英語で「仕事」と言いたいとき、「job」と「work」、どちらを使えばいいか迷うことはありませんか?
日本語では同じ「仕事」でも、英語では使い分けが必要な場面が多いですよね。
実はこの二つの単語、数えられる具体的な「職業」か、数えられない一般的な「労働」かという点で明確に区別されるんです。この記事を読めば、「job」と「work」の基本的な違いから、文法的な注意点(可算・不可算)、具体的な使い方、さらには似た単語との比較までスッキリ理解でき、英語で「仕事」について話すときに迷うことはもうありません。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「job」と「work」の最も重要な違い
基本的には、具体的な職業や職務(雇用されて給料をもらうもの)は「job」(可算名詞)、一般的な労働や作業、活動全般は「work」(不可算名詞)と覚えるのが簡単です。「job」は数えられますが、「work」は原則として数えられません。
まず、結論からお伝えしますね。
「job」と「work」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッッチリです。
| 項目 | job | work |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 職業、職務、仕事(具体的なポジション) | 労働、作業、仕事(一般的な活動)、職場、作品 |
| 名詞の種類 | 可算名詞(数えられる) | 不可算名詞(原則として数えられない) ※「作品」の意味では可算 |
| 冠詞 (a/an) | つく (a job, an interesting job) | つかない (work, hard work) ※「作品」の意味ではつく (a work of art) |
| 複数形 | なる (jobs, two jobs) | ならない (× works, × two works) ※「作品」の意味ではなる (works, two works) |
| 焦点 | 雇用、地位、具体的な職務内容 | 活動、努力、費やす時間やエネルギー、場所 |
| 動詞としての使用 | なし | あり (work, worked, working) |
| 例文(職業) | He is looking for a new job. | × He is looking for a new work. |
| 例文(労働) | × It requires a lot of job. | It requires a lot of work. |
| 例文(職場) | × I’m going to job now. | I’m going to work now. |
一番大切なポイントは、「job」は数えられる名詞、「work」は基本的に数えられない名詞という点です。これにより、冠詞(a/an)がつくか、複数形になるかが決まります。これが使い分けの最大の鍵ですね。
なぜ違う?言葉の核心イメージを探る
「job」の核心イメージは、お金をもらうための特定の「職」や「役職」、あるいは完了すべき「一つの仕事(タスク)」です。一方、「work」は、目的を達成するための活動や努力、エネルギーの消費といった、より広範で抽象的な「労働」や「作業」のイメージを持っています。
同じ「仕事」なのに、なぜ英語では「job」と「work」を使い分けるのでしょうか?それぞれの単語が持つ、根本的なイメージの違いを見ていきましょう。
「job」のイメージ:具体的な「職業」「職務」(可算名詞)
「job」という言葉の根底には、特定の役割やポジション、あるいは完了すべき一つのまとまった任務というイメージがあります。多くの場合、それは雇用契約に基づいて給料が支払われる「職業」や「職務」を指します。
だからこそ、「job」は一つ、二つと数えることができます。「a teaching job(教職)」「a part-time job(アルバイト)」「many different jobs(多くの異なる仕事)」のように、具体的な「職」の単位として捉えられるわけです。「What’s your job?(あなたの職業は何ですか?)」と尋ねるのも、この具体的なイメージに基づいていますね。
また、「It’s a tough job.(それは大変な仕事だ)」のように、特定のタスクや骨の折れる作業を指すこともあります。この場合も、「一つの仕事」という単位として認識されています。
「work」のイメージ:一般的な「労働」「作業」(不可算名詞)
一方、「work」の核心イメージは、目的を達成するために行われる活動、努力、あるいは費やされる時間やエネルギーといった、より広範で抽象的な概念です。「労働」や「作業」そのものを指し、特定の職務やポジションに限定されません。
そのため、「work」は原則として数えられません。「much work(たくさんの仕事)」「hard work(大変な労働)」「go to work(仕事に行く、出勤する)」のように、量や種類を示すことはあっても、「a work」や「two works」とは通常言いません(例外については後述)。
「How’s work?(仕事はどう?)」と尋ねる場合、特定の職業についてではなく、仕事の状況全般について尋ねているニュアンスになります。また、「work」は「職場」という意味で使われることもあります(例: I leave work at 5 p.m.)。
さらに、「work」は動詞としても「働く」「作業する」「機能する」といった意味で広く使われますが、「job」には動詞の用法はありません。
このように、「job」が個別の具体的な「点」を指すのに対し、「work」はより広がりを持った抽象的な「面」や「活動」を指すイメージ、と捉えると違いが分かりやすいかもしれませんね。
具体的な例文で使い方をマスターする
職業や求人は「find a job」、アルバイトは「a part-time job」のように「job」を使います。一般的な仕事量「I have a lot of work」、出勤は「go to work」、努力は「hard work」のように「work」を使います。「a work of art(芸術作品)」のように「作品」の意味では「work」も可算名詞になります。
言葉の使い分けは、実際の例文で確認するのが一番効果的です。「job」と「work」がそれぞれどのような文脈で使われるのか、具体的な例を見ていきましょう。
「job」を使う場合(具体的な職業、職務)
可算名詞として、特定の職業、職務、タスクを指します。冠詞(a/an)や複数形に注意しましょう。
- She is looking for a new job. (彼女は新しい職を探しています。)
- He has two part-time jobs. (彼はアルバイトを2つ掛け持ちしています。)
- What is your dream job? (あなたの理想の職業は何ですか?)
