あくまきとちまきの違い!製法・味・歴史まで徹底比較

あくまきとちまき。

どちらも竹の皮や笹の葉に包まれ、端午の節句などで見かける伝統的な食べ物ですよね。

ですが、見た目が似ているからといって「同じようなものでは?」と思っていると、その味わいや食べ方の違いに驚くかもしれません。

結論から言うと、この二つは「製法」と「味」が全く異なる別物です。

「あくまき」は灰汁(あく)で煮込む鹿児島発祥の菓子で、それ自体に味はありません。一方、「ちまき」は中国由来で、蒸して作り、中に具材(あんこや五目)が入っています

この記事では、あくまきとちまきの根本的な違いを、製法、歴史、食べ方まで徹底的に比較解説します。これを読めば、二つの違いがスッキリと理解できますよ。

結論|あくまきとちまきの違いを一言で

【要点】

あくまきとちまきの決定的な違いは、「製法」と「味」です。「あくまき」は鹿児島県の郷土菓子で、もち米を「灰汁(あく)」に浸けてから竹の皮で包み、長時間煮込んで作ります。味付けはされておらず、きな粉や砂糖醤油をかけて食べます。一方、「ちまき」は中国由来の伝統食で、もち米(またはうるち米)を笹の葉などで包み、「蒸す」か「茹でて」作ります。和菓子(あんこ入り)や中華ちまき(五目具材入り)など、それ自体に味がついているのが特徴です。

つまり、「灰汁を使うか」「味は後付けか、最初から付いているか」が最大の違いなんですね。

二つの料理の主な違いを、以下の比較表にまとめました。

項目あくまきちまき
製法もち米を「灰汁(あく)」で煮込むもち米を「蒸す」または「茹でる」(灰汁は使わない)
味付けなし(食べる時にきな粉、砂糖、黒蜜などをかける)あり(中にあんこや五目具材が入っている)
発祥日本(鹿児島県)中国
形状細長い棒状(羊羹のような形)三角形、円錐形、俵形など多様
食感独特のぷるぷる感、もっちり感、弾力もっちり(五目)、ねっとり(和菓子)
主な包み葉竹の皮笹の葉、竹の皮

あくまきとちまきの定義・起源・発祥の違い

【要点】

「あくまき」は鹿児島県や宮崎県南部発祥の郷土菓子です。保存食として生まれ、端午の節句に食べられます。「ちまき」は中国発祥で、詩人・屈原(くつげん)の故事に由来するとされ、日本には平安時代頃に伝わりました。

二つの料理は、そのルーツが全く異なります。

「あくまき」とは?(鹿児島の郷土菓子)

「あくまき」は、鹿児島県や宮崎県南部、熊本県人吉市などで作られる郷土菓子です。(参考:農林水産省 うちの郷土料理「あくまき」

その起源は、武将が戦場に持参した保存食、あるいは関ヶ原の戦いで敗れた島津義弘が薩摩(鹿児島)に持ち帰ったという説など、諸説あります。

「灰汁(あく)」という強アルカリ性の液体で処理するため、非常に日持ちが良いのが特徴で、保存食として重宝されました。現在では、主に5月の「端午の節句」に、子供の健やかな成長を願って食べられる縁起菓子として定着しています。

「ちまき」とは?(中国由来の伝統食)

「ちまき(粽)」は、中国で生まれた食べ物です。その起源は古く、紀元前の中国(楚の国)の詩人、屈原(くつげん)の故事に由来すると言われています。

国を憂い、川に身を投げた屈原を供養するため、命日である5月5日に、川の魚に食べられないよう葉で包んだ米を投げ入れたのが始まりとされています。この風習が「端午の節句」の行事食として、日本に伝わりました。

日本には平安時代頃に伝わり、独自の進化を遂げます。現在では、甘い和菓子タイプのものと、具材の入った中華ちまき(五目ちまき)の二種類が主流ですね。

【徹底比較】原材料・製法・味付けの違い

【要点】

最大の違いは「灰汁(あく)」の有無です。「あくまき」は、もち米を木灰から作った灰汁に一晩浸し、さらにその灰汁で数時間煮込みます。これにより米粒が溶け、独特の食感が生まれます。「ちまき」は、灰汁を使わず、もち米(またはうるち米)を水に浸し、具材と一緒に葉で包んで蒸し上げます。

