「しかしながら」と「しかし」の違い!ビジネスでの使い分けを解説

「しかしながら」と「しかし」、どちらも逆接の接続詞ですが、ビジネスシーンでは相手との距離感やフォーマル度によって明確に使い分ける必要があります。

基本的には、「しかしながら」は改まった場や書き言葉で使い、「しかし」はややフラットな関係や話し言葉で使うのが一般的ですが、この使い分けを間違えると相手に「馴れ馴れしい」あるいは「堅苦しすぎる」といった違和感を与えてしまいかねません。

この記事を読めば、ビジネスメールやプレゼンで迷うことなく最適な言葉を選べるようになり、あなたの「伝える力」がグッと高まることでしょう。

それでは、まず最も重要な違いから一覧表で詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「しかしながら」と「しかし」の最も重要な違い

【要点】

「しかしながら」は丁寧で硬い表現としてビジネス文書や公的な場に適しており、「しかし」は一般的でやや強い逆接として日常会話や論理的な説明に適しています。

まずは結論からお伝えしますね。

この二つの言葉の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。これさえ押さえれば、ビジネスでの基本的な使い分けはバッチリです。

項目しかしながらしかし
中心的な意味そうではあるが、それにもかかわらず(丁寧な逆接)そうだけれども(一般的な逆接)
対象・シーン目上の人、取引先、公的な文書、スピーチ同僚、部下、社内会議、日常会話、論文
ニュアンス相手の意見を尊重しつつ、やわらかく反論・転換する前の内容を強く否定したり、論理を転換したりする
フォーマル度高い(書き言葉的)中程度(書き言葉・話し言葉両用)

一番大切なポイントは、目上の人やお客様に対しては「しかしながら」を使うのが無難だということですね。

「しかし」は論理的で簡潔ですが、文脈によっては「反発」や「強い否定」のニュアンスが強く出てしまうことがあります。一方、「しかしながら」は「ながら」が付くことで、「あなたの言うことはもっともですが」という譲歩の響きが含まれ、角が立たずに逆の内容を伝えられるのです。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「しかし」は「然(しか)あり(そのようだ)」が語源で事実の肯定から始まります。「ながら」は「~のままで」という並行・継続を表し、合わせることで「その状態のままで(あっても)」という譲歩のニュアンスが生まれます。

なぜこの二つの言葉にニュアンスの違いが生まれるのか、語源を紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「しかし」の語源:「然(しか)+し」で状態を指す

「しかし」は、古語の副詞「然(しか)」に、強意の助詞などが組み合わさってできた言葉だとされています。「然」は「その通り」「そのように」という意味ですね。

つまり、元々は「そのようである」と前の事柄を指し示す言葉から転じて、「それはそうだが(実は違う)」という逆接の接続詞として定着しました。

「前の内容を受けて、次に進む」というシンプルな構造なので、論理の切り替えがはっきりしており、キレのある表現になります。

「しかしながら」の語源:「ながら」が表す“共存”のイメージ

一方、「しかしながら」は、「しかし」に接続助詞の「ながら」が付いた言葉です。「ながら」は「歩きながら」のように、二つの動作や状態が並行して存在することを表しますよね。

ここから、「前の状態(相手の意見や状況)をそのまま認めつつも」という譲歩(じょうほ)のニュアンスが生まれます。

「あなたの意見は『その通り』の状態ですが、同時にこちらの事情もあります」というように、相手を一度受け止めるクッションの役割を果たしているんですね。だからこそ、ビジネスシーンでは丁寧な表現として重宝されるのです。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

顧客への謝罪や要望を断る際は「しかしながら」で柔らかく伝え、社内会議での議論や論理的な説明では「しかし」で端的に伝えるのが基本です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

