「天然はちみつ」と「純粋はちみつ」の違いとは?ラベルの裏側を徹底解説

「天然はちみつ」と「純粋はちみつ」、どちらも健康的で高品質なイメージがあり、選ぶ時に迷ってしまいますよね。

この二つ、似ているようで実は「信頼性」が全く異なります。

結論から言うと、「純粋はちみつ」は、はちみつ公正取引協議会が定める規約に基づき、「水あめや糖類などを加えていない」本物のはちみつを示す公的な表示です。一方、「天然はちみつ」は、法律や規約上の明確な定義がなく、主に「自然」「非加熱」といったイメージを伝えるために使われる「通称」に過ぎません。

この記事を読めば、ラベルの裏に隠された二つの言葉の本当の意味、栄養価の違い、そして賢い選び方までスッキリと理解できます。

まずは、二つの違いを一覧で比較してみましょう。

結論|「純粋はちみつ」と「天然はちみつ」の違いが一目でわかる比較表

【要点】

「純粋はちみつ」は、全国はちみつ公正取引協議会が定める規約で、「水あめ、異性化液糖、その他の糖類」や添加物を一切加えていない、100%のはちみつを示す表示です。一方、「天然はちみつ」は、このような公的な定義がない「イメージ用語」です。「非加熱(生)」をアピールする意図で使われることが多いですが、法的な保証はありません。

信頼できる表記は「純粋」の方だと言えますね。

項目純粋はちみつ天然はちみつ
定義公正競争規約に基づく表示法的な定義なし(イメージ用語)
信頼性高い(定義が明確)低い(定義が曖昧)
加工(加糖)一切禁止(水あめ、糖類など)定義がないため、加糖されている可能性もゼロではない
加熱処理定義に含まれない(加熱ろ過されている場合もある)「非加熱(生)」を指す場合が多いが、保証はない
表示の根拠全国はちみつ公正取引協議会生産者・販売者の独自の判断
選ぶ際のポイント添加物を避けたい場合の信頼できる基準「非加熱」など他の表示と合わせて確認が必要

「純粋はちみつ」と「天然はちみつ」とは?定義と法律上の違い

【要点】

「純粋」は、はちみつ公正取引協議会が定めた「公正競争規約」に基づく正式な表示です。一方、「天然」は消費者庁や協議会が定義していない非公式な言葉であり、生産者の自己申告的な表現に留まります。

この二つの言葉の「信頼性」の違いは、公的なルールの有無にあります。

「純粋はちみつ」:公正取引協議会が認めた「加工していない」証

スーパーなどで「純粋」と書かれたはちみつを見たことがあるでしょうか。この表示は、「全国はちみつ公正取引協議会」が景品表示法に基づいて設定した「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」というルールに則って表示されています。

この規約では、「純粋はちみつ」と表示できるのは、以下の条件を満たすものだけです。

  • 水あめ、異性化液糖、その他の糖類を添加していないこと。
  • 精製はちみつ(※後述)を添加していないこと。
  • 添加物(香料、着色料など)を加えていないこと。

つまり、「純粋」という表示は、「ミツバチが集めてきた蜜を、人間が手を加えて(薄めて)いない」ことを示す、信頼できる証なのです。

「天然はちみつ」:法律上の定義がない「イメージ用語」

一方、「天然はちみつ」という言葉には、法律や公正競争規約上の明確な定義がありません

これは消費者庁も認めている点で、いわば生産者や販売者が「自然のままですよ」「人工的ではありませんよ」というイメージを伝えるために、独自に使用している「通称」や「イメージ用語」に過ぎません。

多くの場合、「非加熱(生)のはちみつ」や「巣から採ったまま」といったニュアンスで使われますが、それを裏付ける公的な基準がないのです。そのため、「天然」と書かれていても、実は加熱処理されていたり、場合によっては糖類が添加されていたりする可能性もゼロとは言い切れません。

