「サイエンスダイエット」と「サイエンスダイエット プロ」。
どちらもヒルズが展開する大人気ペットフードですが、「何が違うの?」と迷ってしまう飼い主さんは非常に多いです。
この2つの最大の違いは、「基本的な健康維持」か「特定の健康ニーズへの“プラスアルファ”」か、という点にあります。
「サイエンスダイエット(通常ライン)」は、年齢や体格に応じた健康を維持するための「スタンダードフード」です。「サイエンスダイエット プロ」は、その基準を満たした上で、さらに「避妊・去勢後」「関節」「皮膚」といった特定の健康ニーズに配慮した機能性成分を強化した「プレミアムフード」なのです。
この記事を読めば、両者の明確な違い、価格、そしてあなたの愛犬・愛猫に今どちらが必要なのかがスッキリと理解できます。
まずは、両者の決定的な違いを比較表で押さえましょう。
| 項目 | サイエンスダイエット(通常ライン) | サイエンスダイエット プロ |
|---|---|---|
| コンセプト | スタンダード。年齢・体格・ライフスタイルに応じた基本的な健康維持。 | アドバンスド。基本の健康維持に加え、特定の健康ニーズ(健康ガード)に応える機能性をプラス。 |
| 主なラインナップ | 年齢(パピー、アダルト、シニア)や体格(小型犬、大型犬)別。 | 「健康ガード」シリーズ(避妊・去勢、関節、皮膚、活力、腎臓・心臓など)が中心。 |
| 主な成分の特徴 | 科学的根拠に基づく栄養バランス。 | 臨床的に証明された抗酸化物質(ビタミンE+C) や、特定の機能性成分(グルコサミン、L-カルニチン等)を追加・強化。 |
| 価格帯 | 比較的リーズナブル。 | 通常ラインより高価な傾向。 |
| 主な販売場所 | ホームセンター、ペットショップ、ドラッグストア、オンラインなど広範囲。 | 動物病院、一部のペット専門店、ブリーダーなど取り扱いが限定的。 |
【3秒で押さえる要点】
- 目的:通常ラインは「基本的な健康維持」。プロは「特定の健康ニーズ(関節、皮膚など)の維持」というプラスアルファの目的があります。
- 成分:プロは、健康ガード機能のために抗酸化物質や特定の栄養素(グルコサミンなど)が強化されています。
- 価格と場所:プロの方が高価で、動物病院や専門店など、販売場所が限定されています。
最大の違い:「スタンダードな健康維持」か「特定の健康ニーズ対応」か
「サイエンスダイエット(通常ライン)」は、健康なペットがその年齢や体格に応じて必要とする基本的な栄養を過不足なく摂取できるように設計されています。「プロ」は、その基準をベースに、特定の悩み(関節ケア、皮膚ケア、避妊・去勢後の体重管理など)に対応するための機能性成分を追加したものです。
この2つのシリーズを理解する鍵は、「何を目的としているか」です。
「サイエンスダイエット(通常ライン)」は、ヒルズの獣医学と栄養学に基づき、健康な犬や猫が、そのライフステージ(子犬/子猫、成犬/成猫、シニア)や体格(小型犬、大型犬など)に応じて必要とする基本的な栄養ニーズを満たすために設計された、スタンダードなフードです。
「サイエンスダイエット プロ」は、そのスタンダードな栄養基準を満たしていることに加え、「プラスアルファ」の機能性を追求したプレミアムなフードです。
例えば、「最近、関節が気になる」「避妊手術後の体重管理がしたい」「皮膚を健康に保ちたい」といった、飼い主さんが抱える特定の健康ニーズ(悩み)に対して、それをサポートするための栄養素が強化配合されています。
「サイエンスダイエット(通常ライン)」の特徴
通常ラインは、健康なペットの「年齢別」「体格別」のニーズに応えるスタンダードフードです。幅広いペットショップやホームセンターで入手しやすく、価格も比較的リーズナブルなのが特徴です。
「サイエンスダイエット(通常ライン)」は、いわばヒルズの「基本形」です。
その最大の特徴は、「ライフステージ(年齢)」と「サイズ(体格)」に基づいた、分かりやすいラインナップにあります。
例えば、「小型犬用 アダルト(成犬用)」「大型犬用 シニア(高齢犬用)」といった形で、愛犬・愛猫の今の状態に合わせて直感的に選ぶことができます。
特定の健康課題が「まだ」見られない健康なペットに対して、科学的根拠に基づいた最適な基礎栄養を毎日与えたい、と考える飼い主さんに最適なフードです。入手しやすさ(販売チャネルの広さ)と価格のバランスにも優れています。
