明する役割をします。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの関係代名詞の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目whatwhich
中心的な役割先行詞を含む
(それ自体が名詞の塊)
先行詞を修飾する
(前の名詞の説明)
直前の名詞(先行詞)なしあり
訳し方〜するもの、〜すること(〜する)ところの…
文法的な働き名詞節を作る
(主語・目的語になる)
形容詞節を作る
(名詞を修飾する)
置き換えthe thing(s) whichthat(制限用法の場合)

一番大切なポイントは、「what」は「もの・こと」という意味を自分で持っていて、「which」は前の言葉を指差して説明しているだけということです。

例えば、「What I want is…(私が欲しいものは…)」と、「The book which I bought…(私が買ったその本は…)」という使い分けになります。

なぜ違う?単語の成り立ち(コアイメージ)から掴む

【要点】

「what」は「the thing which」が合体したパッケージで、中身(もの・こと)を含んでいます。「which」は「どれ?」と選択・指し示すイメージで、外にある対象物(先行詞)にスポットライトを当てて説明を加えます。

なぜこの二つの言葉に文法的な違いが生まれるのか、コアイメージを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「what」のイメージ:箱ごとお届け

関係代名詞の「what」は、よく「the thing(s) which(〜するもの)」と言い換えられます。

つまり、「what」という単語の中に、すでに「the thing(もの)」という箱が含まれているイメージです。

だから、直前に「もの(先行詞)」を置く必要がありません。

「what」と言うだけで、「〜というもの」という名詞の塊(パッケージ)をドンと置くことができるのです。

「which」のイメージ:ラベルを貼る

一方、「which」はもともと「どれ?」「どちら?」と対象を特定する言葉です。

関係代名詞として使うときは、目の前にある名詞(先行詞)に対して、「それはね、これこれこういうやつだよ」とラベルを貼って説明を加えるイメージです。

「The book(本)」という実体がまずあって、そこに「which I read(私が読んだ)」というラベルを貼り付けて、「私が読んだ本」という具体的な意味を作ります。

だから、ラベルを貼る対象となる名詞(先行詞)が直前に必要なのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「〜すること・もの」と言いたい時は「what」で文を始めたり動詞の後に続けたりします。「(名詞)は〜だ」と説明したい時は名詞の後に「which」を続けます。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

日常会話とビジネス、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

日常会話での使い分け

自分の意思や状況を伝える場面です。

【OK例文:what(〜すること・もの)】

  • I don’t know what to do.(何をすべきかわからない。)
  • This is exactly what I wanted!(これこそまさに私が欲しかったものだ!)
  • What he said is true.(彼が言ったことは本当だ。)

【OK例文:which(〜する…)】

  • This is the movie which I saw yesterday.(これは私が昨日見た映画です。)
  • I have a dog which runs very fast.(私はとても速く走る犬を飼っています。)

ビジネスシーンでの使い分け

提案や報告をする際にも重要です。

【OK例文:what】

  • Please tell me what you think.(あなたの考え(あなたが考えていること)を教えてください。)
  • We need to focus on what is important.(私たちは重要なこと(もの)に集中する必要があります。)

【OK例文:which】

  • We have a system which improves efficiency.(我々は効率を改善するシステムを持っています。)
  • Please refer to the document which is attached.(添付されている文書を参照してください。)

これはNG!間違えやすい使い方

文法的に誤りとなるパターンを見てみましょう。

  • 【NG】 This is the book what I bought.
  • 【OK】 This is the book which (or that) I bought.

「the book」という先行詞(名詞)があるのに「what」を使ってしまうと、「これは本、私が買ったこと」のように意味が重複して崩壊してしまいます。

先行詞がある場合は「which」か「that」を使いましょう。

  • 【NG】 I don’t believe which he said.
  • 【OK】 I don’t believe what he said.

「believe」の後に名詞がないので、「which」は使えません(先行詞がない)。

「彼が言ったこと」という名詞の塊を作れる「what」が正解です。

【応用編】似ている言葉「that」との違いは?