一般的な「加糖はちみつ」「精製はちみつ」との違い

「純粋はちみつ」ではないものは、主に「加糖はちみつ」や「精製はちみつ」と呼ばれます。

  • 加糖はちみつ:はちみつに水あめ、異性化液糖、ショ糖(砂糖)などを加えたもの。はちみつの含有量が60%以上であることが必要です。安価ですが、風味は劣ります。
  • 精製はちみつ:はちみつを加熱処理などで脱色・脱臭し、特有の色や香りを取り除いたもの。主にジュースや食品の「原材料」として使われることが多く、栄養素も失われています。

本物のはちみつを選びたい場合、まずは「純粋」と表示されていることが大前提となります。

製造工程・加工の違い|「非加熱」はどれ?

【要点】

「純粋はちみつ」の定義には、「非加熱」であることは含まれていません。不純物を取り除き、瓶詰めしやすくするために、60℃未満で短時間の加熱ろ過を行っている「純粋はちみつ」は多く存在します。これは、風味や栄養を損なう「精製」のための高温加熱とは異なります。「天然はちみつ」は「非加熱(生)」を指すことが多いですが、保証はありません。

「天然はちみつ」という言葉は、しばしば「非加熱(生はちみつ)」と同じ意味で使われがちです。では、「純粋はちみつ」は加熱されているのでしょうか?

ここが重要なポイントですが、「純粋」の定義に、加熱の有無は関係ありません

ミツバチの巣から蜜を採った直後のはちみつには、巣のカケラや花粉などが混じっています。これらを取り除くために、多くの「純粋はちみつ」は、60℃未満の温度で軽く加熱されます。加熱して粘度を下げることで、細かいフィルターを通しやすくなり、不純物を取り除けるのです。

この程度の加熱であれば、風味や栄養素の損失は最小限に抑えられるとされています。

もし、ビタミンや酵素の働きを最大限に期待して、一切加熱していない「生はちみつ」や「非加熱はちみつ」を選びたい場合は、「純粋」の表示に加えて、「非加熱」「生」「Raw Honey」といった表記があるかを確認する必要があります。「天然」という表記だけでは、非加熱である保証はありません。

味・香り・風味の違い

【要点】

「純粋はちみつ」や「天然はちみつ」の味と香りは、ミツバチが蜜を集めた「蜜源(花の種類)」によって全く異なります。アカシアはクセがなく、レンゲはまろやか、マヌカは個性的です。一方、「加糖はちみつ」は水あめなどの甘さが立ち、はちみつ本来の繊細な香りは弱くなります。

「純粋はちみつ」や、非加熱をうたう「天然はちみつ」の魅力は、その多様な風味にあります。

  • アカシア:クセがなく上品な甘さで、色も淡い。紅茶などにも使いやすい。
  • レンゲ:まろやかで優しい花の香りが特徴。
  • トチ(マロニエ):やや個性的な香りとコクがある。
  • マヌカ:ニュージーランド産。薬草のような独特の香りと濃厚な味わい。
  • 百花蜜(ひゃっかみつ):複数の種類の花から集められた蜜で、採れた場所や時期によって風味が変わる。

一方、「加糖はちみつ」は、水あめや異性化液糖の味が加わるため、甘さが単調で、はちみつ本来の繊細な花の香りを感じにくい傾向があります。

栄養・成分・健康面の違い

【要点】

はちみつの主成分は「果糖」と「ブドウ糖」です。「純粋」かつ「非加熱」のはちみつには、ビタミン、ミネラル、アミノ酸のほか、熱に弱い「酵素(ジアスターゼなど)」が含まれています。高温加熱されたものや「精製はちみつ」「加糖はちみつ」は、これらの有用な成分の多くが失われています。

