夏の防波堤釣りなどで、「ショゴが釣れた!」「いや、ワカシだよ!」といった会話を耳にしたことはありませんか。
どちらも青物(背中の青い回遊魚)の若魚で、見た目が非常によく似ていますよね。
結論から言うと、この二つは全く別の魚の「若魚(幼魚)」時代の呼び名です。「ショゴ」は高級魚「カンパチ」の若魚であり、「ワカシ」は冬に美味しい「ブリ」の若魚(関東での呼び名)を指します。
つまり、親が全く違うんですね。この記事では、ショゴ(カンパチ)とワカシ(ブリ)の決定的な見分け方から、それぞれの味や食感、旬、そして出世魚としての呼び名の違いまで、詳しく比較解説していきます。
これを読めば、もう釣れた魚の名前で迷うことはありませんよ。
結論|ショゴとワカシの違いを一覧表で確認
ショゴとワカシの最大の違いは、「ショゴ」がカンパチの若魚であるのに対し、「ワカシ」がブリの若魚(主に関東での呼称)である点です。見た目は似ていますが、ショゴ(カンパチ)は体側の黄色い線がクッキリしており、体高があって平たいのが特徴です。
まずは、ショゴとワカシの主な違いを一覧表で比較してみましょう。
| 項目 | ショゴ(カンパチの若魚) | ワカシ(ブリの若魚) |
|---|---|---|
| 親の魚 | カンパチ | ブリ |
| 分類 | スズキ目 アジ科 ブリ属 | スズキ目 アジ科 ブリ属 |
| 主な呼び名(サイズ) | ショゴ → カンパチ | ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ(関東) |
| 見た目(体色) | 体側の黄色い線が鮮明。ヒレが黄色い。 | 体側の黄色い線がややぼんやり。 |
| 見た目(体型) | 体高があり平たい(菱形に近い) | 丸みがあり細長い(流線型) |
| 見た目(口元) | 口角が丸みを帯びる | 口角が角張っている |
| 味(成魚比較) | 脂は上品で、コリコリとした強い食感 | 脂が非常に濃厚で、柔らかい食感 |
| 旬の時期 | 夏~秋(若魚) | 夏~秋(若魚) |
どちらも同じ「アジ科ブリ属」の仲間であり、親戚のような魚ですが、種類が異なることがわかりますね。
ショゴとワカシの定義と分類の違い(何の若魚?)
「ショゴ」も「ワカシ」も、アジ科ブリ属に分類される魚の若魚を指す通称です。「ショゴ」はカンパチ(間八)の若魚(主に35cm以下)を指す関東地方の呼び名です。一方、「ワカシ」はブリ(鰤)の若魚(主に35cm以下)を指す関東地方の呼び名です。
ショゴとは(カンパチの若魚)
「ショゴ」とは、スズキ目アジ科ブリ属に分類される「カンパチ」の若魚(幼魚)を指す呼び名です。
主に関東地方(特に相模湾周辺)の釣り人や市場で使われる呼称で、一般的に全長35cm以下の小さなサイズを指します。関西地方では「シオ」と呼ばれることも多いですね。
カンパチは成魚になると1mを超える大型魚となり、その引きの強さから釣りのターゲットとして人気が高く、また刺身や寿司ネタとしても非常に高級な魚として扱われます。
ワカシとは(ブリの若魚)
「ワカシ」とは、ショゴと同じくスズキ目アジ科ブリ属に分類される「ブリ」の若魚(幼魚)を指す呼び名です。
これも主に関東地方での呼称で、全長35cm以下のサイズを指します。関西では「ツバス」と呼ばれます。
ブリは日本人にとって非常に馴染み深い魚で、特に冬の「寒ブリ」は脂が乗って非常に美味しく、高級魚として知られています。
結論:全く別の魚の「若魚の呼び名」
つまり、「ショゴ」と「ワカシ」は、どちらもアジ科ブリ属という大きなグループの仲間ではありますが、「カンパチ」と「ブリ」という、異なる種類の魚の「子ども時代」の呼び名だったのです。
どちらも夏から秋にかけて沿岸に寄ってくるため、防波堤などから一緒に釣れることが多く、見た目も似ているため混同されやすいんですね。
ショゴ(カンパチ)とワカシ(ブリ)の見た目・見分け方
ショゴ(カンパチ)は、体側の黄色いラインがクッキリと鮮明で、全体的に体高があって平たい(ひらべったい)のが特徴です。一方、ワカシ(ブリ)は、黄色いラインがややぼんやりしており、体型が丸みを帯びて細長い(流線型)点で見分けられます。
