スユクとポッサムの違いとは?「茹で肉」と「包む料理」を徹底比較

スユクとポッサム、どちらも韓国料理店で人気の「茹で豚」料理ですよね。

メニュー写真を見ると、どちらもスライスされた茹で豚が並んでいて、「一体、何が違うの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この2つの料理の最大の違いは、「スユク」が「茹で肉(牛・豚)」という料理法・料理そのものを指す広義の言葉であるのに対し、「ポッサム」はスユク(主に豚肉)をキムチや野菜で「包んで食べる」という特定の食べ方・料理スタイルを指す点にあります。

この記事を読めば、スユクとポッサムの根本的な意味の違い、使われる肉の部位、そして決定的に異なる「食べ方」まで、すべてがスッキリと理解できます。

まずは、両者の最も重要な違いを比較表で見ていきましょう。

項目スユク(Suyuk)ポッサム(Bossam)
言葉の意味熟肉(茹で肉)褓쌈(包む)
分類調理法/料理名(広義)特定の料理名(食べ方)
主な食材豚肉(バラ、肩ロース等)、牛肉(スネ、バラ等)豚肉(主にバラ肉)が一般的
調理法じっくり茹でるじっくり茹でる(スユクと同じ)
食べ方タレにつけてそのまま食べる、スープ(クッパ)の具キムチや野菜で「包んで」食べるのが必須
付け合わせサムジャン、塩とゴマ油、ヤンニョムジャンなどポッサムキムチ、白菜、サンチュ、ニンニクなど

つまり、「ポッサム」は、「スユク(茹で肉)」という料理カテゴリの中の一つであり、「野菜で包んで食べるセット料理」として特化したものだったんですね。

それでは、この違いをさらに詳しく掘り下げていきましょう。

「スユク」と「ポッサム」の定義・起源・発祥の違い

【要点】

「スユク(熟肉)」は、韓国語で「茹でた肉」そのものを指す言葉です。「ポッサム(褓쌈)」は「包む」という意味の言葉で、茹でた豚肉をキムチや野菜で包んで食べる特定の料理スタイルを指します。

スユク(수육 / 熟肉)とは【茹で肉】

スユクは、漢字で「熟肉」と書き、韓国語で「じっくり火を通した(茹でた)肉」全般を指します。

これは特定の料理セットを指すのではなく、シンプルに「茹で肉」という調理法、またはその料理自体を意味する言葉です。

使われる肉も限定されません。「テジスユク(豚の茹で肉)」もあれば、「ソゴギスユク(牛肉の茹で肉)」もあります。ソルロンタンやクッパなどのスープ料理に、具として入っているスライスされた肉も「スユク」と呼ばれます。

ポッサム(보쌈 / 褓쌈)とは【包む料理】

ポッサムは、韓国語で「包む(ポ)」という意味を持つ言葉です。

その名の通り、「茹でた豚肉(テジスユク)」を、ポッサムキムチ(甘めに味付けされた専用キムチ)、ニンニク、青唐辛子などと一緒に、白菜の塩漬けやサンチュ、エゴマの葉などで「包んで食べる」という、一連の食べ方(スタイル)を指す料理名です。

つまり、「ポッサムを注文する」ということは、「茹で豚単品」ではなく、「茹で豚と、それを包むための野菜やキムチのセット」を注文するという意味になります。

主な材料(部位)と調理法(茹で方)の違い

【要点】

調理法(茹でる)は基本的に同じです。ただし、ポッサムは脂身の旨味と柔らかさを重視するため「豚バラ肉」を使うのが王道ですが、スユクは豚の肩ロースやモモ、さらには牛肉のスネやバラなど、より多様な部位が使われます。

調理法はどちらも「茹でる」

ポッサムで使われる肉も、調理法としては「スユク」です。つまり、どちらも肉の塊をじっくりと茹で上げます。</p

その際、肉の臭みを消し、風味を加えるために、ネギ、玉ねぎ、ニンニク、ショウガ、味噌、醤油、さらにはコーヒー豆やインスタントコーヒーなどを入れたお湯で茹でるのが一般的です。

