「ピクチャー(picture)」と「フォト(photo)」、どちらも日本語では「写真」と訳されることがありますが、その使い分けに迷ったことはありませんか?
特に英語で話したり書いたりするとき、「どっちを使うのが自然なんだろう?」と感じる場面は多いですよね。
実は、この二つの言葉は指し示す範囲の広さが大きく異なります。“picture” は絵画や図、心に描くイメージなども含む広い言葉であるのに対し、“photo” は「写真」という特定の意味に限定されるのが基本なんです。
この記事を読めば、「picture」と「photo」の根本的な違いから、具体的な使い分け、関連する言葉との比較までスッキリ理解でき、英語での表現に自信が持てるようになりますよ。それでは、まず最も重要な違いから見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「picture」と「photo」の最も重要な違い
基本的には、「picture」は絵画、図、写真、心象風景など視覚的なイメージ全般を指す広い言葉であり、「photo」は「photograph」の略で、カメラで撮影された「写真」のみを指すと覚えるのが簡単です。写真について話すときはどちらも使えますが、「photo」の方がより明確です。
まず、結論からお伝えしますね。
「picture」と「photo」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、基本的な使い分けは大丈夫でしょう。
| 項目 | picture | photo |
|---|---|---|
| 核心イメージ | 描かれたもの、視覚的イメージ全般 | 光で描かれたもの(写真) |
| 指す範囲 | 広い(絵画、図、イラスト、写真、映像、心象風景など) | 狭い(写真のみ) |
| 語源 | ラテン語「pingere」(描く) | ギリシャ語「phos」(光) |
| 写真について | 使える(一般的な表現) | 使える(より明確な表現) |
| 写真以外について | 使える(絵画、図など) | 使えない |
| フォーマル度 | 一般的 | 一般的(photograph はややフォーマル) |
一番大切なのは、“photo” は必ず「写真」を意味するのに対し、”picture” はもっと広い意味を持つという点ですね。「すべての photo は picture であるが、すべての picture が photo であるとは限らない」と考えると分かりやすいかもしれません。
例えば、美術館にある「絵画」は “picture” ですが、”photo” とは言いません。一方、スマホで撮った「写真」は “picture” とも “photo” とも言えます。
なぜ違う?言葉の成り立ち(語源)から核心イメージを掴む
「picture」はラテン語の「描く」に由来し、手で描かれたもの(絵画、図)から派生して視覚イメージ全般を指すようになりました。「photo」はギリシャ語の「光」に由来し、「光を使って記録された像」つまり写真という特定の技術を指します。
この二つの言葉の意味の違いは、それぞれの言葉の成り立ち(語源)を探ると、より深く、イメージとして理解できますよ。
「picture」の語源イメージ:描かれたもの全般
“picture” の語源は、ラテン語の “pingere” という動詞にあります。これは「描く」「彩色する」といった意味を持つ言葉でした。そこから派生した “pictura” は「絵画」「描くこと」を意味しました。
このことからも分かるように、「picture」の核心的なイメージは、人の手によって「描かれた」視覚的な表現物にあります。絵画やデッサン、図などが元々の中心的な意味だったと考えられます。
時代が進むにつれて、その意味は広がり、写真や映画(moving pictures)、さらには心の中に思い描くイメージ(mental picture)なども含む、視覚的な像やイメージ全般を指す言葉として使われるようになりました。
「photo」の語源イメージ:光で描かれたもの(写真)
“photo” は、”photograph” の省略形です。そして “photograph” は、ギリシャ語の二つの言葉から成り立っています。
- phos (φῶς): 光
- graphē (γραφή): 描くこと、書かれたもの
つまり、「photograph」は文字通り「光によって描かれたもの」を意味します。これは、カメラが光を使って像を記録するという写真技術の原理そのものを表していますよね。
そのため、「photo」および「photograph」は、カメラという装置を使って光で記録された像、すなわち「写真」という特定の媒体のみを指す、非常に明確な言葉なのです。
語源を知ると、「picture」の懐の深さと、「photo」の専門性がイメージできますよね。
具体的な例文で使い方をマスターする
絵画、図、イラスト、映画、テレビ画面、心に描くイメージなどは「picture」を使います。カメラで撮った「写真」は「photo」が最も明確ですが、「picture」も一般的に使われます。「Take a picture」は「写真を撮る」という意味の定型表現です。
言葉の違いは、具体的な例文の中で確認するのが一番です。
どのような場合に「picture」を使い、どのような場合に「photo」を使うのか、あるいはどちらも使えるのかを見ていきましょう。
「picture」が使われる場面(絵画、図、心象風景など)
“photo” では置き換えられない、”picture” ならではの使い方です。
- This is a famous picture painted by Van Gogh. (これはゴッホによって描かれた有名な絵画です。)
- Can you draw a picture of a cat? (猫の絵を描いてくれますか?)
