「complain」と「complaint」の違いとは?苦情を伝える表現

「complain」と「complaint」、どちらも「不満」や「苦情」に関わる言葉ですが、ビジネスシーンで使う際には品詞の違いによる使い分けが重要です。

一言で言えば、「complain」は「不満を言う」という動作(動詞)、「complaint」は「不満・苦情」という内容そのもの(名詞)を指します。

もし、正式な苦情を申し立てたい場面で単語の選び方を間違えると、単に「愚痴を言っている人」と受け取られ、真剣に取り合ってもらえないリスクすらあります。

この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ役割と適切なフレーズがスッキリと分かり、海外とのやり取りや外資系企業での業務でも、自信を持ってトラブル対応ができるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「complain」と「complaint」の最も重要な違い

【要点】

「complain」は動詞で、人が不満を口にする「行為」を指します。「complaint」は名詞で、提起された不満の「内容」や「案件」を指します。ビジネスでは「make a complaint(苦情を申し立てる)」のように名詞を使う方が、客観的でフォーマルな印象を与えます。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの単語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目complain(コンプレイン)complaint(コンプレイント)
品詞動詞(~について不平を言う)名詞(不平、苦情、ぐち)
焦点不満を口にする「行為・動作」不満の「内容・事実・案件」
よく使う形complain about ~(~について文句を言う)make a complaint(苦情を申し立てる)
ニュアンス主観的、感情的(愚痴っぽい場合も)客観的、事務的(処理すべき案件)
医療用語(患者が)痛みを訴える主訴(Chief Complaint)

一番大切なポイントは、ビジネスで正式に対応を求める場合は、動詞で「ギャーギャー言う(complain)」よりも、名詞を使って「苦情案件として提出する(file a complaint)」と言う方が、冷静でプロフェッショナルな印象になるということです。

なぜ違う?語源からイメージを掴む

【要点】

どちらもラテン語の「com(完全に)」+「plangere(打つ・嘆く)」に由来し、「胸を叩いて激しく嘆く」というイメージが根底にあります。「t」が付くことで「嘆いた結果(内容)」という名詞の形として定着しました。

なぜこの二つの言葉が形も意味も似ているのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「complain」の語源:胸を叩いて嘆く動作

「complain」は、ラテン語の「complangere」に由来します。

これは「com(強意:激しく)」+「plangere(打つ・叩く)」から成り立っています。

古代の人々が、悲しみや怒りで自分の胸を激しく叩いて嘆き悲しむ動作を想像してください。

そこから、「苦痛や不満を声に出して訴える」という動詞の意味になりました。

感情が外に向かって発散される「動き」のイメージですね。

「complaint」の語源:嘆きの結果として残るもの

一方、「complaint」は、「complain」に名詞を作る接尾辞「-t」が付いたものです。

これは、嘆いたり不満を言ったりした結果、そこに残った「言い分」や「申し立て」という対象物を指します。

動作が終わって、テーブルの上に置かれた「処理すべき書類(苦情案件)」のような静的なイメージを持つと分かりやすいでしょう。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「complain」は「誰が・何について」文句を言っているかを表す時に使います。「complaint」は「苦情がある」「苦情を受け取った」など、苦情を一つの対象物として扱う時に使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

クレーム対応や社内報告では、この使い分けが信頼感を左右します。

【OK例文:complain(動詞)】

  • The customer complained about the poor service.(その顧客はサービスの悪さについて不満を言った。)
  • Employees often complain of long working hours.(従業員はよく長時間労働について不平を漏らす。)

【OK例文:complaint(名詞)】

  • We received a formal complaint from a client regarding the delay.(遅延に関して、クライアントから正式な苦情を受け取った。)
  • I would like to make a complaint about this product.(この製品について苦情を申し立てたいのですが。)
  • Our department handles customer complaints.(私たちの部署は顧客からの苦情処理を担当しています。)

「make a complaint(苦情を言う)」や「file a complaint(苦情を申し立てる/提訴する)」は、ビジネス英語の鉄板フレーズです。

日常会話での使い分け

日常でも、愚痴を言う動作か、不満の種かによって使い分けます。

【OK例文:complain】

  • Stop complaining!(文句を言うのはやめて!)
  • He is always complaining about his boss.(彼はいつも上司の愚痴ばかり言っている。)

【OK例文:complaint】

  • My only complaint about this hotel is the Wi-Fi speed.(このホテルに対する唯一の不満はWi-Fiの速度だ。)
  • Do you have any complaints?(何か不満ある?)

これはNG!間違えやすい使い方

意味が通じなくなったり、文法的に誤りとなる使い方を見てみましょう。

  • 【NG】I want to complaint about the noise.
  • 【OK】I want to complain about the noise.(騒音について文句を言いたい。)

「complaint」は名詞なので、「to」の後ろ(動詞の位置)には置けません。

逆に「I have a complain.」も間違いで、正しくは「I have a complaint.」です。

  • 【NG】She made a claim about the food.(※料理に不満があるという意味で)
  • 【OK】She made a complaint about the food.(彼女は料理について苦情を言った。)

日本語の「クレーム」につられて「claim」を使うと、英語では「(権利として)賠償などを請求する」や「(事実だと)主張する」という意味になり、単なる「不満」とはズレてしまいます(詳しくは後述します)。

【応用編】似ている言葉「claim」や「feedback」との違いは?

