「may」と「can」の違い、一言で言えば「may」はフォーマルな許可や不確実な推量、「can」は能力やカジュアルな許可を表すという点にあります。
どちらも「~できる」「~してもよい」と訳せますが、ビジネスシーンで相手との距離感や確信度を間違えると、失礼になったり意図が伝わらなかったりするリスクがあるため注意が必要です。
この記事を読めば、上司への依頼や同僚との会話でどちらを使うべきか、その微妙なニュアンスの違いが手に取るように分かります。
それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「may」と「can」の最も重要な違い
基本的にはフォーマルな場や目上の人には「may」、親しい間柄や能力を表す時は「can」と使い分けます。「may」は「上からの許可」のニュアンスを含むため、自分が使う際は注意が必要です。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの助動詞の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。
| 項目 | may | can |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 許可(フォーマル)、推量(不確実) | 能力、許可(カジュアル)、可能性 |
| ニュアンス | 上下関係がある、改まった響き | 対等な関係、率直な響き |
| 許可(〜してもよい) | 権限を持つ人が許可を与えるイメージ | 気軽に「いいよ」と言うイメージ |
| 可能性(〜かもしれない) | 50%程度の確信度(半々) | 理論的にあり得る(潜在的な可能性) |
| 能力(〜できる) | 使わない | 能力・物理的に可能であることを表す |
一番大切なポイントは、「may」は丁寧だが少し堅苦しく、「can」はフレンドリーだが砕けた印象になるということですね。
特にビジネスメールや接客では、相手との関係性によってこの距離感を使い分けることが重要になります。
なぜ違う?語源からイメージを掴む
「may」の語源は「力を持つ」で、神や権力者が許可を与えるような上から目線のニュアンスを含みます。一方、「can」の語源は「知る・できる」で、自身の能力や物理的な可能性に焦点が当たっています。
なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。
「may」の語源:「力・権力」が及ぼす許可のイメージ
「may」は、古英語の「magan」に由来し、これは「力がある」「~する力を持つ」という意味でした。
ここから、「(神や権力者が)~する力を与える」つまり「許可する」という意味合いが強くなりました。
そのため、「You may…(あなたは~してよい)」と言うと、権限のある人が「私が許してあげるよ」と言っているような、少し上から目線のニュアンスが含まれることがあるのです。
祈りや願望(May God bless youなど)に使われるのも、この「大いなる力」への意識が根底にあるからでしょう。
「can」の語源:「知識・能力」がベースの可能性
一方、「can」は、古英語の「cunnan」に由来し、「知っている」「方法を心得ている」という意味でした。
「know(知る)」と同語源であると言われています。
つまり、「やり方を知っているからできる」という能力や物理的な可能性を表すのが本来の役割です。
そこから転じて、「妨げるものがないから~できる(してもよい)」という、カジュアルな許可や依頼にも使われるようになりました。
「権限」よりも「事実としての可能性」に重きが置かれているため、フラットな響きになるんですね。
具体的な例文で使い方をマスターする
ビジネスで目上の人に許可を求める際は「May I…?」が適切ですが、相手に許可を与える際に「You may…」と言うと偉そうに聞こえるため注意が必要です。「Can」は同僚への依頼や自分のスキルを伝える際に適しています。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
相手との上下関係や、場面のフォーマル度を意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:may】
- May I come in?(入ってもよろしいでしょうか? / 入室許可を求める)
- May I ask a question?(質問してもよろしいですか? / 丁寧な許可求め)
- It may take a few days to fix the problem.(問題の解決には数日かかるかもしれません。 / 不確実な推測)
【OK例文:can】
- Can you send me the file?(そのファイルを送ってくれる? / 同僚への軽い依頼)
- I can speak three languages.(私は3ヶ国語を話せます。 / 能力)
- We can meet in the lobby at 3 pm.(午後3時にロビーで会えますよ。 / 物理的に可能)
「May I help you?(いらっしゃいませ/何かお手伝いしましょうか?)」は、店員さんがお客様に対して使う定番フレーズですね。
これは「私があなたを助ける許可をいただけますか?」というへりくだった姿勢を表しています。
日常会話での使い分け
日常会話でも、親しさの度合いで使い分けます。
【OK例文:may】
- You may kiss the bride.(花嫁にキスをしてもよい。 / 式典などの厳格な許可)
- That may be true.(それは本当かもしれないね。 / 自信なげな推量)
【OK例文:can】
- Can I borrow your pen?(ペン借りていい? / 親しい間柄での許可)
- Anyone can make mistakes.(誰にでも間違いはあり得る。 / 一般的な可能性)
これはNG!間違えやすい使い方
意味は通じることが多いですが、相手を不快にさせる可能性がある使い方を見てみましょう。
- 【NG】(上司に対して)You may leave early today.(今日は早く帰っていいよ。)
- 【OK】(上司に対して)Would you like to leave early today? / You can leave early today if you need to.
部下が上司に向かって「You may…」と言うと、「私が許可してやる」という響きになり、非常に失礼です。
「may」は許可を与える権限を持つ人が使う言葉だと覚えておきましょう。
- 【NG】(面接で)I may use Excel perfectly.
- 【OK】(面接で)I can use Excel perfectly.
スキルのアピールで「may」を使うと「エクセルを使ってもよい(許可)」や「使うかもしれない(推量)」となり、能力をアピールできません。
能力については「can」一択です。
【応用編】似ている言葉「could」や「might」との違いは?
