「would」と「could」の違いを徹底解説!意志と可能性の使い分け

「would」と「could」は、どちらも学校で「丁寧な依頼の表現」として習うため、実際の英会話でとっさに使い分けるのが難しい言葉。

しかし、結論から言うと、「would」は相手の「意志」を問い、「could」は相手の「可能性(能力)」を問うという決定的な違いがあります。

なぜなら、「would」は「will(意志)」の過去形であり、「could」は「can(可能)」の過去形だから。

この根本的な意味の違いを理解していないと、相手に対して失礼になったり、意図したニュアンスが伝わらなかったりすることがあります。

この記事を読めば、ビジネスメールでの依頼や日常会話での推量など、状況に応じた適切な使い分けが分かり、もう二度と迷うことはありません。

それでは、まず二つの言葉の核心的な違いを一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「would」と「could」の最も重要な違い

【要点】

基本的には、意志や確実性を表すなら「would」、可能性や能力を表すなら「could」と覚えるのが簡単です。依頼の場面ではどちらも丁寧ですが、「してくれますか?(意志)」と「できますか?(可能性)」というニュアンスの差があります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目wouldcould
中心的な意味意志・推量
(~するつもり、たぶん~だろう)
可能性・能力
(~できる、ありうる)
依頼のニュアンス「(もしよろしければ)~してくれますか?
相手の意志を問う
「(可能であれば)~していただけますか?
相手の可否(能力・状況)を問う
確信度(推量)高い(90%程度)
「(条件が揃えば)きっと~だ」
低い(50%程度)
「~かもしれない、ありうる」
元の形will(意志・未来)can(可能・能力)

一番大切なポイントは、「would」は「気持ち」にフォーカスし、「could」は「事実(できるかどうか)」にフォーカスするということです。

例えば、デートに誘うときに「Would you go with me?(行ってくれる?=気持ちはある?)」とは言いますが、「Could you go with me?(行くことできる?=スケジュール空いてる?)」だと、少し事務的な響きになることもあります。

なぜ違う?「will」と「can」の過去形からイメージを掴む

【要点】

「would」は「will(意志)」の過去形で、現実から一歩引いた「控えめな意志」を表します。一方、「could」は「can(可能)」の過去形で、現実から一歩引いた「控えめな可能性」を表します。この「距離感」が丁寧さを生みます。

なぜこの二つの言葉が「丁寧語」として使われるのか、それぞれの語源である「will」と「can」との関係からイメージを掴みましょう。

「would」のイメージ:現実から距離を置いた「意志」

「would」は「will」の過去形です。「will」には「~するぞ」という強い意志が含まれています。

これを過去形にすることで、「現実から距離を置く」=「直接的ではない」=「丁寧」というニュアンスが生まれます。

つまり、「(もし状況が許せば)~するつもりがある」という、控えめな意志表示になるわけです。これが「Would you…?(~してくださいますか?)」という依頼文の正体です。「(もしご迷惑でなければ)してくださるお気持ちはありますか?」と聞いているんですね。

「could」のイメージ:現実から距離を置いた「可能性」

一方、「could」は「can」の過去形です。「can」は「~できる」という能力や可能性を表します。

これを過去形にすることで、同様に現実との距離が生まれ、「(もし条件が整えば)~できるかもしれない」という控えめな可能性を表します。

依頼文の「Could you…?」は、「(もし状況的に可能であれば)~していただけますか?」と、相手の都合や能力を配慮して尋ねるニュアンスになります。相手に「できない」と断る余地を残すため、非常に柔らかく丁寧な響きになります。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

ビジネスの依頼では、相手の意志を尊重するなら「Would」、相手の都合(可能性)を配慮するなら「Could」を使います。推量の場合、「Would」は「(ほぼ間違いなく)そうなる」、「Could」は「(ひょっとしたら)ありうる」という確信度の違いで使い分けます。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け(依頼・提案)

依頼の内容によって使い分けると、より洗練された印象になります。

【OK例文:would(意志を問う)】

  • Would you mind checking this document?
    (この資料を確認していただけませんか? ※相手の意向を伺う)
  • I would appreciate your prompt reply.
    (早急なお返事をいただければ幸いです。 ※丁寧な願望)

【OK例文:could(可能性を問う)】

  • Could you send me the file by tomorrow?
    (明日までにファイルを送っていただけますか? ※物理的に可能か聞く)
  • We could reschedule the meeting if you are busy.
    (お忙しければ会議の日程変更も可能です。 ※可能性の提案)

「Could you…?」は「物理的に可能か」を聞くニュアンスが含まれるため、無理なお願いをする際や、相手の忙しさを気遣う際によく使われます。

日常会話での使い分け(推量・願望)

未来の予測や、自分の希望を伝える場面でも違いが出ます。

【OK例文:would(確度の高い推量・意志)】

  • That would be great!
    (それはいいですね! ※「もしそうなれば最高だ」という確信)
  • I would like to have some coffee.
    (コーヒーをいただきたいのですが。 ※「want」の丁寧版)

【OK例文:could(低い可能性・能力)】

  • It could be true.
    (それは本当かもしれないね。 ※「ありえなくはない」レベル)
  • I could eat a horse!
    (馬一頭でも食べられそうなくらいお腹が空いた! ※仮定の能力)

これはNG!間違えやすい使い方

文法的には間違いでなくても、状況によって不自然になるケースがあります。

  • 【NG】 (上司に対して)Could you do this?
    (これ、できますか?)
  • 【OK】 (上司に対して)Would you mind doing this?
    (これをお願いしてもよろしいでしょうか?)