【要点】

日本語の「クレーム」は英語の「complaint」に相当します。英語の「claim」は「権利の主張」や「請求」を意味する強い言葉です。「feedback」は改善のための意見としてポジティブに受け取られる表現です。

「苦情」や「意見」を表す英語は他にもあります。

これらを知っておくと、より正確に意図を伝えられますよ。

和製英語に注意「Claim」

英語の「Claim」は、「当然の権利として要求する」「(証拠はないが)主張する」という意味です。

「Baggage Claim(手荷物受取所)」は「自分の荷物だと主張して受け取る場所」ですね。

商品への不満を伝える時に「I want to claim.」と言うと、「賠償金を請求したい」や「権利を主張したい」と聞こえてしまい、相手を身構えさせてしまいます。

日本語の「クレームをつける」は、英語では「make a complaint」が正解です。

建設的な意見「Feedback」

「Feedback」は、結果に対する反応や評価、意見のことです。

「Complaint」と言うとネガティブな響きがありますが、「I have some feedback.(フィードバックがあります)」と言えば、改善のための建設的な意見としてポジティブに受け取ってもらえます。

ビジネスで角を立てずに改善を求めたい時は、この言葉が魔法のように効きます。

「complain」と「complaint」の違いをビジネス実務の視点から解説

【要点】

ビジネス実務、特にCS(カスタマーサポート)や品質管理の分野では、「Complaint(苦情)」は改善の機会として重要視されます。ISO 10002(苦情対応プロセス)などの規格でも、用語として定義されているのは動詞ではなく名詞の「Complaint」です。

少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

企業の品質管理や顧客満足度向上の取り組みにおいて、「Complaint Management(苦情マネジメント)」は非常に重要な分野です。

ここでは、顧客が「Complain(文句を言う)」という感情的な行動を、企業側がいかに「Complaint(苦情案件)」という客観的なデータに変換して処理するかが鍵となります。

動詞の「complain」は、その場限りの発散や不平不満の表明というニュアンスが強く、ともすれば「クレーマー(complainer)」というネガティブなレッテルと結びつきがちです。

しかし、それを名詞の「complaint」としてシステムに登録し、分析対象とすることで、それは「製品の欠陥」や「サービスの不備」を改善するための「資産」に変わります。

ビジネスにおいては、感情的な「complain」を、論理的な「complaint」へと昇華させることが、プロフェッショナルの仕事と言えるでしょう。

海外ホテルで「I claim!」と叫んで恥をかいた体験談

僕も昔、この「クレーム」に関する英語の使い分けで、とんでもない恥をかいた経験があります。

学生時代、初めての海外旅行でロンドンのホテルに泊まった時のことです。

部屋に入ると、シャワーのお湯が出ず、さらにベッドのシーツも少し汚れていました。

正義感に燃えていた僕は、フロントに駆け込み、拙い英語でこうまくし立てました。

「Excuse me! I claim! This room is bad!(すみません! 請求します! この部屋は最悪です!)」

フロントのスタッフは、一瞬驚いた顔をして、すぐに真剣な表情になり、パソコンを叩き始めました。

「What exactly are you claiming for? Compensation? A refund?(具体的に何を請求されているのですか? 補償金ですか? 返金ですか?)」

僕はキョトンとしました。

ただ部屋を変えてほしい、あるいは掃除してほしいと「文句(クレーム)」を言いたかっただけなのに、相手は僕が「金銭的な補償や法的権利」を主張していると受け取ったのです。

「No, no money… just clean room…(いや、お金じゃなくて…ただ綺麗な部屋を…)」

しどろもどろになりながら説明すると、スタッフは「Oh, you have a complaint about the room.(あぁ、部屋についての苦情ですね)」と安堵のため息をつき、すぐに部屋を交換してくれました。

この時、和製英語の「クレーム」をそのまま「claim」と訳すと、とんでもなく大げさで好戦的な意味になってしまうことを痛感しました。

「Complaint」という単語を知っていれば、もっとスムーズに、そして穏便に問題を解決できたはずです。

それ以来、海外でトラブルがあった時は、まず「I have a small complaint…(ちょっとした苦情があるんですが)」と切り出すようにしています。

これだけで、相手も構えずに耳を傾けてくれるんですよね。

「complain」と「complaint」に関するよくある質問

「make a complaint」と「complain」の違いは何ですか?

「make a complaint」の方がフォーマルで、公式な手続きとして苦情を申し立てるニュアンスが強くなります。「complain」は「不平を言う」「愚痴をこぼす」という日常的な会話から公式な場まで幅広く使われますが、文脈によっては単なる文句と受け取られることもあります。

「クレーム対応」は英語で何と言いますか?

「Complaint handling(苦情処理)」や「Dealing with complaints(苦情への対応)」と言います。「Claim handling」と言うと、保険金の支払い請求処理などを指すことが一般的です。

医療用語の「Chief Complaint」とは何ですか?

医療現場では「Chief Complaint(CC)」は「主訴」と訳されます。患者が最も強く訴えている症状や、来院の主な理由のことです。ここでは「不満」ではなく、「訴え」や「症状の申告」という意味で使われています。

「complain」と「complaint」の違いのまとめ

「complain」と「complaint」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 品詞の違い:「complain」は動詞(言う行為)、「complaint」は名詞(言いたい内容)。
  2. ビジネスでの推奨:公式な場では「make a complaint」などの名詞表現が好まれる。
  3. 和製英語の罠:日本語の「クレーム」は英語の「complaint」。「claim」は「請求」。
  4. ポジティブ変換:改善を求める時は「feedback」と言うと角が立たない。

言葉の背景にある「動作」と「対象」の違いを理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、状況にふさわしい言葉を選んでいきましょう。

ビジネスシーンでの言葉遣いについてさらに詳しく知りたい方は、ビジネス敬語の使い分けまとめページもぜひ参考にしてみてくださいね。

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