夏の風物詩「そうめん」と、冬の定番「うどん」。
どちらも日本の食卓に欠かせない麺類ですが、いざ「違いは?」と聞かれると、「太さが違う」こと以外、はっきり説明できない方も多いのではないでしょうか。
実は、この二つの麺には「太さ」の厳密な定義があるだけでなく、「製法」にも大きな違いがあります。
結論から言うと、JAS規格で「太さ」が明確に区別されており、さらにそうめん(特に手延べ)は製造工程で「油」を使うのに対し、うどんは「塩水」でこねて作るという決定的な違いがあります。
この記事では、そうめんとうどんの定義から、製法、歴史、栄養価、そして「ひやむぎ」との違いまで、徹底的に比較解説します。これを読めば、もう二度と迷うことはありません。
結論|そうめんとうどんの決定的な違い
そうめんとうどんの決定的な違いは「麺の太さ」です。日本のJAS規格(日本農林規格)により、乾麺の場合、長径(太さ)1.3mm未満を「そうめん」、1.7mm以上を「うどん」と明確に分類しています。また、製法においても、手延べそうめんは麺の付着を防ぐために「油(綿実油など)」 を塗って延ばしますが、うどんは「塩水」でこねてコシを生み出す点が異なります。
原材料はどちらも「小麦粉・水・塩」でほぼ同じですが、この「太さ」と「製法」の違いが、食感や食べ方の違いを生み出しています。
二つの麺の主な違いを、以下の比較表で整理しました。
| 項目 | そうめん(素麺) | うどん(饂飩) |
|---|---|---|
| 太さ(JAS規格) | 長径 1.3mm 未満 | 長径 1.7mm 以上 |
| 製法(主な違い) | 手延べの場合、油(綿実油など)を塗って延ばす | 塩水でこねて生地を作り、切る(足踏みも) |
| 原材料 | 小麦粉、水、塩(基本的に同じ) | |
| 主な食感 | なめらか、のどごしが良い、歯切れが良い | もちもち、コシ(弾力)が強い |
| 主な食べ方 | 夏に冷やして「つけつゆ」で食べる | 冬は温かく、夏は冷たく(通年) 「かけつゆ」「つけつゆ」「釜揚げ」など多様 |
| カロリー(乾麺) | 約333 kcal / 100g | 約331 kcal / 100g |
※ちなみに、JAS規格では太さが 1.3mm 以上 1.7mm 未満のものは「ひやむぎ」に分類されます。(手延べの場合は 1.7mm 未満であれば「そうめん」または「ひやむぎ」と表示可能)
そうめんとうどんの定義・分類・原材料の違い
そうめんとうどんの違いは、主にJAS規格(日本農林規格)によって定められた「麺の太さ」に基づいています。原材料はどちらも小麦粉、水、塩を基本としており、本質的な差はありません。
まずは、二つの麺がどのように定義されているのか、JAS規格と原材料の観点から見ていきましょう。
JAS規格による「太さ」の明確な定義
私たちが日常的に「そうめん」「うどん」と呼んでいる乾麺は、農林水産省が定めるJAS規格(日本農林規格)によって、麺の太さ(長径)で明確に分類されています。(参考:全国乾麺協同組合連合会)
- そうめん:長径が 1.3mm 未満 のもの
- ひやむぎ:長径が 1.3mm 以上 1.7mm 未満 のもの
- うどん:長径が 1.7mm 以上 のもの
このように、「そうめん」が最も細く、「うどん」が最も太いと、公的な規格で定められているのです。
ただし、これは「機械麺」の場合です。
「手延べ」製法の場合、JAS規格の定義は少し異なり、長径 1.7mm 未満であれば、「手延べそうめん」または「手延べひやむぎ」のどちらで表示しても良いことになっています。このため、製造元によっては 1.3mm を超えていても「手延べそうめん」として販売されている場合があります。
原材料の違い(小麦粉・水・塩)
原材料については、そうめんもどんも「小麦粉、水、塩」を基本としており、本質的な違いはありません。どちらも小麦粉のグルテン(タンパク質)の特性を利用して作られています。
使用する小麦粉の種類(強力粉、中力粉、薄力粉、またはそれらのブレンド)によって、コシの強さや風味が変わってきますが、これは「そうめんかうどんか」という分類よりも、各メーカーや店舗のこだわりによる違いと言えます。
