「propose」と「suggest」の違いは、提案の「具体性」と「積極性(強制力)」にあります。
「propose」は具体的な計画を積極的に持ちかけるニュアンスが強く、「suggest」はアイデアの一つとして控えめに提示するニュアンスが強い。
この記事を読めば、ビジネスシーンでの会議やメールにおいて、相手や状況に応じた適切な「提案」の英語表現を自信を持って使い分けられるようになります。
それでは、まず最も重要な違いを一覧表で詳しく見ていきましょう。
結論:一覧表でわかる「propose」と「suggest」の最も重要な違い
「propose」は具体的な計画を伴う公式で積極的な提案に使われ、「suggest」は相手に選択の余地を残す控えめな提案やアイデア出しに使われます。決定を迫るなら「propose」、考慮を促すなら「suggest」と覚えましょう。
まず、結論からお伝えしますね。
この二つの英単語の決定的な違いを、以下の表にまとめました。
これさえ押さえれば、基本的な使い分けのイメージはバッチリでしょう。
| 項目 | propose | suggest |
|---|---|---|
| 中心的な意味 | 積極的に(計画などを)提案する | 控えめに(考えなどを)提案する |
| ニュアンス | 公式・硬い・積極的・具体的 | カジュアル・柔らかい・消極的・抽象的 |
| 相手への強制力 | 強い(採用を強く求める) | 弱い(選択肢の一つとして提示) |
| 対象 | 計画、企画、結婚(プロポーズ) | アイデア、考え、示唆 |
| ビジネスシーン | 正式な企画書の提出、予算案の提示 | ブレストでの意見出し、改善案の提示 |
簡単に言うと、相手に「YES/NO」の決断を迫るようなしっかりした提案なら「propose」、相手に「こんなのはどう?」と考えるきっかけを与えるなら「suggest」という使い分けになります。
例えば、会議で具体的なプロジェクト計画を「propose」し、その中で発生した小さな課題に対して解決策のアイデアを「suggest」する、といったイメージですね。
なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む
「propose」は「前に(pro)置く(pose)」で、人々の目の前にドーンと案を提示するイメージです。一方、「suggest」は「下から(sub)運ぶ(gest)」で、控えめに下から意見を差し出すイメージを持つと理解しやすくなります。
なぜこの二つの単語にニュアンスの違いが生まれるのか、英単語の語源(成り立ち)を紐解くと、その理由が驚くほどクリアになりますよ。
「propose」の語源:「前に」「置く」イメージ
「propose」は、接頭辞の「pro(前に)」と、語根の「pose(置く)」から成り立っています。
つまり、人々の目の前に「これどうですか!」とドーンと案を置くイメージですね。
隠すことなく、堂々と、皆に見えるように提示する様子から、「公式な提案」や「積極的な意思表示」という強いニュアンスが生まれるのです。
結婚を申し込む「プロポーズ」も、まさに自分の人生を相手の前に差し出して決断を迫る行為ですよね。
「suggest」の語源:「下から」「運ぶ」イメージ
一方、「suggest」は、接頭辞の「sug(subの変形:下に)」と、語根の「gest(運ぶ)」から成り立っています。
これは、相手の下からそっと意見を差し出す、下から持ち上げるようなイメージです。
「これもありますよ」と控えめに提示する様子から、「選択肢の提示」や「示唆する」といった、相手に判断を委ねる柔らかいニュアンスが生まれるわけですね。
この「上からドーン(propose)」と「下からそっと(suggest)」のイメージを持っておくと、迷うことはなくなるでしょう。
具体的な例文で使い方をマスターする
「propose」は予算変更や合併など公式な決定を求める場面で使い、「suggest」はランチの場所や改善のヒントなど、相手に選択権がある場面で使います。文脈の「重さ」で使い分けるのがコツです。
言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。
ビジネスと日常、それぞれのシーンで見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い分け
提案の「重さ」と「公式度」を意識すると、使い分けは簡単ですよ。
【OK例文:propose】
- I would like to propose a change to the budget plan.
(予算案の変更を提案したいと思います。) - They proposed a merger with our company.
(彼らは我が社との合併を申し入れた。) - The committee proposed new safety regulations.
(委員会は新しい安全規則を提案した。)
予算や合併、規則など、決定や承認が必要な「重い」内容には「propose」が適していますね。
【OK例文:suggest】
- Can I suggest a different approach?
(違うアプローチを提案してもいいですか?) - I suggest checking the data again.
(データをもう一度確認することをお勧めします。) - She suggested that we take a break.
(彼女は休憩しようと提案した。)
アイデア出しやアドバイス、軽い行動の提案など、相手が「No」と言いやすい状況では「suggest」が自然でしょう。
日常会話での使い分け
日常会話でも、考え方は同じです。
【OK例文:propose】
- He proposed to her last night.
(彼は昨夜、彼女にプロポーズした。) - I propose a toast!
(乾杯を提案します! ※乾杯の音頭を取る時の決まり文句)
日常で「propose」を使うのは、結婚の申し込みや乾杯の音頭など、特別な「宣言」の場面が多いですね。
【OK例文:suggest】
- What do you suggest for dinner?
(夕食は何がいいと思う?) - I suggest you bring an umbrella.
(傘を持って行った方がいいよ。)
日常の些細なアドバイスや提案は、ほとんどの場合「suggest」でカバーできるでしょう。
【応用編】似ている言葉「recommend」との違いは?