【要点】

「that」は「which」の代わりとして広く使えますが、「what」の代わりにはなりません。「that」も先行詞を必要とする関係代名詞だからです。迷ったら「which」を「that」にするのはアリですが、「what」とは混ぜないようにしましょう。

関係代名詞といえば「that」もよく使われますよね。

「which」との関係性を整理しておきましょう。

which vs that

制限用法(カンマなし)の場合、「which」はほとんどの場合「that」に置き換え可能です。

特に会話では「that」の方が好まれる傾向があります。

  • The book which I bought = The book that I bought

ただし、先行詞が「人」の場合は「who」か「that」を使い、「which」は使いません。

what vs that

「that」は先行詞を必要とするため、「what」の代わりにはなりません。

  • What I need is money.(○)
  • That I need is money.(×)

ただし、「The thing that I need is money.」のように、先行詞「The thing」を補えば「that」を使えます。

これは「what」を展開した形と同じですね。

「what」と「which」の違いを文法的な視点から解説

【要点】

「what」は名詞節を作り、文全体の主語・目的語・補語になります。「which」は形容詞節を作り、直前の名詞(先行詞)を修飾します。

感覚だけでなく、文法的な構造を知っておくと、複雑な文でも迷わなくなります。

専門的な視点から、決定的な違いを解説します。

1. 名詞節 vs 形容詞節

■ what:名詞節(名詞の役割)

「what S V(SがVするもの)」全体で、一つの大きな名詞として働きます。

  • [What he said] is true.([彼が言ったこと]は本当だ。)
    → [ ]全体が主語(S)。

■ which:形容詞節(名詞を飾る役割)

「(名詞) + which S V」という形で、前の名詞を詳しく説明します。

  • The story [which he told] is true.([彼が話した]その話は本当だ。)
    → [ ]が「The story」を修飾。

2. 非制限用法(カンマ+which)

「which」には「, which」とカンマを置いて、補足説明をする用法があります。

この場合、直前の名詞だけでなく、前の文全体を先行詞にすることができます。

  • He said he was sick, which was a lie.(彼は病気だと言ったが、それは嘘だった。)

この用法は「what」にはありません。

僕が「the thing which」を連発してロボット扱いされた体験談

僕も英語を勉強し始めた頃、この関係代名詞の使い分けで恥ずかしい思いをしたことがあります。

語学学校でのフリートークの時間でした。

僕は「what」を使うのがなんとなく苦手で、習ったばかりの「先行詞+which」の形ばかりを使っていました。

「I don’t understand the thing which you said.」(あなたが言ったことが理解できません。)

「This is the thing which I want.」(これが私の欲しいものです。)

文法的には間違いではありません。

しかし、これを聞いていたネイティブの先生が笑いながらこう言ったのです。

「君の英語はなんだかロボットみたいだね。もっとシンプルに『what』を使えばいいんだよ。いちいち『the thing which』なんて言うのは、日本語で『私が欲するところの物体はこれです』って言ってるようなもんだよ」

顔から火が出るほど恥ずかしかったですが、妙に納得しました。

「what」一語で済むところを、わざわざ分解して難しく話していたんですね。

それ以来、「〜なこと」「〜なもの」と言いたい時は、迷わず「what」を使うようにしました。

すると、会話のテンポが驚くほどスムーズになり、自分の言いたいことがダイレクトに伝わるようになったのを感じました。

文法的な正しさだけでなく、「シンプルさ」もコミュニケーションには大切なんだと痛感した出来事でした。

「what」と「which」に関するよくある質問

「which」を省略できるのはどんな時ですか?

「which」が関係代名詞の「目的格」として使われている場合(つまり、whichの後に「S+V」が続く場合)、省略可能です。例:「The book (which) I bought is interesting.」一方、主格(whichの後にすぐ動詞が来る場合)は省略できません。

「what」は疑問詞の「何」とは違うのですか?

形は同じですが、働きが違います。疑問詞は「何ですか?」と尋ねる言葉ですが、関係代名詞は「〜するもの」という名詞の塊を作ります。ただし、「I don’t know what he wants.」のように、文脈によっては「彼が何を欲しているか(疑問詞)」「彼が欲しているもの(関係代名詞)」のどちらとも取れる場合があり、実質的な意味はほぼ同じになります。

「all that」と「what」は同じ意味ですか?

似ていますが、「all that」は「〜するすべてのこと」と強調するニュアンスがあります。「What I know」は「私が知っていること」、「All (that) I know」は「私が知っているすべてのこと(それしか知らない)」という響きになります。

「what」と「which」の違いのまとめ

「what」と「which」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 先行詞の有無:「what」は先行詞なし(含む)、「which」は先行詞あり。
  2. 訳し方:「what」は「〜するもの・こと」、「which」は「(名詞)〜であるところの」。
  3. 文法構造:「what」は名詞節(文の主役)、「which」は形容詞節(名詞の引き立て役)。

言葉の背景にある「箱ごと」か「ラベル貼り」かのイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

英語学習についてさらに詳しく知りたい方は、英語由来語の違いまとめもぜひご覧ください。

文部科学省の英語教育に関する情報なども参考にしながら、これからは自信を持って、的確な表現を選んでいきましょう。

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