「加筆」と「追記」の違い!本文を直すか、後から足すか

「加筆」と「追記」、どちらも文章を足すことを意味しますが、ビジネス文書やメールにおいては、手を加える「場所」と「目的」に決定的な違いがあります。

一言で言えば、「加筆」は本文そのものに手を加えて内容を充実させること、「追記」は本文はいじらずに後から情報を付け足すことです。

もし、契約書の条文を変更したのに「追記しました」と報告してしまうと、相手は「本文は変わっていないんだな」と誤解し、重要な変更点を見落とすリスクがあります。

この記事を読めば、修正作業なのか補足情報なのかという状況に合わせて的確な言葉を選び、相手に負担をかけないスマートな報告ができるようになります。

それでは、まず最も重要な違いの一覧表から詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「加筆」と「追記」の最も重要な違い

【要点】

「加筆」は元の文章の中に手を入れて、内容を修正したり詳しくしたりすることです。「追記」は元の文章の後に、別の項目として情報を書き足すことです。本文が変わるのが「加筆」、変わらないのが「追記」と覚えましょう。

まず、結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目加筆(かひつ)追記(ついき)
中心的な意味文章を直したり書き加えることあとから書き足すこと
対象の場所本文の中(修正・改良)本文の外・末尾(補足・追加)
元の文章変更される(バージョンアップ)変更されない(そのまま残る)
目的内容の充実、修正、改善情報の追加、漏れの補填、経過報告
よくあるフレーズ加筆・修正しました追記:〇〇について

一番大切なポイントは、「加筆」は文章の「質」を高めるためのリライト行為を含み、「追記」は情報の「量」を補うための付加行為であるということです。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「加筆」の「筆(ふで)」は書画そのものを指し、作品に手を入れて完成度を高めるイメージ。「追記」の「追(おう)」は順序として後から追いかけることで、完了したものに付け足すイメージを持つと分かりやすいです。

なぜこの二つの言葉に使い分けが生まれるのか、漢字の構成を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「加筆」の成り立ち:「筆(ふで)」を「加(くわ)」える

「加筆」は、文字通り「筆を加える」ことです。

もともとは、絵画や書などの作品に対して、後から手を入れて修正したり、書き足して完成度を高めたりすることを指していました。

つまり、「未完成あるいは不十分なものに手を入れて、より良い状態にする」というニュアンスが強いのです。

「加筆修正」という四字熟語のように使われるのも、修正(直すこと)とセットで行われることが多いからですね。

「追記」の成り立ち:「追(お)って」「記(しる)す」

一方、「追記」は、「追って(後から)記す」です。

「追伸(P.S.)」と同じように、メインの本文が終わった後に、付け足しとして書くことを指します。

ここには「本文の流れは一旦完了しているが、補足したいことがある」というニュアンスが含まれます。

本文を書き直すのではなく、別枠で情報を追加するイメージですね。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

原稿や資料の内容をブラッシュアップした場合は「加筆」、メール送信後に忘れていた情報を足す場合や、ブログ記事で最新情報を足す場合は「追記」を使います。「加筆」は更新、「追記」は追加です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

資料の改訂履歴やメールのやり取りで使い分けます。

【OK例文:加筆】

  • 議事録の内容が薄かったので、詳細を加筆しました。(本文を詳しく書き直した)
  • ご指摘いただいた箇所を加筆・修正の上、再提出いたします。(直して良くした)
  • 著者が原稿に大幅な加筆を行った。(作品のクオリティアップ)

【OK例文:追記】

  • 追記】会議の場所が変更になりました。(メールの末尾などでのお知らせ)
  • ブログ記事の最後に、最新情報を追記しました。(本文はいじらず下に足した)
  • 仕様書の備考欄に、注意点を追記しておく。(補足情報の追加)

Webメディアなどでは、記事の一部を書き換えることを「リライト(加筆修正)」、記事の末尾に更新情報を載せることを「追記」と区別して運用することが多いです。

日常会話での使い分け

日常でも、手直しするか、付け足すかで使い分けます。

【OK例文:加筆】

  • 昔の日記に加筆して、一冊の本にまとめた。(内容を膨らませた)
  • 子供が描いた絵に少し加筆してあげた。(手直し)

【OK例文:追記】

  • 手紙を封筒に入れた後で、書き忘れたことを追記した。(追伸)
  • 買い物リストに「牛乳」を追記する。(下に書き足す)

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じますが、相手に誤解を与える可能性がある使い方を見てみましょう。

  • 【NG】(メールの末尾に)加筆:明日の持ち物は筆記用具です。
  • 【OK】(メールの末尾に)追記(または追伸):明日の持ち物は筆記用具です。

メールの最後に情報を付け足すのは「追記」や「追伸」です。

「加筆」と言うと、メールの本文そのものを書き直したかのような印象を与えます。

  • 【NG】企画書の内容が古かったので、全体的に追記しました。
  • 【OK】企画書の内容が古かったので、全体的に加筆(修正)しました。

全体を見直して書き換えているのであれば「加筆」や「修正」が適切です。

「追記しました」と言うと、古い内容はそのまま残っていて、下に新しい情報がぶら下がっているだけのように聞こえてしまいます。

【応用編】似ている言葉「補足」や「付記」との違いは?