この工程によって、肉は柔らかくなり、余分な脂が落ち、さっぱりとしながらもジューシーに仕上がります。

使用する肉の部位の違い

調理法は同じですが、使われる部位には傾向の違いがあります。

ポッサムは、脂身の甘さと赤身の柔らかさのバランスが重視されるため、「豚のバラ肉(サムギョプサル)」が使われるのが王道です。脂が多すぎると感じる人向けに、肩ロース(モクサル)や前足(アッサリ)を選ぶお店もあります。

スユクは、より広義の「茹で肉」であるため、使われる部位は非常に多様です。豚肉であればバラ、肩ロース、モモなど。牛肉であればスネ肉(サテ)バラ肉(ヤンジモリ)などが使われ、特にクッパやソルロンタンの具材として重宝されます。

最大の違いは「食べ方」と「付け合わせ」

【要点】

ポッサムは「包む」のが必須です。茹で豚、ポッサムキムチ、野菜(白菜、サンチュ)がセットで提供されます。一方、スユクは「タレにつけて」そのまま食べたり、スープの具として食べたりするのが主流です。

これこそが、スユクとポッサムを分ける決定的な違いです。

スユクの食べ方:「つける」「スープの具」

スユクを単品で頼んだ場合、スライスされた茹で肉が皿に盛られて出てきます。

食べ方はシンプルで、タレにつけてそのまま食べます。タレは店や好みによりますが、

  • サムジャン(味噌ベースの合わせ調味料)
  • 塩とゴマ油
  • アミの塩辛(セウジョッ)
  • ヤンニョムジャン(醤油ベースの薬味だれ)

などが一般的です。もちろん、好みでサンチュなどに包んで食べることもありますが、必須ではありません。

また、前述の通り、テジクッパ(豚スープご飯)やソルロンタン(牛骨スープ)の具材として、スープの中にスユクが入っていることも多いです。

ポッサムの食べ方:「包む」

ポッサムは、「包んで食べる」ことが前提の料理です。

テーブルには、スライスされた茹で豚(スユク)と同時に、必ず以下の付け合わせがセットで提供されます。

  • 包む野菜: 白菜の塩漬け、サンチュ、エゴマの葉など。
  • ポッサムキムチ: ポッサム用に特別に作られたキムチ。通常のキムチより浅漬かりで、大根の千切り(ムセンチェ)や果物、牡蠣(クル)などが入っていて甘みが強いのが特徴です。
  • 薬味: スライスした生ニンニク、青唐辛子、サムジャンなど。

これらを白菜やサンチュに乗せ、一口で頬張るのがポッサムの正しい楽しみ方です。茹で豚の脂の甘み、キムチの甘辛さ、野菜のシャキシャキ感が一体となった味わいは、スユクを単品で食べるのとは全く異なる料理体験と言えます。

栄養・カロリー・健康面の違い

【要点】

どちらも「茹でる」調理法で余分な脂を落とすため、焼肉(サムギョプサルなど)に比べてヘルシーです。特にポッサムは、キムチ(乳酸菌)や多量の生野菜(食物繊維・ビタミン)を同時に摂取できるため、非常に栄養バランスの取れた料理と言えます。

スユクポッサムも、豚肉を「茹でる」ことで、焼く調理法(サムギョプサルなど)に比べて余分な脂を大幅にカットできます。そのため、どちらも豚肉料理の中ではヘルシーな部類に入ります。

特にポッサムの優れている点は、その食べ方にあります。

肉(タンパク質・脂質)だけでなく、キムチ(乳酸菌・食物繊維)と、サンチュや白菜などの生野菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)を強制的にセットで大量に摂取することになります。

脂質の代謝を助けるニンニクや唐辛子も一緒に食べるため、栄養バランスの観点から見ると、ポッサムは非常に完成度の高い健康食と言えるでしょう。

韓国での文化的・食シーンの違い

【要点】

スユクは、クッパの具材として日常的に食べられる「定食(パプサン)」の一部である一方、ポッサムは、キムチや野菜と共に大皿で提供され、複数人でシェアして楽しむ「ごちそう」「酒の肴(アンジュ)」としての側面が強いです。

スユクは、韓国の食卓において非常に身近な存在です。クッパ専門店のメニューとして「スユクペクパン(茹で肉定食)」があったり、ソルロンタンのスープの具材として入っていたりと、日常的な食事(定食)の一部として登場する機会が多いです。