酵素やビタミンは「非加熱」が鍵

はちみつの健康価値は、主成分である糖類(ブドウ糖・果糖)だけでなく、微量に含まれるビタミン、ミネラル、ポリフェノール、そして「酵素」にあります。

特に「ジアスターゼ(アミラーゼ)」などの酵素は、ミツバチが蜜を熟成させる過程で加えられるもので、はちみつの品質基準の一つにもなっています。

しかし、これらの酵素やビタミン類は熱に弱い性質があります。60℃以上で長時間加熱されると、その多くが失活(働きを失う)してしまいます。

したがって、はちみつの栄養素を丸ごと摂取したい場合は、信頼できる「純粋はちみつ」の中から、さらに「非加熱」または「生(Raw)」と明記されたものを選ぶのが最も確実です。「天然」の表記は、この「非加熱」を意図していることが多いですが、あくまでイメージです。

ボツリヌス菌のリスク(1歳未満禁忌)

健康面で最も注意すべき点です。
「純粋」「天然」「加熱」「非加熱」を問わず、すべてのはちみつは「ボツリヌス菌」の芽胞(がほう)を含んでいる可能性があります。

大人の腸内では問題になりませんが、腸内環境が未熟な1歳未満の乳児が摂取すると、芽胞が腸内で発芽・増殖して毒素を出し、「乳児ボツリヌス症」という重篤な病気を引き起こす危険があります。

厚生労働省も「1歳未満の乳児にはちみつを与えないでください」と強く呼びかけています。これは、どのような種類のはちみつでも絶対に守るべきルールです。

使い方・料理での最適な食べ方の違い

【要点】

「純粋はちみつ(特に非加熱)」は、その繊細な風味と酵素を活かすため、そのまま食べる(ヨーグルト、トースト)のが最適です。一方、「加糖はちみつ」は安価なため、加熱する料理(照り焼き、煮物)の甘味料として割り切って使うのに向いています。

はちみつの種類によって、向いている使い方は異なります。

  • 純粋はちみつ(特に非加熱・天然)
    せっかくの風味と熱に弱い栄養素を活かすため、加熱しない食べ方がベストです。
    (例:ヨーグルトにかける、トーストに塗る、スムージーに入れる、チーズと合わせる)
    紅茶やハーブティーに入れる際も、少し冷ましてから(60℃以下)加えると、酵素が失われにくいです。
  • 純粋はちみつ(加熱ろ過)
    風味はしっかり残っているため、上記の食べ方にも使えますし、お菓子作りの風味付けなどにも使えます。
  • 加糖はちみつ・精製はちみつ
    はちみつ本来の風味や栄養は期待できませんが、安価です。砂糖の代わりとして、加熱する料理の甘味料(照り焼きのタレ、豚の生姜焼き、煮物のコク出しなど)として、惜しみなく使うのに適しています。

価格と正しい保存方法の違い

【要点】

価格は「加糖 < 純粋(加熱) < 純粋(非加熱・天然)」の順に高くなる傾向があります。保存方法は、すべてのはちみつに共通して「常温保存」が鉄則です。冷蔵庫に入れると、ブドウ糖が「結晶化」して白く固まってしまいますが、品質劣化ではありません。

価格:
価格は、加工の手間や希少価値によって大きく変わります。
(安価) 加糖はちみつ < 純粋はちみつ(加熱ろ過・海外産) < 純粋はちみつ(国産) < 純粋はちみつ(非加熱・生) (高価)
「天然」と表示されたものは、生産者が「非加熱・無添加」にこだわっていることが多く、高価な傾向があります。

保存方法:
はちみつの保存で絶対にやってはいけないのが「冷蔵保存」です。
はちみつは糖度が高く、水分活性が低いため、常温でも腐敗しにくい食品です。しかし、冷蔵庫(特に15℃以下)に入れると、主成分のブドウ糖が「結晶化」し、白く固まってしまいます。

