「本社」と「本店」の違いとは?法律上の定義とビジネスでの使い分け

「本社」と「本店」、どちらも会社の中心となる拠点を指す言葉ですが、ビジネスシーンや公的な書類でどちらを使うべきか迷ったことはありませんか?

結論から言うと、法律(登記)上の正式名称は「本店」、実務上の活動拠点は「本社」と使い分けるのが基本。

この記事を読めば、履歴書の書き方から取引先への敬称、さらには銀行が「本店」と呼ぶ理由までスッキリと理解でき、ビジネスパーソンとしての常識が身につきます。

それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「本社」と「本店」の最も重要な違い

【要点】

「本店」は会社法や登記簿で使われる法律用語で、会社の住所地を指します。「本社」はビジネス用語で、実質的な機能の中心拠点を指します。多くの場合、場所は一致しますが、使い分ける文脈が異なります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目本社 (Head Office / Headquarters)本店 (Head Office / Main Store)
中心的な意味業務機能の中心、指揮命令系統のトップ法律・登記上の本拠地
使われる場面日常会話、ビジネスメール、会社案内契約書、公的書類、履歴書(正式な場合)
対義語支社支店
業界の傾向一般企業(メーカー、ITなど)金融機関(銀行、証券)、百貨店、老舗企業

簡単に言えば、法律の話なら「本店」、普段の仕事の話なら「本社」を使っておけば、まず間違いありません。

ただし、銀行や百貨店などは、普段から「本店」と呼ぶ文化があるため、相手の業界に合わせる柔軟さも必要ですね。

なぜ違う?漢字の成り立ちと「社」と「店」のイメージ

【要点】

「社」は人々が集まる結社や組織を表し、組織機能の中心を「本社」と呼びます。「店」は商品を並べて売る場所を表し、商売の拠点としての中心を「本店」と呼びます。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、漢字のイメージから紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「本社」のイメージ:組織(Company)の中心

「社」という字は、「やしろ」とも読みますよね。もともとは土地の神様を祀る場所、転じて「人々が集まる団体・結社」を意味するようになりました。

つまり、「本社」とは「会社という組織(機能)の中心」というニュアンスが強い言葉です。

営業、人事、総務など、組織運営の中枢機能が集まっている場所を指すのにピッタリですね。

「本店」のイメージ:店舗(Store)の中心

一方、「店」という字は、商品を並べて売る場所、つまり「商売を行う具体的な場所」を指します。

ここから、「本店」は「数ある店舗の中で、最も主要な店」という意味合いになります。

商法や会社法などの法律用語として採用された際、商人が商売を行う拠点(本拠地)という意味で「本店」という言葉が定着しました。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

日常業務では「本社」、契約や登記に関わる場面では「本店」を使います。また、相手が「本店」と自称している場合は、それに合わせるのがマナーです。

言葉の違いは、具体的なシーンで確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの「本社」

組織の機能や場所を指す場合はこちらが一般的です。

  • 来週、本社で会議があります。
  • 本社機能の一部を地方に移転する計画がある。
  • 弊社の本社ビルは東京駅の目の前にあります。
  • 転勤で大阪支社から東京本社へ異動になった。

公的な場面での「本店」

法律や契約、特定の業界ではこちらを使います。

  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の本店所在地を確認する。
  • 契約書には、本店の住所を記載してください。
  • ○○銀行本店営業部へ振り込む。
  • 老舗デパートの本店で買い物をする。

これはNG!間違いやすい使い方

意味は通じますが、違和感を与えてしまうケースです。

  • 【NG】(一般企業の営業マンが)弊社の本店は品川にありまして…。
  • 【OK】弊社の本社は品川にありまして…。

一般的なメーカーやIT企業などが自社のことを「本店」と言うと、相手は「えっ、お店やってるの?」「銀行の方?」と少し混乱してしまうかもしれません。特に理由がなければ「本社」が無難です。

  • 【NG】(登記申請書類で)本社移転登記の申請を行います。
  • 【OK】本店移転登記の申請を行います。

法務局への申請書類など、法律に関わる場面では用語を正確に使う必要があります。「本社移転」はビジネス用語、「本店移転」は法律用語と覚えておきましょう。

【応用編】銀行や老舗企業はなぜ「本店」を使うのか?

【要点】

銀行は法律で「本店・支店」という名称が使われることや、信用を重視する歴史的背景から「本店」を使います。また、老舗企業や百貨店も、創業の地や商売の原点としての誇りを込めて「本店」と呼ぶ傾向があります。

一般企業が「本社」と呼ぶのに対し、なぜ銀行や一部の企業は頑なに「本店」と呼ぶのでしょうか?