二つの料理の個性を決定づける、製法と味付けの違いを見ていきましょう。

最大の違い①:製法(「灰汁」で煮込むか、「蒸す」か)

あくまき
製法が非常に独特です。

  1. 木や竹を燃やして作った「灰」から「灰汁(あく)」という強アルカリ性の液体を作ります。
  2. もち米をその灰汁に一晩(数時間)浸けます。
  3. 灰汁から引き上げたもち米を、竹の皮で隙間なく包みます。
  4. それを再び灰汁(または煮汁)が入った大釜で、数時間かけてじっくりと煮込みます

アルカリ性の力でもち米が化学変化を起こし、米粒の形が崩れてゼリー状に固まり、色も飴色に変化します。

ちまき
製法は「蒸す」または「茹でる」が基本です。

  1. もち米を水に浸しておきます。
  2. 和菓子の場合はあんこ、中華ちまきの場合は味付けした豚肉や椎茸、タケノコなどの具材を用意します。
  3. 水切りしたもち米と具材を、笹の葉や竹の皮で包みます。(三角形や円錐形に成形)
  4. それを蒸し器で蒸すか、熱湯で茹でて火を通します。

灰汁は一切使いません。米粒の形がしっかり残るのが特徴です。

最大の違い②:味付け(後から味を付ける vs 中に具がある)

あくまき
灰汁で煮込んだ「あくまき」そのものには、味がほとんどありません。灰汁由来の独特の香りや苦みを感じる程度です。そのため、食べる人が「後から」味を付けます。

ちまき
それ自体で味が完成しているのが特徴です。和菓子タイプはあんこや砂糖で甘く、中華ちまきは醤油やオイスターソース、具材の旨味で塩気のあるしっかりとした味がついています。

原材料と包む葉の違い

あくまき
原材料は非常にシンプルで、「もち米」「灰汁」「竹の皮」のみです。

ちまき
原材料は「もち米」(または、うるち米)、包む「笹の葉」や「竹の皮」、そして中に入れる「具材(あんこ、栗、豚肉、椎茸など)」です。

見た目・食感・食べ方の違い

【要点】

あくまきは「細長い棒状」で、色は「飴色」。食感は「ぷるぷる・もっちり」で、きな粉や砂糖醤油で食べます。ちまきは「三角形」や「円錐形」で、色は「白(または茶色)」。食感は「もっちり」で、そのまま食べます。

製法と味が違えば、当然、見た目や食べ方も異なります。

見た目(形状)の違い

あくまき
竹の皮で包まれ、細長い棒状(羊羹のよう)に成形されています。包みを開けると、中身は灰汁のアルカリ反応で黄色〜飴色に変色しています。

ちまき
笹の葉や竹の皮で、「三角形」や「円錐形」、または俵形にきっちりと巻かれています。包みを開けると、中身はもち米の「白」(中華ちまきの場合は具材やタレで「茶色」)です。

食感と味わいの違い

あくまき
米粒の形はほぼ溶けており、「ぷるぷる」「もっちり」とした独特の弾力があります。わらび餅やういろうにも似た食感です。味わいは、灰汁独特のほのかな苦みや香りがあります。

ちまき
米粒の形が残っており、「もっちり」とした米本来の食感が楽しめます。和菓子タイプはあんこの甘さが、中華ちまきは具材の旨味と油のコクが味わいの中心です。

食べ方の違い(きな粉 vs そのまま)

あくまき
味がついていないため、必ず何かをかけて食べます。最もポピュラーなのは「きな粉+砂糖(または黒糖)」です。他にも、「砂糖醤油」や「黒蜜」、「白砂糖」や「塩」をかける地域もあります。

ちまき
味が完成しているので、包みを開けてそのまま食べます。中華ちまきは温めて食べるのが一般的ですね。

文化・歴史・名産品としての位置づけ

【要点】

「あくまき」は、薩摩(鹿児島)の風土が生んだローカルな郷土菓子であり、戦陣食・保存食としての歴史を持ちます。「ちまき」は、中国の故事が由来となり、日本の「端午の節句」の行事食として全国的に広まったものです。