ビジネスと日常、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

ビジネスシーンでの使い分け

相手との関係性と、伝えたい内容の「強さ」を意識すると、使い分けは簡単ですよ。

【OK例文:しかしながら】

  • ご提案いただいた内容は大変魅力的です。しかしながら、弊社の現状の予算とは折り合いがつきません。
  • 誠に恐縮でございます。しかしながら、規則によりご返金には応じかねます。
  • プロジェクトは順調に進んでいます。しかしながら、一部の工程で若干の遅れが生じております。

断りを入れるときや、ネガティブな情報を伝えるときに「しかしながら」を使うと、衝撃を和らげる効果がありますね。

【OK例文:しかし】

  • 今の案はコスト削減には有効です。しかし、品質低下のリスクも考慮すべきでしょう。
  • 市場は拡大傾向にあります。しかし、競合他社の参入も相次いでいます。
  • (論文などで)先行研究ではAとされている。しかし、本調査の結果はBを示唆している。

社内会議での議論や、事実を客観的に述べるレポートなどでは、簡潔な「しかし」の方がリズム良く伝わります。

日常会話での使い分け

日常会話でも、考え方は同じです。

【OK例文:しかしながら(少し改まった場)】

  • 本日はお日柄もよく、結構な結婚式でした。しかしながら、新郎の挨拶は少し長すぎましたね(笑)。
  • PTA会長として尽力したい気持ちはやまやまです。しかしながら、仕事の都合上、お引き受けするのは難しいです。

【OK例文:しかし(親しい間柄)】

  • このラーメン、すごく美味しい!しかし、カロリーが高そうだなぁ。
  • 明日は晴れるらしいよ。しかし、風は強いみたいだね。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じることが多いですが、場にそぐわない使い方を見てみましょう。

  • 【NG】(上司に対して)部長の言いたいことはわかります。しかし、それは間違っています。
  • 【OK】(上司に対して)部長のおっしゃることは理解いたしました。しかしながら、現場の実情を鑑みますと、懸念点がございます。

目上の人に「しかし」で切り返すと、どうしても「口答え」や「反抗」のような強い印象を与えてしまいます。「しかしながら」を使って、一度相手を肯定する姿勢を見せることが、円滑なコミュニケーションのコツですね。

【応用編】似ている言葉「でも」との違いは?

【要点】

「でも」は話し言葉として最も一般的で親しみやすい表現ですが、ビジネス文書や改まった場ではカジュアルすぎて不適切となる場合が多いため注意が必要です。

「しかしながら」「しかし」と似た言葉に「でも」があります。これも押さえておくと、言葉の理解がさらに深まりますよ。

「でも」は、日常会話で最も頻繁に使われる逆接の接続詞ですよね。

「でも、私はそう思わないよ」「でも、大丈夫」といった具合です。

決定的な違いは、「でも」は完全に「話し言葉(口語)」であるという点です。

「しかし」は書き言葉としても使えますが、「でも」をビジネスメールや報告書で使うと、非常に稚拙な印象を与えてしまいます。

  • × 予算が不足しています。でも、工夫次第でなんとかなります。
  • ○ 予算が不足しています。しかし(しかしながら)、工夫次第で対応可能です。

ビジネスの場では、「でも」の代わりに「しかし」「しかしながら」「ただ」「もっとも」などを使うように意識しましょう。

「しかしながら」と「しかし」の違いを学術的に解説

【要点】

文法的にはどちらも接続詞ですが、語用論的観点からは「しかしながら」は「ポライトネス(配慮)」の機能を持ち、対人関係調整の役割を果たします。「しかし」は論理構成の転換機能が主となります。

少し専門的な視点から、この二つの言葉の違いを深掘りしてみましょう。

言語学、特に「語用論」という分野では、言葉が持つ「対人関係を調整する機能」に注目します。

「しかし」は、前の文脈と後の文脈の「論理的な対立」を明確にする機能が主です。Aである、しかしBである(A≠B)。これは情報の伝達においては非常に効率的です。

一方で、「しかしながら」は、この論理的な転換に加えて、「ポライトネス(丁寧さ・配慮)」の機能を強く持っています。

文化庁が公開している「敬語の指針」などでも、相手との距離感や改まり度合いによって言葉を選ぶ重要性が説かれています。「しかしながら」に含まれる「ながら(並行・共存)」の要素が、相手の顔を立てつつ自分の意見を述べるという、日本的なコミュニケーションスタイルに非常に適していると言えるでしょう。

