「対案」と「代案」の違い!上司に提案するならどっち?

「対案」と「代案」、どちらも「別の案」という意味ですが、ビジネスの会議や提案の場で使うには、その「立ち位置」と「目的」に決定的な違いがあります。

一言で言えば、「対案」は相手の案に対抗・競争するための案、「代案」は元の案に取って代わるための案

もし、上司のプランをサポートするために良かれと思って「対案を持ってきました」と言ってしまうと、「私に対抗するつもりか?」と無用な警戒心を抱かせてしまうかもしれません。

この記事を読めば、議論を戦わせる場面と、建設的な選択肢を増やす場面で、どちらの言葉を選ぶべきかがスッキリと分かり、会議の進行をスムーズにする「デキる」発言ができるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「対案」と「代案」の最も重要な違い

【要点】

「対案」は相手の案と並べて比較・検討し、優劣を競うための案です。「代案」は元の案が不採用になった場合や、不都合がある場合に、その代わりとして採用するための案です。「対案=ライバル」「代案=ピンチヒッター」と覚えましょう。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目対案(たいあん)代案(だいあん)
中心的な意味相手の案に向き合う別の案元の案の代わりとなる案
関係性対立・競争・比較代替・救済・予備
目的どちらが良いか決めるため元の案がダメな時に備えるため
ニュアンス「私の案の方が優れている」「こっちの案でもいけます」
英語counterproposalalternative plan

一番大切なポイントは、「対案」は議論を戦わせるための武器であり、「代案」は目的を達成するための別のルートであるということです。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「対案」の「対」は向かい合う、こたえるという意味で、相手と正面から向き合うイメージ。「代案」の「代」はかわる、交代するという意味で、主役が入れ替わるイメージを持つと分かりやすいです。

なぜこの二つの言葉にスタンスの違いが生まれるのか、漢字の構成を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「対案」の成り立ち:「対(つい)」になって向かい合う

「対案」は、「対する」案です。

「対」という字は、対立、対決、対照のように、「二つのものが向かい合って並ぶ」という意味を持ちます。

つまり、「A案(相手の案)」に対して、正面から向き合う「B案(自分の案)」を出し、どちらが優れているかを競わせる構図が浮かびます。

そこには健全な緊張感や、より良い結論を導くための「比較検討」のプロセスが含まれています。

「代案」の成り立ち:「代(か)わり」を務める

一方、「代案」は、「代わる」案です。

「代」という字は、交代、代理、代用のように、「あるものの役割を、他のものが引き受ける」という意味を持ちます。

つまり、「A案(元の案)」が何らかの理由(予算オーバー、リスク、却下など)で使えなくなった時に、「じゃあB案でいきましょう」とスライドさせるイメージです。

A案を否定して戦うのではなく、A案の「代役」として機能する案を指します。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

議論を活性化させたい時は「対案」、プランが頓挫した時の保険としては「代案」を使います。「批判するなら対案を出せ」とは言いますが、「批判するなら代案を出せ」とはあまり言いません。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

会議のフェーズや、提案の意図によって使い分けます。

【OK例文:対案(議論・比較)】

  • ただ反対するだけでなく、建設的な対案を出してください。(議論の活性化)
  • 政府の政策に対し、野党が対案を提示した。(対立軸の提示)
  • 競合他社のプランへの対案を作成し、コンペに挑む。(競争)

【OK例文:代案(代替・予備)】

  • 第一候補の日程が埋まっていたため、代案を提示する。(スケジュールの変更)
  • 本プランが通らなかった場合に備えて、代案(プランB)を用意しておく。(リスクヘッジ)
  • 予算削減のため、高価な素材の代案を探す。(代替品)

スケジュール調整のメールなどでは、「ご都合が悪い場合は、代案(別の日程)をいただけますでしょうか」と使うのが一般的です。

日常会話での使い分け

日常でも、張り合うか、代わりを探すかで使い分けます。

【OK例文:対案】

  • 夫の旅行プランに不満だったので、自分なりの対案をぶつけた。(張り合う)
  • 夕飯のメニューで揉めたので、対案を出してジャンケンで決めた。(比較)

【OK例文:代案】

  • 行きたかった店が休みだったので、代案の店に行く。(代わり)
  • 雨でピクニックが中止になったので、代案として映画館に行く。(プラン変更)

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、文脈として少し違和感のある使い方を見てみましょう。

  • 【NG】A案が廃案になったので、急いで対案を考えよう。
  • 【OK】A案が廃案になったので、急いで代案を考えよう。

A案が消えた(いなくなった)後に、それと「対立」する案を出すのは不自然です。

この場合は、A案の穴を埋める「代わりの案」なので、「代案」が適切です。

  • 【NG】(議論の場で)君の意見には賛成できないが、代案はない。
  • 【OK】(議論の場で)君の意見には賛成できないが、対案はない。

相手の意見を否定しておきながら、それに代わる「より良い案(比較対象)」を持っていない、という文脈なので「対案」を使います。

「代案」と言うと、「もし君の意見がポシャった時の予備はない」という意味に聞こえてしまい、文脈がズレます。

【応用編】似ている言葉「別案」や「修正案」との違いは?