- Teaching is an important job. (教えることは重要な仕事です。)
- Cleaning the garage is a big job. (ガレージの掃除は大変な仕事だ。) ※特定のタスク
- Good job! / Well done! (よくやった!) ※特定の成果に対して
「work」を使う場合(一般的な労働、作業、場所)
不可算名詞として、一般的な労働、作業、努力、または職場を指します。原則として冠詞(a/an)はつかず、複数形にもなりません。
- I have a lot of work to do today. (今日はやるべき仕事がたくさんある。) ※量を示すa lot ofはOK
- He goes to work by train. (彼は電車で通勤しています。) ※職場へ
- Hard work pays off. (努力は報われる。) ※抽象的な労働
- My computer isn’t working properly. (私のコンピューターはちゃんと機能していない。) ※動詞として
- Let’s get back to work. (仕事に戻りましょう。)
例外:「作品」としてのwork
「work」が芸術家や作家などの「作品」を意味する場合は、可算名詞として扱われ、冠詞がついたり複数形になったりします。
- This painting is a famous work of Picasso. (この絵はピカソの有名な作品です。)
- Shakespeare wrote many great works. (シェイクスピアは多くの偉大な作品を書いた。)
これはNG!間違えやすい使い方
可算・不可算の区別を間違えると、不自然な英語になります。
- 【NG】 I’m searching for work. (私は労働を探しています。)
- 【OK】 I’m searching for a job. (私は職を探しています。)
- 【OK】 I’m looking for work. (私は仕事(働く機会全般)を探しています。) ※looking for work は一般的な表現
「職」を探す場合は「a job」が一般的です。「search for work」も間違いではありませんが、「働くこと自体」を探しているニュアンスになります。
- 【NG】 He gave me a useful work. (彼は私に有益な一つの労働をくれた。)
- 【OK】 He gave me a useful job. (彼は私に有益な一つの仕事(任務)をくれた。)
- 【OK】 He gave me some useful work. (彼は私にいくつかの有益な作業をくれた。)
一般的な「労働・作業」としての「work」は不可算名詞なので、「a」はつけられません。「some」などを使うか、具体的な一つの任務なら「job」を使います。
- 【NG】 My father has two works. (私の父は二つの労働を持っています。)
- 【OK】 My father has two jobs. (私の父は二つの職を持っています。)
職業が二つある場合は、可算名詞の「job」を複数形にします。「works」は通常「作品」を意味します。
- 【NG】 Do you have many job to do? (あなたはするべき多くの職がありますか?)
- 【OK】 Do you have much work to do? / Do you have a lot of work to do? (あなたはするべき多くの仕事(作業量)がありますか?)
- 【OK】 Do you have many jobs to do? (あなたはするべき多くの仕事(個々のタスク)がありますか?)
「するべきこと」の量を尋ねる場合は不可算名詞の「work」を使います。「many jobs」とすると、具体的な個々のタスクがたくさんある、という意味になります。
【応用編】似ている言葉「task」「labor」との違いは?
