「チェスト」と「バスト」の違いを解説!服選びで失敗しないための基礎知識

「チェスト」と「バスト」は、どちらも身体の「胸囲」を指す言葉ですが、性別による使い分けと測定位置に決定的な違いがあります。

なぜなら、一般的に「チェスト」は男性の胸板の周囲を指し、「バスト」は女性の胸のふくらみを含めた周囲を指す言葉として定着しているからです。

この記事を読めば、洋服のサイズ選びで迷うことがなくなり、通販やオーダーメイドでも自分にぴったりの服を選べるようになります。

それでは、まず二つの言葉の最も重要な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「チェスト」と「バスト」の最も重要な違い

【要点】

「チェスト」は主に男性の胸囲を指し、胸板の厚みや筋肉量を基準にします。一方、「バスト」は主に女性の胸囲を指し、乳房の膨らみを含めた最も高い位置を測定します。この違いはファッション業界のサイズ表記で特に重要です。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目チェスト (Chest)バスト (Bust)
主な対象男性(および子供、男女兼用)女性
測定位置脇の下を通る、胸の最も厚い部分胸のふくらみの最も高い部分(トップバスト)
ニュアンス胸郭、胸板、筋肉乳房、女性らしい曲線、胸像
使われるシーンスーツ、ワイシャツ、Tシャツ、筋トレブラジャー、レディースウェア、スリーサイズ

一番大切なポイントは、男性服のサイズ表を見る時は「チェスト」、女性服や下着なら「バスト」を確認するということですね。

ただし、ユニセックス(男女兼用)のパーカーやTシャツでは、女性向けでも「チェスト」と表記されていることがあるので注意が必要です。

なぜ違う?英語の語源から「胸」のイメージを掴む

【要点】

「chest」は「箱」を意味する言葉が語源で、肋骨に囲まれた「胸郭」という身体の構造を表します。「bust」は「彫刻の胸像」を意味する言葉が語源で、そこから転じて女性の上半身の曲線美や乳房を指すようになりました。

なぜ同じ「胸」なのに言葉が使い分けられているのか、その語源を紐解くとイメージが湧きやすくなりますよ。

「チェスト」の語源:頑丈な「箱」

「チェスト(chest)」の語源は、ラテン語やギリシャ語の「箱(cista/kiste)」に由来します。

これは、心臓や肺などの重要な臓器を守る「肋骨の箱(胸郭)」を指す言葉として使われるようになりました。

つまり、「チェスト」には「骨格としての胸」「中身を守る頑丈な箱」というニュアンスが含まれています。

男性の厚い胸板や、筋肉質な胸部を表現するのにぴったりの言葉ですね。

ちなみに、収納家具の「タンス(チェスト)」も同じ「箱」という語源から来ています。

「バスト」の語源:美しい「胸像」

一方、「バスト(bust)」は、イタリア語の「busto(彫刻の胸像)」やラテン語の「bustum」に由来します。

美術品としての「胸像(頭から胸あたりまでの彫刻)」を指す言葉でしたが、そこから転じて、生身の人間の「上半身」や「胸のふくらみ」を指すようになりました。

特に女性の身体的な特徴である乳房を含めた胸周りを表す言葉として定着しています。

「バストアップ写真」と言うときは、胸から上の写真を指しますが、これは「胸像」の意味が残っている例ですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

サイズ選びの場面では、男性用スーツやユニセックスのTシャツなら「チェスト〇〇cm」、女性用ブラウスや下着なら「バスト〇〇cm」という表記を探します。筋トレの種目名では、大胸筋を鍛える「チェストプレス」のように「チェスト」が使われます。

言葉の違いは、具体的な使用シーンで確認するのが一番ですよね。

ファッションや日常会話での使い分けを見ていきましょう。

「チェスト」を使うシーン

男性やユニセックス、あるいは筋肉や骨格を意識する場合に使います。

【OK例文】

  • 息子の体操服のサイズ表には、身長とチェストの目安が書いてある。
  • 彼はジムでチェストプレスをして大胸筋を鍛えている。
  • ユニクロのメンズTシャツは、チェスト88-96cmがMサイズだ。

「バスト」を使うシーン

女性の身体的特徴や、美容・ファッションの文脈で使います。

【OK例文】

  • 新しいブラジャーを買うために、トップバストとアンダーバストを測った。
  • 彼女はモデルのような理想的なバストラインをしている。
  • 証明写真はバストアップ(胸から上)で撮影してください。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じるかもしれませんが、少し違和感のある使い方です。

  • 【NG】 男性のスリーサイズを測る時、バスト・ウエスト・ヒップを測る。
  • 【OK】 男性のスリーサイズを測る時、チェスト・ウエスト・ヒップを測る。

男性に対して「バスト」と言うと、少し女性的なニュアンスが含まれてしまうため、一般的には「チェスト」を使います。

【応用編】収納家具としての「チェスト」との違いは?