【要点】

「別案」は単に別の案であること、「修正案」は元の案を直したものです。「対案」ほどの対立構造も、「代案」ほどの代替機能も強調せず、フラットに選択肢を広げたい時は「別案」が便利です。

「対案」や「代案」の周辺には、他にも会議で使える言葉があります。

これらも整理しておくと、提案の幅が広がりますよ。

フラットな選択肢「別案(べつあん)」

「別案」は、文字通り「別の案」です。

A案、B案、C案と並列に並べるようなイメージで、どれがメインでどれが対抗馬かといった関係性を強調しません。

「念のため別案もいくつか用意しておこう」のように、選択肢(オプション)を増やすニュアンスで使われます。

手直しした「修正案(しゅうせいあん)」

「修正案」は、元の案をベースにして、悪い部分を直したり、要望を盛り込んだりして作り変えた案です。

「対案」や「代案」が「別の新しい案」であるのに対し、「修正案」はあくまで「元の案のバージョンアップ版」です。

議論が煮詰まってきたら、「対案」をぶつけ合うよりも「修正案」で合意形成を図るフェーズかもしれません。

「対案」と「代案」の違いを会議ファシリテーションの視点から解説

【要点】

会議を活性化させるには、賛成・反対を戦わせる「対案」が必要です。一方、リスク管理や合意形成の段階では、もしもの時の「代案」が必要です。ファシリテーターは、今は「戦わせる(対案)」フェーズなのか、「備える(代案)」フェーズなのかを見極める必要があります。

少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

会議やプロジェクト進行において、この二つの言葉は「議論のモード」を切り替えるスイッチになります。

対案モード:質を高める競争

「対案なき批判は無効」という言葉があるように、現状の案に満足せず、より良いものを目指してアイデアを戦わせる時には「対案」を求めます。

これは「Aか、それともBか?」という「選択の議論」を促します。

緊張感は高まりますが、案のブラッシュアップには不可欠です。

代案モード:リスクヘッジと柔軟性

一方、プロジェクトが進み始めたら、「もしAがダメならどうする?」という「想定の議論」が必要になります。

ここで必要なのは、A案を倒すための対案ではなく、A案がコケた時にすぐにスイッチできる「代案(プランB)」です。

「代案」を用意することは、プロジェクトの安全性と柔軟性を高める行為です。

会議で「対案」を出して場の空気を凍らせた体験談

僕も昔、この言葉の選び方で大失敗をしたことがあります。

入社3年目、上司が作成したプロジェクト計画書のレビュー会議に参加した時のことです。

上司のプランには少しリスクがあると感じた僕は、良かれと思ってバックアッププランを考えてきました。

そして会議の冒頭、自信満々にこう発言しました。

「部長のプランにはリスクがあると思いますので、僕が対案を作成してきました! こちらをご検討ください」

その瞬間、会議室の空気がピキッと凍りつきました。

部長はムッとした顔で、「ほう、私の案に対抗しようというわけか。面白い、聞いてやろうじゃないか」と腕組みをして睨みつけてきました。

僕は慌てました。

「い、いえ! 対抗するつもりなんて…。万が一のための備えといいますか…」

僕が言いたかったのは「(部長の案がうまくいかなかった時のための)代案」や「(リスクを補うための)別案」でした。

しかし、「対案」と言ってしまったことで、「部長の案はダメだ、俺の案の方がいい」と真っ向から喧嘩を売っているような構図を作ってしまったのです。

この経験から、「対案」は攻撃的な響きを持つことがあり、サポートするつもりなら「代案」や「別案」を使うべきだと痛感しました。

それ以来、上司や先輩に提案する時は「念のための代案として」や「別案も考えてみました」と、慎重に言葉を選ぶようにしています。

言葉一つで味方が敵に見えてしまう。ビジネスの怖いところですね。

「対案」と「代案」に関するよくある質問

「代替案(だいたいあん)」と「代案」は同じですか?

はい、同じ意味です。「代案」は「代替案」の略語的な位置づけですが、どちらも広く使われます。ビジネス文書など少し硬い表現にしたい場合は「代替案」と書く方がフォーマルな印象を与えますが、口頭では「代案」で十分通じます。

「プランB」は対案ですか?代案ですか?

「プランB」は、プランA(本命)が失敗した時の次善の策を指すことが多いため、基本的には「代案」です。ただし、プランAとプランBを並列に比較検討している段階であれば、それらは互いに「対案」の関係にあると言えます。文脈によります。

「対案」と「反対意見」の違いは何ですか?

「反対意見」は単に「それはダメだ」と否定することです。「対案」は「それはダメだ、代わりにこうすべきだ」と具体的な解決策や別の選択肢を提示することです。ビジネスでは「反対するなら対案を出せ」とよく言われますが、これは「文句を言うなら代わりのアイデアを出せ」という意味です。

「対案」と「代案」の違いのまとめ

「対案」と「代案」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 対案:相手の案に対抗する案。比較、競争、議論。ライバル関係。
  2. 代案:元の案の代わりとなる案。代替、予備、救済。リリーフ関係。
  3. 使い分け:戦わせるなら「対案」、備えるなら「代案」。
  4. 注意点:目上の人に「対案」と言うと、反抗的と取られるリスクがある。

言葉の背景にある「対立」と「代替」の関係性を理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、会議の目的や相手との関係性にふさわしい言葉を選んでいきましょう。

ビジネスシーンでの言葉遣いやマナーについてさらに詳しく知りたい方は、ビジネス敬語の使い分けまとめページもぜひ参考にしてみてくださいね。

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