これは品質が劣化したわけではなく、本物のはちみつ(特にブドウ糖の割合が多い花蜜)である証拠とも言えます。もし固まってしまったら、40〜50℃程度のぬるま湯で、容器ごとゆっくり湯煎すれば、風味を損なわずに元の液体に戻すことができます。(電子レンジでの急激な加熱は風味と栄養を損なうため非推奨です)

正しい保存方法は、フタをしっかり閉め、直射日光の当たらない常温の場所(冷暗所)です。

【体験談】「純粋」と「天然」のラベルに惑わされた過去

僕も、はちみつにこだわり始めた頃、ラベルの表記に惑わされた経験があります。

「どうせなら体に良いものを」と思い、「天然はちみつ」と大きく書かれた商品を選んでいました。「天然」=「自然のまま」=「非加熱に違いない」と思い込んでいたんです。風味も確かに美味しく感じていました。

しかしある時、はちみつ農家の方と話す機会があり、その話をすると、「『天然』には定義がないんですよ。本当にこだわるなら、ラベルの裏を見て『純粋はちみつ』と書かれているか、そして『非加熱』や『生』と明記されているかを見るべきです」と教わりました。

慌てて家に帰り、いつも買っていた「天然はちみつ」のラベルを確認しました。すると、どこにも「純粋」の文字はありません。さらに小さな文字の原材料名を見ると、「はちみつ(中国産)、異性化液糖、水あめ」と書かれていました…。

僕が「天然」だと思ってありがたく食べていたものは、実は「加糖はちみつ」だったのです。あの時のショックは忘れられません。

それ以来、ラベルのイメージ(天然)ではなく、公正取引協議会が認めた「純粋」という表示と、製造方法を示す「非加熱」という表記を信じるようにしています。

「純粋はちみつ」と「天然はちみつ」に関するよくある質問

Q1. 「純粋はちみつ」と「天然はちみつ」は同じものですか?

A1. いいえ、違います。「純粋はちみつ」は、公正競争規約で「水あめや糖類などを加えていない」と定義された公的な表示です。一方、「天然はちみつ」は、法的な定義がないイメージ用語です。「非加熱」を意図して使われることが多いですが、保証はありません。

Q2. 「純粋はちみつ」は、必ず「非加熱(生)」ですか?

A2. いいえ、違います。「純粋」とは「加糖していない」という意味が主です。不純物を取り除くために、風味を損なわない程度(60℃未満)で加熱ろ過されている「純粋はちみつ」は多くあります。酵素などをそのまま摂りたい場合は、「純粋」かつ「非加熱」または「生(Raw Honey)」と明記されたものを選びましょう。

Q3. はちみつが白く固まる(結晶化する)のはなぜですか?偽物ですか?

A3. いいえ、偽物ではなく、むしろ本物の証拠である可能性が高いです。はちみつの主成分である「ブドウ糖」が、15℃以下の低温や振動によって結晶化する自然現象です。品質に問題はありません。40〜50℃の湯煎でゆっくり溶かせば元に戻ります。

まとめ|本物のはちみつを選ぶなら「純粋」表記を確認しよう

「天然はちみつ」と「純粋はちみつ」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

二つの言葉には、信頼性に大きな違いがありました。

  • 純粋はちみつ信頼できる「公的な表示」。水あめや糖類を添加していない証。
  • 天然はちみつ信頼性があいまいな「イメージ用語」。「非加熱」を指すことが多いが、保証はない。

本物のはちみつを選びたい時、まず確認すべきは「純粋はちみつ」の表記です。

さらに、ビタミンや酵素の恩恵も期待するならば、「純粋」かつ「非加熱」「生」と明記されているものを選ぶのが最も確実です。

そして、どの種類のはちみつであっても、1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えないことを忘れないでくださいね。

はちみつは、蜜源によって無数の風味がある奥深い食材・素材です。ぜひ、信頼できる表示を頼りに、あなた好みの一瓶を見つけてみてください。はちみつの公正な表示については、全国はちみつ公正取引協議会のサイトも参考になりますよ。