製法(作り方)と調理法の違い
製法には大きな違いがあります。うどんは小麦粉と塩水を混ぜてこね、生地を鍛えて(足踏みなど)から麺棒で延ばし、包丁で「切って」作ります。一方、手延べそうめんは、塩水でこねた生地に「油」を塗りながら、何度も「より」をかけて引き延ばし、細くしていくのが特徴です。
原材料は似ていますが、麺の形状にするまでのプロセスが、そうめん(特に手延べ)とうどんでは大きく異なります。
そうめん(手延べ)の製法:「油」を使い延ばす
「揖保乃糸」や「三輪そうめん」に代表される伝統的な「手延べそうめん」は、非常に手間のかかる製法で作られます。
うどんのように生地を薄く延ばして「切る」のではなく、こねた生地を「延ばす」作業を繰り返して細くしていきます。
この工程で、麺同士が付着するのを防ぎ、乾燥を防ぎながらしなやかに延ばすために、「食用植物油(綿実油など)」が麺の表面に塗られます。(参考:農林水産省 うちの郷土料理 そうめん)この油が、手延べそうめん特有の風味と滑らかな口当たりの一因ともなっています。
うどんの製法:「塩水」でこねて切る
うどんは、小麦粉に「塩水」を加えてこね、生地を作ります。塩を加えるのは、味付けのためだけではなく、小麦粉のグルテンを引き締め、生地の弾力(コシ)を強くするためです。
生地をこねた後、熟成させ、さらに「足踏み」などで生地を鍛える工程が入ることも多いですよね。十分に鍛えられた生地を麺棒で薄く延ばし、最終的に包丁で「切る」ことで麺の形にします。
この「切る」工程が、そうめんの「延ばす」工程との大きな違いです(※機械製法のそうめんやうどんは、また異なる製法を用います)。
味・香り・食感・見た目の違い
最大の違いは「食感」です。そうめんは細さゆえの滑らかな「のどごし」と、スルスルと食べられる「歯切れの良さ」が特徴です。一方、うどんは太さゆえの「コシ(弾力)」と「もちもち感」が最大の特徴となります。
太さと製法が異なるため、私たちが感じる味や食感も当然違ってきます。
食感の違い(のどごし vs コシ)
そうめん
JAS規格で 1.3mm 未満と定められている通り、非常に細いのが特徴です。そのため、強いコシ(弾力)よりも、滑らかな「のどごし」が重視されます。暑い夏でもスルスルと食べられる軽快さが魅力です。
うどん
1.7mm 以上という太さがあり、生地をこねて鍛える製法から、「コシ(弾力)」や「もちもち感」が最大の特徴となります。讃岐うどんのように強いコシを楽しむものから、伊勢うどんのように柔らかく仕上げるものまで多様ですが、基本的には麺の「噛み応え」を楽しむ料理です。
味と香りの違い
どちらも小麦粉が主原料のため、小麦本来の風味を感じる点は共通しています。
ただし、手延べそうめんの場合は、製造工程で使われる油(綿実油など)の風味が加わり、独特のまろやかな香りを感じることがあります。また、細いために麺つゆが絡みやすく、つゆの味をダイレクトに感じやすいとも言えます。
うどんは、麺が太い分、噛みしめた時に小麦粉そのものの甘みや香りを強く感じやすいのが特徴です。
栄養・成分・健康面の違い
原材料がほぼ同じため、乾麺100gあたりの栄養価やカロリーに大きな差はありません。そうめん(乾麺)は約333kcal、うどん(乾麺)は約331kcal です。手延べそうめんは製造に油を使いますが、最終製品に残る量はごくわずかです。
ダイエット中の方などは、カロリーの違いも気になりますよね。
文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、乾麺100gあたりの主な栄養価は以下の通りです。(参考:文部科学省 日本食品標準成分表)
- そうめん・ひやむぎ(乾):エネルギー 333 kcal、タンパク質 9.1g、脂質 1.2g、炭水化物 70.3g
- うどん(乾):エネルギー 331 kcal、タンパク質 8.0g、脂質 1.1g、炭水化物 70.8g
このように、カロリーや主な栄養素にほとんど差はありません。
手延べそうめんは製造工程で油を使いますが、最終的な製品に含まれる脂質量を見ても、うどんと大差ないことが分かります。どちらも炭水化物が主体の食品です。