【要点】

「補足」は足りない部分を補うこと、「付記」は本文に関係することを付け加えて書くことです。「追記」とほぼ同じ意味で使えますが、「補足」は口頭説明でも使え、「付記」は書類や論文などの硬い文章で使われる傾向があります。

「加筆」や「追記」の周辺には、他にも便利な言葉があります。

これらも整理しておくと、ニュアンスの出し分けが上手になりますよ。

足りない情報を補う「補足(ほそく)」

「補足」は、不十分な点を補って足すことです。

「先ほどの発言に補足します」のように、口頭でも頻繁に使われます。

「追記」は「書くこと」に限定されますが、「補足」は手段を問いません。

付け加えて記す「付記(ふき)」

「付記」は、本文に関連する事柄を付け加えて書くことです。

「ただし書き」や「注釈」に近いイメージです。

「詳細については別紙に付記する」のように、公的な文書や論文などで使われる硬い表現です。

「加筆」と「追記」の違いを文書管理の視点から解説

【要点】

文書管理(ドキュメンテーション)において、「加筆」はバージョンアップ(V1.0→V1.1)を意味し、「追記」はアペンディックス(付録)やチェンジログ(変更履歴)の追加を意味します。読み手に「再読」を求めるかどうかが大きな違いです。

少し専門的な視点から、この二つの違いを深掘りしてみましょう。

ビジネスにおけるドキュメント管理では、更新の種類を明確にすることが重要です。

加筆=コンテンツの更新(Update)

「加筆」を行ったら、それは文書のバージョンが変わることを意味します。

読み手に対しては、「内容が変わったので、もう一度本文を読み直してください(再読の要求)」というメッセージになります。

どこが変わったのかを明示しないと(修正履歴モードなどを使わないと)、読み手は間違い探しを強いられることになります。

追記=情報の追加(Append)

「追記」は、既存のバージョンはそのままに、新たな情報を付加することです。

読み手に対しては、「本文はそのままで、新しい情報だけ下に足しました(差分のみの確認)」というメッセージになります。

「※2024/01/01追記」のように日付を入れることで、時系列での変化を伝えるのによく使われます。

共有ドキュメントで「加筆」と言って上司を困らせた体験談

僕も昔、この言葉の使い分けで失敗し、上司に余計な手間をかけさせたことがあります。

入社2年目の頃、チームで共有しているプロジェクト計画書(Googleドキュメント)を更新するタスクを任されました。

変更点は、スケジュールの「完了予定日」を1日ずらすことと、備考欄に注意点を一つ足すことだけでした。

僕はチャチャッと修正し、チームのチャットでこう報告しました。

「計画書に加筆しましたので、ご確認をお願いします」

すると数分後、上司から電話がかかってきました。

「加筆したって、どこのページ? 全体的に直したの? 全部読み直さないといけない?」

上司は忙しい中で、また一から数十ページの計画書を読み直さなければならないのかと、うんざりしていたのです。

「あ、いえ、最後の日付と備考欄をちょっと直しただけです…」

「なんだ、それなら『末尾に追記しました』とか『日付のみ修正しました』って言ってくれよ。加筆って言うから、大幅に内容が変わったのかと思ったじゃないか」

僕は平謝りしました。

僕としては「筆を加えた(書いた)」という事実を伝えただけでしたが、ビジネスにおいて「加筆」という言葉は「本文の内容に手を入れた(から再確認してね)」という重いニュアンスを持っていたのです。

この経験から、修正範囲が限定的、あるいは末尾への追加なら「追記」、本文の内容に関わる変更なら「加筆・修正」と、相手の確認コストを考えて言葉を選ぶようになりました。

言葉一つで、相手の「読む負担」が変わる。これも一種の気遣いですよね。

「加筆」と「追記」に関するよくある質問

「加筆修正」とはどういう意味ですか?

「加筆(書き足すこと)」と「修正(直すこと)」を合わせた言葉で、文章全体に手を入れてブラッシュアップすることを指します。単に誤字脱字を直すだけでなく、説明を足したり表現を変えたりして、より良いものにする場合によく使われる定型句です。

メールで「追記」を使う時のマナーは?

メールを送った直後に書き忘れに気づいて再送する場合、件名に「【追記】」と入れたり、本文の冒頭で「先ほどのメールに追記がございます」と断りを入れたりするのがマナーです。相手がどの情報が新しいのか一目で分かるようにしましょう。

「書き加える」はどちらの意味ですか?

「書き加える」は「加筆」と「追記」の両方の意味をカバーする広い言葉です。本文中に言葉を足すことも、最後に文を足すことも「書き加える」と言えます。迷ったら「書き加えました」と言えば間違いはありませんが、ビジネスでは具体的な場所(本文中か末尾か)を添えると親切です。

「加筆」と「追記」の違いのまとめ

「加筆」と「追記」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 加筆:本文の中に手を入れる。内容の修正・充実。バージョンアップ。
  2. 追記:本文の外(後)に足す。補足情報。アペンディックス。
  3. 使い分け:リライトなら「加筆」、お知らせ追加なら「追記」。
  4. 注意点:「加筆」と報告すると、相手は再読が必要だと身構える。

言葉の背景にある「修正の範囲」と「相手への負担」を理解すると、機械的な暗記ではなく、感覚的に使い分けられるようになります。

これからは自信を持って、状況に合わせた適切な言葉で報告していきましょう。

ビジネス文書の用語についてさらに詳しく知りたい方は、ビジネス敬語の使い分けまとめページもぜひ参考にしてみてくださいね。

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