「入電」と「受電」の違いとは?ビジネス電話の基本

「入電」と「受電」、どちらも電話がかかってくることを指す言葉だと思っていませんか?

実はこれら、入電は「電話という信号が入ってくる現象」、受電は「かかってきた電話を人間が受け取る行為」という、視点の違いがあります。

この記事を読めば、コールセンターや一般企業で必須となるこの2つの専門用語の違いをスッキリ理解し、実務で迷わず使い分けられるようになります。

それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「入電」と「受電」の最も重要な違い

【要点】

入電は「電話がかかってきた事実や回数」を指し、受電は「かかってきた電話にオペレーターが応答する行為」を指すというのが最も重要な違いです。

まずは、全体像を把握するために結論からお伝えします。

ビジネスの現場で飛び交うこの2つの言葉ですが、最大の違いは「現象」に注目しているか、「人の行為」に注目しているかという点にあります。

それぞれの特徴を比較した以下の表をご覧ください。

項目入電受電
中心的な意味電話(電信)が入ってくることかかってきた電話を受け取ること
主体電話回線・システム(事象)電話に出る人間(行為)
含まれる範囲誰も応答しなかった「不在着信」も含む実際に通話が成立した件数のみ
コールセンターでの使われ方システムに到達した総コール数オペレーターが対応した件数
よく使われるフレーズ「お客様から入電がありました」「受電業務を担当しています」

いかがでしょうか。

入電はあくまで「機械的な着信」を意味するため、相手と話せたかどうかは関係ありません。

一方で受電は、受話器を取って「はい、お電話ありがとうございます」と人間が対応して初めて成立する言葉なのですね。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「入」は外から中へ入る動きを表し、「受」は手で受け取る動作を表すため、入電は事象の発生を、受電は人の対応を示します。

専門用語を正しく使い分けるには、その言葉のパーツごとに意味を分解してみるのが一番の近道ですね。

ここでは「入電」と「受電」という2つのキーワードに分けて、それぞれの本質的なイメージを掴んでいきましょう。

「入電」は電信が入ってくる事象そのもの

「入電(にゅうでん)」の「入」という漢字には、外から中へ入ってくる、という意味があります。

そして「電」は、電気や電信のこと。

つまり、文字通り外部から自社の電話回線に信号が到達したという事実を表す言葉なのです。

昔の電報局で、ツーートントンという信号が機械に入ってくる様子をイメージすると分かりやすいでしょう。

そこにはまだ人間の意志は介在しておらず、ただ「着信があった」という現象だけが存在しています。

「受電」は電話を受け取る人間の行為

一方の「受電(じゅでん)」の「受」は、人から物を受け取る、引き受けるという動作を表す漢字です。

入ってきた電話に対して、人間が能動的に対応するアクションが込められています。

着信音が鳴っているだけの状態はまだ「入電」ですが、あなたが受話器を取って応答した瞬間に、それは「受電」へと変わるわけです。

このように、人間が関与しているかどうかが、言葉のニュアンスを決定づけているのですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

「入電」は電話があった事実の伝達やシステム上の着信数に使い、「受電」は人の業務内容や通話が成立した実績を語る場面で使います。

言葉の背景が見えてきたところで、次は実際のビジネスシーンでどのように使われるのかを見ていきましょう。

報告書や社内メールで、プロとして恥ずかしくない使い方を身につけておきたいところです。

「入電」の正しい使い方・例文

入電は、不在中に電話があったことを伝えたり、コールセンター全体の着信ボリュームを報告したりするシーンでよく登場します。

  • 「外出中、A社の佐藤様から入電がありましたので、折り返しをお願いします。」
  • 「テレビCMを放映した直後から、カスタマーセンターへの入電が急増しています。」
  • 「昨日の総入電数は1,000件でしたが、オペレーター不足で取りこぼしが発生しました。」

このように、誰かと話したかどうかに関わらず、「電話がかかってきた」という客観的な事実を述べる際にピッタリの言葉でしょう。

「受電」の正しい使い方・例文

対して受電は、オペレーターの業務そのものや、確実に対応できた件数を示す際に使われます。

  • 「本日から配属されました新人です。まずは受電業務から担当させていただきます。」
  • 「午前中の私の受電件数は50件で、そのうちクレーム対応が3件でした。」
  • 「お客様の待ち時間を減らすため、受電率を95%以上に引き上げる施策が必要です。」

「業務」や「実績」といった、人間の働きを評価するキーワードと一緒に使われることが多いですね。

要注意!間違った使い方・NG例

ここで、ついやってしまいがちなNG例も紹介しておきましょう。

「申し訳ありません、先ほどお客様から受電があったのですが、出られずに切れてしまいました。」

これは論理的に矛盾している間違いです。

「出られずに切れてしまった」のであれば、誰も電話を受け取っていないため、受電は成立していません。

正しくは「お客様から入電があったのですが、出られずに切れてしまいました」とするべきですね。

【応用編】似ている言葉「架電」との違いは?