【要点】

「チェスト」には「整理ダンス」や「引き出し付きの収納箱」という意味もあります。これは語源である「箱(chest)」の意味がそのまま家具の名称として残ったものです。文脈によって「胸」か「家具」かを判断する必要があります。

「チェスト」と聞いて、身体の胸ではなく「家具」を思い浮かべる方も多いかもしれません。

インテリア用語としての「チェスト」は、引き出し収納がついた家具(整理ダンス)のことを指します。

これは先ほど説明した通り、「chest=箱」という語源から来ています。

昔は衣類や財産を大きな木箱(チェスト)に入れて保管しており、それが進化して引き出し付きの家具になりました。

「4段チェスト」や「リビングチェスト」と言えば、間違いなく家具のことですね。

一方、「バスト」には家具の意味はありません。

「バストを買った」と言ったら、何か胸像の美術品を買ったか、豊胸手術でもしたのかと勘違いされてしまうかもしれませんね。

「チェスト」と「バスト」の違いを解剖学的視点で解説

【要点】

解剖学的には、「チェスト(Thorax/Chest)」は首と腹部の間にある胴体の部分全体、つまり胸郭とそれに含まれる臓器を指します。「バスト(Breast)」は胸壁の前面にある乳腺組織と脂肪からなる器官(乳房)を指します。

ここでは少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

医学や解剖学の分野では、これらは明確に区別されています。

「チェスト(Chest)」は、医学用語では「胸郭(Thorax)」とも呼ばれます。

これは、背骨、肋骨、胸骨で囲まれた「かご」のような空間全体を指し、心臓や肺を守る構造そのものです。

レントゲン撮影で「Chest X-ray(胸部レントゲン)」と言うのは、肺や心臓の状態を見るためですね。

一方、「バスト(Breast)」は、解剖学的には「乳房」を指します。

これは大胸筋の表面にある皮膚、脂肪組織、乳腺からなる器官のことです。

男性にも乳頭や痕跡的な乳腺組織はありますが、一般的に「Breast」と言えば女性の乳房を指すことが多いです。

つまり、「チェスト」は身体の土台となる構造であり、「バスト」はその表面にある付属器官という位置づけになります。

ネット通販で「チェスト」表記を見落として失敗した体験談

僕も以前、ネット通販で服を買う際に「チェスト」と「バスト」の違いを意識せず、失敗したことがあります。

ある海外ブランドのユニセックス(男女兼用)パーカーがセールになっていて、デザインが気に入ったので即決しました。

サイズ表を見ると「Sサイズ:Chest 90cm」と書いてありました。

僕は普段、日本のレディースLサイズを着ていて、自分のバストサイズもだいたい90cmくらいだったので、「これならゆったり着られるだろう」と思ってポチりました。

しかし、届いた商品を試着してみると、なんとなく胸周りが窮屈なんです。

「あれ? サイズは合ってるはずなのに…」

よくよく調べてみると、ユニセックスやメンズの「チェスト90cm」は、男性の平らな胸板を基準にした寸法だったのです。

女性の「バスト90cm」はふくらみを含んだ数値なので、立体的な厚みが必要になります。

男性用のパターン(型紙)で作られた服は、胸のふくらみ分を考慮したゆとり(ダーツなど)が入っていないため、同じ90cmでも女性が着ると前身頃が突っ張ってしまったんですね。

同じ数字でも、チェストとバストでは服の立体構造が違う」ということを、身をもって痛感した出来事でした。

それ以来、ユニセックス商品を買う時は、チェストサイズだけでなく、身幅や肩幅もしっかり確認するようにしています。

「チェスト」と「バスト」に関するよくある質問

子供服のサイズ表記はどちらですか?

子供服(キッズ・ジュニア)の場合、男の子用も女の子用も基本的には「胸囲」または「チェスト」と表記されることが多いです。身体の性差がまだ大きくないため、男性的な基準(胸郭の周囲)で測ることが一般的だからです。女の子用でも、ジュニアサイズになってくると「バスト」表記が出てくることがあります。

自分のサイズを測る時のコツはありますか?

「チェスト(男性)」を測る時は、脇の下のすぐ下、肩甲骨の上を通るようにメジャーを回し、息を吐いてリラックスした状態で測ります。「バスト(女性)」を測る時は、胸のふくらみの最も高い位置(トップバスト)を通るように水平に測ります。背筋を伸ばし、メジャーが背中で下がらないように注意するのがポイントです。

「バストアップ」って和製英語ですか?

はい、「バストアップ(胸を大きくする)」という意味で使う場合は和製英語です。英語で “Bust up” と言うと、「殴り合いの喧嘩」や「破産する」といったネガティブな意味のスラングに聞こえてしまう可能性があります。胸を大きくすることは “Breast enhancement” や “Increase bust size” などと言います。ただし、写真の構図としての「バストアップ(胸から上)」は “Bust shot” や “Head and shoulders shot” と言えば通じます。

「チェスト」と「バスト」の違いのまとめ

「チェスト」と「バスト」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本の使い分け:男性・ユニセックスは「チェスト」、女性は「バスト」。
  2. 測定位置の違い:チェストは「胸板(脇の下)」、バストは「ふくらみ(トップ)」。
  3. 語源のイメージ:チェストは「箱(骨格)」、バストは「胸像(曲線)」。

この違いを知っていると、ネット通販で服を選ぶ時の失敗がぐっと減りますよね。

「これはメンズ規格のチェスト表記だから、少し大きめを選ぼう」といった判断ができるようになります。

これからは自信を持って、自分にぴったりのサイズを選んでいきましょう。

さらに詳しいカタカナ語や外来語の使い分けについては、メディア・文化系外来語の違いまとめもぜひ参考にしてみてください。

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