単なる「接続詞の選び方」ではなく、「相手への敬意の表し方」として捉え直すと、使い分けの精度がより高まりますね。詳しくは文化庁の国語施策情報なども参考になります。

プレゼンで「しかし」を連発して赤っ恥をかいた僕の失敗談

僕も新人の頃、この「しかし」の使い方で冷や汗をかいた経験があるんです。

入社2年目、初めてクライアントの役員が出席する重要なプレゼンを任されました。僕は気合を入れて、論理的で隙のない資料を作成しました。「A案にはメリットがあります。しかし、コストがかかります。しかし、B案ならコストは抑えられます。しかし、期間が延びます…」

自分では「ロジカルでかっこいい!」と思っていたんです。短く言い切るのがビジネスマンだ、と勘違いしていたんですね。

プレゼン後、同席していた先輩に呼び出されました。

「君の説明、ケンカ売ってるみたいだったよ」

えっ、と絶句する僕に先輩は続けました。「『しかし、しかし』って連発されると、聞いてる方は自分の考えを毎回否定されているような気分になるんだよ。役員の方もムッとしてたぞ。こういう時は『しかしながら、コスト面での課題もございまして』とか、クッションを入れるのが大人のマナーだよ」

顔から火が出るほど恥ずかしかったです。論理的な正しさばかりを追い求めて、「それを聞く相手がどう感じるか」という視点が完全に抜け落ちていたんです。

それ以来、僕は「しかし」を使う時は一瞬立ち止まるようにしています。「ここはズバッと言うべき場面か? それとも『しかしながら』でワンクッション置くべき場面か?」と。この小さな一呼吸が、信頼関係を守る大きな鍵になるんですよね。

「しかしながら」と「しかし」に関するよくある質問

目上の人に「しかし」を使うのは失礼ですか?

失礼とまでは言えませんが、文脈によってはぶっきらぼうに聞こえる可能性があります。反論や断りを入れる場面では、「しかしながら」や「恐れ入りますが」などを使った方が、角が立たず円滑に進みます。

「しかしながら」を使いすぎるとどうなりますか?

丁寧さを意識するあまり「しかしながら」を連発すると、文章が間延びし、まどろっこしい印象を与えてしまいます。一つのメールや文書内では数回にとどめ、「ですが」「ただ」などを織り交ぜてリズムを整えるのが賢明です。

論文やレポートではどちらを使うべきですか?

客観的な事実や論理展開を述べる論文・レポートでは、簡潔な「しかし」が好まれます。「しかしながら」は情緒的すぎる場合があるため、論理性重視の文章では「しかし」を使うのが一般的です。

「しかしながら」と「しかし」の違いのまとめ

「しかしながら」と「しかし」の違い、スッキリ整理できたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 基本は相手とシーンで使い分け:目上の人や改まった場なら「しかしながら」、フラットな場や論理説明なら「しかし」。
  2. ニュアンスの違い:「しかしながら」は譲歩と配慮、「しかし」は明確な転換と否定。
  3. 語源のイメージ:「ながら」は共存(相手を立てる)、「しかし」は事実の指し示し(論理)。
  4. 注意点:「でも」は話し言葉なのでビジネス文書では避ける。

言葉は単なる記号ではなく、あなたの「気遣い」を乗せて届ける乗り物です。相手や状況に合わせて最適な言葉を選べるようになれば、あなたのビジネスコミュニケーションはもっとスムーズで、温かいものになるはずですよ。

これからは自信を持って、その場にふさわしい言葉を選んでいきましょう。言葉の使い分けについてさらに知りたい方は、ビジネス敬語の違いをまとめたページもぜひご覧ください。

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