グラスフェッドバターとギーの違い!バターコーヒーにはどっちが最適?

「グラスフェッドバター」と「ギー」、どちらも健康志向の方や“バターコーヒー”などで注目を集める人気の食材ですよね。

名前は似ていませんが、どちらもバターに関連しているため、違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、この二つは「原料の定義」「最終製品の定義」という全く異なるレイヤーの話です。

「グラスフェッドバター」は、牧草飼育された牛の乳から作った「バター」そのものです。一方、「ギー」は、バター(原料がグラスフェッドかは問わない)を加熱・精製して、水分やタンパク質を取り除いた「純粋な乳脂肪(バターオイル)」を指します。

この記事を読めば、二つの明確な違いから、製造方法、栄養価、そして料理での最適な使い分けまでスッキリと理解できます。もう売り場で迷うことはありません。

それではまず、二つの違いが一目でわかる比較表から見ていきましょう。

結論|グラスフェッドバターとギーの違いが一目でわかる比較表

【要点】

最大の違いは、グラスフェッドバターが「飼育方法」に焦点を当てたバター(原料)であるのに対し、ギーはバターを精製した「純粋な乳脂肪(加工品)」である点です。ギーは製造過程で水分・タンパク質・乳糖がほぼ除去されるため、発煙点(約250℃)が非常に高く常温保存が可能になります。グラスフェッドバターは発煙点が低く(約175℃)、冷蔵保存が必要です。

「グラスフェッドバター」を原料にして「ギー」を作ることも可能です。

項目グラスフェッドバターギー
定義牧草飼育牛の乳で作ったバターバターを加熱・精製した純粋な乳脂肪(バターオイル)
分類バター(乳製品)バターオイル(乳製品)
主な成分乳脂肪(約80%)、水分、タンパク質(カゼイン)、乳糖乳脂肪(ほぼ100%)
カゼイン・乳糖微量に含む製造過程でほぼ除去される
発煙点(目安)低い(約175℃)非常に高い(約250℃)
味・香りクリーミー、あっさり、牧草由来の風味ナッツやキャラメルのような香ばしい香り
保存方法要冷蔵(水分・タンパク質を含むため)常温保存可能(水分・タンパク質を含まないため)
主な用途トースト、ソテー、お菓子作り、バターコーヒー高温の炒め物、揚げ物、バターコーヒー、香り付け

グラスフェッドバターとギーとは?定義と分類の違い

【要点】

「グラスフェッドバター」は「牛の飼育方法」を指定する言葉で、牧草のみ(または牧草主体)で育てた牛の乳から作ったバターを指します。一方、「ギー」は「バターの加工法」を示す言葉で、バターから水分や固形分を取り除いた純粋な油(バターオイル)を指します。

この二つは、比較する土俵が少し違います。「原料の種類」と「加工品の種類」の違いと考えると分かりやすいですね。

グラスフェッドバター:「牧草飼育牛」の「バター」

「グラスフェッド(Grass-fed)」とは、「牧草(Grass)」で「育てられた(fed)」という意味です。

一般的な乳牛は、トウモロコシや大豆などの穀物飼料(グレインフェッド)を中心に与えられて育ちます。それに対し、グラスフェッドの牛は、牧草のみ、あるいは牧草を主体とした飼料で育てられます。

「グラスフェッドバター」とは、その牧草飼育牛の乳(生乳)から作ったバターのことです。飼育方法にこだわった、バターの一種ということですね。通常のバターと同様に、生乳から分離したクリームを撹拌(チャーン)して作られます。

ギー:「バター」から水分やタンパク質を除去した「バターオイル」

「ギー(Ghee)」は、インドを中心とした南アジアで古くから作られている、純度の高いバターオイルの一種です。

原料はバター(グラスフェッドバターである場合も、そうでない場合もある)です。このバターを鍋でゆっくりと加熱し、水分を蒸発させ、タンパク質(カゼインなど)や乳糖(ラクトース)といった固形分を焦がして沈殿させ、それらをフィルターで丁寧に取り除いたものです。

