「在籍」と「在学」の違い!会社や学校でどう使い分ける?

「在籍」と「在学」の違いは、ズバリ「組織全般に籍があるか、学校に籍があるか」という点にあります。

なぜなら、在籍は会社や団体など幅広い組織に所属している状態を指すのに対し、在学は学校で学んでいる学生・生徒という身分に限定して使われる言葉だからです。

この記事を読めば、履歴書での正しい書き方や、予備校やクラブチームでの使い分けまでスッキリ理解でき、書類作成や自己紹介で迷うことはもうありません。

それでは、まず最も基本的な違いから詳しく見ていきましょう。

結論:一覧表でわかる「在籍」と「在学」の最も重要な違い

【要点】

最大の違いは対象範囲です。在学は「学校」に限定されますが、在籍は学校だけでなく、会社、クラブチーム、政党など、あらゆる「組織や団体」に使えます。つまり、学生は「在学」かつ「在籍」していますが、会社員は「在籍」のみとなります。

まず、結論からお伝えしますね。

「在籍」と「在学」の最も重要な違いを、以下の表にまとめました。

これさえ押さえれば、基本的な使い分けはバッチリです。

項目在籍(ざいせき)在学(ざいがく)
対象となる場所組織全般(会社、学校、団体など)学校のみ
意味の中心名簿(籍)に名前がある状態学校に所属して学んでいる状態
使える人社員、会員、学生、生徒学生、生徒、児童
証明書の種類在籍証明書在学証明書

一番大切なポイントは、「在学」は学校専用の言葉であり、「在籍」はどこでも使える便利な言葉だということです。

例えば、大学生は大学に「在学」していると同時に「在籍」もしています。

しかし、サラリーマンは会社に「在籍」していますが、「在学」とは言いませんよね。

なぜ違う?漢字の成り立ち(語源)からイメージを掴む

【要点】

「在籍」の「籍」は戸籍や名簿を意味し、組織のリストに名前が載っている状態を表します。「在学」の「学」は学び舎(学校)を意味し、教育機関で学業を修めている状態に焦点を当てています。

なぜこの二つの言葉に範囲の違いが生まれるのか、漢字の成り立ちを紐解くと、その理由がよくわかりますよ。

「在籍」の成り立ち:「籍」が表す“名簿”のイメージ

「在籍」の「籍(せき)」という字は、もともと竹で作った書物や記録を意味し、そこから「戸籍」や「名簿」を指すようになりました。

つまり、「在籍」とはその団体や組織の名簿に名前が「在(あ)る」ことを意味します。

名簿が存在する場所であれば、会社でもスポーツジムでも政党でも、どこでも使えるのはこのためです。

実際にその場にいるかどうかよりも、「所属メンバーとして登録されているか」という形式的な側面が強い言葉ですね。

「在学」の成り立ち:「学」が表す“学びの場”のイメージ

一方、「在学」の「学」は、もちろん「学校」や「学問」のことです。

「在学」とは、学校に「在(い)て」学んでいることを指します。

ここでのポイントは、対象が「教育機関」に限定されている点です。

籍があるだけでなく、「学生としての身分を持っている期間」というニュアンスが含まれています。

具体的な例文で使い方をマスターする

【要点】

履歴書の学歴欄などで現在も通っている場合は「在学中」、職歴欄などで現在も勤めている場合は「在籍中(現在に至る)」と使い分けます。また、予備校や習い事などの学校教育法上の学校以外では「在籍」を使うのが一般的です。

言葉の違いは、具体的な例文で確認するのが一番ですよね。

履歴書や日常会話、そして間違いやすいNG例を見ていきましょう。

履歴書・ビジネスシーンでの使い分け

自分の身分を正確に伝えるために、適切な用語を選びます。

【OK例文:在籍】

  • 現在、株式会社〇〇に在籍しており、営業部に所属しています。
  • 出向中ですが、籍は元の会社に在籍したままです。
  • あの有名な教授は、かつてこの研究所に在籍していました。

【OK例文:在学】

  • (履歴書の学歴欄)令和〇年〇月 〇〇大学経済学部 在学中
  • 大学在学中に、1年間の海外留学を経験しました。
  • 奨学金の申請には、在学証明書の提出が必要です。

日常会話・その他のシーンでの使い分け

学校以外の学びの場では注意が必要です。

【OK例文】

  • 息子は地元のサッカークラブに在籍している。
  • 英会話スクールに在籍して3年になる。

これはNG!間違えやすい使い方

意味は通じることが多いですが、厳密には正しくない使い方を見てみましょう。

  • 【NG】私は現在、大手商社に在学しています。
  • 【OK】私は現在、大手商社に在籍しています。

会社は学ぶ場所ではない(建前上は)ので、「在学」は使えません。

  • 【NG】予備校に在学しています。
  • 【OK】予備校に在籍しています。

予備校や自動車学校などは、学校教育法で定められた「学校(一条校)」ではない場合が多く、一般的には「在籍」や「通っている」という表現が使われます。

ただし、専門学校(専修学校)の場合は「在学」を使っても問題ありません。

【応用編】似ている言葉「在校」との違いは?