食べ方・季節感・文化的背景の違い
最も大きな違いは「季節感」です。そうめんは冷たい「つけつゆ」で食べるのが定番で、「夏」の風物詩としてのイメージが定着しています。一方、うどんは冷たい「ざる」から温かい「かけ」や「煮込み」まで食べ方が多様で、「通年」楽しまれる麺料理です。
二つの麺は、日本文化の中で異なる立ち位置を確立しています。
食べ方と季節感(夏 vs 通年)
そうめん
そうめんの食べ方といえば、やはり「冷やしそうめん」ですよね。冷水で締めた麺を、冷たいだしつゆ(つけつゆ)に薬味(ネギ、生姜、ミョウガなど)と共につけて食べるのが定番です。流しそうめんなども含め、「夏を乗り切る涼味」としてのイメージが非常に強いです。
うどん
うどんは食べ方のバリエーションが非常に豊富です。夏は「ざるうどん」や「ぶっかけうどん」などで冷たく、冬は「かけうどん」「鍋焼きうどん」「カレーうどん」などで温かくして食べられます。季節を問わず「通年」楽しめるのがうどんの強みですね。
起源と歴史の違い
どちらも、そのルーツは中国から奈良時代に伝わった小麦粉の菓子「索餅(さくべい)」などにあるとされています。
そうめんは、室町時代に「索麺(そうめん)」としてその製法が確立されたと言われ、宮中などで食べられる高級品でした。江戸時代に庶民に広まり、特に夏に冷やして食べる文化が定着しました。
うどんは、そうめんよりも早い時期に「混飩(こんとん・うんとん)」として伝わり、鎌倉時代~室町時代に「温飩(うどん)」として現在の形に近いものになったとされています(諸説あり)。
【体験談】夏の「そうめん」と冬の「うどん」それぞれの魅力
僕にとって、この二つの麺は日本の四季を象徴する存在です。
夏、暑さで食欲が全くない日でも、「そうめん」なら食べられる、という経験は誰もがあるのではないでしょうか。氷水でキリッと締められた細い麺を、生姜を効かせたつゆにくぐらせる。その「のどごし」は、まさに夏の救世主ですよね。ただ、あまりに続くと飽きてしまうのも事実で、アレンジレシピに頭を悩ませるのも夏の恒例行事です(笑)。
一方、冬の寒さが厳しい日に無性に食べたくなるのが「うどん」です。特に「鍋焼きうどん」は格別ですね。土鍋の中でグツグツと煮込まれ、つゆの旨味を吸って少し柔らかくなったうどんの、あのもちもち感。コシが強い讃岐うどんも好きですが、この時ばかりは少しコシが抜けたうどんが最高だと感じます。
「のどごし」のそうめんと、「コシ」のうどん。原材料は同じ小麦粉なのに、太さと製法が違うだけで、ここまで異なる食文化を生み出した日本人の知恵は本当にすごいと思います。
そうめんとうどんに関するFAQ(よくある質問)
ここでは、そうめんとうどんに関してよくある疑問にお答えします。
「ひやむぎ」との違いは何ですか?
JAS規格では「太さ」で決まります。乾麺の場合、そうめん(1.3mm未満)とうどん(1.7mm以上)の中間の太さ(1.3mm~1.7mm未満)が「ひやむぎ」です。ただし、手延べの場合は1.7mm未満なら「そうめん」とも「ひやむぎ」とも名乗れるため、区別は曖昧になりがちです。
カロリーが高いのはどっちですか?
乾麺100gあたりで比較すると、そうめん(約333kcal)もうどん(約331kcal)も、カロリーにほとんど差はありません。
手延べそうめんはなぜ油を使うのですか?
手延べそうめんは、生地を細く引き延ばす工程を繰り返します。その際に、麺同士が付着するのを防ぎ、乾燥を防いでしなやかに延ばすために、食用油(綿実油など)が塗られます。
まとめ|そうめんとうどん どちらを選ぶ?
そうめんとうどんの根本的な違いは、JAS規格で定められた「太さ」と、製造工程における「油」の使用(手延べそうめん)にありました。
どちらも小麦粉から作られた日本の誇る麺文化ですが、その個性は正反対とも言えます。
- 夏の暑い日に、のどごしと清涼感を求めるなら → そうめん
- しっかりとしたコシやもちもち感、温かい汁物として楽しみたいなら → うどん
ぜひ、この違いを理解して、季節や気分に合わせて二つの麺を楽しんでみてくださいね。
「食べ物の違い」カテゴリでは、他にも様々な料理・メニューの違いについて解説しています。ぜひご覧ください。