最終的に残った、黄金色の上澄み液(=純粋な乳脂肪)がギーです。

つまり、グラスフェッドバターは「ギーの原料」になり得ますが、ギーそのものではありません。

製造方法の決定的な違い|「撹拌」と「加熱・精製」

【要点】

グラスフェッドバターは、クリームを「撹拌(チャーン)」して脂肪球を凝集させて作ります。一方、ギーは、そのバターを「加熱・煮詰める」ことで水分を蒸発させ、タンパク質(カゼイン)や乳糖を焦がして分離・除去するという「精製」工程を経て作られます。

二つの製造工程は、全く異なります。

グラスフェッドバターの製造(バターの製造)
1. 牧草飼育牛の乳からクリーム(乳脂肪)を分離します。
2. クリームを「チャーン」と呼ばれる機械で激しく撹拌(かくはん)します。
3. 撹拌によりクリーム中の脂肪球が凝集し、「バター粒」と「バターミルク(水分)」に分離します。
4. バター粒を集め、練り上げて固形にしたものがバターです。

ギーの製造
1. バター(グラスフェッドバターなど)を鍋に入れ、弱火でゆっくりと加熱します。
2. 水分(約15%〜)が蒸発していきます。
3. 加熱を続けると、タンパク質や乳糖などの固形分が焦げて鍋底に沈殿します。
4. 水分が完全に蒸発し、沈殿物が茶色く色づき、ナッツのような香ばしい香りがしてきたら火を止めます。
5. これをフィルター(布やコーヒーフィルターなど)で濾(こ)して、透明な黄金色の油分だけを抽出したものがギーです。

ギーの製造工程は、バターから「不純物(水分やタンパク質)」を取り除く「精製」のプロセスと言えますね。

味・香り・食感・見た目の違い

【要点】

グラスフェッドバターは、一般的なバターより黄色みが強く、あっさりとしたクリーミーな風味が特徴です。ギーは、製造時の加熱(メイラード反応)により、ナッツやキャラメルのような独特の香ばしい、甘い香りが最大の特徴です。食感は、常温ではバターより柔らかい半固形状です。

グラスフェッドバターの風味

牧草に含まれるβ-カロテン(ビタミンAの前駆体)の影響で、一般的なバターよりも黄色みが濃いのが特徴です。

風味は、穀物飼育のバターと比べると、クリーミーでありながらも比較的あっさりしており、ほのかに牧草のような青草い(と表現されることもある)独特の風味を感じることがあります。食感は通常のバターと同じく、冷蔵庫ではカチカチに固まります。

ギーの風味

ギーの風味は、グラスフェッドバターとは全く異なります。製造工程でタンパク質や乳糖を加熱することで「メイラード反応」が起こり、ナッツやカラメルのような、非常に香ばしく甘い香りが生まれます。

この独特の芳香がギーの最大の魅力です。色は透明感のある黄金色。食感は、常温ではバターより柔らかく、気温によっては(夏場など)液体状に、または(冬場など)ザラっとした半固形状になります。

栄養・成分・健康面の違い|乳糖・カゼインと発煙点

【要点】

最も重要な違いは、ギーが製造過程で「カゼイン(タンパク質)」と「ラクトース(乳糖)」をほぼ除去している点です。そのため、乳糖不耐症やカゼインに敏感な人でも摂取しやすいと言われます。また、ギーの発煙点(約250℃)は、グラスフェッドバター(約175℃)より格段に高く、高温調理に適しています。

健康面や調理適性を考える上で、この二つの成分の違いは非常に重要です。

乳糖(ラクトース)とカゼインの有無

グラスフェッドバターは、通常のバターと同様に、微量ながらタンパク質(カゼイン)乳糖(ラクトース)を含んでいます。そのため、乳製品アレルギー(カゼイン)や乳糖不耐症(ラクトース)の人は、摂取に注意が必要です。