あくまき(鹿児島の保存食・端午の節句)

あくまきは、高温多湿な南九州において、食品を長持ちさせるための「保存食」としての側面が非常に強い食べ物です。灰汁(アルカリ性)で処理することで、雑菌の繁殖を抑え、常温でも数日間保存が可能になります。

この保存性の高さから、薩摩藩の兵士が戦場に持参したとも言われています。現在では、5月5日の端午の節句に、男の子の健やかな成長と厄除けを願って食べられる、鹿児島に欠かせない行事食となっています。

ちまき(中国の故事と日本の端午の節句)

ちまきは、前述の通り、中国の詩人・屈原の故事に由来します。日本でも「端午の節句」に食べるものとして定着していますが、その理由は中国の風習がそのまま伝わったものです。

日本では、地域によって端午の節句に食べるものが異なり、「ちまき」を食べるのは主に関西圏、「柏餅(かしわもち)」を食べるのは主に関東圏、という違いも見られます。「あくまき」は、その九州南部バージョンと言えるかもしれませんね。

【体験談】鹿児島の「あくまき」初体験と中華街の「ちまき」

僕が「あくまき」と「ちまき」が全くの別物だと知ったのは、鹿児島出身の友人からお土産にもらった「あくまき」がきっかけでした。

竹の皮に包まれた細長いそれを、友人は「糸で切るんだよ」と教えてくれました。包丁で切るとベタベタくっついてしまうんですね。糸でスライスした飴色の塊は、確かに美味しそうでしたが、そのまま食べると無味で、ほのかに灰汁の苦みを感じるだけ。

「えっ、これどうやって食べるの?」と聞くと、友人は笑いながら「きな粉と黒糖を混ぜたのをかけるんだよ!」と。かけて食べると、あの独特のぷるぷるした食感と、黒糖きな粉の甘みが一体となり、初めて体験する絶品の和菓子になりました。

一方、「ちまき」といえば、僕にとっては横浜中華街で食べる「中華ちまき」です。熱々の笹の葉を開けると、醤油色に染まったもち米が顔を出し、中には角煮、椎茸、うずらの卵がゴロゴロ入っています。それ自体が完璧な「ごちそう」ですよね。

「後から味を足す、ぷるぷるの“あくまき”」と、「味が完成している、もっちり“ちまき”」。同じ「葉に包まれた米」でも、これほどまでに思想が違うのかと感動したのを覚えています。

あくまきとちまきに関するFAQ(よくある質問)

ここでは、あくまきとちまきに関してよくある疑問にお答えします。

あくまきとちまき、結局一番の違いは何ですか?

最大の違いは「製法」と「味」です。あくまきはもち米を「灰汁(あく)」で煮込んで作り、それ自体に味はありません。ちまきは灰汁を使わず「蒸し」、中に具(あんこや五目)が入っていて味がついています。

あくまきは甘いですか?

あくまき自体には味はありません。食べる直前に、きな粉や砂糖、黒蜜、砂糖醤油などをかけて甘くして食べます。

ちまきは「お菓子」ですか?「ご飯」ですか?

どちらもあります。和菓子屋さんで売られているあんこ入りの甘い「ちまき(和菓子)」と、中華料理店などで売られている豚肉や椎茸などが入った「中華ちまき(五目ちまき)」という食事系のものがあります。

まとめ|あくまきとちまき、どちらを選ぶ?

あくまきとちまきの違い、スッキリしましたでしょうか。

見た目は似ていても、そのルーツも製法も、味わいも全く異なる料理でした。

  • あくまき鹿児島発祥灰汁で煮込む。味は後付け(きな粉など)。ぷるぷる食感。
  • ちまき中国発祥蒸す(茹でる)中に具が入っており味が完成している。もっちり食感。

鹿児島の伝統的な保存食と、中国の故事に由来する行事食。どちらも端午の節句に食べられることが多いですが、その背景にある物語は大きく異なります。

ぜひ、この違いを意識して、二つの伝統的な米料理を食べ比べてみてくださいね。

「食べ物の違い」カテゴリでは、他にも様々な料理・メニューの違いについて解説しています。