「奨励」と「推奨」の違い!ビジネスで恥をかかない使い分け

「奨励」と「推奨」、どちらも「すすめる」という意味ですが、「頑張ってやってね」と応援するか、「これが良いよ」と推薦するかで使い分けるのが基本。

ビジネスシーンでは「資格取得奨励金」や「推奨環境」といった言葉が飛び交いますが、この二つを混同すると、単におすすめしているだけなのか、会社としてバックアップする意思があるのか、ニュアンスが大きく変わってしまいます。

この記事を読めば、それぞれの言葉が持つ本来のイメージから具体的なビジネスシーンでの使い分け、さらには「勧奨」などの類語との違いまでスッキリ理解でき、もう資料作成で手が止まることはありません。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「奨励」と「推奨」の最も重要な違い

【要点】

基本的には行為を応援・促進するなら「奨励」、優れたものとして推薦するなら「推奨」と覚えるのが簡単です。「奨励」は努力や行動を後押しするニュアンス、「推奨」は「これがベストだ」と選んで提示するニュアンスが強いです。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目奨励(しょうれい)推奨(すいしょう)
中心的な意味ある事柄を良いこととして、それをするように強く勧めること優れている点を挙げて、人に勧めること
対象行為・努力(研究、生産、蓄財など)物・人・やり方(製品、環境、銘柄など)
ニュアンス「頑張れ」と励ます、振興する「これいいよ」と推す、リコメンド
英語encouragement, promotionrecommendation, endorsement

一番大切なポイントは、相手の「行動」を促して励ますなら「奨励」、「選択肢」の中から良いものを教えるなら「推奨」ということですね。

例えば、社員にスキルアップしてほしいから「資格取得を奨励する」、システムを快適に使うために「Google Chromeを推奨する」といった使い分けになります。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「奨励」の「励」は“はげます”という意味で、力を尽くすよう応援するイメージです。一方、「推奨」の「推」は“おす”という意味で、他より優れているものを前に押し出すイメージを持つと、対象の違いが分かりやすくなります。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「奨励」の成り立ち:「励」が表す“はげます”イメージ

「奨励」の「奨」も「励」も、どちらも「すすめる」「はげます」という意味を持っています。

特に「励」は「励(はげ)む」「激励」という言葉があるように、力を尽くして頑張るように気持ちを奮い立たせるという意味合いが強いです。

つまり、「奨励」とは、単に「やったほうがいいよ」と言うだけでなく、「応援するから頑張ってやってみよう!」とポジティブに行動を促すイメージなんですね。

「推奨」の成り立ち:「推」が表す“おす”イメージ

一方、「推奨」の「推」は、「推薦」の「推」と同じで、「おす」と読みますよね。

これは、数ある中から「これが優れていますよ」と前に押し出すことを意味します。

「一押し(イチオシ)」という言葉もここから来ています。

このことから、「推奨」には、良し悪しを判断した上で、ベストな選択肢を提示するというニュアンスが含まれるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

行動や努力を求める場合は「奨励」、スペックや商品をおすすめする場合は「推奨」と使い分けるのが基本です。ビジネスでは「奨励金」と「推奨環境」が代表的な使い分けの例です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

「行動を求めている」のか「選択肢を示している」のかを意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:奨励】

  • 会社は従業員の健康増進のために、スポーツ活動を奨励している。
  • 若手研究者の育成を目的とした、研究奨励賞を授与する。
  • 政府は輸出を奨励するための助成金制度を設けた。

【OK例文:推奨】

  • 当社のWebサービスをご利用いただくための推奨環境は以下の通りです。
  • このプロジェクトには、アジャイル開発の手法を推奨します。
  • 投資家に向けて、今期の推奨銘柄をレポートにまとめた。

このように、頑張りを後押しするのが「奨励」、良いものを選んであげるのが「推奨」ですね。

日常会話での使い分け

日常会話でも、考え方は同じです。

【OK例文:奨励】

  • 先生は生徒たちに、毎日の読書を奨励している。
  • 早寝早起きを奨励するキャンペーンが学校で始まった。

【OK例文:推奨】

  • このゲームは12歳以上を対象年齢として推奨されています。
  • メーカーが推奨する使用方法を守ってください。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じることが多いですが、厳密には違和感がある使い方を見てみましょう。

  • 【NG】このアプリはiOS15以上を奨励します。
  • 【OK】このアプリはiOS15以上を推奨します。

OSのバージョンは「行動」や「努力」の対象ではありません。

「この環境で使うのが望ましい(優れている)」という条件なので、「推奨」が適切です。

【応用編】似ている言葉「勧奨」との違いは?

