「fill in」と「fill out」、どちらも「記入する」と訳されますが、ビジネスシーンで使い分けに迷ったことはありませんか?
実はこの2つの熟語、「特定の空欄を埋めるか」それとも「書類全体を完成させるか」という記入の「範囲」と「目的」に決定的な違いがあるのです。
この記事を読めば、それぞれの単語が持つ核心的なイメージから申請書やフォームでの具体的な使い分け、さらには「fill up」などの類似語との違いまでスッキリと理解でき、もう英文作成で迷うことはありません。
それでは、まず最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「fill in」と「fill out」の最も重要な違い
基本的には空欄を埋めるなら「fill in」、書類全体を完成させるなら「fill out」と覚えるのが簡単です。「fill in」は部分的な穴埋め、「fill out」は全体的な作成のニュアンスを持ち、特にアメリカ英語では「fill out」が書類作成によく使われます。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの英熟語の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリでしょう。
| 項目 | fill in | fill out |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 空いている箇所に、情報を書き入れて埋めること | 必要事項をすべて記入して、書類を完成させること |
| イメージ | 穴埋め、補填、スポット的な記入 | 膨らませる、完成、全体的な記入 |
| 対象 | 名前、住所、電話番号などの「特定の欄」 | 申請書、申込書、アンケートなどの「書類全体」 |
| 地域差 | イギリス英語では書類全体にも使われる | アメリカ英語で書類全体によく使われる |
一番大切なポイントは、「fill in」は「穴(空欄)を埋める」という動作に焦点があり、「fill out」は「書類を作り上げる(完成させる)」という結果に焦点があるということです。
ただし、イギリス英語圏では「fill in a form(フォームに記入する)」という言い方も一般的ですので、相手の地域によって柔軟に捉えることも大切です。
なぜ違う?語源からイメージを掴む
「fill in」は“中に満たす”=“空隙を埋める”がイメージです。「fill out」は“外まで満たす”=“膨らませて完成させる”がイメージです。この成り立ちを知ると、穴埋めの「fill in」と完成の「fill out」という違いが明確になります。
なぜこの二つの表現にニュアンスの違いが生まれるのか、前置詞(副詞)の持つイメージを紐解くとその理由がよくわかりますよ。
「fill in」のイメージ:「中へ」埋める
「in」には「中へ」「内側に」というイメージがありますよね。
「fill(満たす)」+「in(中へ)」で、すっぽりと空いている穴や隙間に、何かを入れて埋めるという感覚になります。
壁のひび割れをパテで埋めたり、会話の沈黙を埋めたりするのも「fill in」です。
書類で言えば、「名前の欄」や「日付の欄」といった特定のボックス(枠)の中に文字を書き入れる行為がまさにこれに当たります。
「fill out」のイメージ:「外へ」広げて完成させる
一方、「out」には「外へ」「最後まで」「完全に」というイメージがあります。
「fill(満たす)」+「out(外へ)」で、中身を詰め込んで、外側までパンパンに膨らませる(形を整える)という感覚になります。
風船を膨らませたり、痩せている人がふっくらすることも「fill out」と表現します。
書類で言えば、最初はスカスカだった用紙に、すべての必要事項を書き込んで「情報の詰まった完全な書類」にする行為を指します。
そのため、「申請書」や「アンケート用紙」そのものを目的語にする場合は、「fill out」が好まれるのです(特にアメリカ英語)。
具体的な例文で使い方をマスターする
名前やパスワードなど特定の欄に入力するなら「fill in」、入会申込書や税関申告書を作成するなら「fill out」を使います。前者は「空欄を埋める作業」、後者は「手続きを完了させる作業」を意識すると自然な使い分けができます。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、それぞれのシーンで見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
記入の「範囲」と「目的」によって、適切な単語が変わりますよ。
【OK例文:fill in】
- Please fill in your name and email address here.
(ここに名前とメールアドレスをご記入(入力)ください。) - I need to fill in the blanks on this spreadsheet.
(このスプレッドシートの空欄を埋める必要がある。) - Could you fill me in on the details of the meeting?
(会議の詳細を教えてくれない? ※私という情報の空白を埋める=情報を共有する)
特定の項目を入力する場合や、情報の欠落を埋める場合には「fill in」がピッタリですね。
【OK例文:fill out】
- Please fill out this application form.
(この申込書にご記入(作成)ください。) - You must fill out a customs declaration form.
(税関申告書を記入しなければなりません。) - It took me an hour to fill out the questionnaire.
(そのアンケートに答えるのに1時間かかった。)
書類全体を完成させて提出できる状態にする場合には「fill out」が適しています。
日常会話での使い分け
日常的な場面でも、ニュアンスの違いは生きています。
【OK例文:fill in】
- Just fill in the date.
(日付だけ入れておいて。) - Fill in the correct answer.
(正解を書き込みなさい。)
【OK例文:fill out】
- I have to fill out these medical forms before seeing the doctor.
(診察の前にこの問診票を記入しなきゃ。) - He filled out the registration card at the hotel.
(彼はホテルで宿泊カードに記入した。)
【応用編】似ている言葉「fill up」との違いは?