「task」は、割り当てられたり、達成すべき特定の「任務」や「課題」を指す可算名詞です。「labor(labour)」は、特に肉体的な「労働」や骨の折れる「労力」を指す不可算名詞です。「job」や「work」よりも特定の種類の仕事や労力を強調します。
「仕事」に関連する英語には、「job」や「work」以外にもいくつかあります。特に「task」と「labor(イギリス英語では labour)」との違いも押さえておくと、表現の幅が広がります。
「task」
「task」は、特定の目的のために割り当てられた、あるいは達成すべき個々の「任務」「課題」「作業」を指します。通常は可算名詞として使われます。
- My first task of the day is to check emails. (私のその日の最初の任務はメールをチェックすることです。)
- The teacher assigned several tasks for homework. (先生は宿題としていくつかの課題を出した。)
- Completing this report is a difficult task. (このレポートを完成させるのは難しい任務だ。)
「job」が職業全体やある程度の期間を要する仕事を指すのに対し、「task」はより具体的で、短期間で完了する個々の作業を指すことが多いです。例えば、一つの「job」の中に複数の「tasks」が含まれる、という関係性になります。
「labor(labour)」
「labor」(米)または「labour」(英)は、特に肉体的な「労働」や、骨の折れる「努力」「労力」を指します。一般的には不可算名詞として使われます。
- Building a house requires a lot of manual labor. (家を建てるには多くの肉体労働が必要だ。)
- The project was completed after months of hard labor. (そのプロジェクトは何ヶ月もの大変な労力の末に完成した。)
- She went into labor last night. (彼女は昨夜、陣痛が始まった。) ※「出産のための陣痛」も意味する
「work」が広範な労働や作業を指すのに対し、「labor」は特にその身体的な側面や困難さを強調するニュアンスがあります。また、集合的に「労働者階級」や「労働組合」を指すこともあります(例: the labor movement)。
このように、「task」は具体的な任務、「labor」は肉体的な労力、と覚えておくと、「job」や「work」との使い分けがより明確になりますね。
「job」と「work」の違いを言語学的に解説
言語学的に、「job」は具体的な役割や雇用形態を指す「可算名詞」であり、社会的な枠組みの中で定義されることが多いです。一方、「work」は物理的または精神的なエネルギーの消費を伴う「活動」や「プロセス」を指す「不可算名詞」(または動詞)であり、より抽象的で普遍的な概念です。この「具体性 vs 抽象性」「結果・役割 vs プロセス・活動」という対立が、両者の文法的な振る舞い(可算性)の違いにも反映されています。
「job」と「work」の使い分けは、単語の意味だけでなく、より深い言語学的な概念、特に「可算性(countability)」と「意味の抽象度」に関連しています。
「job」は、言語学的には典型的な「可算名詞(Countable Noun)」です。これは、「job」が指すものが、社会的に認知された個別の単位(職業、職務、特定のタスク)として明確に区切られ、数えられる対象であるという概念に基づいています。「a job」「two jobs」「many jobs」のように、数量化できる具体的な「モノ」として捉えられているのです。意味論的には、特定の契約や役割、達成すべき成果物といった、比較的境界の明確な事柄を指す傾向があります。
一方、「work」は、主に「不可算名詞(Uncountable Noun)」または「物質名詞(Mass Noun)」として機能します。これは、「work」が指すものが、境界が曖昧で、分割できない連続した「活動」「プロセス」「エネルギーの消費」といった抽象的な概念であることを示唆しています。「水(water)」や「情報(information)」のように、特定の形を持たず、量として捉えられる性質を持っています。そのため、「a work」や「two works」とは言わず、「much work」や「some work」のように量を表す表現と共に使われます。意味論的には、労働という行為そのものや、それに費やされる努力や時間といった、より抽象的で広範な概念をカバーします。
「work」が「作品」という意味で使われる場合に可算名詞となるのは、「作品」が個々に独立し、数えられる具体的な「モノ」として認識されるため、例外的な用法と言えます。
また、「work」が動詞としても機能する点も重要です。動詞としての「work」は、「働く」「機能する」といったプロセスや状態を表し、名詞としての「work」が持つ「活動」という抽象的な概念と密接に関連しています。
このように、「job」と「work」の違いは、単なる意味の違いだけでなく、対象を「個別の単位」として捉えるか、「連続した活動や物質」として捉えるかという、言語が世界をどのように切り分けて認識しているかという根本的な違いに基づいているのです。この「可算性」の違いが、冠詞の使用や複数形への変化といった文法的な振る舞いの差となって表れているわけですね。