【要点】

「勧奨(かんしょう)」は、ある事柄を勧め励ますことで、「奨励」と非常に近い意味を持ちますが、より公的・硬い表現として使われます。「退職勧奨」や「投資勧奨」など、特定の行為を強く勧める(あるいは促す)行政用語や法律用語としての側面が強い言葉です。

「奨励」「推奨」と似た言葉に「勧奨(かんしょう)」があります。

これも押さえておくと、ビジネスやニュースの理解がさらに深まりますよ。

「勧奨」は「勧め励ます」という意味で、「奨励」とほぼ同じ意味です。

しかし、日常会話で「読書を勧奨する」とはあまり言いませんよね。

「勧奨」は、主に行政や法律、契約などの公的な場面で使われる硬い言葉です。

例えば、「退職勧奨(肩たたき)」や「加入勧奨」のように、組織や機関が個人に対して特定の行動を促す際によく使われます。

「奨励」と「推奨」の違いをビジネス・マーケティングの観点から解説

【要点】

マーケティング的な視点では、「奨励」はインセンティブ(動機付け)と結びつきやすく、「推奨」はレコメンド(推薦)と結びつきやすいです。相手に行動変容を求めるなら「奨励」、意思決定のサポートをするなら「推奨」という使い分けが有効です。

もう少し深く、ビジネス的な機能の面からこの二つを見てみましょう。

「奨励」は、相手に特定の行動(努力や習慣化など)をとってもらいたい時に使われます。

そのため、「奨励金」や「表彰」といったインセンティブ(報酬)とセットになることが多いのです。

「これをやると良いことがあるよ、だから頑張ろう」という動機付けの役割ですね。

一方、「推奨」は、相手が何かを選ぶ際の「ガイド」の役割を果たします。

ECサイトの「おすすめ商品(レコメンド)」や、システムの「推奨スペック」などがそうです。

迷っている相手に対して「これが正解に近いですよ」と答えを提示することで、スムーズな意思決定をサポートする機能があります。

公的な制度などでは、厚生労働省の各種助成金・奨励金のように、特定の雇用行動を促すために「奨励」という言葉が積極的に使われています。

僕が「推奨」と「奨励」を混同して赤っ恥をかいたシステム説明会

僕もIT企業で働いていた頃、この「奨励」と「推奨」の使い分けで冷や汗をかいた経験があります。

自社開発した業務システムの導入説明会でのこと。クライアント企業の担当者様に向けて、システムの動作環境について説明していました。

僕は張り切ってスライドを指し示しながら、こう言いました。

「えー、本システムを快適にご利用いただくために、Google Chromeの使用を強く奨励いたします!」

すると、質疑応答の時間に、先方のシステム担当者の方から手が挙がりました。

「あの、ブラウザの使用を『奨励』するというのは、御社から何かインセンティブが出たり、あるいは我々がChromeを使うよう社内で啓蒙活動をする必要がある、ということでしょうか? 単なる動作確認済みの『推奨』環境という意味ではなく?」

その瞬間、会議室の空気が一瞬止まりました。

僕は「推奨(Recommend)」と言いたかったのに、なぜか「奨励(Encourage)」という言葉を選んでしまっていたのです。

「あ、いえ! 推奨です! おすすめという意味です! 何かキャンペーンがあるわけではありません!」

顔から火が出るほど恥ずかしく、慌てて訂正しました。

「奨励」と言ってしまうと、まるで「頑張ってChromeを使おう!」と精神論を説いているような、あるいは何か見返りがあるような響きになってしまうんですよね。

この失敗から、システムのスペックや環境については、感情を挟まず客観的に勧める「推奨」を使うべきだと骨の髄まで理解しました。

「奨励」と「推奨」に関するよくある質問

ここでは、みなさんが疑問に思いがちな点について、Q&A形式でお答えします。

「推奨販売」と「奨励販売」、どっちが正しい?

どちらも使われますが、視点が異なります。「推奨販売」はお客様に対して「おすすめの商品です」とアピールして売ること。「奨励販売」は、メーカーや本部が販売員に対して「この商品を売ったら報奨金(マージン)を出すよ」と販売活動を後押しすること(いわゆるリベート付き販売)を指すことが多いです。

PCのスペックは「奨励」?「推奨」?

PCやソフトウェアの動作環境については「推奨(推奨環境、推奨スペック)」を使います。「この環境なら快適に動きますよ」という推薦の意味だからです。「奨励」を使うと、PCのスペックアップを応援しているような変な意味になってしまいます。

「推奨」は「すいしょう」以外に読み方はありますか?

「推奨」は「すいしょう」と読みます。稀に「すいこう」と読み間違えられることがありますが、「推敲(すいこう)」とは別の言葉です。PC入力時に変換できないときは読み間違いを疑ってみてください。

「奨励」と「推奨」の違いのまとめ

「奨励」と「推奨」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は対象で使い分け:行為・努力の応援なら「奨励」、物・環境の推薦なら「推奨」。
  2. ニュアンスの違い:「奨励」は「頑張れ」と励ます熱量、「推奨」は「これいいよ」と指し示す客観性。
  3. ビジネスでの機能:「奨励」はインセンティブ(動機付け)、「推奨」はレコメンド(選択補助)。

言葉の背景にある「応援」か「推薦」かというイメージを持つと、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、最適な言葉を選んでいきましょう。

ビジネスでの言葉遣いにさらに磨きをかけたい方は、ビジネス敬語の違いまとめもぜひ参考にしてみてくださいね。

スポンサーリンク