「アルファベット(Alphabet)」と「グーグル(Google)」、ビジネスニュースや株式市場でこの二つの名前が出てきて、混乱したことはありませんか?
結論から言うと、この二つの違いは「グループ全体を統括する持株会社(アルファベット)」と「検索やYouTubeなどの主要事業を行う子会社(グーグル)」という親子関係にあります。
私たちが普段使っているサービスのほとんどは「グーグル」が提供していますが、会社としての顔や株式市場での名前は「アルファベット」。
この記事を読めば、なぜグーグルが組織を変えたのか、その狙いと現在の構造がスッキリと理解でき、テック業界のニュースがより深く読めるようになります。
それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「アルファベット」と「グーグル」の最も重要な違い
基本的には、グループの親玉として全体戦略と新規事業を管理するのが「アルファベット」、検索エンジンやYouTubeなど収益の柱となるコア事業を運営するのが「グーグル」です。上場しているのは親会社のアルファベットです。
まず、結論からお伝えしますね。
「アルファベット」と「グーグル」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、企業構造の全体像がクリアになります。
| 項目 | アルファベット (Alphabet Inc.) | グーグル (Google LLC) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 親会社(持株会社) | 子会社(事業会社) |
| 主な役割 | グループ全体の統括、資源配分 | インターネット関連サービスの運営 |
| 事業内容 | ムーンショット(野心的な新規事業)の管理 | 検索、広告、YouTube、Android、Cloud |
| 株式市場 | 上場している(GOOG / GOOGL) | 非上場(アルファベットの100%子会社) |
| 設立/再編 | 2015年に設立 | 1998年設立(2015年に子会社化) |
一番大切なポイントは、「私たちが普段『グーグル』と呼んでいる巨大企業の、法的な本体は『アルファベット』である」ということです。
しかし、ブランド名としての「Google」はあまりにも強力なため、一般的には依然としてグループ全体を指して「グーグル」と呼ぶことも多いですね。
なぜ違う?組織再編の経緯と構造から関係性を掴む
2015年、創業者のラリー・ペイジは巨大化しすぎたGoogleをスリム化し、革新的な事業(自動運転など)を別会社として切り出すために持株会社「Alphabet」を設立しました。これにより、各事業の透明性と機動性を高める狙いがあります。
なぜ世界的に有名な「Google」という社名を変更してまで、新しい親会社を作ったのでしょうか。
その背景には、シリコンバレーらしい合理的な経営戦略があります。
巨大化の弊害と「G」の限界
2015年当時、Googleは検索エンジンだけでなく、自動運転車、老化防止の研究、ドローン配送など、インターネットとは直接関係のない分野にも手を広げていました。
これら全てを「Google」という一つの箱の中で管理するには、組織が巨大になりすぎていたのです。
そこで、「検索や広告などのコア事業(Google)」と「リスクはあるが未来を作る新規事業(Other Bets)」を切り分けることにしました。
Alphabetという傘の誕生
この構造改革のために作られた新しい傘(ホールディングス)が「Alphabet」です。
この名前には、「言語の基礎となる文字(アルファベット)」と、「投資収益率(Alpha)への賭け(Bet)」という意味が込められています。
これにより、Googleは本来のネット事業に集中でき、新規事業は独立した会社としてスピード感を持って動けるようになったのです。
具体的な事業内容で役割分担をイメージする
「グーグル」は私たちが日々使うスマホやPCの中にあるサービス(検索、YouTube、Gmail)を担当します。「アルファベット」はそれ以外の未来技術(自動運転、ドローン、健康)を担当する子会社たちを束ねています。
言葉の違いは、具体的なサービスやプロダクトで確認するとイメージしやすいですよね。
それぞれの会社が何を担当しているのか、整理してみましょう。
グーグル(Google LLC)の担当領域
まさに「稼ぎ頭」の事業群です。
- 検索エンジン(Google Search)
- 動画プラットフォーム(YouTube)
- スマートフォンOS(Android)
- ブラウザ(Chrome)
- 地図(Google Maps)
- クラウドサービス(Google Cloud)
- ハードウェア(Pixelスマホ、Nestなど)
アルファベット傘下のその他の企業
グーグル以外の兄弟会社たちです。
- Waymo(ウェイモ):自動運転技術の開発
- Verily(ヴェリリー):ヘルスケア・ライフサイエンス研究
- Wing(ウィング):ドローン配送サービス
- CapitalG / GV:ベンチャー投資(CVC)
- X(エックス):次世代技術を開発する研究所(ムーンショット工場)
つまり、「今の生活を支えるのがGoogle、未来の生活を作るのがAlphabetのその他の会社」という役割分担と言えます。
【応用編】「Other Bets(アザーベッツ)」とは何か?