【要点】

「入電」「受電」が外からかかってくる電話に関連するのに対し、「架電」は自分から相手に電話をかける行為を意味する対義語です。

ビジネス電話の用語として、もう一つ覚えておくべき言葉が「架電(かでん)」です。

入電や受電が「受け身」の言葉であるのに対し、架電はこちらから電話をかける「能動的」な行為を指します。

「架」という漢字には「橋を架ける」というように、こちらから向こうへつなぐという意味合いがありますよね。

コールセンター業界では、お客様からの電話を受ける業務をインバウンド(受電業務)、こちらからセールスなどの電話をかける業務をアウトバウンド(架電業務)と明確に区別しています。

営業日報などで「本日、見込み顧客に50件架電しました」といったように使われます。

「入電」と「受電」の違いをビジネス実務の視点から解説

【要点】

コールセンター管理において「入電数」と「受電数」のギャップは応答率という最重要指標を算出し、サービス品質を測るバロメーターとなります。

さらにプロフェッショナルな視点から、この2つの違いを実務的なフレームワークで分解してみましょう。

言葉の違いが、そのまま企業の利益や顧客満足度に直結していることが分かります。

コールセンターにおけるKPIとの関係

コールセンターの運営において、「入電数」と「受電数」は最も基本的なデータです。

そして、この2つの数字を使って割り出されるのが「応答率」というKPI(重要業績評価指標)ですね。

計算式は非常にシンプルで、「受電数 ÷ 入電数 = 応答率」となります。

たとえば、1時間に100件の入電があったのに、オペレーターが対応できた受電数が80件だった場合、応答率は80%となります。

残りの20件は、お客様が待ちきれずに電話を切ってしまった「放棄呼(ほうきこ)」と呼ばれる状態です。

入電と受電の言葉の意味を正しく理解していなければ、この重要な数値を正確に計測することはできません。

ビジネスマナーとしての言葉の選び方

また、対外的な文書やメールにおいても、この使い分けは重要です。

相手の会社に電話をかけたけれど不在だった場合、後から送るメールで「先ほどはご受電いただきありがとうございました」と書くのはおかしいですよね。

相手は電話に出ていないのですから。

正しくは「先ほどお電話を差し上げました(架電しました)が、ご不在のようでしたので……」と表現すべきです。

正しい日本語の使い方は、文化庁の国語施策情報などでもその重要性が説かれていますが、ビジネス用語の誤用は思わぬ誤解を招く原因となります。

僕が「入電」と「受電」を混同して大失敗した体験談

ここで少し、僕がコールセンターの管理部門で働き始めたばかりの頃の、苦い失敗談をお話しさせてください。

当時、僕は新商品のキャンペーン窓口のスーパーバイザーを任されていました。

初日の夕方、上司から「今日の入電状況はどうだ?」とチャットで聞かれたのです。

僕は手元のシステム画面を見て、オペレーターが対応を終えた件数が「300件」だったのを確認し、自信満々でこう返信しました。

「はい!本日の入電数は300件です。トラブルなく順調に推移しています!」

しかし数分後、上司が血相を変えて僕のデスクに飛んできました。

「おい!システムの総着信数(入電数)は500件を超えてるぞ!お前が報告したのは『受電数』だ!200件もお客様を取りこぼしてるじゃないか!

僕は言葉の意味を完全に勘違いしていました。

オペレーターが話した件数(受電数)だけを見て安心し、電話がつながらずに切れてしまった膨大な不在着信(入電数と受電数の差)に全く気づいていなかったのです。

結果として、200人ものお客様が「電話がつながらない!」と不満を抱えながら離脱していたという大惨事。

僕は青ざめ、すぐに他部署に応援を要請して電話回線を増やす手配に奔走しました。

「入電と受電の違いは、単なる言葉遊びではなく、顧客の不満を可視化する命綱である」

この日の強烈な冷や汗は、僕のその後のデータ管理における意識を、徹底的にプロ仕様へと鍛え上げてくれたと感じています。

「入電」と「受電」に関するよくある質問

ここでは、ビジネス電話の用語についてよくある疑問にお答えします。

「入電」は社外の人に対しても使っていい言葉ですか?

社内用語としての性格が強いため、お客様に対して直接使うのは避けたほうが無難です。「先ほど入電がありましたが」よりも「先ほどお電話をいただきましたが」と、一般的な敬語表現に言い換えるのがスマートですね。

受電業務とインバウンド業務は同じ意味ですか?

はい、基本的に同じ意味です。コールセンター業界では、お客様からの電話を受ける業務全般を「インバウンド」、自分たちから電話をかける業務全般を「アウトバウンド」と呼びます。

メールやチャットが入ってくることも「入電」と言いますか?

言いません。「電」という字が含まれていますが、ビジネス上の「入電」はあくまで音声通話(電話)の着信を指すのが一般的です。メールの場合は「受信」や「着信」という言葉を使います。

「入電」と「受電」の違いのまとめ

今回は、ビジネスシーンで頻出する「入電」と「受電」の違いについて解説しました。

おさらいすると、最大のポイントは以下の2点でしたね。

  • 入電:電話回線に信号が到達したという「客観的な事実や現象」。
  • 受電:かかってきた電話に人間が応答するという「能動的な行為」。

どちらも「電話がかかってくる」という状況を表しますが、そこに人間の意志と対応が含まれているかどうかが明確な分かれ目です。

コールセンターでの業務報告や、社内での電話の取り次ぎの際にこれらの言葉に出会ったときは、ぜひこの記事で学んだ「事象」と「行為」の違いを思い出してみてください。

言葉の定義を正確に捉えることで、あなたのコミュニケーションはより正確で信頼されるものになるはずです。

なお、他にもビジネスシーンで迷いやすい用語の違いについては、業界で使われるビジネス用語の違いまとめでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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