一瞬でわかる「設問」と「質問」の違いと使い分けのポイント

「設問」と「質問」、どちらも「問いかける」という意味では似ていますが、ビジネスや教育の現場では「問いがあらかじめ用意されているか」それとも「疑問を解消するために発するか」という点で明確に使い分けられます。

アンケートや試験を作る側なら「設問」、わからないことを聞く側なら「質問」を使うのが基本ですが、この使い分けを曖昧にしていると、相手に「誰が主体なのか?」という混乱を与えてしまいかねません。

この記事を読めば、アンケート作成や会議の質疑応答で迷うことなく最適な言葉を選べるようになり、あなたのビジネスコミュニケーションはより正確でスムーズなものになるでしょう。

それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「設問」と「質問」の最も重要な違い

【要点】

「設問」は回答者のためにあらかじめ設けられた問いであり、「質問」は疑問を解消するために自発的に投げかける問いです。

まずは結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、ビジネスでの基本的な使い分けはバッチリです。

項目設問(せつもん)質問(しつもん)
中心的な意味回答させるために、あらかじめ問いを設ける(設置する)ことわからないことや疑わしいことを問いただす(尋ねる)こと
主体(誰が?)出題者、主催者、調査実施者回答者、学習者、聴衆
目的相手の知識や意見を試す、調査する疑問を解消する、情報を得る
よく使われる場面試験問題、アンケート用紙、意識調査会議の質疑応答、授業、インタビュー、問い合わせ

一番大切なポイントは、「設問」は作るもの、「質問」はするものという視点を持つことです。

アンケート用紙を作るとき、あなたが書いているのは「設問」です。そのアンケートについて、回答者が「これってどういう意味ですか?」と聞いてくるのが「質問」ですね。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「設問」の「設」は「設備」のようにあらかじめ準備して設置するイメージ。「質問」の「質」は「人質」や「質す(ただす)」のように中身を問い詰めて明らかにするイメージです。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「設問」の成り立ち:「設」が表す“設置・準備”のイメージ

「設問」の「設」は、「設定」「設備」「建設」などに使われますよね。

これには「あらかじめ準備して、その場に据える」という意味があります。

つまり、「設問」とは、「回答者が答えるべき問いを、あらかじめ準備して設置したもの」を指します。

試験会場に入った時、机の上に置かれている問題用紙。あれこそがまさに「設置された問い=設問」なのです。

「質問」の成り立ち:「質」が表す“本質をただす”イメージ

一方、「質問」の「質」という字。「品質」や「性質」のほかに、「人質(ひといち)」や「言質(げんち)を取る」といった使い方もします。

この「質」には、「中身」や「本質」、さらに動詞の「質(ただ)す」として「不明な点を問い詰めて明らかにする」という意味があります。

ここから、「質問」は、単に聞くだけでなく、「わからないことを明らかにするために問う」という、自発的で探求的なニュアンスが生まれるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

アンケートや試験など「答えてもらうために用意した問い」は「設問」。会議や日常会話で「わからないことを聞く」のは「質問」と使い分けます。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

「誰が」「何のために」問いを発しているかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:設問】

  • 顧客満足度調査の設問を設計する。
  • 試験の第3設問は難易度が高い。
  • アンケートの設問数が多すぎると、回答率が下がる可能性がある。

【OK例文:質問】

  • プレゼン後の質疑応答で、鋭い質問が飛んできた。
  • 不明点があれば、遠慮なくご質問ください。
  • 上司に業務の進め方について質問する。

「設問」はドキュメント(文書)の中に存在し、「質問」はコミュニケーションの中に存在すると考えると分かりやすいでしょう。

日常会話での使い分け

日常会話では、ほとんどの場合「質問」が使われます。「設問」を使うのは、クイズや勉強の場面に限られます。

【OK例文:設問】

  • このクイズ番組、最終設問が超難問だね。
  • (参考書を見ながら)この設問の意図がわからないなぁ。

【OK例文:質問】

  • 先生にわからないところを質問しに行こう。
  • ねえ、ちょっと質問してもいい?

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じることが多いですが、違和感を与える使い方を見てみましょう。

  • 【NG】(プレゼン後に)何か設問はありますか?
  • 【OK】(プレゼン後に)何かご質問はありますか?

聴衆に対して「設問はありますか?」と聞くと、「私に対して出題する問題を用意していますか?」という意味に聞こえてしまい、非常に不自然です。

  • 【NG】アンケートのご質問にお答えください。
  • 【OK】アンケートの設問にお答えください。

これは間違いとまでは言い切れませんが、アンケート用紙に書かれているのは、回答者の疑問(質問)ではなく、主催者が用意した問い(設問)です。「ご回答ください」や「設問にお答えください」とするのがより正確です。

【応用編】似ている言葉「発問」との違いは?