若魚のうちは特に見分けがつきにくいショゴとワカシですが、注意して観察すればいくつかの明確な違いがあります。
体色とライン(黄色の線)の違い
最も分かりやすい見分け方の一つが、体側を走る黄色いライン(縦帯:じゅうたい)です。
- ショゴ(カンパチ):目を通って尾まで続く黄色いラインが、非常にクッキリと鮮明です。また、ヒレ(特に尾ビレや背ビレ)が黄色味を帯びていることが多いです。
- ワカシ(ブリ):同じように黄色いラインがありますが、ショゴに比べるとややぼんやりとしており、鮮明ではありません。
体型(丸み・平たさ)の違い
魚体を真横から見たときの体型(体高)も、見分ける重要なポイントです。
- ショゴ(カンパチ):体高が高く、平たい(側扁した)体型をしています。上から見ると薄く、全体的に菱形に近いシルエットです。カンパチ(間八)の名前の由来ともなった、目の上の「八」の字模様も特徴ですが、若魚では不明瞭なこともあります。
- ワカシ(ブリ):ショゴに比べて体高が低く、全体的に丸みを帯びた細長い体型(流線型)をしています。上から見ても厚みがあります。
並べてみると、ショゴの方が「平べったく」、ワカシの方が「丸っこい」という違いがよく分かります。
口元の違い
釣れた個体を間近で見られる場合は、口元にも違いが現れます。
- ショゴ(カンパチ):口角(上アゴの後端上部)が、丸みを帯びています。
- ワカシ(ブリ):口角(上アゴの後端上部)が、角張っています。
この違いは成魚(カンパチとブリ)になるとより顕著になります。
味・食感・旬・食べ方の違い
若魚(ショゴ・ワカシ)の旬はどちらも夏~秋で、脂は少なくさっぱりしていますが、ショゴ(カンパチ)の方が身が締まりコリコリした食感が楽しめます。成魚になると、ブリは冬に脂が乗って濃厚になるのに対し、カンパチは夏が旬とされ、ブリより脂は上品で食感が強いのが特徴です。
味と食感の違い
ショゴもワカシも、若魚のうちはまだ脂の乗りは少なく、さっぱりとした味わいが特徴です。しかし、その中でも味の違いは明確にあります。
- ショゴ(カンパチ):若魚でも身がしっかり締まっており、コリコリ、シコシコとした強い食感が楽しめます。脂は淡白ですが、上品な旨味があります。
- ワカシ(ブリ):ショゴに比べると身が柔らかく、さっぱりとした味わいです。
成魚になると、この差はさらに開きます。
- カンパチ(成魚):脂が乗りますが、ブリほど濃厚ではなく、上品な脂の甘みと、非常に強い歯ごたえ(食感)が特徴の高級魚となります。
- ブリ(成魚):特に冬の「寒ブリ」は、全身に脂が乗り、トロのようにとろける食感と濃厚な脂の旨味が特徴です。
旬の時期と主な産地
ショゴとワカシは、どちらも夏の終わりから秋(8月~10月頃)にかけて沿岸に接近するため、釣りのシーズンとしてはこの時期が旬となります。食材としても、この時期の若魚は「夏場の青物」として楽しまれます。
成魚になると旬が異なります。
- カンパチ(成魚):天然物は夏(6月~9月頃)が旬とされています。養殖も盛んで、鹿児島県や愛媛県が主な産地です。
- ブリ(成魚):天然物は冬(12月~2月頃)の「寒ブリ」が旬です。養殖も盛んで、鹿児島県、愛媛県、大分県などが主な産地です。
農林水産省の統計によれば、ブリ類(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)の養殖は非常に盛んで、特に鹿児島県が全国一位の生産量を誇ります。
おすすめの調理法(食べ方)
ショゴもワカシも、新鮮なものが手に入れば刺身が一番です。
- 刺身:ショゴ(カンパチ)のコリコリした食感、ワカシ(ブリ)のさっぱりした味わいを楽しみましょう。
- カルパッチョ:オリーブオイルやレモンで締めると、青魚特有の匂いが和らぎ、美味しく食べられます。
- 塩焼き・照り焼き:若魚は脂が少ないため、塩焼きの場合は焼きすぎるとパサつきやすいです。照り焼きやムニエルなど、油やタレを補う調理法も合います。
- なめろう:アジと同様に、味噌や香味野菜(ネギ、ショウガ)と叩いて「なめろう」にするのも、釣り人ならではの美味しい食べ方です。