- Please look at the picture on page 10. (10ページの図を見てください。)
- The movie won the award for Best Picture. (その映画は最優秀作品賞を受賞した。)
- Can you get the picture? (状況が分かりますか? / 全体像が見えますか?)[比喩的表現]
- I have a clear picture in my mind of what I want to achieve. (達成したいことの明確なイメージが心の中にあります。)[心象風景]
「photo」が使われる場面(写真限定)
カメラで撮影された像、つまり「写真」を明確に指したい場合に最も適しています。
- Please send me the photo you took yesterday. (昨日あなたが撮った写真を送ってください。)
- This is a photo of my family. (これは私の家族の写真です。)
- She works as a professional photographer. (彼女はプロの写真家として働いています。)(※photograph)
- Do you have any old photos from your childhood? (子供の頃の古い写真は何か持っていますか?)
- Let’s take a group photo. (集合写真を撮りましょう。)
「picture」も「photo」も使える場面(写真)とニュアンス
カメラで撮影された「写真」について話す場合、”picture” と “photo” のどちらも使うことができます。日常会話ではどちらも非常によく使われます。
- Did you see the picture / photo I posted on Instagram? (私がインスタに投稿した写真、見ましたか?)
- He showed me some pictures / photos from his trip. (彼は旅行の写真をいくつか見せてくれた。)
ただし、ニュアンスとして、”photo” の方が「カメラで撮った写真である」という点がより明確になります。”picture” は広い意味を持つため、文脈によっては絵や図を指す可能性もゼロではありません(とはいえ、会話の流れで写真だと分かっていれば問題ありません)。
また、「写真を撮る」という行為を表すときは、”Take a picture” または “Take a photo” のどちらも使われますが、”Take a picture” の方がやや一般的で、慣用的な表現として定着していますね。
- Could you take a picture of us? (私たちの写真を撮っていただけますか?)[一般的]
- Let me take a photo of this beautiful scenery. (この美しい景色の写真を撮らせてください。)[picture でも可]
これはNG!間違えやすい使い方
指し示す範囲の違いを理解していないと、おかしな表現になります。
- 【NG】 I bought a beautiful photo at the art gallery. (美術館で買うのは通常「絵画」)
- 【OK】 I bought a beautiful picture at the art gallery.
- 【NG】 This book contains many colorful photos explaining the process. (説明のための図やイラストなら picture)
- 【OK】 This book contains many colorful pictures explaining the process.
- 【NG】 Can you imagine the photo? (心に描くのは image や picture)
- 【OK】 Can you imagine the picture? / Can you get the picture?
写真以外のものを “photo” と呼んでしまうのが、最も典型的な間違いですね。
【応用編】似ている言葉「image」「illustration」との違いは?