僕が転職活動で「work探し」と言って笑われた話
僕自身の経験談なのですが、大学生の頃、初めての本格的な就職活動ならぬ「アルバイト探し」で、この「job」と「work」を混同して赤面したことがあります。
当時、交換留学先のカナダで、夏休み期間中にできるアルバイトを探していました。大学のキャリアセンターのような場所へ行き、担当者の女性に相談したんです。緊張していた僕は、頭の中で英文を組み立てながら、こう切り出しました。
「Hi, I’m looking for… uh… summer work.」 (こんにちは、ええと… 夏の仕事(労働)を探しています。)
自分としては、「夏の間の仕事を探している」と伝えたつもりでした。「work」には「働くこと」という意味があると思っていたので、自然な表現だと信じて疑いませんでした。
すると、担当者の女性は一瞬きょとんとした顔をし、それからクスッと笑ってこう言いました。
「Oh, you mean you’re looking for a summer job? ‘Work’ usually refers to the general activity of working, or the place you go. If you’re looking for a specific position, you should say ‘a job’.」 (あら、夏のjobを探しているってことね? ‘Work’ は普通、働くっていう一般的な活動や、行く場所(職場)を指すのよ。特定のポジションを探しているなら ‘a job’ って言うべきね。)
僕は一瞬で自分の間違いに気づき、顔が熱くなりました。「Work」は一般的な「働くこと」や「労働」であって、僕が探していた具体的な「アルバイトの口」=「職」は「a job」と言うべきだったのです。「Looking for work」という表現自体は間違いではないものの、僕の意図とは少しズレていたんですね。
担当者の方はとても親切で、「Don’t worry, it’s a common mistake! So, what kind of job are you interested in?(心配しないで、よくある間違いよ!で、どんな種類の『job』に興味があるの?)」とすぐに話を進めてくれましたが、僕は自分の英語力のなさに少し落ち込みました。
この経験を通して、「job」と「work」は、単語の意味だけでなく、可算か不可算か、具体的か抽象的かという文法的な性質を理解して使い分けることが重要なんだと、身をもって学びました。それ以来、「仕事を探す」ときは必ず「look for a job」と言うようにしています。あの時の担当者の笑顔と優しい指摘は、今でも忘れられません。
「job」と「work」に関するよくある質問
Q1: 「job」と「work」は、どちらの方が意味が広いですか?
A1: 一般的には「work」の方が意味が広いです。「work」は働くという行為全般、労働、作業、努力、職場、さらには作品など、非常に多様な意味合いを持ちます。一方、「job」は主に、給料をもらうための具体的な職業や職務、あるいは特定のタスクといった、より限定された意味で使われます。
Q2: 動詞として「仕事をする」と言いたいときは、どちらを使いますか?
A2: 動詞として「働く」「仕事をする」という意味で使うのは「work」のみです。「job」には動詞の用法はありません。
- I work from 9 to 5. (私は9時から5時まで働きます。)
- × I job from 9 to 5.
Q3: 「homework」や「housework」はなぜ「work」が使われるのですか?
A3: これらは具体的な職業(job)ではなく、家庭で行われる一般的な「作業」や「活動」を指すため、不可算名詞の「work」が使われます。「homework(宿題)」も、学校から課される一連の学習活動全体を指すため、「work」が用いられます。これらも通常、数えられない名詞として扱われます(例: much homework, little housework)。
「job」と「work」の違いのまとめ
「job」と「work」の違い、これでしっかり区別できるようになったでしょうか。
最後に、この記事の重要なポイントをまとめて、完璧にマスターしましょう。
- 可算 vs 不可算が最大の鍵:「job」は具体的な職業・職務で【可算名詞】(a job, two jobs)。「work」は一般的な労働・作業で【不可算名詞】(work, much work)(※作品の意味では可算)。
- 焦点の違い:「job」は雇用される地位や特定の任務に焦点。「work」は働くという活動や努力そのもの、または場所に焦点。
- 冠詞と複数形:「job」には冠詞(a/an)がつき、複数形(jobs)になる。「work」には原則つかず、複数形にもならない(※作品を除く)。
- 動詞は「work」のみ:「働く」「機能する」という意味の動詞は「work」。
- 似た言葉:「task」は具体的な個々の任務(可算)、「labor」は特に肉体的な労働や労力(不可算)。
「仕事」という日常的な言葉だからこそ、英語で表現する際には「job」と「work」のどちらが文脈に合っているか、そして可算・不可算のルールを意識することが大切です。これらの違いを理解して使い分けることで、より正確で自然な英語表現ができるようになりますよ。
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