「ダイヤルイン」と「直通」の違いとは?回線数とコストの仕組み

「ダイヤルイン」と「直通」、どちらも会社で個人のデスクに直接電話がかかってくる便利な機能ですが、その裏側の仕組みは「回線をみんなでシェアするか」それとも「一人一本の回線を引くか」という点で決定的に異なります。

オフィスの電話設備を導入する際、この違いを知らずに選んでしまうと、無駄な基本料金を払い続けたり、逆に電話が全然つながらないという事態に陥ったりするかもしれません。

この記事を読めば、それぞれの仕組みの違いとメリット・デメリット、さらにはコスト削減に繋がる選び方までスッキリと理解でき、自社の規模に最適な電話環境を構築できるようになりますよ。

それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「ダイヤルイン」と「直通」の最も重要な違い

【要点】

「直通」は電話機1台につき電話回線1本を契約する「1対1」の仕組みです。「ダイヤルイン」は複数の電話番号を少数の電話回線で共有する「多対少」の仕組みです。規模が大きくなるほどダイヤルインがコスト面で有利になります。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの方式の決定的な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、どちらを選ぶべきかが見えてきます。

項目ダイヤルイン (Direct Inward Dialing)直通(単独電話) (Direct Line)
仕組み複数の番号で少数の回線を共有する1つの番号に1つの回線を専有する
必要な機器PBX(構内交換機)やビジネスフォン通常の電話機(家庭用と同じ)
コスト(大規模時)割安(回線基本料を節約できる)割高(人数分の基本料がかかる)
同時通話数契約した回線数まで契約した台数分すべて
向いている規模中規模〜大規模オフィス小規模オフィス、個人事業主

簡単に言えば、家の電話のように「電話線が電話機に直接つながっている」のが「直通」です。

一方で、会社のように「代表番号や部署ごとの番号がたくさんあるけれど、実際の電話線は数本しかない」というのが「ダイヤルイン」ですね。

つまり、「物理的に線で繋ぐ」のが直通、「システムで番号を割り振る」のがダイヤルインと考えると分かりやすいでしょう。

なぜ違う?仕組みのイメージから理解する

【要点】

「直通」は専用道路のようなもので、いつでも通れますが維持費がかかります。「ダイヤルイン」は相乗りバスのようなもので、座席(回線)をシェアしてコストを下げますが、満席だと通話できません。

なぜこの二つの方式に違いが生まれるのか、イメージで例えると、その理由がよくわかりますよ。

「直通」のイメージ:専用の道路

「直通」は、あなたのデスクまで専用の道路(回線)が引かれている状態です。

あなた専用なので、いつでも電話をかけられますし、必ずあなたにかかってきます。

しかし、道路の維持費(基本料金)は一人ひとりにかかるため、社員が増えれば増えるほどコストが膨れ上がります。

「ダイヤルイン」のイメージ:相乗りバス

一方、「ダイヤルイン」は、みんなで相乗りバス(共有回線)を使うイメージです。

「行き先(電話番号)」は一人ひとり違いますが、乗るバス(回線)は同じです。

例えば、社員が100人いても、同時に電話する人は10人くらいですよね。

だから、バス(回線)を10台分だけ用意しておき、番号を見て「これはAさん宛て」「これはBさん宛て」と振り分けるのです。

回線数が少なくて済むので、基本料金を大幅に節約できるのが最大の特徴です。

具体的な利用シーンで使い分けをマスターする

【要点】

社員数が数名の小規模オフィスや、絶対に話し中になってはいけない緊急連絡用には「直通」が適しています。部署ごとに番号を持ちたい中規模以上のオフィスや、コールセンターでは「ダイヤルイン」が必須です。

言葉の違いは、具体的なビジネスシーンで確認するのが一番ですよね。

オフィスの規模や用途に応じて、どちらを選ぶべきかを見ていきましょう。

直通電話を選ぶべきシーン

【小規模・緊急重視】

  • 社員が3名以下のスタートアップ企業。(PBX導入コストが割高になるため)
  • 社長室や役員室など、セキュリティや秘匿性を重視する回線。
  • ホットラインなど、話し中で繋がらないリスクをゼロにしたい重要な電話。

ダイヤルインを選ぶべきシーン

【中〜大規模・効率重視】

  • 社員が10名以上いて、それぞれに自分用の電話番号を持たせたい。
  • 「営業部」「経理部」「サポート」など、部署ごとに電話番号を分けたい
  • FAX専用番号を持ちたいが、FAX用の回線を引くのはもったいない。

【応用編】「代表電話」との違いは?