「image」は「像」全般(写真、絵、心象、比喩)を指す最も広い言葉です。「illustration」は本や記事の内容を説明・装飾するための「挿絵」や「図解」を特に指します。「picture」は視覚イメージ全般、「photo」は写真に限定されます。
“picture” や “photo” と似た意味で使われる言葉に “image” や “illustration” があります。これらの違いも整理しておきましょう。
【image】
“image” は、これらの言葉の中で最も広い意味を持つ単語です。「像」や「イメージ」と訳され、以下のような多様なものを指します。
- 写真 (photo/picture)
- 絵画、図 (picture/illustration)
- 彫像
- 鏡や水面に映った像
- 心の中に思い描く像(心象、イメージ)
- 比喩的な意味での印象(例:corporate image 企業イメージ)
- コンピューターグラフィックス(CG image)
つまり、”picture” や “photo”, “illustration” はすべて “image” の一種と言えます。
【illustration】
“illustration” は、本や雑誌、記事などの内容を説明したり、分かりやすくしたり、装飾したりするために添えられる「挿絵」「図解」「図版」を特に指します。手描きの絵であることも、図であることも、写真であることもありますが、「説明・補足」という目的を持っている点が特徴です。
- The book has many beautiful illustrations. (その本にはたくさんの美しい挿絵がある。)
- This illustration helps to understand the complex mechanism. (この図解は複雑なメカニズムを理解するのに役立つ。)
範囲の広さで言うと、一般的に image > picture > illustration / photo のような関係性になりますね(ただし、重なる部分も多いです)。
「picture」と「photo」の違いを英語ネイティブの感覚から解説
ネイティブスピーカーは、「picture」を視覚的な表現物全般を指す包括的な言葉として自然に使い、「photo」をカメラで撮影された写真と明確に区別します。日常会話の写真にはどちらも使いますが、文脈で誤解を避けたい場合や写真であることを強調したい場合は「photo」を選びます。「Take a picture」は定型句として広く使われます。
英語を母国語とするネイティブスピーカーは、「picture」と「photo」をどのように使い分けているのでしょうか?彼らの感覚を理解すると、より自然な英語表現に近づけます。
多くのネイティブスピーカーにとって、
- Picture: 非常に一般的で包括的な言葉。絵画、図面、イラスト、そして写真も含めて、何かを描写したり表現したりしている視覚的なもの全般を指す、最も基本的な単語という感覚です。「壁にかかっているもの」や「本に載っている図」も自然に “picture” と呼びます。
- Photo: 明確に「写真」を指す言葉。”photograph” の短縮形であり、カメラという技術を使って作られた画像である、という意識があります。絵画やイラストを “photo” と呼ぶことは決してありません。
日常会話で「写真」について話す場合、”picture” と “photo” のどちらを使うかは、文脈や個人の好みにもよります。どちらを使っても間違いではありませんし、多くの場合、意味は通じます。
ただし、以下のような傾向が見られます。
- 明確性の重視: 「これは絵ではなく、写真ですよ」と明確に伝えたい場合や、写真に関する具体的な話題(撮影技術、アルバム整理など)では “photo” を使う方が自然です。
- 慣用表現: 「写真を撮る」は “Take a picture” が非常に一般的で、体に染みついた表現になっています。”Take a photo” も使いますが、やや使用頻度は低いかもしれません。
- 包含関係の意識: ネイティブは無意識のうちに「photo は picture の一種である」と理解しています。そのため、写真について話しているときに “picture” を使っても違和感はありませんが、絵画について話しているときに “photo” を使うと強い違和感を覚えます。
子供が最初に覚えるのは、より広い意味を持つ “picture” であることが多いようです。そして成長するにつれて、「写真」という特定のカテゴリーを指す言葉として “photo” を使い分けるようになる、という感覚に近いかもしれませんね。
迷ったときは、「これはカメラで撮ったものか?」を自問し、Yesなら “photo” でも “picture” でもOK(ただし明確なら “photo”)、Noなら “picture” を使う、と考えるとネイティブの感覚に近づけるでしょう。
僕が勘違いしていた「Take a picture」の本当の意味
