「オマール海老」と「ロブスター」、どちらも高級レストランのメニューで輝く、大きなハサミが印象的な甲殻類ですよね。
フランス料理店では「オマール海老のテルミドール」、シーフードレストランでは「ロブスターのグリル」。名前が違うので、何か別の種類のエビなのだろうか?と迷ったことはありませんか?
結論から言うと、「オマール海老」と「ロブスター」は基本的に同じ生物を指しています。
最大の違いは、「オマール(Homard)」がフランス語であるのに対し、「ロブスター(Lobster)」が英語であるという、純粋な「言語(呼び方)」の違いなのです。
この記事を読めば、なぜ呼び名が違うのかという背景から、生物学的な分類、そして全くの別物である「伊勢海老」との決定的な違いまで、スッキリと理解できますよ。
まずは、両者の違いを一覧表で確認してみましょう。
オマール海老とロブスターの違いとは?結論(比較一覧表)
オマール海老とロブスターは、基本的に同じ甲殻類を指します。最大の違いは言語であり、「オマール(Homard)」はフランス語、「ロブスター(Lobster)」は英語での呼び名です。どちらも「大きなハサミを持つザリガニ下目」の仲間であり、ハサミを持たない「伊勢海老」とは全くの別物です。
「オマール海老」と「ロブスター」の違いは、非常にシンプルです。以下の比較表でポイントを押さえましょう。
| 項目 | オマール海老 | ロブスター |
|---|---|---|
| 指すもの | 同じ(主にヨーロッパ・ロブスターなど) | 同じ(主にアメリカン・ロブスターなど) |
| 語源 | フランス語(Homard) | 英語(Lobster) |
| 主な使用文脈 | フランス料理の文脈 | 英語圏、アメリカ料理の文脈 |
| 生物学的分類 | エビ目(十脚目)ザリガニ下目 アカザエビ科 | |
| 最大の特徴 | 巨大な一対のハサミ(爪)を持つ | |
| 伊勢海老との違い | 全くの別種(伊勢海老はイセエビ下目で、巨大なハサミを持たない) | |
オマール海老とロブスターは「同じもの」?語源の違い
日本では、フランス料理と共に伝わったフランス語の「オマール(Homard)」と、アメリカなどから伝わった英語の「ロブスター(Lobster)」が、どちらも使われるようになりました。調理法や店のスタイルによって呼び名が変わるだけで、食材としては同じものを指す場合がほとんどです。
なぜ日本で2つの呼び名が定着したのか、その語源を紐解いてみましょう。
オマール海老(Homard)の語源【フランス語】
「オマール」は、フランス語でこの甲殻類を指す「Homard(オマール)」という単語に由来します。
日本には、フランス料理が高級料理として紹介される過程で、「オマールのビスク」や「オマールのテルミドール」といった料理名と共に、このフランス語の呼び名がそのまま定着しました。そのため、フレンチレストランなどでは「オマール」または「オマール海老」と呼ばれるのが一般的ですね。
ロブスター(Lobster)の語源【英語】
「ロブスター」は、英語で同じくこの甲殻類を指す「Lobster(ロブスター)」に由来します。
こちらは、アメリカからの輸入(アメリカン・ロブスター)や、「レッドロブスター」のようなシーフードレストランチェーンの普及などを通じて、英語圏の呼び名として広く浸透しました。
つまり、料理のルーツがフランス系か、アメリカ・イギリス系かによって、呼び名が変わるだけの話なんですね。
生物学的な分類と主な種類(ザリガニの仲間)
生物学的には、オマール海老(ロブスター)は「エビ目(十脚目)ザリガニ下目 アカザエビ科」に分類されます。名前に「エビ」と付いていますが、車海老や甘エビといった一般的なエビ(クルマエビ亜目や抱卵亜目)よりも、生物学的には「ザリガニ」に近い仲間です。
「オマール海老」という名前から、私たちは「エビ」の一種だと考えがちですが、生物分類上は少し事情が異なります。
オマール海老(ロブスター)は、「エビ目(十脚目)」という大きなグループには属していますが、その下の「ザリガニ下目」に分類されます。