ギーは、製造工程でこれらの成分(水分と共にタンパク質や乳糖)を沈殿させ、取り除いています。そのため、カゼインや乳糖はほぼ含まれていません。乳糖不耐症の人でもお腹がゴロゴロしにくい、カゼインに敏感な人でも取り入れやすい、と言われるのはこのためです(※重度のアレルギーの方は医師にご相談ください)。

発煙点(スモークポイント)の違い

発煙点(油が煙を出し始める温度)は、料理の安全と美味しさに直結します。

グラスフェッドバターの発煙点は約175℃です。これは、水分やタンパク質などの不純物が含まれているためで、高温になると焦げやすいです。

ギーは、不純物をほぼ完全に取り除いた純粋な油であるため、発煙点が約250℃と非常に高いのが特徴です。高温で加熱しても焦げ付きにくく、酸化しにくい安定したオイルと言えます。

使い方・料理での最適な扱い方の違い

【要点】

グラスフェッドバターは発煙点が低いため、トーストに塗る、蒸し野菜に乗せるなどの「生食」や「風味付け」、または低温でのソテーに向いています。ギーは発煙点が非常に高いため、高温の炒め物や揚げ物に最適です。また、その香ばしさを活かしてバターコーヒーやカレーの仕上げにも使われます。

発煙点と風味の違いが、そのまま最適な用途の違いになります。

グラスフェッドバターがおすすめの料理(生食・ソテー)

風味を活かし、高温にしすぎない使い方が適しています。

  • バターコーヒー:コーヒーに溶かして、クリーミーな風味と良質な脂質を補給する。
  • トースト、パンケーキ:そのまま塗って、牧草由来のあっさりした風味を楽しむ。
  • 蒸し野菜、温野菜:仕上げに溶かしバターとしてかける。
  • ソテー:野菜や魚のソテーなど、中火程度までの加熱調理。

ギーがおすすめの料理(高温調理・香り付け)

高い発煙点と香ばしい香りを活かす料理に最適です。

  • 高温の炒め物:野菜炒めやチャーハンなどに使うと、焦げ付きにくく、ギー特有の香ばしい風味が加わります。
  • 揚げ物:酸化しにくいため、揚げ油としても(贅沢ですが)使用可能です。
  • バターコーヒー:バターの代わりに、またはバターと共に入れると、ナッツのような香ばしい風味がプラスされます。
  • カレーや煮込み:仕上げに少量加えると、コクと香りが格段にアップします。
  • トースト:バターの代わりに塗ると、キャラメルのような風味を楽しめます。

価格と正しい保存方法の違い

【要点】

グラスフェッドバターは、一般的なバターより高価です。水分やタンパク質を含むため、必ず冷蔵保存が必要です。ギーは、バターをさらに加工するため高価ですが、水分を含まないため腐敗しにくく、常温での長期保存が可能です。

価格とコストパフォーマンス

グラスフェッドバターは、牧草飼育という手間のかかる飼育方法のため、一般的な穀物飼育のバター(グレインフェッドバター)よりも高価です。

ギーは、そのバターをさらに煮詰めて作るため、元のバターよりも重量が減り(水分が飛ぶため)、製造コストもかかるため、一般的にグラスフェッドバターよりもさらに高価になります。

ただし、ギーは常温保存が可能で酸化にも強いため、保存性や高温調理での安定性を考慮すると、一概にコストパフォーマンスが悪いとは言えません。

正しい保存方法(冷蔵と常温)

グラスフェッドバターは、通常のバターと同様、水分やタンパク質を含み、酸化やカビの影響を受けやすいため、必ず冷蔵保存が必要です。光や空気にも弱いため、銀紙や密閉容器で保存します。

ギーは、腐敗の原因となる水分やタンパク質がほぼ除去されているため、未開封・開封後ともに常温での長期保存が可能です。直射日光を避け、冷暗所で密閉して保存します。冷蔵庫に入れると固くなりますが、品質に問題はありません。