カンパチとブリの「出世魚」としての呼び名の違い
ワカシの親である「ブリ」は、成長するにつれて名前が変わる「出世魚」として非常に有名です。ただし、この呼び名は地域によって異なります。
- 関東(ブリ):ワカシ(~35cm) → イナダ(35~60cm) → ワラサ(60~80cm) → ブリ(80cm~)
- 関西(ブリ):ツバス(~40cm) → ハマチ(40~60cm) → メジロ(60~80cm) → ブリ(80cm~)
※サイズはおおよその目安です。
一方、ショゴの親である「カンパチ」も出世魚ですが、ブリほど細かく呼び名が変わるわけではありません。
- 関東(カンパチ):ショゴ → カンパチ
- 関西(カンパチ):シオ → カンパチ
このように、ブリ(ワカシ)は出世の段階が多いのに対し、カンパチ(ショゴ)は比較的シンプルな呼び名の変化となっています。
ショゴとワカシの釣り体験談
僕がショゴとワカシの違いを強烈に意識したのは、数年前の夏、相模湾の防波堤でライトショアジギングをしていた時のことです。
早朝、小さなメタルジグを投げていると、強いアタリがありました。引きは強く、上がってきたのは30cmほどの銀色の魚。「やった、ワカシだ!」と喜んでクーラーボックスに入れ、釣りを続けました。その数分後、また同じようなアタリ。しかし、今度の魚は、同じサイズなのに明らかに引きが違います。ギュンギュンと下に突っ込むような、シャープな引きです。
釣り上げてみると、見た目は先ほどのワカシとそっくり。しかし、よく見ると体側の黄色い線が明らかに濃く、ヒレも鮮やかな黄色。そして何より、体高があって平べったい。「これがショゴか!」と一目でわかりました。
その夜、二匹を刺身で食べ比べてみました。ワカシ(ブリの子)は、身が柔らかく、さっぱりとした青物の味。一方、ショゴ(カンパチの子)は、身が硬くコリコリしていて、噛むほどに上品な甘みが感じられました。
見た目は似ていても、引きの強さも、味も全く違う。この体験以来、僕はすっかりカンパチ(ショゴ)の食感の虜になりました。釣り人にとって、この二種を見分けて釣り、味わうのは、夏の大きな楽しみの一つですね。
ショゴとワカシのFAQ(よくある質問)
Q1. ショゴとワカシは同じ魚ですか?
A1. いいえ、全く別の魚です。ショゴは「カンパチ」の若魚で、ワカシは「ブリ」の若魚(主に関東での呼び名)です。どちらもアジ科ブリ属の仲間ですが、種類が異なります。
Q2. ショゴとワカシ、どちらが美味しいですか?
A2. これは好みによります。若魚(夏~秋)の時点では、どちらも脂は少なめですが、ショゴ(カンパチ)の方が身が締まっており、コリコリとした食感が強いです。ワカシ(ブリ)はショゴより柔らかい食感です。成魚になると、ブリは冬に脂が乗って濃厚に、カンパチは夏が旬で上品な脂と強い食感が特徴です。
Q3. 関西では呼び名が違いますか?
A3. はい、異なります。関東で「ワカシ」と呼ばれるブリの若魚は、関西では「ツバス」や「ハマチ」と呼ばれます。関東で「ショゴ」と呼ばれるカンパチの若魚は、関西では「シオ」と呼ばれることが多いです。
まとめ|ショゴとワカシの違いと選び方
「ショゴ」と「ワカシ」の違い、明確にご理解いただけたでしょうか。
この二つのそっくりな魚は、実は「カンパチ」と「ブリ」という、日本を代表する高級魚の若かりし頃の姿でした。
- ショゴ:カンパチの子。体高があり平べったく、黄色い線が鮮明。食感はコリコリ。
- ワカシ:ブリの子(関東名)。丸みがあり細長く、黄色い線はぼんやり。食感は柔らかめ。
どちらもアジ科の魚で、夏から秋にかけてが旬の美味しい魚です。釣り人にとっては、その引きの違いを楽しむことができ、食材としては、その後の成長(カンパチとブリ)を想像しながら味わうのも一興ですね。
ブリやカンパチといった魚の生態や出世魚としての文化については、農林水産省の広報誌「aff(あふ)」などでも詳しく紹介されています。
スーパーや鮮魚店で「ショゴ」や「ワカシ」を見かけたら、ぜひその違いに注目して、味わってみてください。当サイトでは、他にも様々な肉・魚介類の違いについても解説しています。