【要点】

「在校」は主に小・中・高校生に対して使われ、「現在その学校の生徒であること」や「今、学校の中にいること(登校している)」を指します。大学以上ではあまり使われず、大学生は「在学」が一般的です。また、在校生とは「卒業生」の対義語として使われます。

「在籍」や「在学」と似た言葉に「在校(ざいこう)」があります。

この言葉には二つの意味があります。

  1. 身分としての在校:その学校の生徒であること。(例:在校生代表の挨拶)
  2. 所在としての在校:今、学校の敷地内にいること。(例:本日は17時まで在校しています)

【使い分けのポイント】

  • 大学生・大学院生:「在学」を使うのが基本。「在校」はあまり使わない。
  • 小・中・高校生:「在学」も「在校」も使う。

「在学」は期間や状態を広く指すのに対し、「在校」は物理的な場所や、卒業生に対する現役生という対比で使われることが多いですね。

「在籍」と「在学」の違いを学術的に解説

【要点】

学校教育法や学則において、学生としての身分を有する期間を「在学期間」と呼びます。これには休学期間も含まれるのが一般的ですが、修業年限(卒業に必要な期間)の計算においては休学期間を除く場合があるなど、文脈によって「在学」の定義が変わることがあります。一方「在籍」は、除籍や退学とならない限り継続する、名簿上の登録状態を指す行政的・事務的な用語です。

ここでは、学校の規則や制度の視点から、より深くこの二つの言葉を掘り下げてみましょう。

【在学期間の計算】

大学などの学則では、「在学期間」という言葉が頻繁に出てきます。

通常、入学してから卒業(または退学・除籍)するまでの全期間を指し、休学している期間も「在学期間」には含まれます(ただし、卒業要件である「修業年限」には算入されないことが多いです)。

つまり、休学中でも「在学中」と言って間違いではありません。

【除籍と在籍】

「在籍」の対義語として、学校事務では「除籍(じょせき)」が使われます。

授業料未納や在学年限超過などで、学生としての籍を抹消されることです。

逆に言えば、除籍されていない限り、停学中であっても休学中であっても、その学校に「在籍」していることになります。

この点において、「在籍」と「在学」はほぼ同義として扱われますが、「在籍」の方がより事務的・管理的なニュアンス(名簿管理の視点)が強い言葉だと言えます。

詳しくは文部科学省の学校教育法関連情報や各大学の学則を確認してみると、定義の違いがより明確になりますよ。

僕が履歴書の作成で「在籍」と書いて指摘された体験談

僕が就職活動をしていた時のことです。履歴書の作成に追われていた僕は、学歴欄と職歴欄の書き方で混乱していました。

当時、大学に通いながら長期インターン(アルバイト扱い)もしていたため、学歴と職歴の両方に「現在も所属している」ことを書く必要がありました。

「どっちも所属してるんだから、同じ言葉でいいだろう」と思い、両方に「現在在籍中」と書いてキャリアセンターの添削に出しました。

すると、担当の方から赤ペンで修正が入ったんです。

「学歴欄は『在学中』、職歴欄は『在籍中』もしくは『現在に至る』と書き分けるのが一般的ですよ」

「えっ、どっちも『籍』があることには変わりないじゃないですか?」と聞き返すと、担当の方は苦笑いしながらこう言いました。

「確かに意味は通じますが、学校は『学ぶ』場所なので『在学』を使うのが自然な日本語です。逆に、会社に『在学』とは書きませんよね? 言葉の選び方一つで、常識があるかどうかが判断されてしまうんですよ」

ハッとしました。

僕は単に事実(所属していること)を伝えればいいと思っていましたが、「その場所で何をしているか(学んでいるのか、勤めているのか)」という文脈に合わせた言葉選びこそが大切だったのです。

それからは、「学生の本分は学ぶことだから『在学』、社会人の本分は組織の一員として籍を置くことだから『在籍』」と、自分の中で明確なイメージを持って使い分けるようになりました。

この経験のおかげで、エントリーシートや面接でも自信を持って自分の経歴を話せるようになりましたね。

「在籍」と「在学」に関するよくある質問

履歴書の学歴欄、卒業見込みの場合はどう書く?

「令和〇年〇月 〇〇大学〇〇学部 卒業見込み」と書きます。「在学中」と書くのは、まだ卒業年度が決まっていない場合や、アルバイトの応募などで現在の身分を伝える場合です。就活のエントリーシートでは「卒業見込み」が基本です。

休学中でも「在学中」と言えますか?

はい、言えます。休学中であっても大学に籍はあるため、身分は「学生」であり「在学中」です。ただし、履歴書等で空白期間を説明する必要がある場合は、「令和〇年〇月 〇〇大学〇〇学部 休学(〇〇留学のため)」などと補足すると親切です。

「在籍校」と「在学校」、どっちが正しい?

どちらも間違いではありませんが、「在籍校(ざいせきこう)」という言葉の方が、学校事務や進路指導などの場面でよく使われます。「現在、籍を置いている学校」という意味です。「在学校」という言い方はあまり一般的ではありません。

「在籍」と「在学」の違いのまとめ

「在籍」と「在学」の違い、スッキリご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  1. 範囲の違い:「在籍」は組織全般(会社・学校・団体)、「在学」は学校のみ。
  2. 意味の焦点:「在籍」は名簿に籍があること、「在学」は学生として学んでいること。
  3. 使い分け:履歴書の学歴欄は「在学中(卒業見込み)」、職歴欄は「在籍中(現在に至る)」。

言葉の響きは似ていますが、使える範囲の広さが決定的に違います。

「ここは学校だから『在学』だな」「ここは会社だから『在籍』だな」と、場所に合わせてスイッチを切り替えるような感覚で使い分けてみてください。

正しい言葉遣いは、あなたへの信頼感を高める第一歩になりますよ。

さらに社会人としての言葉遣いやビジネスマナーについて深く知りたい方は、社会・関係に関する言葉の違いまとめ記事もぜひご覧ください。

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