僕がまだ英語を学び始めたばかりの中学生の頃、「picture」と「photo」に関して大きな勘違いをしていたことがあります。
学校の授業で「写真を撮る」は “Take a picture” と習いました。一方で、「photo」も「写真」という意味だと覚えました。そこから僕は単純に、「picture = 写真を撮るという行為」「photo = 写真という物」なんだと思い込んでしまったのです。
ある日、ALTの先生が授業で自分の家族の写真(物)を見せてくれました。それを見て感想を言おうとした僕は、覚えたての知識(と思い込んでいたもの)を披露しようと、こう言いました。
「It’s a nice picture!」
先生は「Thank you!」と笑顔で返してくれましたが、僕は内心「あれ?写真(物)なんだから “photo” って言うべきだったかな?でも、”take a picture” って言うし…」と混乱していました。
放課後、思い切って先生に質問に行きました。「先生、写真(物)は “photo” ですよね? なぜ “picture” と言っても通じたんですか? “Take a picture” と言うからですか?」
先生は僕の勘違いを優しく解きほぐしてくれました。
「”Picture” はもっと広い意味で、絵も図も写真も全部 “picture” と呼べるんだよ。だから、君が写真を見て “nice picture” と言ったのは全く自然なことだよ。”Photo” はその中でも特にカメラで撮った写真のことを指す言葉なんだ。”Take a picture” は「写真を撮る」という意味の決まった言い方だけど、”picture” 自体が「撮る行為」を意味するわけじゃないんだよ。」
目から鱗でした。”picture” がそんなに広い意味を持つ言葉だとは知らなかったし、”Take a picture” が慣用的なフレーズだから “picture” が使われているだけで、”picture” そのものが「撮る行為」ではない、ということに気づかされました。
単語の意味を一つ(この場合は「写真」)に限定して覚えてしまうと、このような勘違いが起こりやすいですよね。言葉が持つ本来の広がりや、定型表現の存在を意識することの大切さを学んだ経験でした。
「picture」と「photo」に関するよくある質問
Q1: スマホで撮った写真は “picture” と “photo” のどちらで呼ぶのが普通ですか?
A1: どちらも非常によく使われます。日常会話では特に区別なく使われることが多いです。「Send me the picture/photo you took.」(撮った写真送って)のように、どちらでも自然です。”photo” の方が「カメラ(スマホカメラ含む)で撮った」という点は明確になります。
Q2: SNSに投稿するのは “picture” ですか? “photo” ですか?
A2: 投稿されるものが写真であれば、どちらも使えます。”I uploaded a new picture/photo.” のように言えます。もしイラストや画像を投稿した場合は “picture” または “image” が適切です。
Q3: 「photograph」と「photo」の違いは何ですか?
A3: 「photo」は「photograph」の省略形(短縮形)です。意味は同じ「写真」ですが、「photograph」の方がややフォーマルな響きがあります。日常会話では「photo」が圧倒的に多く使われますが、写真展のタイトルや正式な文書などでは「photograph」が使われることもあります。
「picture」と「photo」の違いのまとめ
「picture」と「photo」、これらの視覚イメージを表す言葉の違い、もう迷いませんね!
最後に、この記事のポイントをまとめておきましょう。
- 核心イメージ:「picture」は「描かれたもの、視覚的イメージ全般」、「photo」は「光で描かれたもの(写真)」。
- 範囲の広さ:「picture」は広い(絵画、図、イラスト、写真、映像、心象風景など)、「photo」は狭い(写真のみ)。
- 写真について:「picture」も「photo」も使えるが、「photo」の方が明確。
- 写真以外について:「picture」は使えるが、「photo」は使えない。
- 定型表現:「写真を撮る」は “Take a picture” が一般的。
“picture” の方が意味が広い、という点をしっかり押さえておけば、大きな間違いは避けられるはずです。写真について話すときは、どちらを使っても基本的にはOKですが、それが写真であることを明確にしたい場合や、写真に関する専門的な文脈では “photo” (または “photograph”) を選ぶと、より正確なコミュニケーションができますね。
これらの違いを意識して、ぜひ実際の英会話やライティングで使い分けてみてください。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、カタカナ語・外来語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。