目上の人に対して「Could you…?」を使うと、文脈によっては「あなたにその能力(または暇)はありますか?」と能力を試しているように聞こえてしまうリスクがゼロではありません。相手の意志を尊重する「Would you…?」や「Would you mind…?」の方が無難な場合があります。

【応用編】似ている表現「might」「should」との違いは?

【要点】

「might」は「could」よりもさらに低い可能性(ひょっとしたら~かも)を表し、「should」は「~のはずだ」「~すべきだ」という当然や義務を表します。確信度の高さは「will > would > should > could > might」の順で低くなるとイメージしましょう。

「would」「could」と並んでよく使われる助動詞との違いも整理しておきましょう。

might(~かもしれない)

「may」の過去形で、「could」よりもさらに可能性が低い場合に使います。「もしかしたら雨が降るかも(降らない確率の方が高い)」といったニュアンスです。

  • It might rain later.
    (後で雨が降るかもしれません。)

should(~のはずだ/~すべきだ)

「shall」の過去形で、推量としては「当然そうなるはず」というニュアンスを持ちます。「would」ほどの確信はないけれど、論理的に考えてそうなるだろう、という場合です。

  • He should be here soon.
    (彼はもうすぐ着くはずです。)

「would」と「could」の違いを文法的な視点から解説

【要点】

文法的には「仮定法過去」の概念が重要です。現在の話なのに過去形を使うことで「現実との距離」を生み出し、それが「丁寧さ」や「控えめな推量」につながります。「If I were you, I would…(もし私なら〜するだろう)」が典型例です。

専門的な視点から見ると、この二つは「仮定法過去」という文法ルールに基づいています。

仮定法過去とは、「もし~なら、…だろう」という、現実とは異なる状況を仮定して話す法です。

英語には「時制の一致」や「距離感の法則」というものがあり、時間的な距離(過去形)を使うことで、心理的な距離(丁寧さ・控えめさ)を表現するという特徴があります。

  • Will / Can:現実的・直接的。「~する」「~できる」。距離ゼロ。
  • Would / Could:非現実的・間接的。「(もし状況が許せば)~するだろう」「~できるだろう」。距離あり。

この「距離感」があるからこそ、相手の領域に土足で踏み込まない、奥ゆかしい丁寧さが生まれるのです。詳しくは文化庁の日本語教育関連資料などで言語の丁寧性について比較研究するのも面白いでしょう。

僕が「could」を使ってしまい微妙な空気になった体験談

僕も海外出張に行き始めた頃、この使い分けで失敗した経験があります。

現地のパートナー企業との会食でのこと。相手の部長さんが、自社の新プロジェクトについて熱く語ってくれました。僕は相槌を打ちながら、「それは素晴らしい成功を収めるでしょうね!」と言いたくて、こう言ったんです。

「That could be a great success!」

すると、部長さんの笑顔が少し引きつり、「Well, we hope so.(まあ、そう願っていますよ)」と、トーンダウンしてしまいました。

後で同席していた通訳の方に聞いて冷や汗が出ました。僕は「成功するでしょう(確信)」のつもりでしたが、「could」を使ったことで、相手には「まあ、成功する可能性もなくはないですね(失敗するかもね)」という、かなり懐疑的なニュアンスで伝わっていたのです。

「成功間違いなしですね!」と相手を持ち上げたいときは、確信度の高い推量を表す「That would be a great success!」を使うべきでした。

「一文字違いで、応援が皮肉に聞こえてしまう」。言葉の持つ温度感の恐ろしさを痛感した出来事でした。

「would」と「could」に関するよくある質問

「Would you like…?」と「Do you want…?」の違いは?

どちらも「~はいかがですか?/~したいですか?」という意味ですが、丁寧さが全く違います。「Do you want…?」は親しい友人向けで、「~したい?」と聞くカジュアルな表現。「Would you like…?」は「~はいかがなさいましたか?」という非常に丁寧な接客やビジネス向けの表現です。

「I wish I could…」はどういう意味?

「~できればいいのに(実際にはできない)」という叶わぬ願望を表す決まり文句です。ここで「could」が使われるのは、現実には不可能なこと(仮定法)だからです。「I wish I would」とは言いません。

コーヒーを注文するとき「Could I have…?」はおかしい?

いいえ、全くおかしくありません。「Can I have…?」よりも丁寧な注文の仕方として、カフェやレストランで頻繁に使われます。「(お店の都合として可能であれば)いただけますか?」という控えめなニュアンスが含まれ、店員さんへの配慮が感じられる好印象な表現です。

「would」と「could」の違いのまとめ

「would」と「could」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は元の形で判断:「would」は意志(will)、「could」は可能性・能力(can)。
  2. 依頼のニュアンス:「would」は相手の意向を、「could」は相手の都合(可否)を伺う。
  3. 推量の確信度:「would」は高い(きっと~だ)、「could」は低い(ひょっとしたら~かも)。
  4. 丁寧さの理由:過去形にすることで現実から距離を置き、相手への配慮を示す。

「would」と「could」を正しく使い分けることは、単に文法的に正しい英語を話すだけでなく、相手への敬意や、状況に対する自分の確信度を正確に伝えるための重要なスキルです。

これからは自信を持って、その場の状況にぴったりの言葉を選んでいきましょう。英語由来語の使い分けについてさらに知りたい方は、英語由来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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