アルファベットの決算資料に登場する「Other Bets(その他の賭け)」とは、Google以外の新規事業群の総称です。これらは現在は赤字でも、将来的にGoogleに匹敵する収益源になることを期待されている「未来への投資」です。
アルファベットの決算を見ると、必ず「Google Services」と「Other Bets」という二つの区分が出てきます。
「Other Bets」とは、直訳すると「他の賭け」。
これは、Google以外の兄弟会社たちが取り組んでいる、野心的でリスクの高い事業を指します。
例えば、自動運転のWaymoなどがここに含まれます。
投資家は、Google事業で稼いだ莫大な利益が、どれくらいこの「Other Bets」に投資され、どのような成果(あるいは損失)を出しているかをチェックします。
「現在の飯の種(Google)」と「将来の飯の種(Other Bets)」を明確に分けて管理・開示しているのが、アルファベットという会社の最大の特徴なのです。
「アルファベット」と「グーグル」の違いを投資・経営の視点から解説
投資家にとって、投資対象は「アルファベット」です。経営視点では、この体制により、安定収益事業(Google)の評価と、赤字先行の新規事業(Other Bets)の評価を切り離し、株価への悪影響を防ぎつつイノベーションを継続できるメリットがあります。
ここでは少し専門的に、投資や経営のメカニズムから深掘りしてみましょう。
もし、Googleの中に自動運転などの巨額赤字事業が混ざっていたらどうなるでしょうか?
「Googleの利益が減っている! 経営が悪化したのでは?」と投資家が勘違いし、株価が下がるリスクがあります。
しかし、アルファベット体制にして財布を分けることで、「Google本体はこれだけ儲かっています。その利益の一部を使って、これだけ未来に投資しています」とクリアに説明できます。
これにより、投資家は安心してGoogleの収益力を評価でき、同時に将来の成長性(Other Bets)もモニタリングできるわけです。
また、優秀な起業家やエンジニアにとっても、巨大なGoogleの一部門になるより、アルファベット傘下の独立した会社のCEOや幹部になる方が、裁量権があり魅力的に映るという人材獲得面のメリットもあります。
僕が米国株を買う時に「Google」が見つからず焦った体験談
僕も米国株投資を始めたばかりの頃、この社名の違いで軽いパニックになった経験があります。
「よし、天下のGoogleの株を買うぞ!」と意気込んで、証券会社のアプリを開きました。
検索窓に「Google」と入力しても、候補に出てくるのは「Alphabet Inc. Class A」や「Alphabet Inc. Class C」という見慣れない名前ばかり。
「えっ、Googleって上場廃止したの? それとも買収された?」
本気でそう思って、慌ててネットで検索しました。
そこで初めて、2015年に社名が変わって持ち株会社制になったことを知りました。
さらに「Class A(議決権あり)」と「Class C(議決権なし)」の違いまであることを知り、二重のショックを受けました。
「ティッカーシンボル(銘柄コード)は『GOOGL』のままなのに、社名はアルファベットなのか……ややこしいな」
そう独り言をいいながら、震える手で注文を出したのを覚えています。
この経験から、「有名なサービス名と、上場している会社名が同じとは限らない」という株式投資の基本を学びました。
それ以来、企業の「親会社」や「正式名称」を必ずチェックするクセがつきましたね。
「アルファベット」と「グーグル」に関するよくある質問
Google株を買いたいのですが、どれを買えばいいですか?
「Alphabet Inc.」の株式を購入することになります。一般的には議決権のある「GOOGL(クラスA)」か、議決権のない「GOOG(クラスC)」のどちらかを選びます。株価に大きな差はないため、個人投資家であれば流動性などを考慮して好みで選んで問題ありません。
なぜ社名を「Alphabet」にしたのですか?
創業者ラリー・ペイジによれば、言語の核となる「アルファベット」のように、人類の革新の基礎となる企業群でありたいという願いと、「Alpha(投資収益率)」への「Bet(賭け)」という意味が込められています。また、Google検索で「Alphabet」という一般的な単語の上位を取るというジョークめいた意図も噂されました。
GoogleとAlphabetのCEOは違う人ですか?
かつては別でしたが、現在はスンダー・ピチャイ氏がGoogleとAlphabet両方のCEOを兼務しています(2019年より)。これにより、グループ全体の一体的な経営判断が強化されています。
「アルファベット」と「グーグル」の違いのまとめ
「アルファベット」と「グーグル」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本は親子関係:アルファベットが親(持株会社)、グーグルが子(事業会社)。
- 役割の違い:アルファベットは統括と投資、グーグルはネット事業の運営。
- 投資の視点:株式市場に上場しているのは「アルファベット」。
- 構造の意図:透明性を高め、新規事業(Other Bets)を加速させるため。
言葉の意味だけでなく、その裏にある「シリコンバレー流の経営戦略」まで理解しておけば、これからのテック企業のニュースがもっと面白くなります。
これからは自信を持って、経済ニュースや株価情報を読み解いていってくださいね。
もし、他にも業界用語や企業構造で迷うことがあれば、業界用語の違いまとめなども参考にしてみてください。
スポンサーリンク