【要点】

「発問」は主に教育現場で使われ、教師が生徒の思考を促すために投げかける問いのことです。「設問」は紙面上の問い、「質問」は生徒からの疑問、「発問」は教師からの働きかけという違いがあります。

「設問」「質問」と似た言葉に「発問(はつもん)」があります。これは少し専門的な言葉ですが、知っておくと理解が深まりますよ。

「発問」は、主に学校の授業などで使われる教育用語です。

先生が「この主人公の気持ちはどうだったと思う?」と生徒に投げかける、あれが「発問」です。

決定的な違いは、「答えを知っている側(教師)が、相手(生徒)に気づきを与えるために問う」という点です。

「質問」は「知らないから聞く」のに対し、「発問」は「考えさせるために聞く」のです。ビジネスシーンでも、部下の育成指導(コーチング)などで、上司が部下に「君ならどうする?」と聞くのは、機能としては「発問」に近いですね。

「設問」と「質問」の違いを学術的に解説

【要点】

テスト理論や調査法において、「設問(アイテム)」は測定のための刺激であり、構造化されています。一方、「質問」は対人的相互作用における情報要求行動であり、非構造的になりがちです。

少し専門的な視点から、この二つの言葉の違いを深掘りしてみましょう。

学術的な調査やテスト理論において、「設問」は英語で「Item(アイテム)」と呼ばれることが多いです。これは、測定したい能力や心理状態を明らかにするための「道具」として設計された問いを指します。

アンケート調査などでは、回答のブレを防ぐために、ワーディング(言葉選び)や選択肢が厳密に設計されます。これが「構造化された問い=設問」です。

一方で、「質問」はコミュニケーションにおける「Question(クエスチョン)」です。対話の中で生じる疑問や確認であり、その場の文脈に依存します。

公的な統計調査などでは、調査票に書かれた「設問」に対して、調査員が対象者に読み上げて回答を得る場合があります。このとき、対象者から「この言葉はどういう意味?」と聞かれるのが「質問」です。政府統計などの正確性は、この「設問」の設計品質に大きく依存しているんですね。詳しくは総務省統計局のサイトなどで調査の仕組みを見ると、設問設計の重要性がよくわかります。

アンケート作成で「設問」と「質問」を混同して混乱した僕の失敗談

僕も新人の頃、この言葉の使い分けで冷や汗をかいた経験があるんです。

入社1年目、社内意識調査のアンケートフォームを作成する仕事を任されました。僕は張り切って、Googleフォームで項目を作っていきました。

項目の見出しに「あなたの業務に関するご質問」と書き、その下に「今の業務量は適切ですか?」などの問いを並べました。自分では「丁寧語を使って『ご質問』としたし、完璧だ!」と思っていたんです。

ところが、テスト回答をお願いした先輩からチャットが飛んできました。

「これ、僕が会社に質問するコーナーなの? それとも会社が僕に聞いてるの?」

えっ、と一瞬固まりました。先輩は続けました。「『あなたの業務に関するご質問』って書かれると、回答者が業務について疑問点を聞く欄に見えちゃうよ。ここは『業務に関する設問』か、単に『アンケート項目』としないと、主客が逆転しちゃうよ」

顔から火が出るほど恥ずかしかったです。「問う側」と「問われる側」の立場をあいまいにしたまま言葉を選んでいたことに気づかされました。

それ以来、僕はアンケートを作る時は「これは僕らが用意した『設問』だ」と強く意識し、回答者からの問い合わせを受ける時は「これは『質問』だ」と明確に区別するようになりました。この視点の切り替えが、誤解のないコミュニケーションの第一歩なんですよね。

「設問」と「質問」に関するよくある質問

アンケートで「ご質問にお答えください」は間違いですか?

間違いとまでは言えませんが、「設問にお答えください」や「アンケートにご回答ください」の方が正確で適切です。「質問」は回答者が抱く疑問を指すことが多いため、混同を避けるためにも「設問」を使うのがプロフェッショナルな表現です。

「設問」を「問題」と言い換えてもいいですか?

はい、試験やクイズなどでは「設問」を「問題」と言い換えても違和感はありません。「第1問」「問題1」といった表記も一般的です。ただし、アンケート調査では「問題」というと「トラブル」のニュアンスが含まれることがあるため、「設問」や「項目」を使うのが無難です。

「質問」の丁寧語は「ご質問」でいいですか?

はい、「ご質問」で問題ありません。相手からの質問に対しては「ご質問ありがとうございます」、自分が質問する際は「質問がございます」や「お尋ねしたいことがあります」と表現するとスムーズです。

「設問」と「質問」の違いのまとめ

「設問」と「質問」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は主体で使い分け:問いを用意する側(出題者)なら「設問」、疑問を持って聞く側(回答者)なら「質問」。
  2. ニュアンスの違い:「設問」はあらかじめ設置された問い、「質問」はその場で生じた疑問の解消。
  3. シーン別の活用:アンケートや試験作成は「設問」、会議や問い合わせは「質問」。
  4. 注意点:アンケートで「ご質問」と書くと、回答者が質問する欄と誤解される恐れがある。

言葉は単なる記号ではなく、あなたの「立ち位置」と「意図」を正確に伝えるための大切なツールです。場面に応じて最適な言葉を選べるようになれば、あなたのビジネススキルは一段と輝きを増すはずですよ。

これからは自信を持って、その場にふさわしい言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、ビジネス敬語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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