「recommend」は自分の経験や知識に基づいて「勧める」という意味です。「suggest」よりも確信度が高く、「propose」のような強制力はない、アドバイスとして「これが良いですよ」と背中を押すニュアンスで使われます。
「propose」と「suggest」に加えて、ビジネスでよく使われるのが「recommend(レコメンド)」ですよね。
この機会に、位置付けを整理しておきましょう。
「recommend」は、「私の経験上、これが良いと思いますよ」と推奨するニュアンスです。
「suggest」は単に「選択肢を出す」だけですが、「recommend」は「その選択肢が良いものである」という書き手(話し手)の評価が含まれています。
- suggest:Aという案もあるよ。(良し悪しは別として提示)
- recommend:Aという案がおすすめだよ。(良いと思っている)
- propose:Aという案でいきましょう。(決定を求めている)
このように、確信度やプッシュの強さが段階的に異なると理解すると、より精度の高い英語表現ができるようになりますね。
「propose」と「suggest」の違いを言語学的に解説
言語学のポライトネス理論(丁寧さの戦略)において、「suggest」は相手の「行わない自由」を尊重するネガティブ・ポライトネスに適しています。一方、「propose」は話し手の意志を明確に示すため、状況によっては相手の面子を脅かすフェイス・スレット・アクト(FTA)のリスクが高まる表現と言えます。
ここでは少し視点を変えて、言語学の専門的な見地からこの二つの言葉の違いを深掘りしてみましょう。
言語学には「ポライトネス理論(丁寧さの戦略)」という考え方があります。
これは、円滑な人間関係を維持するための言語行動を分析するものです。
この理論に基づくと、「suggest」は相手の領域に踏み込まず、相手の「行動しない自由」や「決定権」を尊重する戦略(ネガティブ・ポライトネス)に非常に親和性が高い語彙です。
なぜなら、語源的にも「下から差し出す」ニュアンスを持ち、断る余地を相手に与えているからですね。
一方で、「propose」は、話し手の意志や計画を明確に提示する行為です。
これは、ビジネスの交渉や会議の決定など、明確さが必要な場面ではポジティブに働きますが、文脈によっては相手に圧力をかける「フェイス・スレット・アクト(FTA:面子を脅かす行為)」となるリスクを含んでいます。
つまり、関係性や文脈に応じて、相手の「面子(フェイス)」をどう守るかという視点でこれらの単語を選ぶことが、高度なコミュニケーションには求められるのです。
単なる「提案」という日本語訳の違いだけでなく、こうした対人関係への影響力(イロキューション)の違いまで意識できると、グローバルなビジネス現場での信頼感は格段に上がるでしょう。
言葉の持つ社会的な機能については、国立国語研究所などの研究資料も参考になります。
僕が「suggest」を使いすぎて失敗した海外プレゼンの体験談
僕も昔、この使い分けで痛い目を見たことがあるんです。
あれは、初めて海外のクライアントに向けて、大規模なシステム導入のプレゼンをした時のことでした。
当時の僕は、「相手に失礼があってはいけない」「控えめな表現の方が丁寧だろう」と思い込み、プレゼン資料の至る所で “We suggest…” を多用していました。
「この仕様を提案します」「このスケジュールを提案します」と、全て “suggest” で表現していたんですね。
プレゼンが終わった後、クライアントの担当者から渋い顔でこう言われました。
「君たちのアイデアは分かった。でも、君たち自身は、本当にこれをやり遂げる気があるのか? 自信がなさそうに見えるんだが」
ショックでした。丁寧さを心がけたつもりが、相手には「自信のなさ」や「責任回避」として映っていたのです。
「suggest」は「こんな考えもありますよ」というニュアンスなので、プロとして「これがベストな解決策であり、我々はこれを実行する計画がある」と示すべき場面では弱すぎたんですね。
「そこは “We propose” と言い切って、具体的な計画として提示すべきだったんだよ」
後に上司からそう教わり、顔から火が出る思いでした。
この経験から、「丁寧さ」と「頼りなさ」は紙一重であり、プロとして意思を示すべき時は、勇気を持って強い言葉(propose)を選ぶべきだと学びました。
言葉の選択は、単なる意味の違いだけでなく、ビジネスパーソンとしての「姿勢」を相手に伝える重要な要素なんですね。
「propose」と「suggest」に関するよくある質問
Q. 文法的な使い方の違いはありますか?
A. はい、あります。「propose」は “propose to do”(不定詞)が使えますが、「suggest」は “suggest to do” とは言えません。”suggest doing”(動名詞)か “suggest that S (should) V”(that節)を使います。文法試験でもよく狙われるポイントですね。
Q. 上司に提案する場合はどちらが良いですか?
A. 提案の内容によります。単なるアイデア出しや軽い改善案なら「suggest」が無難で丁寧です。しかし、しっかり練り上げた企画書を提出して承認を求めるような場面では、「propose」を使うことで真剣度が伝わります。
Q. “advise” はどういう位置付けですか?
A. “advise” は専門的な知識に基づいて「助言する」という意味です。医師や弁護士、コンサルタントなどが専門的見地から意見を言う場合に使われます。「suggest」や「recommend」よりも、上下関係や専門性の差が強調される言葉です。
「propose」と「suggest」の違いのまとめ
「propose」と「suggest」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。
最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。
- 基本のイメージ:「propose」は「上からドーン(前に置く)」、「suggest」は「下からそっと(下から運ぶ)」。
- 使い分けの基準:具体的で公式な計画なら「propose」、控えめなアイデア出しなら「suggest」。
- 相手への影響:「propose」は決断を迫る強さがあり、「suggest」は選択の自由を残す柔らかさがある。
- ビジネスでの注意:自信を持って計画を提示する時は、恐れずに「propose」を使って信頼感をアピールする。
ビジネスの現場では、ただ単語を知っているだけでなく、その場の状況や自分の立ち位置に合わせて「言葉を選ぶ」センスが問われます。
今日からは、自信を持って最適な「提案」の言葉を使っていってくださいね。ビジネス英語の使い分けについては、ビジネス用語の違いまとめもぜひ参考にしてください。
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