【体験談】バターコーヒーで知った「ギー」の香ばしさと手軽さ

僕も数年前から「バターコーヒー」(完全無欠コーヒー)を試しています。最初はレシピ通り、グラスフェッドバターとMCTオイルをコーヒーに入れてブレンダーで撹拌(かくはん)していました。

グラスフェッドバターは美味しかったのですが、冷蔵庫から出したばかりだとカチカチで、毎回切り分けるのが少し面倒でした。それに、冷蔵庫で保存していると、他の食材の匂いが移りやすいのも悩みでしたね。

そんな時、知人から「ギー」を勧められました。「バターコーヒーに入れるなら、ギーの方が香りが良くて手軽だよ」と。

半信半疑でグラスフェッドのギーを買ってみて、まず驚いたのが「香り」です。蓋を開けた瞬間、バターというよりはナッツや、少し焦がしたキャラメルのような甘く香ばしい香りが広がりました。

そして何より、常温保存できるのが楽でした。スプーンですくってコーヒーに入れるだけ。ブレンダーで混ぜると、バターにも負けないクリーミーな泡立ちと、あの独特の香ばしい風味が加わって、いつものバターコーヒーが全く別物の「ごちそう」に変わりました。

同じ「乳脂肪」でも、精製(加熱)するかしないかで、こんなにも香りが変わり、使い勝手(保存性)まで変わるのかと、食材の奥深さを実感した体験でした。

グラスフェッドバターとギーに関するよくある質問

Q1. グラスフェッドバターとギー、結局どっちが健康に良いですか?

A1. 一概に優劣はつけられません。用途が異なります。グラスフェッドバターは良質な脂質に加え、ビタミン類も残っていますが、乳糖やカゼインを含みます。ギーはカゼインや乳糖がほぼフリーで、高温調理に強いというメリットがあります。ご自身の体質や料理の目的に合わせて使い分けるのが最も賢明です。

Q2. グラスフェッドバターからギーは自分で作れますか?

A2. はい、作れます。市販のグラスフェッドバター(無塩が望ましい)を鍋に入れ、弱火で焦がさないように30分〜1時間ほどゆっくり加熱し続けます。水分が蒸発し、タンパク質が沈殿して茶色く色づき、香ばしい香りがしてきたら火を止め、コーヒーフィルターなどで濾(こ)せば、自家製のギーが完成します。

Q3. ギーはバターの代わりにお菓子作りに使えますか?

A3. 使えますが、仕上がりが変わります。ギーは水分を含まない純粋な油分(ショートニングやラードに近い)ため、バター(水分を含む)を使った時のように生地が膨らんだり、ミルキーな風味が出たりはしません。その代わり、サクサクとした食感や、ギー特有の香ばしい風味を加えたいクッキーなどには適しています。

まとめ|グラスフェッドバターとギー、特徴を活かした賢い使い分け

グラスフェッドバターとギーの違い、スッキリ整理できたでしょうか。

この二つは「原料」と「加工品」という、全く異なる定義の食材でした。

  • グラスフェッドバター
    牧草飼育牛の乳から作った「バター」。あっさりした風味。発煙点が低く、要冷蔵。生食や風味付け向き。
  • ギー
    バターを精製した「純粋な乳脂肪(バターオイル)」。ナッツのような香ばしい風味。発煙点が非常に高く、常温保存可能。高温調理や香り付け向き。

どちらも良質な脂質を摂取できる素晴らしい食材です。

「トーストやバターコーヒーに、クリーミーな風味を足したい時はグラスフェッドバター」
「炒め物や、香ばしいバターコーヒーを楽しみたい時はギー」

このように、それぞれの長所を理解して使い分けることで、あなたの食生活はより豊かで健康的なものになるはずです。

健康的な食生活に関心がある方は、厚生労働省の栄養・食生活に関する情報なども参考にしながら、様々な食材・素材の知識を深めてみてくださいね。