「hence」と「therefore」の違いとは?論文やビジネスで評価される使い分け

「hence」と「therefore」、どちらも「したがって」「それゆえに」と訳される接続副詞ですが、ビジネスやアカデミックな場での使い分けに迷ったことはありませんか?

一言で言えば、「therefore」は最も一般的で論理的な結果を導く言葉、「hence」はより堅く、文脈の省略や未来への展開を示す言葉です。

もし、日常的なビジネスメールで「hence」を使ってしまうと、相手に「随分と古風で気取った言い回しだな」と違和感を持たれてしまうかもしれません。

この記事を読めば、それぞれの単語が持つ「フォーマル度」と「文法的な特徴」がスッキリと分かり、論文作成から同僚へのメールまで、TPOに合わせた完璧な英語表現ができるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「hence」と「therefore」の最も重要な違い

【要点】

「therefore」は論理的な因果関係を示す最も標準的なフォーマル表現です。「hence」はさらに堅く、直後の動詞を省略して名詞句だけを続けることができるという特有の文法的機能を持っています。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの副詞の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目therefore(ゼアフォア)hence(ヘンス)
中心的な意味それゆえに、その結果この理由で、今から、今後
フォーマル度高い(論文・ビジネス標準)非常に高い(格調高い・専門的)
使用頻度高い低い(限定的)
文法的な特徴完全な文(S+V)を導く文(動詞)を省略できる
ニュアンス論理的な帰結(原因→結果)起源や由来(ここから→先へ)

一番大切なポイントは、「hence」は “Hence the name.”(ゆえにこの名がある)のように、動詞を省いてスッキリ表現できる唯一無二の武器を持っているということです。

「Therefore the name.」とは言いません。

なぜ違う?語源からイメージを掴む

【要点】

「therefore」は「there(そこ)」+「for(~のために)」で、前述の事柄を受けて結論を導くイメージ。「hence」は古英語で「ここから(from here)」を意味し、場所や時間の起点を示唆するイメージを持つと分かりやすいです。

なぜこの二つの言葉に用法の違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「therefore」の語源:そこ(There)を理由(For)として

「therefore」は、「there(そこ・その場所・その点)」と「for(~のために・~の理由で)」が結合した言葉です。

つまり、「すでに述べたその事柄(There)を理由として(For)」という意味になります。

前にある文章(原因)をしっかりと受けて、必然的な結果(結論)へと橋渡しをする、堅実な論理の架け橋のイメージですね。

「hence」の語源:ここから(From here)先へ

一方、「hence」は、古い英語で「from here(ここから)」という意味を持っていました。

場所的な「ここから離れて」や、時間的な「今から(○年後)」という意味で使われていた言葉です(例:ten years hence = 今から10年後)。

そこから転じて、論理的な「この起点(理由)から、次の展開(結果)が生まれる」という意味になりました。

「ここから」という出発点のニュアンスが強いため、「~というわけだ(由来)」の説明によく使われるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

論理的な結論を述べる通常のビジネス文脈では「therefore」を使います。原因と結果の結びつきを簡潔に示したい時や、動詞を省略してリズムを作りたい時に「hence」を使います。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

論理的な説明が求められる場面で活躍します。

【OK例文:therefore】

  • Sales have decreased this quarter; therefore, we need to cut costs.(今四半期の売上は減少しました。それゆえ、コスト削減が必要です。)
  • The data is incomplete. Therefore, we cannot draw a conclusion yet.(データは不完全です。したがって、まだ結論を出すことはできません。)

【OK例文:hence】

  • The company is expanding rapidly, hence the need for more staff.(会社は急速に拡大しており、それゆえスタッフ増員の必要がある。)
    ※”hence (there is) the need” のように動詞が省略されています。
  • It is a family-owned business, hence the friendly atmosphere.(家族経営の会社です。だからアットホームな雰囲気なのです。)

「Hence」を使うと、文章が引き締まり、知的な印象を与えることができます。

日常会話での使い分け

日常会話では、どちらも堅すぎるためあまり使いませんが、あえて使うならこんな感じです。

【OK例文:therefore / hence】

  • I think, therefore I am.(我思う、ゆえに我あり。/デカルトの有名な言葉)
  • He is my brother’s son, hence my nephew.(彼は兄の息子だ。つまり私の甥っ子というわけだ。)

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、文法的に誤りだったり不自然だったりする使い方を見てみましょう。

  • 【NG】It was raining, therefore I stayed home.(カンマだけでつなぐ)
  • 【OK】It was raining; therefore, I stayed home.(セミコロンでつなぐ)
  • 【OK】It was raining. Therefore, I stayed home.(ピリオドで切る)

「therefore」や「hence」は接続詞(andやbutなど)ではなく「接続副詞」です。

そのため、文と文をカンマ(,)だけでつなぐことはできません。必ず文を切るか、セミコロン(;)を使いましょう。

  • 【NG】I was hungry. Hence I ate a sandwich.(日常会話で使う)
  • 【OK】I was hungry, so I ate a sandwich.

友達との会話で「お腹空いた。ゆえに(Hence)サンドイッチ食べた」と言うと、ふざけているか、時代劇の人物のように聞こえてしまいます。

日常では「so」を使いましょう。

【応用編】似ている言葉「thus」や「so」との違いは?