銀行が「本店」と呼ぶ理由

銀行の場合、銀行法などの関連法規や慣習の中で、営業拠点を「本店」「支店」と呼ぶことが定着しています。

銀行業務はお金を扱う「商い」であり、それぞれの拠点が「店」としての機能を持っています。その親玉として「本店」が存在するわけですね。

「〇〇銀行 本社」とは言わず、「〇〇銀行 本店」と言うのが業界の常識です。

老舗企業や百貨店のこだわり

創業100年を超えるような老舗企業や百貨店(デパート)も、「本店」を使うことが多いです。

これは、創業の地である「お店」を大切にする精神や、お客様に直接商品を販売する「小売り」としてのプライドが込められている場合があります。

「本社」というと管理部門のビルという冷たいイメージになりがちですが、「本店」というとお客様を迎える温かい場所というイメージが湧きませんか?

「本社」と「本店」の違いを法的に解説

【要点】

会社法において企業の住所地は「本店」と定義されており、「本社」という用語は使われません。登記簿上の「本店所在地」が、その会社の法的な住所となります。

専門的な視点から、法律上の定義を整理してみましょう。

日本の会社法(および商業登記法)では、「本社」という言葉は登場しません。すべて「本店」で統一されています。

会社を設立する際、定款(会社の憲法のようなもの)に「本店の所在地」を記載し、法務局で登記する必要があります。

つまり、法的に存在する会社の住所は、あくまで「本店」の場所なのです。

一方、「本社」は法律用語ではなく、ビジネスの実態に合わせて使われる通称です。

興味深いことに、「登記上の本店」と「実質的な本社」が別の場所にあるケースも珍しくありません。

例えば、創業の地(地方など)に登記上の「本店」を残したまま、機能的な中枢(社長室や主要部署)を東京に移し、そこを「東京本社」と呼ぶパターンです。この場合、法律上の住所は地方の「本店」ですが、名刺やHPでは東京の「本社」がメインで書かれることがあります。

「本社」と「本店」に関する体験談

僕が就職活動をしていた頃の、ちょっと冷や汗が出る体験談をお話しします。

当時、第一志望だった大手メガバンクの最終面接に進んだときのことです。面接官との会話も弾み、最後に「何か質問はありますか?」と聞かれました。

僕は張り切って、「はい!御行の本社ビルは非常に立派ですが、社員食堂などはあるのでしょうか?」と質問しました。

すると、面接官の方がニッコリ笑ってこう言ったのです。

「学生さんだから仕方ないけど、銀行では『本社』ではなく『本店』と呼ぶんだよ。入行したら間違えないようにね」

その瞬間、顔から火が出るかと思いました。「本社」でも意味は通じますが、その業界の常識や言葉遣いを知らないことが露呈してしまったのです。

「やってしまった…」と落ち込みましたが、その指摘を素直に受け入れ、「勉強不足で申し訳ありません。教えていただきありがとうございます!」と元気よく返しました。

結果的に内定をいただけたので良かったですが、「相手の業界の言葉を使う」ことの重要性を痛感した出来事でした。

皆さんも、金融機関や老舗企業を相手にする際は、ぜひ「本店」という言葉を意識して使ってみてくださいね。それだけで「おっ、こいつは分かってるな」と思われるかもしれませんよ。

「本社」と「本店」に関するよくある質問

Q. 履歴書には「本社」と「本店」、どちらを書けばいいですか?

A. 基本的には、その会社が求人票やホームページで使っている表記に合わせるのが一番です。「本社所在地」とあれば「本社」、「本店所在地」とあれば「本店」と書きましょう。一般企業であれば「本社」で問題ありませんが、銀行などは「本店」と書くのがマナーです。

Q. 「本社」と「本店」が別の場所にある場合、契約書にはどちらを書くべきですか?

A. 契約書などの法的な書類には、登記簿上の「本店所在地」を記載するのが原則です。ただし、契約の実務を担当するのが本社であれば、本社の住所を記載することもあります。迷ったら登記情報を確認し、本店所在地を記載するのが確実です。

Q. 英語ではどう使い分けますか?

A. 英語ではどちらも “Head Office” や “Headquarters (HQ)” と訳されることが多く、日本語ほど厳密な使い分けはありません。ただし、店舗としての本店を強調したい場合は “Main Store” や “Flagship Store” と言うこともあります。

「本社」と「本店」の違いのまとめ

「本社」と「本店」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本の違い:「本社」は実務・機能の中心、「本店」は法律・登記上の中心。
  2. 使い分け:一般会話やメールでは「本社」、契約書や公的書類では「本店」。
  3. 業界の常識:銀行や百貨店などは「本店」と呼ぶのがマナー。

言葉一つで、その会社の歴史や業界の文化が見えてくるなんて面白いですよね。

これからは相手の会社に合わせて「本社」と「本店」をスマートに使い分けて、ビジネスコミュニケーションを円滑に進めていってください。

もし、他にも専門用語の使い分けで迷うことがあれば、業界用語の違いまとめなども参考にしてみてください。

スポンサーリンク