【要点】

「代表電話」は、複数の回線を束ねて一つの番号(代表番号)で着信する機能です。ダイヤルインと組み合わせて使われることが多く、「03-xxxx-0000(代表)」にかけると空いている回線に着信し、「03-xxxx-0001(ダイヤルイン)」にかけると特定の部署に着信する、という使い分けがなされます。

「ダイヤルイン」とセットで語られるのが「代表電話(代表組)」です。

これらも整理しておきましょう。

代表電話(Pilot Number)

代表電話は、「どの回線でもいいから、空いている電話で受ける」ための機能です。

例えば、回線が3本あっても、会社の電話番号(03-xxxx-0000)は1つだけ公開します。

1人目が電話中でも、2人目がかけると自動的に空いている2本目の回線につながります。

これは「着信の受け皿を広げる」機能です。

ダイヤルインとの組み合わせ

実際のオフィスでは、この「代表機能」と「ダイヤルイン機能」を同じ回線グループの中で併用します。

  • 代表番号にかかってきたら:総務部の電話機が全部鳴る。
  • ダイヤルイン番号にかかってきたら:営業部の電話機だけが鳴る。

このように、少ない回線を効率よく使い回すために、両方の機能が活躍しているのです。

「ダイヤルイン」と「直通」の違いを専門的に解説(PBXと回線効率)

【要点】

技術的な視点では、ダイヤルインはPBX(構内交換機)が着信番号情報を受け取り、設定された内線電話機へ振り分ける「着信選別機能」です。これにより、物理回線数(チャネル数)よりも多くの電話番号(追加番号)を運用することが可能になり、通信コストの最適化(回線集約)が実現します。

もう少し専門的な視点から、この違いを掘り下げてみましょう。

通信費の削減を考える上で、この仕組みの理解は不可欠です。

PBX(構内交換機)の役割

ダイヤルインを実現するためには、オフィス内に「PBX(Private Branch Exchange)」と呼ばれる交換機、または主装置が必要です(最近はクラウドPBXも主流です)。

電話局から着信があった際、通常の電話(直通)は単にベルを鳴らすだけですが、ダイヤルイン契約をしている回線では、着信と同時に「どの番号にかけてきたか」というデータが送られてきます。

PBXはこのデータを読み取り、「あ、これは営業部の番号だから、営業部の島にある電話機だけを鳴らそう」と瞬時に判断して接続します。

回線効率(集約効果)

直通電話で社員100人に電話を持たせるには、100本の回線契約が必要です。

基本料金が1本2,500円だとすると、毎月25万円かかります。

しかし、同時に電話する確率(呼量)を計算し、ダイヤルインで10本の回線に集約すれば、基本料金は10本分+ダイヤルイン追加番号料(数百円×100)で済みます。

つまり、「設備投資(PBX)はかかるが、ランニングコストが劇的に下がる」のがダイヤルインの経済的な特徴なのです。

オフィス移転で「直通」を選んでコストがかさんだ体験談

私が以前勤めていた会社で、オフィス移転プロジェクトを担当した時の話です。

当時、社員数は15名ほどに増えており、新オフィスでは「一人一台の固定電話」を導入することになりました。

私は通信の仕組みに詳しくなく、「電話といえば直通だろう」と思い込み、NTTに「電話回線を15本引いてください」と申し込みました。

工事が終わり、毎月の請求書を見て社長が青ざめました。

「おい、電話代だけでなんでこんなにかかってるんだ!?」

見てみると、通話料は大したことないのに、15回線分の基本料金が毎月重くのしかかっていたのです。

慌てて通信業者に相談すると、「御社の規模なら、ひかり電話のオフィスタイプ(ダイヤルイン)にして、回線は4本くらいで十分ですよ」と言われました。

「えっ、4本で15人が使えるんですか?」

目からウロコでした。

すぐにPBXを導入し、ダイヤルイン契約に切り替えたところ、電話番号は全員分そのまま維持しつつ、毎月のコストを半分以下に圧縮することに成功しました。

この経験から、「電話番号の数と、回線の数はイコールではない」ということを痛感しました。会社の成長に合わせて、通信インフラも見直す必要があるんですね。

「ダイヤルイン」と「直通」に関するよくある質問

Q. ダイヤルインでも「話し中」になることはありますか?

A. はい、あります。契約している回線数(同時通話数)を超えて電話がかかってきたり、かけようとしたりすると、話し中になります。これを防ぐには、適切な回線数を契約する必要があります。

Q. スマートフォンでもダイヤルインは使えますか?

A. はい、「クラウドPBX」というサービスを使えば、スマホを内線電話機のように使い、会社のダイヤルイン番号で発着信することができます。テレワークの普及で導入が増えています。

Q. 家庭用の電話機でダイヤルインは使えますか?

A. 基本的には使えません。ダイヤルイン信号を認識して鳴り分ける機能を持った電話機(ビジネスフォン)や交換機が必要です。ただし、一部のモデムダイヤルイン対応機など例外はあります。

「ダイヤルイン」と「直通」の違いのまとめ

「ダイヤルイン」と「直通」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 構造の違い:「ダイヤルイン」は回線共有(多対少)、「直通」は回線専有(1対1)。
  2. コストの違い:規模が大きいほど「ダイヤルイン」が得、小規模なら「直通」が安価。
  3. 機器の違い:「ダイヤルイン」はPBX等の交換機が必須、「直通」は電話機のみでOK。
  4. 使い分け:部署代表や個人番号を多数持つなら「ダイヤルイン」。

「ダイヤルイン」は効率的なマンション、「直通」は独立した一軒家。

このイメージを持っておけば、オフィスの電話環境を考えるときに、無駄のない最適な選択ができるはずです。

もし、他にも専門用語の使い分けで迷うことがあれば、業界用語の違いまとめなども参考にしてみてください。

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