「could」は「can」の過去形ですが、丁寧な依頼や低い可能性を表す際によく使われます。「might」は「may」よりもさらに低い可能性(ひょっとしたら〜かも)を表します。丁寧さの度合いは「might > may > could > can」の順で変化します。
「may」と「can」には、それぞれ過去形の「might」と「could」がありますね。
これらも頻繁に使われるので、整理しておくとさらに表現の幅が広がりますよ。
丁寧な依頼の「Could」
「Can you…?」を「Could you…?」にすると、「~していただけますか?」という丁寧な依頼になります。
過去形にすることで「現実との距離」が生まれ、それが「控えめな態度」として丁寧さにつながるのです。
ビジネスでは「Can you…?」よりも「Could you…?」を使う方が無難なケースが多いでしょう。
可能性が低い「Might」
「May」の推量(~かもしれない)をさらに弱めたのが「Might」です。
「It may rain.(降るかもしれない=50%くらい)」に対して、「It might rain.(ひょっとしたら降るかも=30%くらい)」というイメージです。
自信がない時や、控えめに可能性を示唆したい時に便利ですね。
「may」と「can」の違いを言語学的に解説
言語学的には「認識的モダリティ(推量)」と「義務的モダリティ(許可・能力)」の観点から分析されます。「may」は話し手の主観的な判断や権威に基づく許可を、「can」は客観的な状況や能力に基づく可能性を表す傾向があります。
少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。
言語学の分野では、助動詞は「モダリティ(話し手の心的態度)」を表す語として分類されます。
「may」と「can」の使い分けにおいて重要なのは、そのモダリティが「主観的」か「客観的」かという点です。
「may」による許可は、話し手の権威や判断によって「私が許す」という主観的な決定に基づいています。
これが、法律や規則などで「may」が使われる理由でもあります。
規則によって「(権威において)~することが認められている」というニュアンスですね。
一方、「can」による可能・許可は、「障害となるものがないから可能である」という客観的な状況に基づいています。
「(状況的に)できるよ」「(能力的に)可能だよ」というニュアンスです。
現代英語では、階級意識の薄れとともに、日常的な許可にはフラットな「can」が好まれる傾向にあります。
しかし、公的な文書や改まった場では、依然として「may」がその格式を保っているのです。
海外出張で「Can I…?」を使って赤面した体験談
僕も昔、この「may」と「can」の使い分けで、冷や汗をかいた経験があります。
入社3年目の頃、初めてのアメリカ出張に同行した時のことです。
現地の取引先の重役たちと高級レストランで会食をする機会がありました。
緊張しながらも、なんとか英語でコミュニケーションを取ろうと必死でした。
食事が進み、少し席を外してお手洗いに行きたくなった僕は、隣に座っていた恰幅の良い副社長に向かってこう言いました。
「Can I go to the bathroom?(トイレ行っていい?)」
その瞬間、副社長は目を丸くして一瞬固まり、その後ニヤリと笑ってこう返しました。
「I don’t know if you can, but you certainly may.(君にその能力があるかは知らんが、許可はするよ)」
周りの同僚たちもクスクスと笑っています。
僕は顔から火が出るほど恥ずかしくなりました。
学校で「Can I…?」は「~してもいいですか?」と習ったので、そのまま使ってしまったのです。
しかし、フォーマルな場、しかも目上の人に対しては、あまりにも子供っぽく、砕けすぎた表現だったんですね。
さらに、副社長のジョークは「Can(能力)」と「May(許可)」の違いを突いた古典的なものでした。
「トイレに行く能力(歩く力や用を足す機能)があるかは私には分からんよ」という皮肉だったのです。
この経験から、TPOに合わせた助動詞の選択は、単なる文法正誤の問題ではなく、大人のマナーの問題だと痛感しました。
それ以来、ビジネスの場では意識して「May I…?」や「Could I…?」を使うようにしています。
「may」と「can」に関するよくある質問
「May I…?」と「Can I…?」どちらが丁寧ですか?
「May I…?」の方が圧倒的に丁寧でフォーマルです。「Can I…?」は親しい友人や家族間で使うカジュアルな表現です。ビジネスシーンや目上の人、初対面の人に対しては「May I…?」あるいは「Could I…?」を使うのが無難です。
「Maybe」と「may be」は同じ意味ですか?
いいえ、違います。「Maybe(副詞)」は「たぶん、もしかすると」という意味で文頭や単独で使われます。「may be(助動詞+動詞)」は「~かもしれない」という述語の一部として使われます。例えば「Maybe he is right.」と「He may be right.」はほぼ同じ意味ですが、品詞と文構造が異なります。
推量の「may」と「can」はどう使い分けますか?
「may」は「(具体的に)~という可能性がある、~かもしれない」という50%程度の推量を表します。「can」は「(理論上)~ということもあり得る」という潜在的な可能性を表す際によく使われます。否定文の「cannot」は「~のはずがない」という強い確信を表しますが、「may not」は単に「~ないかもしれない」という推量を表します。
「may」と「can」の違いのまとめ
「may」と「can」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本のニュアンス:「may」はフォーマル・上下関係、「can」はカジュアル・対等・能力。
- 許可を求める時:目上の人には「May I…?」、親しい人には「Can I…?」。
- 許可を与える時:「You may…」は偉そうになるので注意。「You can…」が無難。
- 推量の違い:「may」は不確実(50%)、「can」は理論的な可能性。
- 能力の表現:「できる」と言いたい時は「can」一択。
言葉の背景にある「権威」と「能力」というイメージを掴むと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。
これからは自信を持って、相手や状況にふさわしい言葉を選んでいきましょう。
ビジネスシーンでの言葉遣いについてさらに詳しく知りたい方は、ビジネス敬語の使い分けまとめページもぜひ参考にしてみてくださいね。
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