「サイエンスダイエット プロ」の特徴
「プロ」は、通常ラインの栄養基準に加え、特定の健康維持をサポートする「健康ガード」機能が最大の特徴です。臨床的に証明された抗酸化ブレンドや、L-カルニチン、オメガ脂肪酸などが強化配合されています。
「サイエンスダイエット プロ」は、通常ラインから一歩進んだ、アドバンスド(上級)ラインです。
最大の特徴は、「健康ガード」と呼ばれる、特定の健康ニーズに応える機能性です。
例えば、以下のような成分が強化されています。
- 臨床的に証明された抗酸化物質(ビタミンE+Cなど):健康な免疫力の維持をサポートします。
- 特定の機能性成分:「健康ガード 関節」にはグルコサミンやコンドロイチン、「健康ガード 活力」にはミトコンドリアの健康をサポートする成分、「健康ガード 避妊・去勢」にはL-カルニチンや体重管理のための繊維質などが含まれます。
- 原材料のアップグレード:通常ラインに比べ、肉の含有量が多かったり、低GIの大麦や玄米を使用したりする など、悩みに特化した原材料構成になっています。
これらは、通常ラインが持つ「基本的な健康維持」の機能に加えて、愛犬・愛猫の「気になる部分」を予防的にケアしたい、健康を維持したいと考える飼い主さん向けの配合となっています。
「サイエンスダイエット プロ」独自の「健康ガード」とは?
「健康ガード」とは、「プロ」シリーズに搭載された機能性の名称です。「避妊・去勢」「関節」「皮膚」「活力」「腎臓・心臓」など、ペットが抱えやすい特定の健康課題の維持をサポートするために、それぞれ異なる栄養素が配合されています。
「サイエンスダイエット プロ」の核心とも言えるのが、「健康ガード」という機能別のラインナップです。これは、ペットがライフステージの中で直面しやすい、特定の健康課題に焦点を当てたものです。
代表的な「健康ガード」には、以下のような種類があります。
- 健康ガード 避妊・去勢:避妊・去勢手術後の体重管理や泌尿器の健康維持に配慮した設計です。
- 健康ガード 関節:関節の健康を維持するため、グルコサミンやコンドロイチン硫酸を含みます。
- 健康ガード 皮膚:健康な皮膚と輝く毛艶の維持のため、オメガ脂肪酸などが調整されています。
- 健康ガード 活力:ミトコンドリアの働きを助け、健康的な活力(元気)を維持します。
- 健康ガード 腎臓・心臓:シニア期に特に重要な腎臓と心臓の健康維持に配慮し、リンやナトリウムの量が調整されています。
- 健康ガード 脳:シニアペットの認知機能の健康維持をサポートします。
このように、愛犬・愛猫の「ちょっと気になるサイン」に合わせて、最適なサポートを選べるのが「プロ」の最大の強みです。
価格と入手方法の違い
「プロ」は機能性成分が追加されている分、通常ラインよりも価格が高めに設定されています。また、通常ラインが広範囲で販売されているのに対し、「プロ」は獣医師や専門家のアドバイスと共に提供されることが多いため、動物病院や一部の専門店に限られます。
機能性が高い分、価格と入手経路にも違いがあります。
価格:
「サイエンスダイエット プロ」は、特別な機能性成分が追加配合されているため、通常ラインの「サイエンスダイエット」よりも価格が高価になる傾向があります。
入手方法:
「サイエンスダイエット(通常ライン)」は、多くのペットショップ、ホームセンター、ドラッグストア、そしてオンラインショップなどで広く販売されており、非常に購入しやすいのが特徴です。
一方、「サイエンスダイエット プロ」は、その専門性の高さから、動物病院や、一部の限られたペット専門店、ブリーダーなどでの取り扱いが中心です。これは、ペットの状態について獣医師や専門家のアドバイスを受けた上で、最適な「健康ガード」を選んでもらうことを想定しているためです。
どっちを選ぶべき?ペットのタイプ別おすすめ
現在、特に健康上の悩みがない場合は「通常ライン」で十分な栄養が摂れます。避妊・去勢手術後や、関節・皮膚など特定の悩みが気になり始めた場合は、「プロ」の該当する「健康ガード」を選ぶのがおすすめです。
どちらのフードもヒルズの厳しい基準で作られた高品質なフードです。愛犬・愛猫の状態に合わせて選びましょう。
【サイエンスダイエット(通常ライン)がおすすめなペット】
