「ガトーショコラ」と「チョコケーキ(チョコレートケーキ)」。
カフェや洋菓子店で、どちらも美味しそうで迷ってしまいますが、この二つは何が違うのでしょうか?
最も決定的な違いは、「言葉の範囲」。実は、「ガトーショコラ」はフランス語で「チョコレートケーキ」を意味する言葉 であり、本来は「チョコレートケーキ」という大きな分類の中に「ガトーショコラ」が含まれます。
ただし、日本では「ガトーショコラ」というと、特定の一つのスタイルを指すことが一般的。
この記事を読めば、その本来の意味と、日本での使い分け、食感や製法の違いまでスッキリと理解できます。
それでは、まず二つの違いを一覧表で比較してみましょう。
結論|「ガトーショコラ」と「チョコケーキ」の違いを一言で
「ガトーショコラ」と「チョコケーキ」の最も重要な違いは、言葉が指す「範囲」です。「チョコケーキ(チョコレートケーキ)」は、チョコレートやココアパウダーを主要な材料として含むケーキの「総称」です。スポンジがメインのもの、クリームがメインのものなど、様々な種類が含まれます。「ガトーショコラ」は、フランス語で「焼いたチョコレート菓子」、つまり「チョコレートケーキ」全般を意味します。しかし日本では、チョコレート生地にメレンゲを混ぜ込み、小麦粉を少なくして焼いた、濃厚でしっとりした食感の特定のケーキを指す通称として使われることが一般的です。
【徹底比較】ガトーショコラとチョコケーキの違い一覧表
本来、「ガトーショコラ」はフランス語で「チョコレートケーキ」を意味するため、二つは同じものです。ただし、日本では「チョコケーキ」が広い総称、「ガトーショコラ」が濃厚でしっとりした特定のスタイルを指す、という使い分けが定着しています。
両者の言葉としての意味と、日本での一般的なイメージを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | ガトーショコラ (Gâteau au chocolat) | チョコケーキ (Chocolate Cake) |
|---|---|---|
| 言葉の由来 | フランス語 | 英語 |
| 本来の意味 | 焼いたチョコレート菓子 (チョコレートケーキ全般を指す) | チョコレートを使ったケーキ全般 |
| 日本での主なイメージ | 濃厚でしっとりした、小麦粉少なめの焼き菓子 | チョコレートスポンジやクリームを使ったケーキ(デコレーションケーキなど) |
| 分類 | チョコレートケーキの一種 | ケーキの大分類(総称) |
| 食感(日本でのイメージ) | 濃厚、しっとり、重め | 軽やか、ふわふわ、クリーミーなど多彩 |
ガトーショコラ(Gâteau au chocolat)とは?
「ガトーショコラ」は、フランス語で「Gâteau(焼いた菓子・ケーキ)」+「au chocolat(チョコレート入りの)」を意味します。本来はザッハトルテやブラウニーなども含む「チョコレートケーキの総称」 です。
本来の意味:フランス語の「チョコレートケーキ」全般
「ガトーショコラ(Gâteau au chocolat)」という言葉をフランス語で直訳すると、「Gâteau(ガトー)」が「焼いたお菓子」や「ケーキ」、「au chocolat(オ・ショコラ)」が「チョコレート入りの」 という意味になります。
つまり、フランス語圏では「ガトーショコラ」とは、特定のケーキを指す固有名詞ではなく、チョコレートを使った焼き菓子全般を指す「一般名称」なのです。
そのため、フランスではオペラ、フォンダンショコラ、ブラウニーなども含めて、すべてが「ガトーショコラ」の仲間ということになります。
日本での意味:特定の濃厚なチョコレートケーキ
一方、日本で「ガトーショコラ」と注文すると、特定のスタイルのケーキが出てくることがほとんどです。
それは一般的に、チョコレートにバター、砂糖、卵を加え、小麦粉の使用量を(スポンジケーキなどに比べて)極力少なくし、泡立てたメレンゲ(卵白)を混ぜ込んでしっとりと濃厚に焼き上げたケーキを指します。
この日本で定番のスタイルは、フランスでは「ガトー・クラシック・オ・ショコラ(伝統的なチョコレートケーキ)」 と呼ばれるものに近いかもしれません。
チョコケーキ(チョコレートケーキ)とは?