「fill up」は「満タンにする」という意味で、容器や空間を一杯にする物理的な充填を表します。書類の記入にはあまり使われませんが、スケジュールが埋まる場合などには使われます。「fill in/out」のような「情報を書く」という意味とは異なります。
「fill in」や「fill out」と似た言葉に「fill up(フィル・アップ)」がありますよね。
これも「満たす」という意味ですが、書類の記入とは少し使い方が異なります。
「fill up」は“満タン”
「fill up」は、容器や空間を限界まで一杯にするという意味です。
「up」には「完全に」「上まで」というニュアンスがあるため、これ以上入らない状態を表します。
- Please fill up the tank.
((ガソリンを)満タンにしてください。) - My schedule is filling up.
(予定が埋まってきている。)
書類に対して「fill up」を使うと、「紙の余白がなくなるまで文字で埋め尽くす」ような、少し不自然な物理的イメージになってしまいます。
「情報を記入する」場合は「fill in」か「fill out」を使いましょう。
「fill in」と「fill out」の違いを文法的に解説
文法的にはどちらも「群動詞」であり、目的語が代名詞(it, them)の場合は「fill it in」「fill them out」のように間に挟む語順になります。名詞の場合は「fill in the form」「fill the form in」のどちらも可能ですが、挟まない形が一般的です。
専門的な視点から、文法的な特徴についても触れておきましょう。
実はこの二つ、目的語を置く位置にルールがあります。
代名詞は「サンドイッチ」する
目的語が「it」や「them」などの代名詞の場合、必ず動詞と副詞の間に置きます。
- Please fill it in.
(それに記入してください。) - I filled them out.
(それらを記入しました。)
× Please fill in it. とは言わないので注意しましょう。
名詞はどちらでもOKだが…
目的語が「the form」などの名詞の場合、間に入れても後ろに置いても文法的には正解です。
- Please fill out the form.
(一般的・推奨) - Please fill the form out.
ただし、目的語が長い場合や、リズムを良くするために、後ろに置く(熟語を離さない)形の方が一般的でわかりやすいです。
僕が「fill in」を使って少し手間取った体験談
僕もアメリカへの出張中、この表現の使い分けで、ちょっとしたコミュニケーションのズレを感じた経験があります。
現地のオフィスで、入館証の発行手続きをしていたときのこと。
受付のスタッフに申請書を渡され、僕は「Okay, I’ll fill in this form.」と言いました。
すると、スタッフは一瞬ポカンとして、「You mean, you’ll fill it out? Sure, go ahead.」と返してきました。
僕としては「記入する」と言ったつもりだったのですが、アメリカ人の彼にとっては、一枚の書類全体を完成させる行為は「fill out」と言うのが自然だったのです。
僕が「fill in」と言ったことで、「特定の箇所(例えば名前だけ)を記入する」あるいは「空欄を(適当に)埋める」というような、少し限定的なニュアンスに聞こえたのかもしれません。
実際、その書類は住所や緊急連絡先など、多くの項目を埋めて完成させる必要がありました。
ここは、郷に入っては郷に従えで、「I’ll fill out the form.」と言うべきでした。
「fill out」を使っていれば、「はい、全部書いて提出しますね」という意図がスムーズに伝わったはずです。
この経験から、書類全体を指すときは「out」、特定の欄を指すときは「in」という基本イメージを持つことが、誤解のないコミュニケーションの鍵だと学びました。
それ以来、アメリカで書類を渡されたときは、意識して「fill out」を使うようにしています。
「fill in」と「fill out」に関するよくある質問
イギリスでは「fill out」は通じませんか?
通じます。ただし、イギリス英語では「fill in a form」と言うのが一般的です。「fill out」はアメリカ英語の影響で使われることもありますが、「太る(fill out)」という意味で捉えられることもあるため、文脈に注意が必要です。ビジネスの場では相手の使った表現に合わせるのが無難です。
「complete」との違いは何ですか?
「complete」は「完了させる」「完成させる」という意味のフォーマルな単語です。「fill out」と同じく書類全体を記入する場合に使われます。「Please complete the form.」は「Please fill out the form.」よりも少し改まった、丁寧な響きになります。公的な文書やビジネスメールでは「complete」も頻繁に使われます。
Webフォームの入力はどちらを使いますか?
Webフォームの場合も紙の書類と同様です。フォーム全体を送信できる状態にするなら「fill out」、特定の入力フィールドに入力するなら「fill in」です。ただし、Webの場合は単に「enter(入力する)」や「input」を使うことも多いです。
「fill in」と「fill out」の違いのまとめ
「fill in」と「fill out」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は「穴埋め」か「完成」か:空欄を埋めるなら「fill in」、書類全体を作成するなら「fill out」。
- 対象の違い:特定の項目(名前など)は「in」、フォーム全体は「out」。
- 地域差:アメリカでは「fill out」が書類作成の主流、イギリスでは「fill in」が一般的。
言葉の持つ「空間的なイメージ(中へ/外へ)」を意識すると、自分の動作をより正確に伝えられるようになります。
これからは自信を持って、シチュエーションに合った英熟語を選んでいきましょう。
言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、ビジネス敬語の違いをまとめたページなども参考になるかもしれません。
あなたの英語コミュニケーションが、よりスムーズで的確なものになることを応援しています!
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