ポッサムは、それ自体がメインディッシュとなる「ごちそう料理」です。

専門店も多く、キムチや野菜がセットになった大皿で提供されるため、友人や家族とテーブルを囲み、お酒(マッコリやソジュ)と共にワイワイ楽しむ料理というイメージが強いです。特に、キムチを漬ける「キムジャン」の時期に、新鮮なキムチと一緒に茹でたての豚肉を食べるのは、韓国の伝統的な楽しみの一つとされています。

体験談|ポッサムの「セット」に驚き、スユクの「シンプルさ」に気づく

僕が初めて「ポッサム」と「スユク」の違いを意識したのは、ソウルのクッパ通りでのことでした。

最初は「テジクッパ(豚スープご飯)」の専門店に入りました。スープの中に、薄くスライスされたお肉がたくさん入っています。柔らかくて美味しいこの肉を、店員さんは「スユク」と呼んでいました。「なるほど、これがスユクか」と理解しました。シンプルにスープの具材として、タレ(セウジョッ)をつけてご飯と食べる。まさに日常の味です。

その夜、別の店で「ポッサム」を注文してみました。僕はスユクと同じように「茹で豚の皿」が出てくるだけだと思っていたんです。

ところが、運ばれてきたのは想像を絶する光景でした。

メインの茹で豚(スユク)の皿に加え、山盛りのポッサムキムチ、大皿いっぱいの白菜の塩漬けとサンチュ、ニンニク、青唐辛子、サムジャン、セウジョッ…と、テーブルが埋め尽くされたんです。

「ポッサムって、肉だけじゃなくて、この『包むセット』全部のことだったのか!」

その時、スユクが「茹で肉」という素材そのものを指す言葉であるのに対し、ポッサムは「茹で肉を野菜で包んで楽しむ」という、一つの完成された「食体験(エンターテイメント)」を指す言葉なのだと、お腹いっぱいのキムチと共に実感しました。

スユクはシンプルに肉の旨味を味わうもの。ポッサムは肉と野菜とキムチのハーモニーを味わうもの。全くの別料理でしたね。

スユクとポッサムに関するよくある質問

スユクとポッサムの違いについて、よくある質問をまとめました。

質問1:結局、ポッサムはスユクの一種なんですか?

回答: はい、その通りです。

「スユク(茹で肉)」という大きなカテゴリの中に、「ポッサム(包んで食べる茹で豚セット)」という特定の料理スタイルが含まれます。 したがって、ポッサムで提供される肉も調理法としては「スユク」です。

質問2:スユクを野菜で包んで食べたら、それはポッサムになりますか?

回答: 食べ方としてはポッサムに近くなりますね。

ただし、一般的に「ポッサム」として提供される場合、ポッサム用に味付けされた専用の「ポッサムキムチ」が付いてくることが重要です。スユク定食に付いてくるサンチュでスユクを包んでも、それを「ポッサム」とはあまり呼ばないことが多いです。

質問3:スユクは豚肉だけですか?

回答: いいえ、牛肉のスユク(ソゴギスユク)も非常に一般的です。

特にソルロンタンやコムタンといった牛骨スープの店では、具材として、あるいは単品のつまみとして牛肉のスユクが定番メニューです。一方、「ポッサム」と言った場合は、ほぼ100%「豚肉」を指します。

まとめ|スユクとポッサム、どう使い分ける?

スユクとポッサムの違い、もう完璧ですね。

どちらも「茹で肉」であることは共通していましたが、その立ち位置と食べ方が全く異なりました。

  1. スユク(熟肉):茹で肉」そのものを指す言葉。牛も豚も、部位も様々。タレにつけてそのまま食べたり、スープの具として使われる。
  2. ポッサム(褓쌈):包む」という意味の料理名。スユク(主に豚バラ)を、キムチや野菜とセットで包んで食べるスタイル。

この違いが分かれば、韓国料理店での注文も迷いません。

  • 「クッパやスープと一緒に、シンプルに茹で肉の旨味を味わいたい」 → スユク(またはスユクペクパン)
  • 「野菜やキムチと一緒に、バランス良くワイワイ楽しみたい」 → ポッサム

どちらも茹でることで余分な脂が落ちたヘルシーな韓国料理の代表格です。ぜひ、その日の気分に合わせて選んでみてくださいね。

当サイト「違いラボ」では、他にも様々な料理・メニューの違いに関する記事を掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。