- 子犬・子猫からシニアまで、現在特に目立った健康上の悩みがない
- 年齢や体格に合った、科学的根拠のあるバランスの取れた食事を与えたい
- 品質とコストパフォーマンスのバランスを重視したい
- 入手しやすいフードを継続して与えたい
【サイエンスダイエット プロがおすすめなペット】
- 避妊・去勢手術を受けた
- 小型犬で関節の健康維持に配慮したい
- 皮膚や毛艶の状態をより良く保ちたい
- シニア期に入り、腎臓や心臓、活力の維持をサポートしたい
- 動物病院や専門家のアドバイスに基づき、より高機能なフードを選びたい
僕が出会った「通常ライン」と「プロ」の“安心感”の違い(体験談)
僕の友人が飼っているトイプードルは、若い頃は「サイエンスダイエット(通常ライン)」の小型犬用アダルトを元気に食べていました。見た目も健康そのもので、獣医さんからも「栄養バランスはバッチリ」と太鼓判を押されていたそうです。
しかし、7歳を過ぎた頃、動物病院の定期検診で「シニア期に入るし、この子の骨格だと将来的に関節が心配ですね。あと、腎臓の数値も少し気にしていく年齢です」とアドバイスを受けました。
その時、獣医さんから「フードを見直すなら、こういう選択肢もありますよ」と勧められたのが、「サイエンスダイエット プロ」の「健康ガード 腎臓・心臓 7歳〜」でした。
友人は、「通常ラインでも満足していたけど、『プロ』にはシニア期に特化した『腎臓・心臓』という明確な目的がある。“予防的なケア”として、この機能性にお金を払う価値がある」と感じたそうです。価格は少し上がりましたが、「プロ」という名前と、獣医師の推奨という「専門性」が、彼のシニア期への不安を「安心感」に変えてくれたと話していました。
「サイエンスダイエット」と「プロ」に関するよくある質問
Q: 「サイエンスダイエット プロ」は療法食(処方食)ですか?
A: いいえ、違います。「サイエンスダイエット プロ」は、特定の健康ニーズの「維持」を目的とした「健康なペットのためのフード(総合栄養食)」です。病気の治療を目的としたヒルズの「プリスクリプション・ダイエット(処方食)」とは全く別のカテゴリーです。
Q: 「通常ライン」と「プロ」を混ぜて与えてもいいですか?
A: どちらも総合栄養食なので、混ぜること自体に大きな問題はありません。しかし、「プロ」の特定の健康ガード機能(例:関節ケア)の効果を最大限に期待する場合は、単体で与えることが推奨されます。切り替える場合は、お腹が慣れるように1週間ほどかけてゆっくりと移行してください。
Q: 「通常ライン」は「プロ」より品質が劣るのですか?
A: いいえ、そんなことはありません。「通常ライン」も、健康なペットのライフステージに必要な栄養素を科学的に満たしている高品質なフードです。「プロ」は、その基準に加えて、特定の目的に特化した成分を「追加」しているという違いです。
Q: 「プロ」は穀物アレルギーに配慮されていますか?
A: 「プロ」の一部製品では、アレルゲンとなりやすい小麦やトウモロコシの量を減らし、低GIの大麦や玄米を使用しているものがあります。ただし、種類によっては穀物が主原料になっているものもあるため、アレルギーが心配な場合は、原材料をしっかり確認するか、獣医師に相談することをおすすめします。
「サイエンスダイエット」と「プロ」の違いのまとめ
「サイエンスダイエット(通常ライン)」と「サイエンスダイエット プロ」、その違いは「機能性の専門度」にありました。
- 通常ラインは「基礎」:年齢と体格に応じた基本的な健康維持のためのスタンダードフード。
- プロは「応用」:通常ラインの基準に加え、特定の健康ニーズ(関節、皮膚、避妊・去勢など)をサポートする機能性成分を強化したプレミアムフード。
- 成分が違う:プロには「健康ガード」機能のため、抗酸化物質や機能性成分(グルコサミン、L-カルニチンなど)が追加されている。
- 場所と価格が違う:通常ラインは広く安価に。プロは動物病院や専門店限定で、より高価な傾向がある。
まずは愛犬・愛猫の健康状態をチェックし、「今の健康を維持したい」なら通常ライン、「特定のケアを始めたい」ならプロの「健康ガード」を選ぶのがおすすめです。ぜひ、他のペット・飼育に関する違いについても、他の記事をご覧ください。
参考文献(公的一次情報)
- 日本ヒルズ・コルゲート株式会社(https://www.hills.co.jp/)