【要点】

「so」は最もカジュアルな接続詞。「thus」は「このようにして」という手段・様態のニュアンスを含み、非常にフォーマル。「consequently」は「その結果として(因果関係)」を強調する際に使われます。

「したがって」を表す英語は他にもあります。

これらも整理しておくと、より適切なトーンで表現できますよ。

最も一般的な「So」

「So」は、唯一の「接続詞」です。

「だから」「それで」という意味で、会話からビジネスまで幅広く使えます。

カンマだけで文をつなげる(It was raining, so I stayed home.)ので便利ですが、論文などでは口語的すぎるとして避けられることがあります。

手段を表す「Thus」

「Thus」は「このようにして」「この方法で」という意味合いが強い接続副詞です。

「He worked hard, thus earning a promotion.(彼は一生懸命働いた。このようにして昇進を手にした)」のように、結果に至るプロセス(様態)を示唆します。

フォーマル度は「Therefore」よりもさらに高く、最も堅い表現の一つです。

結果を強調する「Consequently」

「Consequently」は、「その結果(Consequence)として」という意味です。

前の出来事が直接的な原因となって、後の出来事が起こったという「因果関係」を強く示したい時に使います。

論理的なレポートや報告書で好まれます。

「hence」と「therefore」の違いを文法的に解説

【要点】

文法的にはどちらも「接続副詞」ですが、「hence」は文全体を修飾するだけでなく、名詞句を直接導くことができる点がユニークです。「therefore」は基本的に主語と動詞のある完全な文(節)を導きます。

少し専門的な視点から、この二つの違いを文法構造で整理してみましょう。

Thereforeの文法

「Therefore」は、独立した文を導くのが基本です。

構造:[原因の文]. Therefore, [結果の文].

例:He studied hard. Therefore, he passed the test.

後ろには必ず「S(主語)+ V(動詞)」が続きます。

Henceの文法

「Hence」も文を導けますが、最大の特徴は「動詞の省略(Ellipsis)」が可能であることです。

構造:[原因の文], hence [名詞句].

例:It is expensive, hence the low demand.(それは高価だ。ゆえに需要が低い。)

ここでは「hence (there is) the low demand」の「there is」が省略されています。

この「hence + 名詞」の形は、簡潔でリズムが良いため、論文のタイトルや短い説明文で非常に重宝されます。

論文で「hence」を多用して教授に直された体験談

僕も昔、この単語の使い分けで、恥ずかしい思いをしたことがあります。

海外の大学院に留学していた頃、初めての学術論文を書いていました。

「論文言葉=カッコいい言葉」だと思い込んでいた僕は、覚えたての「Hence」をここぞとばかりに使いました。

「Aである。Hence、Bである。またCである。Hence、Dである…」

自信満々で提出したドラフトを見て、指導教官は苦笑いしながらこう言いました。

「君の論文は、まるでシェイクスピアか何かの演劇の台本みたいだね」

僕はキョトンとしました。

教授は続けました。

「『Hence』は非常に古風で、文語的な響きが強いんだ。現代の科学論文で、論理的な帰結を淡々と述べるなら『Therefore』や『Thus』を使うのが一般的だよ。それに、君の使い方は動詞を伴っているから、文法的にも『Therefore』の方が自然だね」

顔から火が出るほど恥ずかしかったですね。

「Hence」は「ゆえに」というような、少し詩的で格調高いニュアンスを含んでいるため、現代の統計データの分析結果を述べるような場面では、少し浮いてしまっていたのです。

さらに、「Hence」の真骨頂である「名詞句への接続(動詞省略)」を使わず、普通の文につなげてばかりいたので、単に「気取ったTherefore」になっていたわけです。

この経験から、「普通の論理展開はTherefore」「由来や簡潔な言い換えはHence」という使い分けを徹底するようになりました。

言葉の「格」や「時代感」を知ることの大切さを痛感した出来事でした。

「hence」と「therefore」に関するよくある質問

「hence」は文末に使えますか?

「ten years hence(今から10年後)」のような古い用法の慣用句を除き、接続副詞としての「hence」を文末に置くことは一般的ではありません。文頭か、文中で使うのが普通です。

「accordingly」とはどう違いますか?

「Accordingly」は「それに応じて」「適宜」という意味合いが含まれます。「状況に合わせて、その結果こうなった」というニュアンスです。「Therefore」ほど強い因果関係ではなく、自然な流れでの結果を示す時に使われます。

「hence why」という表現は正しいですか?

ネイティブの会話やSNSでも「Hence why I was late.(だから遅れたんだ)」のような表現を見かけますが、文法的には「Hence」の中に「理由(Why)」の意味が含まれているため、重複(冗語)とみなされ、フォーマルな場では避けるべき誤用とされています。「Hence, I was late.」あるいは「That’s why I was late.」が適切です。

「hence」と「therefore」の違いのまとめ

「hence」と「therefore」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. Therefore:標準的、論理的帰結。S+Vを導く。ビジネス・論文の王道。
  2. Hence:格調高い、由来・起源。名詞句を導ける(動詞省略)。
  3. 文法注意:どちらも接続副詞。カンマだけでは繋げない(セミコロン必須)。
  4. 使い分け:しっかり説明するならTherefore、簡潔に言い換えるならHence。

言葉の背景にある「論理の組み立て方」と「文法的な機能」を理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、文脈にふさわしい言葉を選んでいきましょう。

言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、ビジネス敬語の違いをまとめたページなども参考にしてくださいね。

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