私たちが普段「エビ」として認識している車海老やブラックタイガー(根鰓亜目)、あるいは甘エビや伊勢海老(抱卵亜目)とは、少し離れた親戚にあたります。その名の通り、「ザリガニ」に非常に近い仲間なんですね。
一般的に食用とされる主な種類は以下の2つです。
- ヨーロピアン・ロブスター(学名:Homarus gammarus):ヨーロッパ沿岸、特にフランス・ブルターニュ地方の「オマールブルー」と呼ばれる青みがかった個体は最高級品とされます。
- アメリカン・ロブスター(学名:Homarus americanus):アメリカやカナダの大西洋岸で獲れ、最も流通量が多い種類です。
見た目の特徴(大きなハサミ)
オマール海老(ロブスター)の最大の特徴は、立派な一対の大きなハサミ(爪)です。体色は生息地により異なりますが(青、緑、褐色など)、加熱すると(茹でたり焼いたりすると)鮮やかな赤色に変わるのが共通の特徴です。
オマール海老(ロブスター)を他のエビと見分ける最大のポイントは、巨大な一対のハサミ(爪)です。
このハサミは左右で役割が違い、片方は太く頑丈で餌を砕く「クラッシャー(Crusher claw)」、もう片方は細く鋭い「カッター(Cutter claw)」と呼ばれています。
生きている時の体色は、青みがかったもの(オマールブルー)や、緑がかった褐色、茶色など、生息地や個体によって様々です。しかし、どの色の個体でも、加熱調理する(茹でる・焼く)と、甲殻に含まれるアスタキサンチンという色素が化学変化を起こし、私たちがお馴染みの鮮やかな赤色に変わります。
味・食感・価格の特徴
味は濃厚な旨味があり、尾の身はプリプリとした強い弾力が、爪(ハサミ)の身は繊維が細かくしっとりと柔らかいのが特徴です。濃厚な「ミソ(コライユと呼ばれる卵巣や肝膵臓)」も珍重されます。価格は非常に高価な高級食材です。
オマール海老(ロブスター)は、その見た目の豪華さだけでなく、味も格別です。
- 味・食感:身は白く、加熱するとプリプリとした強い弾力が生まれます。特に尾の部分は筋肉が発達しているため、食べ応え抜群です。一方、大きなハサミ(爪)の中の身は、繊維がより細かく、しっとりと柔らかい上品な味わいが楽しめます。
- ミソ:頭部にある「ミソ」(肝膵臓)や、メスが持つ「コライユ」(卵巣)は、濃厚な旨味の塊で、ソースやスープの出汁として非常に珍重されます。
- 価格:漁獲量や輸送コストがかかるため、非常に高価な高級食材として扱われます。オマール海老とロブスターで価格差はなく、あくまで産地(ヨーロッパ産かアメリカ産か)やブランド(オマールブルーなど)によって価格が変動します。
【重要】オマール海老と「伊勢海老」の決定的な違い
オマール海老(ロブスター)と伊勢海老は、名前は似ていますが全くの別物です。オマール海老は「ザリガニ」の仲間で巨大なハサミを持つのに対し、伊勢海老は「イセエビ下目」の仲間で、ハサミがなく、代わりに太く長い触角を持っていることで簡単に見分けられます。
「オマール海老」と「伊勢海老(イセエビ)」。どちらも高級食材で「エビ」と付きますが、この2つは生物学的に全く異なる生き物です。
見た目の違い(ハサミの有無)
見分け方は非常に簡単です。
- オマール海老:大きなハサミ(爪)を持っています。
- 伊勢海老:オマール海老のような大きなハサミは持っていません。代わりに、太く立派な2本の長い触角を持っています。
ハサミがある方がオマール(ロブスター)、ない方が伊勢海老と覚えれば間違いありません。
分類と生息地の違い
先ほどオマール海老は「ザリガニ下目」だと解説しましたが、伊勢海老は「イセエビ下目(またはAchelata、”ハサミを持たない”の意)」に分類されます。
生息地も、オマール海老が主にヨーロッパや北米の大西洋沿岸の冷たい海に生息するのに対し、伊勢海老は日本の太平洋沿岸など、暖かい海の岩礁地帯に生息しています。
味と調理法の違い
味の傾向も異なります。
- オマール海老:プリプリとした弾力と濃厚な旨味が特徴。西洋料理(グリル、テルミドール、ビスク)が中心です。
- 伊勢海老:身は加熱するとやや硬くなりますが、非常に上品で繊細な甘みと旨味が特徴です。日本では刺身(活造り)や鬼殻焼き、味噌汁など、和食の高級食材として重宝されます。
オマール海老(ロブスター)の主な調理法