「チョコレートケーキ」は、チョコレートやココアパウダーを主要な材料として含むケーキの「総称」です。生地にココアを混ぜたもの、クリームにチョコを使ったもの、チョコでコーティングしたものなど、全てのチョコレート系ケーキがこれに含まれます。
定義:チョコレートやココアを使ったケーキの総称
「チョコレートケーキ(Chocolate Cake)」は、その名の通り、生地にココアパウダーやチョコレートを混ぜ込んだり、チョコレートクリームを塗ったり、チョコレートでコーティングしたり と、主要な材料としてチョコレートを使用したケーキ全般を指す、非常に広いカテゴリー名です。
デコレーションされた誕生日ケーキから、オーストリアのザッハトルテ、アメリカのブラウニー、フランスのオペラ まで、すべてが「チョコレートケーキ」の一種です。
【核心】「広義の言葉」と「日本独自の通称」という違い
本来は「ガトーショコラ = チョコレートケーキ」ですが、日本では使い分けが起きています。「チョコレートケーキ」は全般的な総称として使われ、「ガトーショコラ」はその中でも特に「小麦粉が少なく濃厚でしっとりしたタイプ」を指す通称として定着しています。
「チョコケーキ」は大きな分類(総称)
まず、「チョコケーキ(チョコレートケーキ)」が最も大きな分類(カテゴリ名)です。
チョコレートケーキ ⊃ { ガトーショコラ、ザッハトルテ、ブラウニー、オペラ、… }
上記のように、チョコレートを使ったケーキはすべて「チョコケーキ」の仲間となります。
「ガトーショコラ」は日本で特定のケーキを指す通称
本来「ガトーショコラ」も「チョコケーキ」と同じく総称のはずですが、日本では独自の進化を遂げました。
「ガトーショコラ」という言葉が、いつの間にか「濃厚でしっとりした、小麦粉少なめのチョコレートケーキ」 という、特定の一つのスタイルを指す「通称(商品名のようなもの)」として定着したのです。
ですから、日本のカフェで「ガトーショコラ」と「チョコレートケーキ」が両方メニューにある場合、前者は濃厚な焼き菓子タイプ、後者はスポンジとクリームで構成されたデコレーションケーキタイプ を指している可能性が高いと言えます。
製法・食感・味わいの違い
日本での一般的なイメージに基づいて、二つの製法や食感の違いを見てみましょう。
一般的なチョコケーキ:スポンジベースで「軽やか」
日本で「チョコレートケーキ」としてイメージされることが多いのは、デコレーションケーキです。
これは、ココアパウダーやチョコレートを練り込んだ「チョコレートスポンジ(ジェノワーズ)」を焼き、間にチョコレートクリームを挟み、全体をコーティングしたものです。
スポンジが主体のため、食感は「ふわふわ」として「軽やか」なのが特徴です。
日本で言うガトーショコラ:小麦粉が少なく「濃厚・しっとり」
一方、「ガトーショコラ」としてイメージされるものは、製法が異なります。
小麦粉の(薄力粉)の使用量が非常に少ないか、全く使わないレシピ もあります。その代わりに、たっぷりのチョコレートとバターを溶かし、そこに泡立てたメレンゲ(卵白)を加えて混ぜ込み、じっくりと焼き上げます。
小麦粉が少ないため、生地は膨らまず、「しっとり」「ねっとり」とした濃厚な食感 に仕上がります。チョコレートそのものの味をダイレクトに楽しむケーキと言えるでしょう。
ガトーショコラとブラウニーの違い
ガトーショコラとよく似た濃厚な焼き菓子に「ブラウニー」がありますね。
「ブラウニー」はアメリカ発祥のチョコレートケーキです。ガトーショコラとの主な違いは、メレンゲを使わず全卵をそのまま混ぜ込むこと、そして小麦粉の割合がガトーショコラよりも多い傾向にあることです。
また、平たい型で焼いて四角くカットし、中にナッツやチョコチップを入れるのが定番スタイルです。
【体験談】言葉の違いで知った、ケーキの奥深さ
僕がカフェでアルバイトをしていた頃、メニューには「ガトーショコラ」と「チョコレートショートケーキ」がありました。
新人時代、お客様から「この二つ、どう違うの?」と聞かれ、しどろもどろになった苦い記憶があります。「どちらもチョコレートのケーキです…」としか答えられなかったのです。
先輩に教わって初めて、その違いを明確に知りました。
「チョコレートショートケーキ」は、ふわふわのココアスポンジに、チョコレートクリームとイチゴがサンドされた、いわゆる「チョコケーキ」の代表格。軽やかな食感が特徴でした。
一方の「ガトーショコラ」は、スポンジというより、みっしりと詰まった濃厚なチョコレート生地そのもの。小麦粉はほとんど使っておらず、温めると中心が少しとろけるような、まさに「焼いたチョコレート」 でした。
この経験から、フランス語の「ガトーショコラ」が、日本では「濃厚でしっとりした特定タイプ」を指す言葉として定着し、英語の「チョコレートケーキ」が「スポンジを使った軽やかなタイプ」や、それら全てを含む総称として使われている、という日本独自の使い分け を肌で学びました。
ガトーショコラとチョコケーキに関するよくある質問(FAQ)
結局、ガトーショコラはチョコレートケーキの一種ですか?
はい、その通りです。「チョコレートケーキ」という大きなカテゴリの中に、「ガトーショコラ」という種類(スタイル)がある、と理解するのが最も正確です。
「フォンダンショコラ」もガトーショコラですか?
フランス語の広い意味では「ガトーショコラ(焼いたチョコレート菓子)」の一種です。ただし、フォンダンショコラは「中からチョコレートソースが溶け出す」 という明確な特徴があるため、ガトーショコラとは別のメニューとして厳密に区別されています。
日本で「ガトーショコラ」と呼ばれるケーキの材料は何ですか?
基本的な材料は、チョコレート、バター、卵(卵黄とメレンゲに分けることが多い)、砂糖、そして少量の小麦粉やココアパウダーです。小麦粉を一切使わないグルテンフリーのレシピもあります。
まとめ|ガトーショコラはチョコケーキの一種!
「ガトーショコラ」と「チョコケーキ」の違い、これでスッキリしましたね。
二つの違いを最後にシンプルにまとめます。
- チョコケーキ:「総称」。チョコレートを使ったケーキ全般を指す最も広い言葉。
- ガトーショコラ:本来の意味はフランス語で「チョコケーキ」 だが、日本では「小麦粉が少なく、しっとり濃厚に焼いた特定のタイプ」を指す通称として使われる。
つまり、「ガトーショコラ」は数ある「チョコケーキ」の中でも、特に濃厚な食感を持つ代表的なスタイルの一つ、ということです。
「ふわふわのスポンジとクリームのハーモニーを楽しみたい!」という時は「(デコレーション)チョコレートケーキ」。
「チョコレートそのものの濃厚さ、しっとりとした口どけを堪能したい!」という時は「ガトーショコラ」。
ぜひ、それぞれの魅力を理解して、あなたの好みにぴったりのチョコレートスイーツを選んでみてください。
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