オマール海老(ロブスター)は、その濃厚な旨味とプリプリの食感を活かし、西洋料理で幅広く使われます。代表的な料理は、丸ごと蒸したり焼いたりする「テルミドール」や「ロースト」、そして殻から出汁を取る「ビスク(スープ)」です。
オマール海老(ロブスター)は、身だけでなく、殻やミソからも極上の出汁が出るため、余すところなく使われるのが特徴です。
- 蒸し(スチーム)/茹で(ボイル):最もシンプルに、素材の旨味とプリプリの食感を楽しむ食べ方。溶かしバターにつけて食べるのが定番です。
- ロースト/グリル:縦半分に割り、オーブンやグリルで香ばしく焼き上げます。
- テルミドール:身を取り出し、ソースと和えて殻に戻し、チーズをかけて焼くグラタン風の豪華な料理です。
- ビスク:殻を香味野菜と煮込み、裏ごしして作る濃厚なクリームスープ。オマールの旨味が凝縮されています。
- ロブスターロール:茹でた身をほぐし、マヨネーズなどで和えてパンに挟んだ、アメリカ東海岸の名物料理です。
ボストンで食べた「ロブスター」とパリの「オマール」【体験談】
僕は以前、アメリカのボストンを訪れた際、名物の「ロブスター」を体験しました。ボストンはアメリカン・ロブスターの産地として非常に有名です。
現地のシーフードレストランで注文したのは、定番の「ロブスターロール」。パンからはみ出すほどぎっしりと詰め込まれたロブスターの身は、信じられないほどの弾力とプリプリ感で、噛むほどに甘みが広がりました。「これが本場のロブスターか!」と感動したのを覚えています。
一方、数年後に訪れたフランス・パリのビストロでは、「オマール」の文字に惹かれて「オマールのビスク」を注文しました。運ばれてきたスープは、エビの香りと甲殻類特有の濃厚なコクが凝縮された、まさに絶品。パンを浸して最後の一滴まで夢中で飲み干しました。
かたや「Lobster」、かたや「Homard」。呼び名は違えど、どちらもその食材が持つ圧倒的な旨味と存在感に、高級食材としての地位を再認識させられました。結局、どちらの名前で呼ばれても「最高に美味しい食材」であることに変わりはないんですね。
オマール海老とロブスターの違いに関するよくある質問
質問1:オマール海老とロブスター、結局どっちが高いのですか?
回答:どちらも同じものを指すため、基本的に価格差はありません。
価格の違いは、フランス語か英語かという呼び名ではなく、産地(ヨーロッパ産かアメリカ産か)や、ブランド(例:最高級とされる「オマールブルー」など)によって生じます。
質問2:「オマールブルー」とは何ですか?
回答:ヨーロピアン・ロブスターの中でも、特にフランス・ブルターニュ地方で獲れる、体色が鮮やかな青色をした個体を指すブランド名です。
希少価値が非常に高く、味も濃厚であるとされるため、最高級食材として扱われています。
質問3:Shrimp(シュリンプ)とLobster(ロブスター)の違いは何ですか?
回答:これは明確に異なります。
一般的に「Shrimp」はクルマエビや甘エビのような比較的小型のエビを指します。一方、「Lobster」は大きなハサミを持つ大型の甲殻類を指します。生物学的にはロブスターもShrimpと同じ「抱卵亜目」の仲間に分類されることがありますが、日常会話や料理の世界では、大きさやハサミの有無で明確に使い分けられています。
まとめ:オマール海老もロブスターも同じ高級食材
オマール海老とロブスターの違い、これでスッキリしましたね。
結論として、この2つは「同じ生物を指す、言語の違い(フランス語 vs 英語)」でした。
- オマール海老 (Homard):フランス語。主にフランス料理の文脈で使われる。
- ロブスター (Lobster):英語。主に英語圏やアメリカ料理の文脈で使われる。
どちらも「大きなハサミを持つ、ザリガニの仲間」であり、「ハサミのない伊勢海老」とは全くの別物です。
これからはレストランのメニューにどちらの名前があっても、「あの美味しいエビだな!」と自信を持って注文できますね。濃厚な旨味とプリプリの食感を、ぜひ楽しんでみてください。
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